斉藤隆央のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
地球外知的生命体を探索する、SETIに関する最新の知見をまとめた本書。
そもそも天の川銀河において、宇宙空間に進出できる文明をもつ知的生命体はどれほど存在しているのか、またその文明の存続時間は人類文明の存続時間と重なりうるのか。また、仮に上記の条件をクリアしていたとして恒星間航行が果たしてできるのか。
もし宇宙人が存在し恒星間航行が可能なのであれば、なぜいま彼らかここにいないのか。つまり、宇宙人は存在しないのでは。という矛盾をフェルミのパラドックスと呼ぶ。
また、SETIとは別に、積極的にメッセージを宇宙に向けておくるプロジェクトもあり、そちらは危険なエイリアンに地球の位置を教えることになるとも危惧されているそう。
ダイソン天体やそうした文明の痕跡を探す方法も模索されている。
従来考えられていたよりもはるかに多くのハピタブルな惑星が次々に発見されているが、現在の文明度では行くことはおろか、直接探査もむずかしく、おそらくそれは仮に存在しているのであれば他の文明もそうなのだろう。
いつか宇宙で人類は孤独では無いことを証明できる日がくるのだろうか。
来てもまだ10000年くらいはかかりそうではある。
少し早く生まれて来すぎた。
第一章は利他行動の仮定として、はたしてエイリアンは地球人類と同じような利他的行動に意味を見出しているのか、利己において行動しているのかを議論
第二章は知能。そもそも文明を持てるレベルの知能は他の惑星で生まれうるのか。
第三章は地球以外に人類に居住可能な惑星がどれほどあるのか。
第四章ははたしてエイリアンが宇宙にメッセージを発信している可能性はあるのか。
第五章はエイリアンは宇宙に進出するほどの文明を持てているのか。
第六章は時間軸。文明の存続する時間はどれほどで、はたして人類文明と存続時間が重なる可能性はあるのか。
第七章は地球から発したメッセージが危険なエイリアンを呼び寄せてします危険性はないのか。
第八章はこれからのSETI。 -
Posted by ブクログ
いわゆるマルチバースについてのポピュラー・サイエンス本の「パラレル・ワールド」がとても面白くて、大ファンになったミチオ・カクの新作。
「パラレルワールド」後の本は、科学技術関係とか、超ひも理論という自分の専門領域以外についての啓発的な科学ライターみたいな本が多かった気がするけど、これはまた専門領域のど真ん中にもどっての入門書ですね。
「超ひも理論」の最近の議論もざっくりと整理してあって便利ですが、この本のメインは、「統一理論」の歴史。ニュートン〜マックスウェル〜アインシュタイン〜量子力学〜ヒモ理論という一つの理論ですべてを記述しようという試みの歴史。
なんで、いろいろな現象を説明する複数の方程式を一つの方程式で全部を表現したいのか、そこには、統合することで見えないことが見えてくるということがあるということ。
そして、あらたな統合は、新たな科学技術を生み出していく力になったということ。
そして、統合のポイントは、対称性、ということなのだが。。。。
ここまでくると、この話しは、宇宙の始まりや終わり、そして神の存在、宇宙、そして自分の存在する意味ということに必然的につながっていく。
で、最終章は、そんな話。ものすごく新しい話しはないのだが、あらためてこれだけのことをまとめてくれて、ありがたいな〜という感じ。
面白かったのは、これまでの統一理論の成立は人間の生活に直接影響をあたえる技術を生み出してきたが、おそらくひも理論の統合は、なにもわたしたちの実生活には影響を与えないであろうという話し。
おおおお、そこまで言い切るか!
つまり、今、理論物理学は、ある意味、人間がこれまで宗教や思想を通して探索してきた宇宙や人生の意味を科学的な方法で探求しているということなんだね。
そして、その答えがでたとしても、わたしたちの人生の意味がわかるというものでもなくて、結局、それはわたしたち、一人一人が自分で苦労して見つけ出すものなのだ。
なるほど。答えは実は既にあるのだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレひも理論について
マックスウェルによる電磁波の記述から始まり、光子・電子の統一がくりこみ理論で乗り越えられたこと、さらにコンピュータによる大量の計算力でヤン=ミルズ場のくりこみを成し遂げて強い核力が統一され、現在の標準模型に至るまでの歴史が語られる。その過程で、物理学における美しさ(対称性)の重要性が強調され、標準模型は美しくないと主張される。
著者の専門でもあるひも理論は、現在の科学で達成できるレベルのエネルギーでは実証実験をすることができないが、十分に美しく、宇宙を矛盾なく記述することができる。究極の方程式には解が無数にあり、無数の宇宙が存在すると考えられるがほとんどの宇宙では物理定数が今の宇宙のようにちょうどよい具合ではないため、素粒子が漂うだけの死んだような宇宙だろうという。
数式は巻末の脚注にしか出てこず、一通りの流れがスムーズに頭に入ってくる -
Posted by ブクログ
ミチオ・カク(加來道雄/1947年~)は、カリフォルニア州生まれの日系3世の理論物理学者。ハーバード大学卒、カリフォルニア大学バークレー校で博士号取得。ニューヨーク市立大学シティカレッジ物理学部教授。専門は素粒子論、特に超弦理論で、弦の場の理論の創始者のひとり。数々のTV科学番組に出演するほか、一般向けの科学書を多数執筆しており、『パラレルワールド』はサミュエル・ジョンソン賞候補、『フューチャー・オブ・マインド』はニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー1位に輝くなど、ベストセラーも多い。
本書は、2021年出版の『THE GOD EQUATION:THE QUEST FOR A THEORY OF EVERYTHING』の全訳。
内容は、アインシュタインが統一場理論と呼び、「神の心を読む」ことができると言った「万物の理論」を求めて、人類が2000年に亘って続けてきた研究の歴史を振り返り、更に、今日、著者を含む多くの物理学者がその究極の理論と考えている「ひも理論」について、批判的な意見も含めて説明したものである。
尚、章立ては以下である。
第1章:統一~いにしえからの夢 第2章:アインシュタインによる統一の追求 第3章:量子論の登場 第4章:ほとんど万物の理論 第5章:ダークな宇宙 第6章:ひも理論の誕生~期待と問題 第7章:宇宙の意味を探す
著者は、この究極の理論が確立すれば、ビッグバンから始まり宇宙の終わりに至るまで、あらゆる事象が説明できるとし、科学の中でもとりわけ深遠な、以下のような疑問にも答えられる(可能性がある)といい、本書の中でもこれらに触れている。
◆ビッグバンの前に何が起きていたのか? そもそもなぜビッグバンが起きたのか?
◆ブラックホールを抜けた向こう側には何があるのか?
◆タイムトラベルは可能なのか?
◆ほかの宇宙へつながるワームホールは存在するのか?
◆高次元は存在するのか?
◆いくつもの並行宇宙からなるマルチバース(多宇宙)は存在するのか?
宇宙には始まりがあったことは、今やほぼ確かなことである。そして、(或る)宇宙には終わりがあるらしいことも分かりつつある。即ち、我々人類の住む宇宙は有限らしいのだ。しかし、或る宇宙から新しい宇宙が生まれるのであれば、宇宙は永遠に続くともいえるのかも知れない。よって、宇宙を説明することを可能にする「万物の理論」は、究極的には、宗教・神の問題、更に、我々の存在する意味を考え直すことにもつながるのである。
これ以上なく壮大で、かつ、世界中の物理学者が取り組んでいる最先端のテーマを、僅か200ページ余りで説明しており、専門知識のない私には、後半に行くほど本質的には理解できないことが増えていったが、サイエンス・ノンフィクション物として読むには十分に面白いものであった。
(2022年4月了) -
Posted by ブクログ
「三体」を読んで宇宙にメッセージを送る危険性について認識をあらたにしたところで、地球外生命を探すための最新情報が得られるかなと読んでみたこちらの本、いい意味で裏切られました。地球外生物を探すことは、人類や地球上の生物、地球の未来について考えることにつながるという、読んでみれば確かに、と気づかされることが多数あった。そもそも探してる知的生命体の知的ってどういう存在のことだっけ?という問いかけからしてなかなかに複雑だ。何光年、何十光年も離れている恒星系に向けてメッセージを送るのには莫大なコストがかかるのに、地球外生命体がわざわざメッセージを宇宙に向けて送るメリットがないのでは、という現実的な観点は、なるほどと納得してしまった。宇宙人に興味はなくとも、未来に向けて、今何が起ころうとしているのかを知るキッカケとして程よい読み物と思われる。
-
Posted by ブクログ
・2012年に出版された2100年の未来予測。中長期で2030年、2070年、2100年までの間で我々の身近に起こり得るテクノロジー予測。
・本書のなかでは通勤がなくなる自宅でのリモートワークはまだ実現されていないとなっているが、
2021年現在ではコロナによりテレワークが普及。
・2030年までに普及されるものとして、インターネットに接続されたコンタクトレンズや自動運転、壁面スクリーンなど。
特にスマホなどの携帯用機器が全てコンタクトレンズに集約され、生活が拡張現実とともになる。
・外国人同士の言語の障壁は、万能翻訳機とインターネットコンタクトレンズやインターネット眼鏡によって次第になくなると予測。
・2100年までに実現が予測されることとして、心で物を支配するということ。
すでにその土台はできており、脳卒中で身体付随となった患者の脳にコンピューターをつなげ、思考だけでコンピュータを動かすことはできている。
・また近いうちに脳の活動を測定するだけで、人が目で見た物の写真を再現できるかもしれないとのこと。
また装置の電極は小型化し、人間は相手の思考を読んで、ただ考えるだけで対象に命令ができるようになる。
・夢までも録画できるとのことだが、人の思考はあいまいなため、録画できても画像の質はがっかりするものになる可能性がある。
また電極を脳につけて密接になる必要があるため、離れたところから人の心を読むのは難しい。倫理的観点からも許可なく人の意識に入ることは法律で制限されるかもしれない。
・MRIが硬貨くらいの小型化になり、誰もがいつでも自宅で自分の体内を検査することが可能。
・テクノロジー進歩の行き着く先は念力(テレキネシス)の獲得。
超伝導体というものを使えば、思考によってほとんど力が要らずに物を動かせる。
さまざま物体の中に小さな超伝導磁石を入れ電流を流すと、強力な磁場が生じて物が動かせる。
・資金さえ投じれば人間の脳のモデルをコンピュータでつくることも可能。ただし大量の電力と熱が必要になる。人間の脳はほとんど電力も熱も消費しないが、スーパーコンピュータをあっさり上回る。さらに人間の脳は銀河系の自然界がつくった最も複雑なもの。
・未来はフレンドリーな人工知能の制作と、人間自身がロボットとの融合強化が進んでいく。
・究極のシナリオは、人類はお荷物の体を完全に捨て去り、人格をコードしたソフトウェアプログラムとなる。全人格をコンピュータにダウンロードする。
・穴居人の原理という観念。
どんなにテクノロジーが進化しても、人間の脳は穴で暮らしていた頃と変わらない。
・遠い未来では、遺伝子の老化を遅らせることが可能になり、150歳まで生きられるかもしれない。
・カロリー制限は延命効果が保証されている唯一の手段。
・ナノセンサーによって発症する何年も前からガンを見つけ出す
・さらにバイオテクノロジーにより、無傷のDNAを採取して絶滅した生物や、死んだ人間を蘇らせることもできる可能性があるという。
・ただ病気に関しては、2100年になっても最先端技術で治せない病気は必ず存在する。ウィルスは常に変異してしまうからだ。
・ナノテクノロジーではナノ粒子を血中に入れて直接がん細胞をやっつける医療革命がおきる
・昔は紙や電気、水などが貴重なものであったが、紙はゴミへ進化し、電気や水は公共サービスとなる。これからはチップがゴミになる時代がくる。
・仕事もロボットに代替されるものは生き残れない。単純な仲介業者、銀行窓口、経理担当などは仕事がなくなる可能性がある。
・これからは役に立つ見識を持つ人が勝つ。
・この本で取り上げているテクノロジーの革命はすべて、惑星文明の創造に向かっている。
・文明をタイプⅠの惑星規模、タイプⅡの恒星規模、タイプⅢの銀河規模に分けると、現在の文明はタイプ0.7
タイプⅠに到達するのに100年かかる。 -
Posted by ブクログ
火星に移住するとかワープを駆使して地球に似た星に移住する、なんてSFは巷にあふれかえっている。
宇宙に行くだけでも大変なのに違う星に住むなんて!
とは思うけれど、宇宙に住むためには今現在の科学で何が課題でそれに対してどのような解決策があるのか多角的に論じている。
例えば、地球に似た星に向けて(宇宙戦艦ヤマト的な?)宇宙船で出発するとすると、ワームホールみたいな仮想的なトンネルは置いておいて、宇宙船での生活はどのようになるのだろうか。食べ物はどうやって調達するのか。どうやって水や酸素を製造するのか。宇宙船の燃料は何か。などなど。これらの問題に対して現在のありえる解決策を理由とともに解説している。
本書を読むとかなり課題が多く、宇宙旅行は今世紀末、移住はあと1000年くらい先だろうか。 -
Posted by ブクログ
30年もの長い期間、情熱を失わず、「第二の不可能」だから可能性はあると信じ、これだけの成果を挙げたことに敬意を表したい。
遠征の成功は実施したタイミング、異なる専門性を持つメンバー、全員が自分の役割を最大限に発揮、など、多くの要素が正しい方向に働いた結果だと良くわかる。全ては著者が長い年月を捧げてきた情熱、それが関係者の心を動かして、著者に大きなご褒美をもたらしたのだと信じたい。事実、別のチームによる遠征は、同じ道案内を起用したものの、同じ結果は発見できなかったという。
それぞれのステージだけでも、特にカムチャッカへの遠征は、一冊の本になる内容。わかり易く説明されているものの、素人には直感的に理解できない部分も多い。理解度と興味に合わせて、強弱をつけながら読むことをお勧め。
18世紀後半に築かれた結晶学の土台は、次の3つの原理からなる。「鉱物など、あらゆる純物質は結晶を形成する」、「あらゆる結晶は、原子が周期的に並んだものである」、「原子のどの周期的な並び方も対称性によって分類でき、考えられる対称性の数は限られている」。例えば、正五角形は3つ目に当てはまらず、三角形、四角形のほかは六角形しかない。
著者は1985年にペンローズタイルという二次元のパターンから、異なるまとまりが異なる間隔で原子のまとまりが繰り返される「準結晶」という構造を発表した。急冷や、緩冷など特殊な環境で造られた合金に、準結晶のパターンが発見され、著者は自然界に存在する準結晶を、鉱物サンプルから探すことを始めたところから、カムチャッカ遠征までの長い研究が著されている。