あらすじ
世界史に学ぶ「知恵」と「悪知恵」混迷を増す世界の中で、日本が生き残るためになすべきこと。維新150年。平成30年。時代の転換点を迎えた今、日本の針路を見極めるために、世界史の事件に学ぼう。維新、世界大戦、冷戦、ソ連崩壊、グローバル化など、我々は何を教訓として行動すべきか。
【目次より】
第1部 英米覇権の世界史と日本○1 幕末維新を直撃した英露「グレート・ゲーム」 ○2 世界覇権の文明史──アングロサクソンはなぜ最強なのか○3 イギリスの知恵と「悪知恵」――早く見つけ、遅く行動し、粘り強く主張し、潔く譲歩する○4 大英帝国覇権の源は国教会にあり○5 アメリカ独立戦争―─トランプには真似できない大英帝国の支配術
第2部 二十世紀の「怪物」と日本――共産主義とパックス・アメリカーナ○6 共産主義と日米戦争──ソ連と尾崎秀実がやったこと○7 ソ連崩壊とパックス・アメリカーナ――二十世紀の日本から冷戦を読み直す○8 世界秩序の転換点を迎えて──「日本」というアイデンティティを背負う気概○9 明治百五十年――試練に立つ日本○10 日本人として生きるということ──次世代に伝える日本の心
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Posted by ブクログ
著者があとがきで述べている通り、前半の英米についてと後半の日本に関するパートで、大きく流れが異なる。
ただ、英米とビジネスをしていく上で、理解しておくべきコンテクストがとても良い。
英国は
早く見つけ、遅く行動する
粘り強く主張し、潔く譲歩する
日本は
仰いでは 天に恥じず、
伏しては 地に恥じず
Posted by ブクログ
冷戦の継続、共産主義と英米の台頭など、なかなか面白い観点で、世界はこのように動いてきたというのが興味深い。日本にはこのように、長期にわたって国をどうするか、というビジョンが無く、表面的な部分のみで世間が騒ぐので、この新たな段階に入った世界の中で、“日本“をどう守るか、など真剣に考えていかないといけない、と、自分の考えを見直すいいきっかけになった。
Posted by ブクログ
世界の覇権は18世紀初めにイギリスが、その後アメリカが握った。両国は同じアングロサクソンであり、アメリカだけを見ていては、その本当の強さの理由がわからない。
イギリスが世界の覇権を握るため、特に注力したのは「海洋覇権」の確立。自国の船だけでなく、他国の船の安全も保障。この「航行の自由」により、どの国も覇権を受け入れた。
こうした「自由と開放」の論理が、アングロサクソンの覇権の核心。
アングロサクソンの特徴として「偽善」がある。皆の利益を尊重するように見えて、実際は自らの利益の最大化を図る。普遍的な価値観をことさら強調し、そのことを隠す。奴隷解放宣言などがそれにあたる。
「パックス・ブリタニカ」は
・覇権的な軍事力
・強大な経済力
・普遍的な自由貿易のイデオロギー
の3つが支えた。この構造はアメリカに受け継がれ「パックス・アメリカーナ」の基本原理となっている。
イギリスは、他国との共存を重視する「多極的な世界秩序」の維持と安定を目指した。アメリカもこれを引き継いだが、冷戦後「自由=正義」という独自の価値観に世界中を従わせる戦略に転じた。「一極支配」を目指した結果が、イラク戦争やアフガニスタン侵攻の失敗につながった。
アメリカが世界のリーダーとして生き残る道は、多様化してゆく世界で、多角的な協調秩序への移行を先導すること。しかし、トランプ大統領は世界を納得させられる「理念」に欠けており、その役割を望むことは難しい。