斉藤隆央のレビュー一覧
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エイリアンを探すことは、人類や地球環境について多くを学ぶことに直結することを教えてくれる本です。ただ人類がSETIなどで認識できる知的生命体が、人類と同様の環境で生まれ、類似の知性をもつという前提が、このような試みの限界なのかなとも感じました。たとえばスタニスワフ・レムのソラリスや、ロバート・チャールズ・ウィルスンの時間封鎖などに出てくる生命体?などは、人類にはやはり検出も理解もできないのではないかと思います。おそらくはこの著書に登場する科学者たちも、そのような限界は理解していることでしょうし、その上で様々な考察をして、できることを考えているのではとも思われました。
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ネタバレ第一の不可能とは、1+1=3のようもの。それに対して、まるで見込みがないが、実現する妥当な手段がどうにかして見つかれば、探求する価値が確実にあるようなものを「第二の不可能」とし、その中で結晶でも、アモルファスでもない、準結晶という固体の物質の形状を提唱・発見したのが著者です。
理論物理学から、結晶学から多岐に渡る研究で、重要な科学的な発見をしてから、さらに追い求める姿や、それらの過程、また、研究者同士のつながりなど、波瀾万丈です。
今や伝記として読むようなファインマンから教えを乞っていたエピソードも本書の魅力を掻き立てます。
研究姿勢で重要だったのは、自分たちを「青チーム」とし、一流の科学 -
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こういう本は大好きである.
ちなみに10種とはイヌ,コムギ,ウシ,トウモロコシ,ジャガイモ,ニワトリ,イネ,ウマ,リンゴ,ヒト,である.ヒトとその他の動植物との長年の相互依存関係を展開してたどり着いた,遺伝子組み替え(GM)食品に関する著者の考えには,同意できないところもあるのだが,近年のすさまじい遺伝子解読の成果も踏まえて論じられる,10種の動植物の家畜化,農作物化の歴史はとても興味深い.また,最終章のタイトルは「ヒト」である.我々も気候の変化,および,他の動植物の家畜化・栽培化によって,文明を発達させることができたのみならず,その性質までも変化させてきた.
どこに書かれていたかもう忘れて -
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脳神経科医のオリヴァー・サックスが幼少期に夢中になったのは化学だった。医者の両親と電球を開発していたおじたち、植物に造詣の深いおばや年の離れた兄たちに見守られながら、化学の化学の実験に明け暮れ、先人たちの発見に心躍らせた少年時代を振り返る、ジュブナイル小説のような回想エッセイ。
サックスの家はユダヤ教徒で、子どもの教育に熱心だった母方の祖父とその子どもたちは化学に親しんで育った。用途の違うランプの特許をとった祖父を受け継ぎ、おじさんたちは〈タングスタライト〉という会社を経営していた。このうちの一人、デイヴおじさんがフィラメントに使われる金属・タングステンにぞっこんで、〈タングステンおじさん -
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SFに登場するような話を、物理学の観点から考察して、その実現の可能性を解説する本。
有史以来、宇宙を含む自然界の現象をさまざまな研究者が研究して、その中にある理論を見出し、証明して体系化してきたことを背景に置きながら、SFに登場する装置や現象が実際に実現されるには何が課題か、何が整うと実現に至れるか、などを解説してくれています。
まだまだこれからも続く科学の進歩が、SFの世界にあらわれるものを現実にする可能性はこれからもありそうだな、と感じさせる、フィクションとノンフィクションの間のようなお話です。
1000年後、1万年後、1億年後にこの本を読む人がもし居たら、その時点で何を感じるんだろ -
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宇宙にロマンを感じるのは昔の話です。宇宙を知れば知るほど危険な世界であることが判る。
小惑星や彗星の衝突は、映画にも描かれていて誰もが予測しうる事態ですが、その他にも太陽フレア、超新星の影響、ガンマ線バースト、ブラックホール等この本で紹介しているだけでも9つの要因が紹介されています。これらの危険に現時点で対処できるのは、最初に挙げた2つの要因くらいですが、発生確率はかなり低く、日常生活で心配するほどの事では無いようです。(但し、その事態になったら小さな事象以外はほとんどアウトですが)
この本を読んでみて、ローランド・エメリッヒの映画を思い出しました。最初の方で散々危機感を煽っておいて、実はそん -
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"学ぶことの喜びがじわじわと伝わってくる。脳神経外科である著者の子供時代、戦争の惨禍を経験しつつ、科学の世界に足を踏み入れる。彼の周りには歩く百科事典のような人たちにあふれており、恵まれた環境にあったことは確かだが、それでも、あくなき好奇心を持って学ぶ喜びを育んだのは彼天性のものであろう。
オリヴァー・サックスさんの本をすべて読むことにした。
映画にもなった、レナードの朝という著書もある。あとがきで知ったが、すでにお亡くなりになっていた。残念でならない。
本書には注釈が各パートの後ろについている。こちらも読み逃しないように。
こちらもとても興味深い逸話が多々登場する。
子供のころ夢中 -
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一見、タイトルは怪しげだけど、超ひも理論の研究者による最新の理論と天体観測結果等を突き合わせつつ、多角的に論じられるパラレルワールド論。これを読むと、「パラレルワールドはあるかもしれない」から「それを考えないと世界は説明できない」に変る。
世界の見方は相当に変化する。だが、その変化の果てにある「人生観」は、「人生には目的があると思う。その目的は結局のところわれわれが人生に与えた目的であって、なんらかの宇宙の設計から導かれた目的ではないだろう」というアラン・グースの言葉にあるとおり、特に驚くものではない。
人間の知識は加速度的に増加するけど、その「知恵」は、ブッダや老子、あるいはギリシャ -
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エキサイティングで一気に読ませる。生物をエネルギーの観点から論じ、その起源と進化について述べられている。生命が利用するエネルギーは酸化還元反応による電子の流れ、それを利用したプロトンの汲み出し、その結果生じるプロトン勾配を利用した水車的なナノマシンによるATP産生による。そこから最初に生命が生まれたのはアルカリ熱水噴出孔と推測する。そこにはプロトン勾配、細いスポンジ状の道、H2、CO2がある。また、真核生物の進化については、古細菌を宿主として細菌が内部共生しミトコンドリアが生まれ、そこから生み出される多量のエネルギーで複雑性を獲得できた、とする。その結果、性別が生まれ、種が拡散し、老化が生まれ
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ネタバレすごーく単純な細菌と、すごーく複雑な真核生物の間がいないのは何故か?…細胞内共有説ってちょっとエグい。
生命誕生の環境を天然のプロトン勾配=具体的にアルカリ熱水孔に絞り込んでいく過程は画期的なんだろうけど、イマイチ興味外( ̄▽ ̄)むしろ、内部共生体にバラまかれたパラサイトをイントロンとしてスプライシングするのはいいけど、スプライソソームがトロいんでリボソームの邪魔する為に核膜ができた…の方がずっと面白い。何じゃそりゃ。
ブロンズ・コントロールのくだりは微笑ましいが、巻末の原注なので、読み飛ばされちゃうかも。元国防大臣が科学者を上院へお茶に誘うなんて、日本じゃ考えられない〜 -
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ミチオ・カク氏が描く世界はSFそのものだ。だがその世界がすぐそこまで来ていることを実感させられワクワクさせられる。最新テクノロジーや最先端研究はここまで実現できているのかと一々驚愕させられる。テレパシーやリバース・エンジニアリング、果てはワームホールまで、なんと夢のような世界だろう。そしてそれらの難解怪奇な技術を、ミチオ氏は極めて解りやすく躍動感溢れ且つ理論を疎かにすることなく語り尽くしている。
最先端科学やアイザック・アシモフに代表されるSF、レイ・カーツワイル氏の『The Singularity is near』が好きな方にはぜひおすすめしたい。少しでも長生きしてミチオ氏が示す未来をみて