【感想・ネタバレ】「生きている」とはどういうことか 生命の境界領域に挑む科学者たちのレビュー

あらすじ

生命とは何か?

誰もが納得できる生命の定義は、いまだに存在していない。
生物と無生物を分かつものは、いったい何なのか?
現代屈指のサイエンスライターが、波乱に満ちた生命研究の歴史をひもときながら、最先端の研究が進行中の数々の現場を探訪し、「生命とは何か?」という人類最大の難問に迫る。
全米で高い評価を受けた、科学ノンフィクションの傑作。

【各紙誌で年間ベストブックに選出!】
NYタイムズ・ブックレビュー「今年の100冊」(2021年)に選出
PEN/E・O・ウィルソン賞(2022年)ファイナリスト
ライブラリー・ジャーナル、サイエンス・ニュース、スミソニアン・マガジンの2021年ベストブック

【有名科学者による賞賛多数!】
現代のフランケンシュタイン博士たちが研究に勤しんでいる今、実にタイムリーな探究の書。
――ジェニファー・ダウドナ(ノーベル化学賞受賞者・『クリスパー』著者)

ジンマーは鋭く魅力的な書き手だ。ふさわしいところで感慨深い逸話を紹介し、科学的な話を描き、研究室での実験に命を吹き込む。
――シッダールタ・ムカジー(『がん 4000年の歴史』著者)

軽やかで奥深い本書を読めば、生命についてまったく新しい見方ができるようになるだろう。
――エド・ヨン(『世界は細菌にあふれ、人は細菌によって生かされる』著者)

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Posted by ブクログ

面白い。「生きている」という自明のように思える現象を歴史的な考え方から最新の議論までを含むさまざまな角度から描き出していく。その結果は・・・?

読めば読むほどにこの本を読んでいる自分が生きているとはどういうことなのか不思議になってくる。

一方で生命の素は意外とシンプルな材料と環境と時間があればできるのかもしれないとするとこの宇宙には数え切れないほどの「生きている」何かが発生していておかしくはないのだろうとも思える。(それはこの本の主題とは関係ないが)

幅広い調査とそれを無味乾燥にならず、かつ科学史の人間ドラマにもとどまらない形でこのような読ませる構成でまとめ上げる著者の力がすごい。

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2023年10月30日

Posted by ブクログ

哲学的な問い。

生物学的、もしかすると文学的な問いかも知れない。生きているとは。切断すると複製する、乾燥して何年も経った後に水分で復活する、老いては若返りを繰り返す存在などもある。この場合「ある」なのか「いる」なのか。ウイルスのような存在は果たして生きていると言えるのか。

知覚や記憶により、われわれは、それが生きているか否かを分類する。脳がダメージを受けたとき、昆虫や果物など、生物にかかわる名前を言うのが難しくなる。ところがおもちゃや道具の名前は難なく言えるという。つまり、無意識下において人間は、その対象が「生きているか否か」をジャッジしているようだ。この本はこうした切り口からスタートする。とてもエキサイティングだ。

子どもを対象にした実験からは、生命を認識する直感は生得的だと判断される。子どもには、学習にかんしても生命が優先される傾向がある。無生物よりも動物のほうが早く覚えられ、覚えたものの記憶を長くもちつづけられる。

本書では、様々な「境界線にある存在」が取り扱われる。ポリプもその一つだ。ヒドラのことだが、これはYouTubeでも見られるので動画で確認したが、確かに生きているようだ。しかし、ファージや細菌にまでなるとどうだろう。生きているのだろうか。

そんな事を考えると、人間さえ生きていると言えるのか、よく分からなくなってくる。感情があること、意識があること、いずれ死ぬこと、身体が動くこと、複製すること、代謝すること…どれかは当てはまらない生物がいる。生きるとは何かを考えさせられる本だった。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

生物とは、という疑問にずっと答えるような実験や観察を書いた本である。筆者が科学ジャーナリズムということで、ひとつの研究を深く書いていくことはなく、多様な研究を引用して面白く書いている。
 したがって、生物学に全く興味がない学生も、あるいは高校生も面白く読むことができるであろう。

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2023年11月09日

Posted by ブクログ

生命とは、という観点で科学的な面や哲学まで視野を広げ現時点でのわかるところまでが書かれている。結論が確定したわけではないが興味深い歴史である。

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2023年08月15日

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