斉藤隆央のレビュー一覧
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最近はスティーブン・バクスターを始めとする宇宙全体の歴史を網羅するハードSFを読む機会が多かったのですが、この本を読んでみてようやくバクスター他のSF作家が参照?している宇宙の始まりと終わりの論拠が分かりました!本書を読み終えるとオカルトや唐突なSFを想像させる邦訳のタイトル(原文でもDeath From The Skies!なので直訳に近いのですが)に違和感を覚えるように、隕石の衝突から太陽の爆発、エイリアン侵略の可能性までを豊富で最新の天文学知識を背景に分かり易く解説していて、いわゆる良質のサイエンス・ノンフィクションとなっています。さらに筆者の筆力があるのは、難解とも思えるこれらの事象を分かり易い(そして時に楽しく)文章で描かれていることです。そして圧巻は、最後の恐怖!?である宇宙の終末について、最新の現代天文学から導き出される衝撃的な結論を展開しているラストでしょうか。
本書の冒頭ではSFや映画でおなじみの隕石の衝突の可能性から、ガンマ線バーストといった初めて知るような事象も分かり易く解説しています。これらだけでも地球というのは本当に偶然と天文学的な運の良さ!に支えられてここまで生き延びてきたのだと、実感すると共に薄ら寒くも感じます。そして、最初の時間の試練である太陽の膨張と爆発です。筆者が強調しているようにこれは「もしも」のことではなく、必ず訪れる避けられない「いつか」の恐怖なのです。もちろん今を生きている我々人類には永遠にも等しい時空の果てともいえるタイムスケールの話なのですが、肝心なのは「永遠」ではなくいつかは太陽も消滅するという事実(といって良いでしょう)が未来に存在しているということです。その頃に人類が存在している(人類でなくても宇宙を知覚できる存在が居るかもわかりませんが)かどうかは、想像も難しい時間の果ての話なのですが、今の世の中が消滅するという事実ほど恐怖を感じることはありません。そして、本当の恐怖は宇宙の終末、すべての物質が冷えて粒子まで分解して、その粒子すら存在できなくなる無の時代が来る(と予想される)事実でしょうか。
この本を読むまでは、ビックバン理論に始まり宇宙は膨張し続けているものの、ダークマター(暗黒物質)の研究が進めば終末論は変わると勘違いしていたので、相当ショックを受けました。今後、研究が進んでこの結論が代わることを祈らずにはいられませんが、永遠ともいえる時間と時空の果てに、人類はおろか物質が存在できなくなる時が来るというのは何だか落ち着かない気分にさせます。
地球や太陽系、少し広げて銀河系などはいつの日か終わりが来ると納得がいっても、宇宙そのものが週末を迎えるという事実はなかなか衝撃的ではないでしょうか。これは勿論、絵空話ではなく今現在の最新の天文物理学から導き出される理論ともいえる予言なのです。とはいっても本書自体は軽快な筆者の明るいタッチもあり、最後は少し虚脱しますが、最後まで楽しく付き合うことができます。
この本を読むとスティーブン・バクスターのジーリークロニクルの結末でもある、別の宇宙へ脱出する「リング」の存在を信じ(または創造の可能性?)たくなります。この結論をアインシュタインなどが知ったらどう思うか、ちょっと興味があります。私のような凡人には衝撃的な本であった同時に、時空の定義や時間の操作など宇宙の終末を避けるための色んなアイデアが湧いてくることを期待しています。しかし、この本のタイトルと装丁はもう少し何とかならないですかね。。。 -
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ビームは男のロマンだ! そうだろう?(挨拶)
S(少し)F(不思議な)世界へようこそ。この本では、そんな少し不思議な現象をわりかし真面目に考察してくれます。ビームとかバリアーとか永久機関、レールガン等、現役で厨二病の人は言うに及ばず、日々に追われ今や童心を忘れ去ってしまった大きなお友達様にも、在りし日の厨二心を思い出させてくれること請け合いでございます。
さあ、もう一度あの頃のようにビームやバリアではしゃいでみま鮮花?
個人的にはカオヘやシュタゲ、マブラヴオルタで出てきたような単語や概念が沢山載っていて楽しかったです。反物質とかディラックとか磁場とか量子論とか、言葉を見ただけでwktkします。が、いかんせん内容が難しすぎる! こういうのは読んでいるだけで何だか頭良くなった気になって悦には入る、というのが正しい楽しみ方だとは思うのですが、それにしても!
興味のある章だけでも何度か読み返して、いつか他人に自慢げに話せるようになるのが生涯の目標です。 -
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地球崩壊の危機が迫り、人類は宇宙への長い旅路に出る。宇宙船に乗り、人々はテレバシーで交信したり好きな場所へ一瞬で移動する。宇宙人が襲来すると、真っ先に母艦の周囲にバリアを張ってレーザー攻撃を防御する。宇宙戦艦ヤマトやスタートレック、ガンダムに触発されて学者や技術者になってしまった人はどれだけいるだろう?サイエンス・フィクションを本当に「サイエンス」にしたいと真剣に考えているのは別に子供だけではないはずだ。
昔、よく友達と「もっと昔ともっと未来、どっちに生まれてみたい?」と話していたのだが、先端テクノロジー・SF好きの私は断然未来派だった。良いか悪いかは別にして、今時の子供が生まれた時からインターネットや携帯電話でいつでもどこでも連絡を取り、臓器移植で生後間もない赤ちゃんが助かったり、自分が子供の頃にはあり得なかったことが実現しているのを目の当たりにすると、「あぁ、もっと未来に生まれたかったなぁ」とため息をついてしまうことも。
この本にはSFによくでてくるネタについて実現可能なのか、物理学の専門家が真面目にかつ大胆に説明してくれる。著者は超ひも理論の権威であるが、小難しい議論や数式を一切排除し一般人に非常にわかりやすくユーモラスに、そして興味深い有名人の語録を交えて解説している。
著者はSFネタを3つの不可能(と今のところ言われている)レベルに分けている。レベル1と2はそれぞれ既に近いものが開発されていて実現できそうなものとかなり難しいが結果的に何世紀かかろうとも理論的には不可能ではないもの、3は理論的に絶対無理なものとなっている。
驚くべきことに、レベル1には「スターシップ」「念力」「テレポーテーション」「テレパシー」「地球外生命体・UFO」「不可視化」等多数リストされている。光学迷彩や透明マントになりそうな技術を研究している機関は既に多数ある。粒子レベルの物体を移動させるテレポーテーション実験は成功したそうだ。ちなみに今年はヨーロッパで最新の粒子加速器LHCが稼動して早速故障したところだが、おまけにブラックホールもできて地球消滅しないのかなぁ?と全く野次馬の私の心配も「余りにも小さすぎて一瞬にして消え去る」ということで一応大丈夫そうである。地球外生命体は探すのはとても難しいが(SETI@home でも苦戦中)でそれでも太陽系の外にある惑星は加速的に発見されているので期待できるとしている。
レベル2ではタイムマシンや光速以上での移動などが挙げられているが、それでも数千年以上かければ何とか先がみえてくるらしい。のび太の机の引き出しから乗り込むタイムマシンは非常に洗練された高度な技術なのだ。
レベル3には「永久機関」と「予知能力」の2つである。これらは物理学の基本法則を初めから覆すことになるのでレベル1や2のような現在の理論では解明できないとしている。解明できないだけで不可能だとは言ってないので、いつかアインシュタイン以上の科学者が現れることを期待する。彼も「一見ばかげていないアイデアには、見込みがない。」と述べている。
真の問題は以上のような夢の技術が実現されるまで、自分の人生があっという間に尽きてしまうということと、人類や地球自体のもつ時間にもきっと終わりがくるということだ。このような本を読んでいると戦争や不景気、地球温暖化などで苦しむ人類がなんともあわれで原始的で孤独な存在に思えてくる。いつの日か太陽エネルギーで動くスターシップを開発し、宇宙の旅に人類が旅立てるようになるだろうか。 -
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SFなどに出てくるテクノロジーは実現可能か、という疑問を最新の物理学の現状を解説しつつ答えてくれる。ミチオ・カクは1-2年に一冊ぐらいのペースでこの手の一般向け科学書を出してくれるが、本人が一線で活躍する物理学者であり、かつ、普通に読める内容に噛み砕いてくれる。ありがたいことだ。。。・ニコライ・カルダシェフによる文明の分類(今の地球はタイプ0)タイプI;惑星に降り注ぐすべての太陽光線を利用してエネルギーを取り込むタイプII;太陽の全エネルギーを利用できる。スタートレックの惑星連邦タイプIII;銀河全体のエネルギーを利用できる。スタートレックのボーグ、スターウォーズの帝国。・宇宙エレベーター;地球から高度160kmまで到達できれば、太陽系のどこへ行くにも半分はすぎたようなものなんだとか。地球の重力圏を振り切るのにものすごくコストがかかるため・ファインマンはかつて、反物質は時間を遡っている通常の物質に過ぎないと考えていた。宇宙はたった一つの電子から成り立っており、それが時間を行ったり来たりして物質を形成しているのかもしれない、という解釈もある--1 不可能レベル1(フォース・フィールド;不可視化;フェイザーとデス・スター;テレポーテーション;テレパシー;念力;ロボット;地球外生命とUFO;スターシップ;反物質と反宇宙)2 不可能レベル2(光より速く;タイムトラベル;並行宇宙)3 不可能レベル3(永久機関;予知能力)
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生命の誕生時から現在にいたる「生命史」をエネルギーの観点から説明した本。
よく詩的な表現で「生命の灯を渡す」みたいなことを言うが、まさにそれで、ある観点からすると、生命史とは、原始の生命誕生時に発生したエネルギーを化学反応で連鎖させて再生産し続けた歴史とも言えるのだと理解できた。
この「生命の灯」の正体(レドックス反応からATP生成に至る過程)や、その「渡し方」、つまり原核生物と真核生物の分岐(ミトコンドリア革命)を含めた生命の進化について、ドキュメンタリーみたいな筆致で描かれていた。ただ、化学や生物のリテラシーが乏しい私からすると、生成AIに聞きまくって、やっと概要を掴めた程度だったので(それはそれで楽しかったが。。)、「謎に迫る!」みたいな書き方ではなく、もう少し教科書的に説明してくれたら有りがたかった。もっとも、それは私の知識不足のせいであり、もっとこの分野に詳しい人を読者と想定すると、最も面白く内容を伝えられるのが、このドキュメンタリー調の書き方だと思う。
生命に関して新たな視点をもたらしてくれる、そんな本だった。 -
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量子超越とは、量子原理を活用するコンピュータが、現行のデジタル式コンピュータではほぼ不可能(天文学的時間がかかるなど)な課題を解消できる能力を持つことを指す。デジタル式では2値(0か1)しか取り扱えない制約が足かせになるが、量子コンピュータではあらゆる値を取りうる不確定な特徴が強味になる。その原理を解説する内容を期待すると裏切られる。本書の主眼は、量子コンピュータがデジタルコンピュータの制約を解き放ち、これまで諦めていた、どんな問題が解決できるかを列挙している。生命発生の謎、光合成の仕組み、食糧問題、難病と創薬、老化、温暖化、宇宙など幅広い領域で、画期的な活躍が期待される。問題は、生きている間に、こうした成果がみられるのか、その難しさは半端でない。
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量子コンピュータは現在のスーパーコンピュータに比較できないほどの速さを持つ量子が半導体とは違い0/1以外の無数の状態を取れるため無限の計算速度を理論上持つ。その機能を利用して、組み合わせが現在のコンピューティングの計算能力では爆発するとみられるDNA/たんぱく質、気候、宇宙、をAIを使って読み解くことができるようになる。一方技術的には原子の振動をそろえなければならず、現在は絶対零度に近いところまで下げて安定性を高めるのがポイントとなり難しい。超電導-極低温、イオントラップー磁場で揃える、光量子、シリコンフォトニクス、トポロジカル、量子アニーリングといろいろあり、デファクトと呼べるものはない。
そのほかのところは何が計算能力の高いコンピューティングで必要なのかという話で量子コンピュータ自体の話は薄い。