斉藤隆央のレビュー一覧
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自然界を支配する四つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)。これらすべてを統一する理論、”A Theory of Everything”に関する本。
神の方程式に迫る取り組みは、ニュートンの万有引力の法則から始まり、マックスウェルの法則で別の側面を得、アインシュタインの相対性理論で新たな展開を迎え、ブランクやシュレディンガーの量子論を以って著しい発展を遂げる。
四つの力は、大元の一つの力すなわち超力から分岐し、それは11次元の存在としてひも理論で説明できるとする。特に印象的なのは、研究が進むほど対称性の重要性が増し、そこには深淵なる「美」があるということ。
相対性理論以降の章は一般人にとって -
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哲学的な問い。
生物学的、もしかすると文学的な問いかも知れない。生きているとは。切断すると複製する、乾燥して何年も経った後に水分で復活する、老いては若返りを繰り返す存在などもある。この場合「ある」なのか「いる」なのか。ウイルスのような存在は果たして生きていると言えるのか。
知覚や記憶により、われわれは、それが生きているか否かを分類する。脳がダメージを受けたとき、昆虫や果物など、生物にかかわる名前を言うのが難しくなる。ところがおもちゃや道具の名前は難なく言えるという。つまり、無意識下において人間は、その対象が「生きているか否か」をジャッジしているようだ。この本はこうした切り口からスタートする -
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専門外だと難易度高めだが、じっくり読めば理解出来なくはない感じで、しかも論理展開が面白い。どういう話かというと、生命の誕生についてなのだが、細菌みたいな原核生物からどうやって真核生物に進化したのか、という物語。
そこには内部共生という過程で、細胞同士が融合したり、更にプロテオバクテリアなどを取り込んでしまう進化の過程があった。それがミトコンドリアだが、これにより、真核生物はより強大なエネルギーを代謝する能力を得る事ができた。
ー 初期の地球で生命の誕生の助けになりえた環境は、定常的な炭素とエネルギーの流れが組み合わさったアルカリ熱水噴出孔。熱水孔の細孔内の薄い半導体の障壁をはさんだ地球化学 -
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ネタバレうーん、難しい…。
まず、基本スタンスとして不安を煽るような内容の本はだいぶ警戒して読むべきと思ってる。ただ、本としてはしっかりしているので、誠実として受け止める必要はあるかな、という感じ。
内分泌撹乱物質(EDC)がもたらす危険と、それをどのように避けるかという指南書。
IQ低下や精子減少は総合的な目で見るしかなく(例えば晩婚化)、一概には言えないけど少なくとも「良い影響を与えることはない」ってことなんだろう。
本書の中で度々挙げられているレイチェル・カーソンの『沈黙の春』は「感性に訴えるものの、科学書としては…」という認識だったけど、ちょっとここらへんは精査が必要かな。 -
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科学的な記載はアベンジャーズのヴィブラニウム程度に読み流してしまったが…
ペンローズタイルを物質の配置に当てはめたような準結晶を理論的に思いつく下り
(科学的な読みものとしてはここが1番面白かった)
それを現実に発見していくところ(科学者たちが連携して発見していくところが面白い。最先端の発見ってこうやってなされるのか)
自然に生成された準結晶を捜索していくところ(あとがきにあるようにダ・ヴィンチ・コードを思い出した。ハリウッド感がすごい。人捜しの面白さ)
カムチャッカに冒険に行くところ(また別のハリウッド感がある。理論物理学者が何をやっているのか)
各パートがそれぞれ面白く、とんでも -
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万物の理論=神の方程式は「ひも理論」であることを提示する。
ニュートンが運動と重力の法則を打ち立てた結果、産業革命の礎が築かれた。ファラデーとマクスウェルが電気と磁気の力は一つのものだと明らかにすると、電気の革命が幕を開けた。アインシュタインや量子物理学者たちが、現実の本質は確率論的で相対的であることを示すと、今日のハイテク革命の火蓋が切られた。
そして近い将来、四つの基本的な力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)の全てを統一する万物の理論=神の方程式への収斂がなされるかもしれない。それが「ひも理論」だ。
実に興味深いのは、万物の理論が打ち立てられたらさぞ科学や文明の発展に寄与するものだろうと思 -
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「自分たちと異なる存在」を、「劣ったもの」として捉え排除しようとする、という意思がまず原初にあり、それを「宗教的にではなく」「科学的に」正しいこととして訴える、ということのために、遺伝の仕組みを捻じ曲げて使ったのが、近現代社会における優生学、ということなのだなと改めて思った。
そもそも、遺伝の仕組みを誤って理解していること、社会ダーウィニズム・進歩主義の誤りの部分を目的としていることなど、優生学の考えの誤り、というのはときどき反芻しておきたい。
なお、読書感としては、「教科書だなー」という感じで、ところどころ原著の書き方のせいか翻訳のせいか、すっと入ってこない表現のところもある。ときどきリフ -
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菌類の魅力がたっぷり伝わる知識絵本。
いかにもメルヘンで、きのこ!な絵と、時折コラージュのように配された写真が見ていて飽きない。
見開き2ページが1トピックで、わかりやすい。
菌類の生物的賢さに驚くばかり。
わたしたち人間や他の生物を利用したり、殺したり。
特に怖いのはゾンビきのこと呼ばれるもの。
胞子をばらまくために蟻の中に寄生し高いところに登らせ落ちないように草木に噛みつかせる。
いつのまにか感染して異常行動をとってしまう。
でも、このゾンビきのこは人間には感染しないらしい。
とりあえず、ほっ。
監訳の白水貴さんは、あとがきで菌類へのネガティブな世間のイメージを憂いている。
私も、きのこ、 -
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自分的にはマット・リドレー『赤の女王』からの二作目。
『赤の女王』がとても面白かったので。
面白さ、とっつきやすさで言えば、『赤の女王』の方が自分的には良かったかな、と思うが、本書もとても興味深い。
テーマは、「生まれか育ちか」。
人は、本テーマに関わらず、二元論が大好きで2つのうちどちらかにカテゴライズしたがる。だがどちらも影響するんだよ、というのがメインメッセージ。実例やこれまでの研究結果などとともに何故どちらもなのか、といった根拠を展開していく。
持論と書いたが、私から見ると充分に客観的で納得できる主張で、読んでいてストレスがない。
展開される過去の研究結果や実例もわかりやすく説明され -