あらすじ
歌人の家に生まれ、和歌のことにしか興味が持てない貴公子・希家は、武士が台頭してきた動乱の世でもお構いなし。怪異譚を探し集める宮仕えの少女・陽羽と出会った希家は、凸凹コンビで幽玄な謎を解く。
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シリーズ第三弾にして完結巻。
中宮様の遣いで仙洞御所に赴いた時に、後白河法皇に見初められてしまった桂木の君。“秘密”を抱える桂木は困惑しつつも法皇の許へ。
するとその夜、非業の死をとげた崇徳上皇の祟りと思われる怪事がおこり、法皇を戦慄させます。その後も立て続けに起こる怪異に陽羽と希家は・・。
この巻で完結との事で、せっかくキャラ等が定着してきたところだったのに、寂しい限りです。
今回の“崇徳上皇の祟り”は意外な人が仕掛け人だったのですが、それに巻き込まれた桂木がちょいとお気の毒でした。
そして、寂漣は“何がしたいねん!”的な暴走の挙句、希家をおいて逃げるように旅立ってしまう等、若干のバタバタ感は否めない印象でした。
陽羽と希家のやり取りが微笑ましかった当シリーズ。
いつか番外篇でもよいので、出して頂きたいですね。
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後白河法皇のもとに桂木が召されることになり、桂木が男であることが分かってしまうのではないかと陽羽の心配をよそに讃岐は泰然自若たる様子。果たして、その夜、仙洞御所に雷が落ち、後白河法皇は崇徳上皇の祟りではないかと恐れる。そして、次から次へと怪しいことが起こり、寂漣の身にもいろいろと厄介なことが起こる。最後に解決に向け秘策を考え出したのは希家であったが、やはり後ろで背中を押したのは目をきらきらとさせる陽羽であった。実際の偏屈定家もこんな破天荒で陽性の陽羽を娶っていたならなあ。もっと楽に生きていたやかもしれない。式子内親王への思慕というのも後世のつくり話というか、興味本位から出たものだろうな。実際の定家にはそんな話は似合わない。
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祟りをおそれ、闇におびえるよりも、笑っているほうがいいに決まっていると希家も思った。
(P.91)
寂漣を連れ戻す。最後に別れたときの「必ず戻るから」と言ったあの約束を、必ず果たさせる。それ以外のことは、とにかく寂漣に追いついてからだ。
殴るもいいだろう。いっしょに歌枕の地に向かうのもいいだろう。どちらにしろ、顔を会わせてみないことには何も始まらない。
(P.256)
Posted by ブクログ
定家と寂連を彷彿とさせる、というよりは、うまい設定の仕方をしているシリーズの最終作。寂連の全国行脚を上手に位置付けたなあ、と思います。
鵺、義仲、そして、大魔王の登場に終の物語だな、という感を持たせるあたりが設定のうまさかな、と思います。
作を追うごとに中心にいる少女の言動が面白くなっていくのだけれども、それが急速に鎌倉時代初めという時代の女性から離れて行って、それはそれで面白いのだけれども、うーん、と唸りながら、でも、面白いからいいか……、と思ったところです。
3作品を通してみると、私には式子内親王とのやりとり、関わりがとても面白かったなあ。
背景にあるものとしては、今作の崇徳上皇にあるいろいろ、そして、登場人物とのかかわりがもっともよかったと思います。
軽く読み進める本です。外出せずに楽しみたいときにはとても良い本だと思いました。