中西輝政のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者は経済のグローバル化と民主主義は相容れないと述べています。イギリスのEU離脱は自国の独立性を選択し、ギリシャのEU残留は、EU経済の恩恵を受ける代わりに、自国の緊縮財政や行政サービスの削減等を強いられています。
冷戦終了後の世界はアメリカの1極体制でドルを基軸通貨とした経済や金融の仕組みが形作られてきましたが、昨今の出来事はこの体制の綻びであり、グローバルな自由経済主義に限界が訪れています。
そんな中、日本はこれからも形骸化した日米同盟にすがるように生きていくのか? 北方領土を交渉カードに利用するロシアの体制に組み込まれていくのか? いずれは米国を凌駕する中国の政治・経済・軍事パワーに屈するのか?・・・今、日本人としてしっかりと自立し、どういう世界を描いていくのか?日本という国は世界の中でどういう立ち位置を得たいのか?過去の歴史から脈々と流れる底流を見極め、しっかりとした準備と焦ることない行動で、国際社会に主張すべきは主張し、潮目において譲歩する。多極化する世界の間で翻弄されるのではなく、まさに今、自らが生き抜いていくための考えをもち行動に移していかねばならない時、と感じました。
アメリカの非介入主義の歴史、冷戦終結以降のアメリカの戦略と失敗、EUの起源や意義、中ソと独の関係、等々は大変勉強になりました。 -
Posted by ブクログ
『実際、九条からは無数に「言葉の嘘」が派生しました。日本軍を「自衛隊」と言い換え、歩兵を「普通科」と言い換え、戦車を「特車」と言い換えた。駆逐艦を「護衛艦」と言い換えたのなどは、ただただ馬鹿馬鹿しいというしかありません。
つまり、戦後の日本は、真実そして根本にある問題から目を逸らそうとする、いわば「その場しのぎ」の精神構造から始まってしまったわけです。そして、問題の直視を避けて「嘘の上に嘘を上塗りする」傾向は、その後も延々とくり返されることになります。』
政治、宗教、ジェンダーに関してはSNS上では沈黙するに限るが、最近話題の分野について、教養として保守系の論客の意見も読んでみました。 -
Posted by ブクログ
考え方について知りたくて読書。
思考停止に陥らないためには常に自分の頭で考えること。
では、考えるとは何かをもっと知りたい。
自分自身と対峙して、仮設を立てては実証するを繰り返すこと。
己を知ること。
歴史をチャンネルにして考える。
その国を知りたかったら神話を学ぶ。
日本人を、日本をもっと知ることは海外にいるので、日々その必要性を感じている。まだまだ努力不足だと反省。
常に新しいことを学び、素直さ、勇気、慈しみの三拍子を意識することが古来からの日本人を象徴する人間の要素だそうだ。
最後の長期予測が当たらないのはその通りで、それに縛られて、思考停止になる方が弊害が大きいと言える。しかし、予測する努力は必要で、そのためには的確な情報に絞り、シンプルに考える。
奥が深い。
読書時間:約50分 -
Posted by ブクログ
今や国際政治学者の中西輝政氏。国際政治の中でもイギリスを専門に学んだ氏だけに、イギリスの強さをじわじわと描いている。本棚から出して7年ぶりに読んだけど、ポイント②を証明するかのように古さは全く感じない。
①早く見つけて遅くに行動し、非常に頑強に主張し続けながら一瞬にして妥協する
②人間の本質は変わらない。全ての情報を歴史に還元して理解を図ること。
③事実を見つめることが大事。バラバラの数字や事実を見ながら、自分流に情報を組みたてることが真の英知(インテリジェンス)である。
この本のポイントとして上記の三つが挙げられると思うが、どれも現代の我々日本人には苦手なことばかり。各ポイントに対する私見は、
①じっと「宙ぶらりん」の状態に耐えることができない。拙速で単純な行動や結論を好む。「郵政選挙」「大阪都構想」等が好例。
②戦後教育の中で「過去の破壊・否定=進歩」という辿ってきた我が国。例えば、自分の意見や考えに対して「It is old.」と言われたらどう思うだろう?多くの日本人は否定的に捉えると思うが、イギリスでは「それはいい」という意味が込められる。「信用できる。親しみがある。」ということ。
過去や歴史を否定というか、振り返ることを習慣化できていないと次に起こる出来事を予想したり、今起こっていることを正確に理解できない。常に「歴史は繰り返す」。
③我々日本人は事実に対して、都合の良いストーリーや結論を好む。先ごろのサッカーワールドカップの敗戦を受け、「本田の調子が上がらない中で戦ったために負けた」「ザッケローニ監督が初戦試合途中、長谷川から遠藤に代えたために逆転負けした」とか色々な話を聞くが、事実としてはFIFAランキング46位のチームが8位(コロンビア)・12位(ギリシャ)・23位(コートジボアール)に負けただけです。
もっと事実を見ていくと、同大会ではFIFAランキング30位以下のチームは我が国を含めて、8か国が参加し合計24試合を戦いましたが、その内30位以下のチームが勝ったのは1試合だけです。
情報があふれ出る現代社会の中で、本質を見抜くにはどうしたら良いか?その手法を提示してくれる一冊です。 -
Posted by ブクログ
1998年初版の本。買って大分経つ。僕が購入したのは2001年で、購入当初ざーっと読んでいたのだけれど、今となっては中身を殆ど覚えていない。
最近読んだ松井博さんの『企業が帝国化する』に触発され、今の世界と企業について少し考えたく思い、本棚の奥から拾い出し、読み直しているところ。
この本を読む手前で佐藤優さんの『人間の叡智』、寺島実郎さんの『国家の論理と企業の論理』を読み直しているんだけど、『なぜ国家は衰亡するのか』にいたって、問題の構造が大分すっきりした感じ。国家、企業、社会、個人この4つを立体的に捉えないと駄目だということを改めて感じた。「帝国」という概念とその歴史については、もう少し勉強しないと状況を自分なりにクリアにするところまではいかないけど。
再読完了。
内容紹介に「世界史的・文明史的視点から、日本の衰退と再生を洞察する衰退学の集大成である」と記載があるが、まぁ新書程度で集大成なんて出来ないよね、という構成と記載内容ではある。著者もあとがきで似た様なことを書いているw。
しかし、読む価値無いかと言ったら全然そんなことはない。
少なくとも僕には非常に示唆に富む内容であった。そして、本書で指摘されている問題や課題は2013年のいまでも解決されているとは思えないわけで、今読み直して正解だったなという思いが強い。
僕たちは基本的に政治は政治で政治家がちゃんとやってくれ。経済は経済で起業家や経営者がちゃんと経営してくれ、って思っちゃうところあるよね。でも実際は「政治経済」という視点でモノゴトを理解したり、施策を立てて取り組んだりしないと駄目だよねと気づかされる。おまけにどれほど企業がグローバル化したとしても、国という概念がなくならない限りは、僕たち日本国籍を持つ人は日本国民なわけで、どうしても国家というものを視野に入れておかないといけない。一方ではグローバルな時代なんだから国なんて関係ない、なんていう輩もいるだろうけど、僕は寺島実郎さんのいう「世界は国籍不明のコスモポリタンなんて相手にしない」という言葉のほうが説得力あると思う。
そういう意味で今回の再読をキッカケに、世界、国家、社会、企業、個人という骨太な理解の軸を作れるよう、読書に施策に仕事に取り組んでいこうと思う。