内藤了のレビュー一覧
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よろず建物因縁帳シリーズ、8作目。
結局のところ、この世で一番怖いのは、恨みを募らせた人間の怨霊なのかも。凄まじい恨みの強さを目の当たりにして、震えあがる。
前半、隠温羅流のルーツを探るべく、中国地方へと向かう春菜たちと並行して今回の事件が進行するが、話が二方向に流れて散漫気味になるかと思いきや、後半は特に「吉備津の釜」伝説と今回の事件が上手くリンクされて興味深く読めた。ここにきて、パグ男を上回る嫌な男も登場。さすがのパグ男も前々回で懲りちゃったのかな。 コーイチじゃないけど、懲り懲りのパグ男、何だか可愛いww
そろそろこのシリーズも終盤が見えてきちゃったな。真相を早く知りたいような、でも -
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よろず建物因縁帳シリーズ、7作目。
今作はいつにも増して描写の残虐さが凄まじい。この光景を目の前で見せられるサニワの春菜ちゃんが気の毒だわ。民俗学的考察も面白い。江戸風俗や残虐絵が描かれる背景など、興味深く読めた。日本画にしても洋画にしても、結構残虐な絵が多いのは分かる気がする。シリーズを通してよく調べられているのか、舞台設定も違和感なく、怪異にリアリティを感じてしまう。
そして、今作の読みどころは春菜ちゃんが仙龍にぶつける決意。大袈裟になりがちな場面だけど、この二人だからか、私はグッときて涙出た。温羅=鬼が島伝説の鬼からして、そこに隠温羅流のルーツがあるのか、その謎の解明も楽しみ。 -
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警視庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花シリーズ、2作目。
2作目にして早くも清花のキャラが好きになってきた!最初は刑事らしくあろうとしてか空回り感が激しく、痛々しささえ感じていた清花だが、警察官としても母親としても一段と人間性が上がってきて好感度がグングン上がってる。もともと優秀な刑事なだけに、比奈子や恵平と違って行動もしっかりとしていて、頼もしさや安心感があって良い。いずれは元旦那と元鞘に戻るのかもしれないけど、今後の彼女の成長が楽しみ。
今回のテーマは花嫁人形。人形モノのホラーは怖くてほんと苦手な部類なのだけれど、今作の人形たちは怖いというよりは悲哀の方が強いかな。実際、恨みを込められたもので -
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よろず建物因縁帳シリーズ、5作目。
ここにきて春菜のサニワの能力が随分と上がってきたな。仙龍の曳き家師としての采配も見事だけれど、サニワの春菜と組んでこそ、というのがより分かるようになってきた。そして彼らを支えるコーイチや教授、生臭坊主など、チームとして安定感があって、皆大好き。怪異描写はほんとに怖いけど、次はどんな因縁を祓ってくれるのかなとワクワクする方が勝る。
今回は、祟られてしまった方がほんとに何にも悪いことしてなくて、可哀想なのだが、古い時代を遡っての悲恋噺に念の重みを相応に感じたし、最期にもうひと花咲かせた桜の描写が実に見事。スッキリとした終わり方で良かったデス。 -
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ネタバレ一方的な捉え方で断罪しない、が始まったのでこれもまたもの凄いシリーズになるんじゃないかと期待値が上がっております。面白かった。
加えて、地域の文化や伝統、猟奇度も増し増しです。今回は冥婚・人形婚、マヨヒガに座敷童子。冥婚は世にも奇妙な物語で観た記憶があるのですが、人形婚は初耳。
実物大の花嫁人形は怖い上に、本物使ってるんですか……ヒッとなりました。登場人物たちも、製作のおぞましさ罪深さは感じてるけれども、それを望んでしまった人たちの想いもわかる、というスタンスなので、言葉が変かもしれないですがほっとします。佐藤教授は教授っぽい知的探究心で今回はこの人だけちょっと(「凄い技術なので作り方気になる