斉藤隆央のレビュー一覧
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人類が地球を飛び出し、宇宙への進出について、月、火星などの地球近傍の天体、木星などの太陽系辺縁惑星、近隣恒星系、銀河系と次第にスケールを拡大し、それぞれのステップで必要となる技術的な要素を現在の科学技術から外挿して俯瞰する1冊。
宇宙への移動手段としてのロケット技術だけではなく、恒常的な入植に必要となる進出先での資源確保、生活拠点の建設、さらには月、火星などのテラフォーミング(地球環境への改変)などに必要とされる技術要素が述べられています。地球か羅全ての物資を届けるのは非常にコストがかかるため、いかに現地調達するかがキーになります。現地で自分自身を複製できる”自己複製化”できるロボットという -
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私の生物学の基礎知識が乏しく、返り討ちにあったような読後感。だが、生命の誕生についてよくある「原始の海の有機分子が濃縮されたスープに何らかの化学反応が起きて生命が誕生した」といった説を否定し、アルカリ熱水噴出孔において無機鉱物を介したプロトン勾配が有機分子の発生を促したという説は、条件が揃えば生命が発生するのは必然であるかもしれないことを素人にも分かりやすく伝えてくれる。
またミトコンドリアは真核生物の単一の起源であることなども、驚かされる。私もそばの木にもミトコンドリアを持ち、その共通の起源は40億年前にアルカリ熱水噴出孔でもぞもぞ動いていた生物にまで遡れるとは。生命の不思議さについて改めて -
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ネタバレSF好きな人には最高の一冊で、とにかく楽しかった!
・マルチバース
・宇宙は10または11次元
・ワームホール
・ホログラフィック宇宙
・ランドスケープ問題
・人間原理
などなど。SF小説でよく出てくる要素がてんこもり。物理学者たちがどのような理論/方程式から上記を現時点では否定できないあり得る現実として導き出したのかが分かる。
前々からミチオ・カクの名前は知っていたけど、私にとっては初めての一冊。一般人向けに物理学の不思議さを面白く解説してくれている点にとにかく感動した。ぜひ他の本も読みたくなった。
今回の内容を大雑把にまとめると・・
【前半】古典力学と量子力学の歴史を丁寧なのに数式を -
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重力と量子論を統一できる可能性のある超ひも理論の、意味や価値、批判や理念、そして哲学との関わりまで、わかりやすく丁寧に、誤魔化されている感じを与えられず、誠実に書かれている。
本当のところを、数式を追って学ぶには、きっと膨大な時間がかかるだろう内容を、この短さにまとめて伝えることのできる筆者の優秀さに驚かされる。
下手な小説より、ずっと刺激的で感動的。
「生の意味は、苦労して理解すべきものだ。ただ与えてもらうのでは、意味をつかむ趣旨そのものにそぐわない。生の意味が難なく手に入るとしたら、本来の意味が失われてしまうだろう。意味をもつものはどれも、苦労と犠牲の結果得られるものであり、勝ち取るに値 -
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面白い。「生きている」という自明のように思える現象を歴史的な考え方から最新の議論までを含むさまざまな角度から描き出していく。その結果は・・・?
読めば読むほどにこの本を読んでいる自分が生きているとはどういうことなのか不思議になってくる。
一方で生命の素は意外とシンプルな材料と環境と時間があればできるのかもしれないとするとこの宇宙には数え切れないほどの「生きている」何かが発生していておかしくはないのだろうとも思える。(それはこの本の主題とは関係ないが)
幅広い調査とそれを無味乾燥にならず、かつ科学史の人間ドラマにもとどまらない形でこのような読ませる構成でまとめ上げる著者の力がすごい。 -
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ネタバレ【読みはじめた理由】
「優生思想は危険」という思想が今の社会の道理的に合っている、と思ってなんとなく反対していたが、その根拠をうまく説明できなかったため。
また、社会的に弱い立場にある人は行政や周りの手助けによって守られるべきという道徳的観点は持ち合わせているものの、「産まれてきた子どもが苦労しないように、できるだけ良い遺伝子を持つパートナーとの子どもが欲しい」という漠然とした願望があり、これはある種の優生思想であり、思想の矛盾ではないか?と悩んでいたため。
【読んでみて思ったこと】
優生学というのは正しく使えば人々の苦しみを取り除ける学問だと感じた。ただし、あくまでそれは学問としてであって -
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将来、AIが個人の最適な職業を提案することが可能になったとして、それはどの段階で可能となるだろうか?
成人してから?赤ん坊の頃?それとも受精卵すら発生する前の両親の遺伝子を判定して?
原題は「Nature Via Nurture:Genes,Experience and What Makes Us Human」であり、若干の意訳がすぎるところがあるが、いつの時代でも両親の心配事となる「生まれか育ちか」論争に答えを出す一冊だ。
今の時代、親でなくとも子育てには環境と遺伝子の両方が影響していることに疑いを持つ人は少ないだろう。
特別な英才教育の環境を用意されたとしても、真剣に取り組む子もいれば、