中西輝政のレビュー一覧
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著者は経済のグローバル化と民主主義は相容れないと述べています。イギリスのEU離脱は自国の独立性を選択し、ギリシャのEU残留は、EU経済の恩恵を受ける代わりに、自国の緊縮財政や行政サービスの削減等を強いられています。
冷戦終了後の世界はアメリカの1極体制でドルを基軸通貨とした経済や金融の仕組みが形作られてきましたが、昨今の出来事はこの体制の綻びであり、グローバルな自由経済主義に限界が訪れています。
そんな中、日本はこれからも形骸化した日米同盟にすがるように生きていくのか? 北方領土を交渉カードに利用するロシアの体制に組み込まれていくのか? いずれは米国を凌駕する中国の政治・経済・軍事パワー -
Posted by ブクログ
『実際、九条からは無数に「言葉の嘘」が派生しました。日本軍を「自衛隊」と言い換え、歩兵を「普通科」と言い換え、戦車を「特車」と言い換えた。駆逐艦を「護衛艦」と言い換えたのなどは、ただただ馬鹿馬鹿しいというしかありません。
つまり、戦後の日本は、真実そして根本にある問題から目を逸らそうとする、いわば「その場しのぎ」の精神構造から始まってしまったわけです。そして、問題の直視を避けて「嘘の上に嘘を上塗りする」傾向は、その後も延々とくり返されることになります。』
政治、宗教、ジェンダーに関してはSNS上では沈黙するに限るが、最近話題の分野について、教養として保守系の論客の意見も読んでみました。 -
Posted by ブクログ
考え方について知りたくて読書。
思考停止に陥らないためには常に自分の頭で考えること。
では、考えるとは何かをもっと知りたい。
自分自身と対峙して、仮設を立てては実証するを繰り返すこと。
己を知ること。
歴史をチャンネルにして考える。
その国を知りたかったら神話を学ぶ。
日本人を、日本をもっと知ることは海外にいるので、日々その必要性を感じている。まだまだ努力不足だと反省。
常に新しいことを学び、素直さ、勇気、慈しみの三拍子を意識することが古来からの日本人を象徴する人間の要素だそうだ。
最後の長期予測が当たらないのはその通りで、それに縛られて、思考停止になる方が弊害が大きいと言える。し -
Posted by ブクログ
今や国際政治学者の中西輝政氏。国際政治の中でもイギリスを専門に学んだ氏だけに、イギリスの強さをじわじわと描いている。本棚から出して7年ぶりに読んだけど、ポイント②を証明するかのように古さは全く感じない。
①早く見つけて遅くに行動し、非常に頑強に主張し続けながら一瞬にして妥協する
②人間の本質は変わらない。全ての情報を歴史に還元して理解を図ること。
③事実を見つめることが大事。バラバラの数字や事実を見ながら、自分流に情報を組みたてることが真の英知(インテリジェンス)である。
この本のポイントとして上記の三つが挙げられると思うが、どれも現代の我々日本人には苦手なことばかり。各ポイントに対する私 -
Posted by ブクログ
1998年初版の本。買って大分経つ。僕が購入したのは2001年で、購入当初ざーっと読んでいたのだけれど、今となっては中身を殆ど覚えていない。
最近読んだ松井博さんの『企業が帝国化する』に触発され、今の世界と企業について少し考えたく思い、本棚の奥から拾い出し、読み直しているところ。
この本を読む手前で佐藤優さんの『人間の叡智』、寺島実郎さんの『国家の論理と企業の論理』を読み直しているんだけど、『なぜ国家は衰亡するのか』にいたって、問題の構造が大分すっきりした感じ。国家、企業、社会、個人この4つを立体的に捉えないと駄目だということを改めて感じた。「帝国」という概念とその歴史については、もう少し