中西輝政のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
冷戦後から2020年に至るまでの特に日米中ロの情勢の推移がわかる。
【概要】
●2010年代の日米関係、日中関係
●日本の衰退、平成の「失われた30年」
●2020年代の世界秩序
●新しい現実主義
【感想】
●冷戦後の世界秩序についてまとめられている。著者が持つ日本の危機感がよくわかる。
●著者の前著から引用部分のみが書かれているなら読みやすいが、所々に書名で書かれている点が読みづらく残念である。
●書かれている危機を脱しなければならないのはよく理解できる。そのためには若い人たちに教育しなければならず、その機会を設ける必要があると感じた。既に歳を取って自分の考え方が確立した政治家や官僚に言 -
Posted by ブクログ
2023年の今読むには少し遅いかなと思ったが、遡って答え合わせもできるので、正しかった主張の根拠を確認できるという二度美味しい読書。時代に流されぬ不変的な教養も学べる。
本著の主題は、アメリカが相対的に弱体化しているという事。そもそも核を持つ国に軍事行動は取れないし、長距離砲による米軍への被害なども想定すれば、北朝鮮に対する強硬策は無い。ローマ帝国の衰亡要因の有力な説は、世界各地の辺境戦争に繰り返し介入したからというもの。アメリカも同様な状況にあり、手の引き方も難しい。そうこうしていると、中国によるパクスシニカが進む。
アメリカの建国の振り返りと歴代為政者によるキリスト教の関係性が特に興味 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中西輝政氏によるまさに考え方の羅針盤となる良著
基準を作る。明確化を進める。
メモ
・自分をまず知ること。そのために鏡となる敵を知ること。
・必ず言葉にしてみること。なんとなくではなく、表したい言葉を探す。自らのオリジナリティは考えを言葉にすることでしか、だすことはできない。
・仮説を立てる。基準をたてることで他の考え方が明瞭に見えてくる。言い切りで仮説をたてる。そうすることで情報に対する感度が高くなる。
・最初に得た直感を思い出す。
・難しいものを優しい言葉で表現、言語化してみる。真の理解につながる。
・三つのセオリーを当てはめてみる
作用反作用、慣性、鹿威し。
・問題を三つの要素に -
Posted by ブクログ
2014年の夏休み図書として購入。
以前より国際関係分野で著名な中西氏の視点での日本人論を読んでみたいと思っていたのだが、予想通り、従来の歴史学的・比較文化的アプローチとは違った切り口での持論展開で非常に興味深く読むことができた。
多くの歴史家や学者が指摘するように、やはり本書においても大東亜戦争後に大きく日本の姿が変わってしまったというところを基軸に論考が展開されるが、論点が面白い。
まずは何故日本人は戦前を全否定するようになったのかという問いかけを出発点に、いかにして戦後に三大勢力(GHQ、左派マスコミ・知識人、霞が関官僚)によって日本の姿が歪められたのかということについて持論が述べら -
Posted by ブクログ
世界の覇権は18世紀初めにイギリスが、その後アメリカが握った。両国は同じアングロサクソンであり、アメリカだけを見ていては、その本当の強さの理由がわからない。
イギリスが世界の覇権を握るため、特に注力したのは「海洋覇権」の確立。自国の船だけでなく、他国の船の安全も保障。この「航行の自由」により、どの国も覇権を受け入れた。
こうした「自由と開放」の論理が、アングロサクソンの覇権の核心。
アングロサクソンの特徴として「偽善」がある。皆の利益を尊重するように見えて、実際は自らの利益の最大化を図る。普遍的な価値観をことさら強調し、そのことを隠す。奴隷解放宣言などがそれにあたる。
「パックス・ブリタ -
Posted by ブクログ
全てのものの見方、考え方は正しい自画像を出発点にして始まる。
そして相手、敵を正しく認識する。
敵との対比で自分自身をよりよく知ることも出来る。
正しい判断のためには、しばらく答えの出ない宙ぶらりんの状態に耐えることが必要。
考えを必ず言葉にしてみる。
自分なりの仮説を立て、結論を出してみる。
最初に得た直感を思い返す。
難しい話をやさしく話す。
行動しながら考える。
答えより、考え方の重要性を知る。
何か問題を考える時、違う立場の意見を読んだり、聞いたりしてみる。あえて外に立ち、大局的に問題を見てみる。
迷いは将来への素晴らしい投資と捉えて、迷うことから逃げない。
自分に都合のい -
Posted by ブクログ
現在の世界情勢について、歴史も踏まえながら論じている点がダイナミックでおもしろい。
世界は、3つの勢力の三つ巴になっている。
・オールド・グローバリズム:グローバル化を主導してきた大手金融機関や投資家、メディア、既成政党。テロや保護主義、極右排他勢力が生まれることを懸念し始めていた。
・アンチ・グローバリズム:グローバリズムによって、職を失ったり薄給を強いられつつある人びと
・ネオ・グローバリズム:金融規制などに反対し、一層のグローバル化の推進を主張するヘッジファンド、IT業界、ネオコン。無国籍で、徹底的に自己利益のみを追求する。
ネオ・グローバリストが、処々の規制を食い止めるために、敵の敵 -
Posted by ブクログ
長いことアメリカに住んでいると、アメリカに根付いている階層意識、階層差別というのが良く見えてくるそうである。自由の国アメリカ、一文無しからでもビックになれるアメリカンドリームというのはどうやらまやかしのようだ。先日渡米したピースの綾部、大丈夫か? 才能うんぬんより、やっぱり日本人ということで見えない差別の壁に跳ね返されるんじゃないか…
過激な発言でアメリカファーストを繰り返すためオバマ前大統領とは違う路線だと思われているが、著者によれば、実はトランプはオバマ路線の誠実な継承者らしい。
オバマは世界の警察官をやめた。トランプはアメリカファーストを掲げている。表現は違えど、二人ともアメリカ