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高い評価を得た『ミトコンドリアが進化を決めた』の著者が、当時の理論を直近十年余の研究に基づいてバージョンアップし、進化史の新たな切り口を問う一冊。絶え間なく流動する生体エネルギーが、40億年の進化の成り行きにさまざまな「制約」を課してきたと著者は言う。その制約こそが、原初の生命からあなたに至るまでのすべての生物を彫琢してきたのだ、と。「化学浸透共役」というエネルギー形態のシンプルかつ変幻自在な特性に注目し、生命の起源のシナリオを説得的に描きだす第3章、「1遺伝子あたりの利用可能なエネルギー」を手がかりに真核生物と原核生物の間の大きなギャップを説明する第5章など、目の覚めるようなアイデアを次々に提示。起源/複雑化/性/死といった難題を統一的に解釈する。本文より──『生命とは何か(What is Life?)』でシュレーディンガーは……完全に間違った疑問を発していた。エネルギーを加えると、疑問ははるかに明白なものとなる。「生とは何か(What is Living?)」だ。──最前線の研究者の感じているスリルと興奮を体感できる、圧倒的な読み応えの科学書。
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Posted by ブクログ
私の生物学の基礎知識が乏しく、返り討ちにあったような読後感。だが、生命の誕生についてよくある「原始の海の有機分子が濃縮されたスープに何らかの化学反応が起きて生命が誕生した」といった説を否定し、アルカリ熱水噴出孔において無機鉱物を介したプロトン勾配が有機分子の発生を促したという説は、条件が揃えば生命が発生するのは必然であるかもしれないことを素人にも分かりやすく伝えてくれる。
またミトコンドリアは真核生物の単一の起源であることなども、驚かされる。私もそばの木にもミトコンドリアを持ち、その共通の起源は40億年前にアルカリ熱水噴出孔でもぞもぞ動いていた生物にまで遡れるとは。生命の不思議さについて改めて考えさせられる。
Posted by ブクログ
エキサイティングで一気に読ませる。生物をエネルギーの観点から論じ、その起源と進化について述べられている。生命が利用するエネルギーは酸化還元反応による電子の流れ、それを利用したプロトンの汲み出し、その結果生じるプロトン勾配を利用した水車的なナノマシンによるATP産生による。そこから最初に生命が生まれたのはアルカリ熱水噴出孔と推測する。そこにはプロトン勾配、細いスポンジ状の道、H2、CO2がある。また、真核生物の進化については、古細菌を宿主として細菌が内部共生しミトコンドリアが生まれ、そこから生み出される多量のエネルギーで複雑性を獲得できた、とする。その結果、性別が生まれ、種が拡散し、老化が生まれた。一部真実か疑問な点があるものの、全体のストーリーには整合性があり納得させる内容であった。おすすめの本である。
Posted by ブクログ
生命の誕生時から現在にいたる「生命史」をエネルギーの観点から説明した本。
よく詩的な表現で「生命の灯を渡す」みたいなことを言うが、まさにそれで、ある観点からすると、生命史とは、原始の生命誕生時に発生したエネルギーを化学反応で連鎖させて再生産し続けた歴史とも言えるのだと理解できた。
この「生命の灯」の正体(レドックス反応からATP生成に至る過程)や、その「渡し方」、つまり原核生物と真核生物の分岐(ミトコンドリア革命)を含めた生命の進化について、ドキュメンタリーみたいな筆致で描かれていた。ただ、化学や生物のリテラシーが乏しい私からすると、生成AIに聞きまくって、やっと概要を掴めた程度だったので(それはそれで楽しかったが。。)、「謎に迫る!」みたいな書き方ではなく、もう少し教科書的に説明してくれたら有りがたかった。もっとも、それは私の知識不足のせいであり、もっとこの分野に詳しい人を読者と想定すると、最も面白く内容を伝えられるのが、このドキュメンタリー調の書き方だと思う。
生命に関して新たな視点をもたらしてくれる、そんな本だった。
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