あらすじ
M理論による究極の宇宙論的予言
この宇宙が死滅するとき、われわれはワープマシンや超空間を通って無数に存在する並行宇宙へと脱出できるのだろうか? 最新の理論と観測データによって宇宙の進化を鮮やかに描き出す、BBCノンフィクション賞受賞作。理論物理学の第一人者による、平易でスリリングな最新宇宙論の決定版!
[内容]
第I部 宇宙
第一章 宇宙が赤ん坊だったころ
第二章 パラドックスに満ちた宇宙
第三章 ビッグバン
第四章 インフレーションと並行宇宙
第II部 マルチバース
第五章 次元の入口とタイムトラベル
第六章 量子論的な並行宇宙
第七章 M理論──すべてのひもの母
第八章 設計された宇宙?
第九章 十一次元のエコーを探す
第III部 超空間への脱出
第十章 すべての終わり
第十一章 宇宙からの脱出
第十二章 マルチバースを超えて
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
M理論。今行われている気がする。変われるのは一度きり。
泡を。太陽の光を浴びるのだ。精一杯するのだ。
考える暇もなく。一切持たなくていいアレについて。
時間旅行はもうすぐ。迷わないことについて。
沢山の透明な水彩の。
Posted by ブクログ
一見、タイトルは怪しげだけど、超ひも理論の研究者による最新の理論と天体観測結果等を突き合わせつつ、多角的に論じられるパラレルワールド論。これを読むと、「パラレルワールドはあるかもしれない」から「それを考えないと世界は説明できない」に変る。
世界の見方は相当に変化する。だが、その変化の果てにある「人生観」は、「人生には目的があると思う。その目的は結局のところわれわれが人生に与えた目的であって、なんらかの宇宙の設計から導かれた目的ではないだろう」というアラン・グースの言葉にあるとおり、特に驚くものではない。
人間の知識は加速度的に増加するけど、その「知恵」は、ブッダや老子、あるいはギリシャの哲人たちから大きく変わるものではないのだ。
現実世界につかれたとき、「これは多くのパラレルワールドの一つなんだ」とか、「世界はランダムに生起しつづけているのだ、この世界はその一つに過ぎない」とか、「宇宙はビッグフリーズに向かっているのだ。私たちが生きているのは、宇宙の長い歴史のなかの一瞬、宇宙の極めて恵まれた一地点に過ぎない」とか、考える事によって、強烈に現実逃避が可能となる。そして、「まあいいか、この貴重な奇跡的なこの時間を大切にしよう」とポジティブに変化することができれば、なお良い。
個人的には、そういう現実逃避と現実回帰に「役立つ」本である。
Posted by ブクログ
量子論から宇宙論、はてはパラレルワールドまで、幅広く扱った本。
とはいえ、天文学の変遷や、物理学の発展を歴史的経緯を踏まえて追って行き、その上で(発行当時の)最新の科学を解説しているため、理解しやすい。また語り口も軽妙で、SF小説や映画などを例として交えることで、この手の本にしては非常に分かり易く書かれているのが好印象。
著者がひも理論の権威だけあり、確かな知識に裏打ちされた内容は圧巻。本の厚さ以上に、ボリュームを感じた一冊。
Posted by ブクログ
肩書きで人を判断するなと言うが、著者が超一流の理論物理学者でなければSFにもできないような骨董無形とも言える内容。サイモン・シン著『宇宙創成』が比較的評価の固まっているビックバンの話題を中心に書かれているのに対し、同著ではビックバン以前から宇宙の終焉、さらに人類の多元宇宙への脱出の可能性についてまで最新研究成果を踏まえ縦横に述べられている。残念ながら著者が専門の『ひも理論・M理論』については理解できなかったが、最新宇宙物理学の現状を心行くまで堪能できた。
Posted by ブクログ
宇宙物理学は物凄く進展しているんですね。相対性理論・量子論から始まり最新の宇宙論…ビッグバン・インフレーション〜ビッグクランチ(宇宙の終焉)までぎっしりとあり、タイムトラベルに関しても科学的に検証されていて宇宙論素人の私にもとてもわかりやすかった。M理論・ひも理論によると十一次元宇宙の可能性があるそうだが、三次元対応の脳味噌なので想像ができない。特に興味深かったのが、地球は太陽から”ちょうどよく”離れていること。遠くても近くても人類は住めない世界になってしまう。月も同じく。宇宙の偶然、とても興味が湧いた。
Posted by ブクログ
世界の見方が変わった。タイムマシン・並行世界といったSF概念を科学者の目線で記された本書は、難解であるが興味深い。宇宙について語られる多種多様な説はまさに宇宙の持つ無限の可能性と謎を示している。すべてを理解しようとしないで好きなところを抽出する読み方をお勧めする。
Posted by ブクログ
宇宙論、理論物理学を一般人にやさしく、いろんな映画や小説を例に出しながら説明している。宇宙は我々の住んでいる宇宙だけでなく、他にもいろんな宇宙があって、シャボン玉ができては消え出来ては消えるように、ビッグバンから宇宙の終りまでそれぞれ独立したタイミングで存在しているというマルチバースの理論は本当に興味深い。宇宙の終りが来る前に、次元を越えて別の宇宙、すなわちパラレルワールドに逃げようという発想も、どこまで突飛で理論的根拠に基づいたものなのかは我々一般人にはわからないが、すごく面白いし、そんなことが可能であって欲しいと思う。現代はタイプI文明(惑星レベルの国家になる)に達する過渡期にあり、何千年、何万年か後には銀河レベルの連邦政府のような文明を築く段階に(運が良ければ)なるらしいが、もはやSF映画の世界…!
Posted by ブクログ
現代宇宙論について一般人にも理解しやすく書かれています。
こうして、自分が存在している世界の構造を考えるとワクワクしますね。
自分が生きている間に宇宙の成り立ちが解明されるといいな・・・
Posted by ブクログ
ボクたちが生きるこの宇宙。
いつか冷えきっちゃうから、人類は繁栄しつづけられないんだって。
もし、ユニバース(たった一つの宇宙)でなく、
マルチバースだとしたら、終わりの時を迎えた人類はほかの宇宙に逃げればいい。
そんなSFみたいな話を、宇宙論の変遷に沿って教えてくれているよ。
でも、ボク、100歳までしか生きないから、よく分からないや。
Posted by ブクログ
時間・時空とか科学とか最新技術とか、その手の言葉に弱い自分にとってものすごくテンションのあがる一冊。
こういう書籍を読むと、科学とオカルトとファンタジーと哲学の間に明確な垣根は存在しないのではないかとつくづく思う。(誤解の無いように記述しますが、この本自体は様々な研究や論文を用いて、次元や空間について書かれた本ですよ)
Posted by ブクログ
自然科学の教養書としては素晴らしい本だと思う。
この1冊で最新の宇宙論について詳しく知ることができる。
難しい数式は出てこないので、文系でも抵抗なく読めるはず。
Posted by ブクログ
“passing through”でインフレーション宇宙論など、非常に参考にさせて頂きました。今後もオリジナルに限らず、SaGaFrontierとかでも思いっ切りネタにするカモだ。
Posted by ブクログ
この本にあるアインシュタインが残した「宗教のない科学は片手を失うようなものだが、科学のない宗教は目を失うに等しい」という言葉が卒論のテーマのインスピレーションになった。宇宙論を突き詰めると、人間の役回りについて考えることになるんだね。遠い未来訪れるであろうビッグフリーズ、もしかしたら全く違う物理法則が働く別の宇宙、全てがわかるのはきっと何千年も何万年も先だろうけど、変革期の今生まれたことを喜ぶ筆者の姿がとても格好良かった。
Posted by ブクログ
最後のほうでなぜか人生論的なものが書かれていた。それはまぁ余計。
それ以外は、幅広いところまで網羅されていてとても楽しめる作品であった。、、ノンフィクションだけど。
値段(2500円)と、厨房の僕にはすこーし高かったが、値段相応か、それ以上に満足できる情報は確かに入っていた。
Posted by ブクログ
多数の宇宙が果てしなく別の宇宙を芽吹く「マルチバース」この考えが正しければ、創世と涅槃という宗教の二大概念がひとつにまとまる。マルチバースでは永遠の涅槃の中で幾度となく創世が繰り返されるからである。ユニバースvs曼荼羅
Posted by ブクログ
超ヒモ理論、多宇宙理論、さらにはホログラム宇宙論など物理学脳諸説を分かりやすく説明している。
飽きさせない本。
現代物理学を考えれば考えるほど、それは哲学になっていく。
Posted by ブクログ
物理学の最先端の理論を、数式を一切用いずに解説するのは、その分野の専門家であればあるほど困難なのだろうと想像されるが、素人もその解説になんとかついていけるのは、まさに筆者の説明力の高さのおかげであろう(もちろん、訳者の力に負うところ大なのは言うまでもない)。
Posted by ブクログ
我々は3次元(時間を入れれば4次元)に生きていれが、理論上ては11次元まで可能らしい。そこから派生させると霊の世界などは違う次元と理解できる。実に興味深い
Posted by ブクログ
すごい情報量、すごい想像力に圧倒され、物理をちゃんと勉強しながら読みました。これを理解するためには素粒子論が必要で、それを理解するには相対性理論が必要で、それを理解するにはニュートン力学が必要で…と、結局体系的に物理と数学の知識を持っていないと理解できないこの本の性質を尊重するために、読み終わるまでに2ヶ月近くかかりました。それでもM理論のところはほとんど理解できませんでした。
こんなに骨太な読書をしたのは久しぶり。知識一辺倒になるわけではなく、最新科学を論拠にしつつ夢を語ってくれる最終章はよく出来たSF小説みたいでした。フィクションじゃないと思わせてくれるところがこの本の醍醐味です。
まあ難しかった、難しかった。疲れたので科学系は一旦休憩します。
Posted by ブクログ
最新の物理学的な宇宙論とそれに伴うタイムマシン・平行世界の可能性等。文系の人でも読めるよう、難しい数式等は省いてある。宇宙の成り立ちについて考えてみたい人、小さな悩みでくよくよしてる人、シュタインズゲートをプレイしてもっとタイムマシンについての理論に触れてみたいと思った人におすすめ。
Posted by ブクログ
またまた、宇宙論のテーマでハンパなく面白い本が見つかった。
この本は三部構成になっていて、第一部は、現代までに発展してきた宇宙論のあらすじのまとめになっている。第二部がメインのテーマである、最新の宇宙理論としての、11次元論や、M理論についての解説。そして、第三部は、いつか消滅する運命にあるこの宇宙から、人類は果たして脱出することは可能かということについて検証をしている。
宇宙論の様々な仮説は、いずれもまだ推測の域を出ない空想的なものかと思っていたのだけれど、宇宙の始まりがビッグバンであったという「ビッグバン理論」というのは、今では多くのデータによって裏付けられた、かなり確かな根拠のある理論であるらしい。
堅苦しい理論や数式が並べられた本ではなく、宇宙論の面白さや、それに関わる人たちのエピソードがメインになっているので、とても読みやすい。本人自身がとても優れた学者であると同時に、これだけ説明が上手いという人はめったにいないんじゃないかと思う。
「叡智の海」が、著者の考える大胆な仮説を含んで、独創的な世界観を組みあげていたのに対し、この「パラレルワールド」は、純粋に一科学者としての視点から、現在までにわかっていることをとても客観的に解説している。
この著者は、たとえ話しにしても、身近な映画やSF小説の物語を引き合いに出してわかりやすく話しをすることが多く、難しい話しを面白おかしく語ることが本当に上手だ。ノンフィクションであるにもかかわらず、とても良く出来たフィクションの物語を読んでいるような感じだった。
ここで私が言いたいのは、ビッグバン理論は憶測ではなく、複数の出所による何百ものデータにもとづいているということだ。それらのデータはどれも、自己矛盾のない一個の理論を裏づけている。科学では、どの理論も平等にできているわけではない。だれでも自由に自分なりの宇宙創成の理論を打ち出せるが、これまで集めたビッグバン理論と合致する何百ものデータを、それで説明できなければならないのだ。(p.62)
量子テレポーテーションの研究は急速に進歩している。2003年には、スイスのジュネーブ大学の科学者が、光ファイバーケーブルを使って、光子を2キロメートル離れた場所にテレポートさせるのに成功した。この実験にかかわったニコラス・ギシンは言っている。「分子のようにもう少し大きな物体も、私が生きているうちにテレポートできるようになるかもしれないが、本当の意味で大きな物体は、予測可能なテクノロジーではテレポートできないだろう」(p.215)
M理論の登場により、現代物理学が直面している最大の問題−一般相対性理論と量子論のあいだの溝を埋めるという問題−に立ち向かうことを余儀なくされているのだ。このふたつの理論に、なんと宇宙の基本的なレベルの物理的知識がすべて詰まっている。現時点では、M理論だけが、宇宙にかんするこの一見矛盾したふたつの理論をまとめて「万物理論」にする力を秘めている。(p.223)
先進文明の人々は、みずからの肉体的存在を、時間をさかのぼったり別の宇宙へ脱出したりする困難な旅を生き抜ける存在に変える決断を下し、炭素をシリコンに置き換え、意識を純粋な情報に還元するだろう。結局のところ、われわれの炭素ベースの体は脆すぎて、これほどのスケールの旅がもたらす物理的負荷に耐えられないのだ。(p.402)
現代生きている世代は、これまで地球上で暮らしてきた人類のなかで最も重要な世代なのではなかろうか。今までの世代と違ってわれわれは、自分たちの種の運命をみずから握っている。タイプI文明の実現へ向けて高く舞い上がるのか、それとも、混沌と汚染と戦争の淵に沈むのか。われわれの決断が、今世紀全体に影響を与えるだろう。(p.428)
Posted by ブクログ
正直このミチオ・カクさんは物理学徒向けの教科書より一般大衆向けの啓蒙本を書く文才の方があるような気がする。普通に面白かった。難しい数学に覆われたこの理論の中にはこんなロマンが溢れてるのかぁ〜と(笑。
Posted by ブクログ
相対性理論から量子論、超ひも理論、そしてM理論まで、素人にもわかりやすく宇宙の仕組みを教えてくれる読みやすい本。科学はSFよりもおもしろい。。
Posted by ブクログ
ひも理論を中心とした科学的読み物。
でもこの本はそこでは終わらない。この宇宙が無くなる時に我々人類の末裔たちがもっと安定した宇宙にお引っ越しができるか!?!?というちょっと今の段階ではトンデモ科学になってしまいそうなところまで踏み込んでいる。
現代の宇宙論を知りたい人はもちろん、SF世界の現実化について興味のある方は面白いと思います。