宇佐川晶子のレビュー一覧
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ネタバレ面白い!!
「夏の霜:ブレイク・クラウチ」(パインズ)
人間はかしこい、AIもまたかしこい。
けれど、やはり人間はやらかしてしまう。同じようにAIもまたやらかしてしまう。
「エマージェンシー・スキン:N・K・ジェミシン」(第五の季節)
ずっとずっとの将来ありそうだな、と思ったり。
「方舟(アーク):ベロニカ・ロス」(ダイバージェント)
哀愁漂う
これが一番好き
「目的地に到着しました:エイモア・トールズ」(モスクワの伯爵)
後半に出てくるバーの二人がナイスキャラ
「最後の会話:ポール・トレンブレイ」(終末の訪問者)
かなしいかな、やめられないのだね
「乱数ジェネレーター:アンディ・ウィアー」
量子ビットやら難しそうに感じるも、頭がいいだけではない。冷静さ度胸もあって、ラストはおぉ~って感じでスッキリ -
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ソフィアとの会話やゲームをする伯爵が大人気ない感じで微笑ましいなと思いながらもカテリーナから親友ミーシカが編纂した本を受け取ったシーンやソフィアとの最後の晩餐のシーンが切なくて印象的だった。
映画「カサブランカ」は観てないけど、自由を求めてアメリカを目指す姿が本作と重なったり、本作も戦争や政治の混乱が背景にあって、この2作品が響き合っていることが分かる。
伯爵の貴族然とした優雅な振舞いや会話のユーモアは本作のテーマである境遇の主人であるからこそできることであって、どんな環境であっても朗らかであれとエンカレッジする本作は多くの人に読んでもらいたいと思う作品。 -
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ネタバレひとつひとつの話がサクッと読める上に、それぞれのストーリーのトリックや結末は意表をつかれるものもあって面白かった。
あと、短編なのに登場人物達の個性や癖の強烈がすごい。
個人的に「三匹の盲目ねずみ」の話が、収録されている作品の中で、どこか異質に感じた。
登場人物達が、視点人物含め、軒並みあやしさと不気味さ、そして陰湿さを持っていて、
そんな人たちが同じホテル内に閉じ込められているという状況が怖くて最悪。
視点人物であるディヴィス夫妻がギスギスしだし、「もしかして…?」みたいになっていく展開が、より事件の雲行きが怪しくなっていって怖かった。
しかし事件解決のシーンやその後の展開は、今までと打って変わったハッピーエンドで、最初思わず拍子抜けしてしまったけど、
それはそれとしてふっと安心できる気持ちよさは嬉しかった。 -
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物語には決して破ってはならない掟があると思っている
ロシアの劇作家アントン・チェーホフはかつてこう言った
「物語に銃が登場したら、それは発砲されなければならない」
ならば私は古き賢人に倣ってこう言おう
「物語に黒い魔女が登場したら、それは倒されなければならない」
その物語がチャールズ・ディケンズとマーク・トウェインの魂を受け継いだ物語とあればなおのことである
力強い巨人、賢い魔法使い、心優しいお姫さま、そして音楽と物語を愛する小鬼の旅はあるべき結末に向かって川をくだる
”このやさしき大地”が教えてくれるのは、人はいつだって「ひとりじゃない」こと、そして隣にいる人を大切にすることで誰もが、未来をちょっとだけ良い方向に変える”魔法”が使えることだったのではないだろうか
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2度のロシア革命を経てボリシェヴィキ(革命政府)が統治をする1922年モスクワで、革命前は聖アンドレイ勲章を持つほどの貴族ではあるものの、現在は革命思想に賛同しないとみられる無目的な堕落者と見なされた貴族階級のアレクサンドル・イリイチ・ロストフは革命政府の命令によりモスクワのホテル“メトロポール”から出れば、銃殺するという条件で即時の銃殺刑を免れる。
ロストフ伯爵は自由のない惨めな身になっても境遇の奴隷にならないよう、紳士としてメトロポールの人々と接してゆく。
本書はメトロポールでの出来事に限定されているので、少し退屈に思える時もあるかもしれないが、洒脱な会話と展開、20世紀ロシアの社交界という世界観が飽きさせないし、またプーシキン、トルストイ、ドストエフスキーといったロシアの文学からの引用は読書好きならより面白く読めると思う。
作者はスティーヴン・キングのように子どもを魅力的に書くのが上手いように思う。本書の中では知性的かつ素朴な倫理観を持った、けれども生真面目すぎて危うい少女ニーナが描かれているが、著者の別作品「リンカーン・ハイウェイ」の少年ビリーも読んでいて好ましい人物だった。
激動の20世紀前半期におけるロシアの政治・社会情勢が本書の時代背景だが、大人が恭順しているものごとの仕組みや価値観を子どものまなざしによって、ナイーブではあるが時に鋭く、時に真理とも思えるよう問いかけられていると感じることが、著者の作品を読んでいるとある。
上巻の終わりには時が1938年となり、ロストフも48歳になっている。そんな中、新たな展開が訪れて上巻が終わるので、下巻で物語がどんな展開を見せてゆくのか期待しかない。 -
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プロローグ
第二次世界大戦の勝利によって好景気に沸いた50年代のアメリカは、アメ車に代表されるデコラティブに装飾されたデザインやミッドセンチュリーモダンと言われるアールデコをアメリカ流にアレンジした贅の限りを尽くした建物や家具などを数多く輩出した正に栄光の時代である
そんな、時代にあっても片田舎のアメリカではまだまだ偏狭的なしきたりや風習、風土など、都会と比べると一昔前のアメリカの町というものが多く存在したのである
この物語は、そんな好景気に沸くアメリカとは縁もゆかりも無い、取り残された町が舞台となっている珠玉のミステリー小説である
本章
『真実の眠る川』
何故か哀愁と郷愁を誘う感涙の★5
autumn552akiさんの本棚から
すんばらしい紹介&レビューありがとうございます
あらすじを書くのはあまり好きではないが、大雑把に書けば、ミネソタ州のある町の地主が何者かによって殺されてしまうところから物語が始まる
状況証拠により容疑者は、地主のもとで働くインディアンの血を引く農夫であったが、黙秘したまま容疑者は、収監されるのだが、、、
あの容疑者は、何を護りたかったのか?
あの夫人は、何故嘘をついたのか?
あの男はどういう犯罪を犯していたのか?
全ての真相が解明された時、そのやるせなさに驚愕し、様々な“義”や“愛”によって号泣するのである
こういう、良翻訳本そして渾身のミステリー小説は、是非とも皆に手に取っていただきたい作品である
エピローグ
場所は、アメリカのミネソタ州
時は、1950年代
縁もゆかりも無いはずなのに、何故か、さもその年代や情景を過してきたような錯覚を起こさせる不思議な作品である
“The Catcher in the Rye”や“Stand by Me”に代表されるアメリカの古き良き冒険小説とも言えるのではないだろうか!?
国内本では決して経験、体験出来ない醍醐味を味わえた!
この真実の川にずっと身を委ねていたい!
最後にそう思った!!!
完
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ネタバレいやぁ、圧倒的な物語の紡ぎ手。
1958年、ミネソタの田舎町ジュウェル。
戦没将兵追悼記念の日にこの町を抱くアラバスター川の淵でウナギに食い荒らされた死体が発見される。
その男、ジミー・クインは町の農地を牛耳る者としてこれでもかと富と権力を振りかざして生きるような男で、反感を買う先も数多。死を心から偲ぶ者がいるような人物ではなかった。
そうは言ってもの中、この町の保安官ブロディは、前保安官のコニーに手助けを仰ぎながら事件の調査に向かうが。。。
不審死を伴う事件が起き、もちろんそれの解決を巡る動きが牽引する展開ではあるのだが、それはただの舞台でしかなく、登場人物達の織りなす人間関係だったり、思索、生き様を読む物語。
ひとりひとりの背景語りが入念で物語としての密度が高く、隙がない感じに大満足。
最初から最後まで間延びせず、かといってぐいぐいというわけでもない堅実な展開速度で心を掴んで離さない読み応えが没入感を生む。
この登場人物好きだなぁと思っていたら、裏の顔とか心の歪みを見せる部分が出てきて、でもそれが人間、この矛盾というか混沌というか清濁併せ呑まされる感情の渦巻き加減、その一端を担っているとも思える戦争の残す爪痕だったり、偏見を根拠とする差別の愚かさに何度うならさられたことか。
やっぱりこういう話が好きだ。
アン・クリーヴスとかケイト・モートン、セレステ・イング、国内作家だと宮部みゆきさんに通ずる物語性。
『ありふれた祈り』、『このやさしき大地』もとても良かった印象を持っており、自分的信頼できる作家の仲間入りを遂げた。
ちょっとハードボイルドに寄るコーク・オコナーシリーズはまだ未読が何冊かあるので近いうちに読み進めてみよう。 -
Posted by ブクログ
1958年、ミネソタの田舎町を流れる川で地主の死体が発見された。
容疑者として元使用人ノアが捕まるが、ノアは多くを語らず彼の妻・キョウコも何かを隠している様子だった。
時代を感じるのは、保安官・ブロディが第二次世界大戦への従軍経験で被った心の傷であり、スコットの母で戦争未亡人・アンジーの秘められた過去やノアの妻・キョウコの生い立ちもまた深い傷を負っている。
二部構成になっていて、二部からはミステリ色が濃くなっていくので目が離せなかった。
真実に驚愕するのだが、登場人物の個性もあっていろんな面を見せてくれるなかで、弁護士・シャーロットの言動の的確さや凄さが際立っていたと思う。
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Posted by ブクログ
原題は『Ordinary Grace』Ordinaryはありふれたという意、そしてGraceは祈りと言うよりは神の恵み、恩寵と言った意で正しく訳すなら「ありふれた恩寵」といったところか
そして恩寵とは罪深い人間を救うために神がもたらす奇跡のことだ
それではこの悲しい物語のどこに神の恵みがあったのか?
少年が愛する人々の存在に気付くために、少年が自らの行いに責任を持つために、そして少年が大人になるために、その悲劇が必要だったと神が判断したのだとしたら、それは恵みではなく呪いだったのではないだろうか
そして悲劇から人生を取り戻した人々の変化を奇跡と呼ぶのなら、それは神の恵みではなく人の持つ強さなのだと思いたい -
Posted by ブクログ
鬼★5 感涙… まるでこの街に住んでるみたいな感覚に陥るスモールタウン・ミステリー #真実の眠る川
■あらすじ
第二次大戦の影響が残る1958年、アメリカはミネソタ州の田舎町の大地主が殺害された。保安官を中心に捜査を進めていくと、容疑者として先住民の血をひく男があげられる。
街の住人達は彼を非難し、さらに日本人の妻の身にも危険が差し迫るほど。しかし容疑者の彼は事件について何も語らず、無罪を主張をすることもなかった…
■きっと読みたくなるレビュー
鬼★5 はい、早くも年間トップレベルのミステリー、控え目に言って必読です。
田舎町で事件が起き、地元保安官が捜査をしていくというスモールタウンもの。捜査を進める中、住民たちの関係性やその土地の背景なども描かれる群像劇、人間ドラマになっています。
ずーーーっと読んでいたくなる作品、まるでこの街に住んでるみたいな感覚になる。
ミネソタ州ジュウェルという小さな街で、アラバスター川という静かな川が流れている。みんなこの川に親しんでいて、いつも泳いだり、釣りをしているという古き良き田舎町。
住民たちも皆な家族のような関係性で距離感が近い。煩わしさはあるものの、困ったことや悲しいことがあれば、いつでも声をかけてくれる人たちがいる… いいですよね~、なんか読んでると子どもの頃を思い出しちゃうんです。
ただもちろん悪い部分もある。まだ1950年代、まだ先住民子孫の記憶も強く、第二次大戦も終わって間もないという時期。偏見や差別というのは当然あり、小さな街だからこそ噂が流れるのも速い。さらに誹謗中傷だけでとどまらず、直接的な行動にでることも多い。
この事件の容疑者は先住民子孫、その妻は敗戦国の日本人。肩身の狭い環境に置かれた二人の行動や意識が一番の謎であり、読みどころでもあるのです。
そしてこの夫婦が… めっちゃ素敵なんよ。奥さんキョウコ・ブルーストーンには痺れたなー。まさしく日本人らしい生き様、もうね日本人として誇りに思うよ。
また本作は他のキャラクターも生き生きとして描かれている。
・保安官ブロディ:これぞ保安官って人、頼れるナイスガイ。しかし彼も人間なんですよね、弱い部分があってさー。一緒にお酒を酌み交わしたくなるね。
・弁護士チャーリー:女性弁護士、1950年代ですからね、それだけで凄い。意志の強い力強いセリフを見てるだけで、涙が出てくるのよ。正しいことをするぞって姿勢が悶絶級にカッコイイ!
・少年たちスコットとデル:このふたりも目の前に浮かぶんすよ、やんちゃなガキのデルと、彼に抵抗できないスコット少年。まさしく少年時代を切り取ったようなシーンばかりで、自分も同じようなことがあったなー、色んなことを学んで成長してきたなーって思えて、しみじみと胸に刺さる。
他にも保安官の仲間たち、被害者家族、カフェの店員、街の住民など、たくさんの人が出てきます。
全員の顔が目に浮かぶくらい、丁寧に綿密に描かれているんです。ほんと読んでると、みんな知り合いや友達になったような感じがしてくる。だからこそ、この物語をずっと読んでたいという気にもなるし、この街、この世界に行ってみたくなるんですよねー
そして本作で最も深く描かれているのは「家族」
被害者家族だけでなく、ほぼ全員の夫婦と親子の関係が綴られているんすよね。それぞれの家族愛をかたち作っているんだけど、そこに避けられない出来事がおこると… やっぱり歪みが生じてしまうんすよね。もうちょっと何とかならんかったのかと… 残念でならない。
物語が終盤になると、事件の背景が浮き彫りになってくる。そしてラストにかけては勢いを増していく。事件の真相を知り、それぞれの思惑が理解できた時、胸に押し寄せる人間のぬくもりに潰されそうになりました。
はー… みんなもっと幸せになってもいいでしょ、神様! って思わずにはいられない。
そして海外の作品は勉強になることが多いですよね。1862年ダコタ戦争による先住民の処刑などは知りませんでした、またアメリカ史を学びました。
今年最初のズバリおすすめ作品です! ぜひ時間を取って、じっくりと読んでみて下さい。
■ぜっさん推しポイント
これまでたくさんの物語を読んできて、「エピローグ」ってのも何度も読んできましたが…
本作の「エピローグ」はエグイよ、マジで泣きました。
そして少し死ぬのが怖くなくなるんですよね。人生で大切なものは何なのかを教えてもらえた気がする。いやー、いい話だった。 -
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ネタバレ2025年間46冊目は、ウィリアム・ケント・クルーガーの「真実の眠る川」です。「怪物の森〜」に引き続いてミネソタが舞台ですが、こちらは、1958年のミネソタになります。ブラックアース郡ジュウェル、アラバスター川と共に生きる人達の物語です。
第二次世界大戦からベトナム戦争前までのアメリカというと、繁栄、栄光の時代というイメージでしたが、別の一面も有る事を教えてくれる小説でした。
第二次世界大戦や朝鮮戦争に従軍した兵士の多くが、精神的・肉体的に大きな傷を抱えて故郷に戻った事、それに対して留守を守った女性達が総じて逞しく描かれています。男性は、石ころのように砕けてしまうと描写されていますが、全くその通りだと思います。女性は、靱やかで強い。冒頭、戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー)の場面から始まるのも象徴的だと思います。
南ミネソタ随一の地主と言われるジミー・クインが、アラバスター川の中で死体で発見されます。ショットガンで撃たれており、しかも裸のままの状態でした。ジミーは、善人ではなく、多くの人から嫌われていました。
保安官のブロディ・ダーンが現場に向かいますが、現場に誰もいない時を見計らって、証拠となりうる指紋を拭き取り、証拠品を川に投げ入れてしまいます。法執行機関の人間として、決して許される行動では有りませんが、後で、その理由と心情が語られます。
町の人間は、ジミーの農場の元使用人で有るノア・ブルーストーンが犯人で有るとブロディに焚き付けます。ノアは、先住民のスー族であり、妻は日本人のキョウコで有るとの理由からです。明らかに偏見からですが、ノアの農場の敷地からジミーの血痕の付いた防水布が見つかり、有力な容疑者として逮捕されてしまいます。しかし、ノアは無実を主張しようとしません。このままでは、ノアに重い判決が出るのは明らかです。ブロディは、ノアが誰かを庇っていると推測しますが、喋ろうとしません。果たして、誰を庇っているのか?ミステリーとしても申し分ないと思います。ポイントは、ジミーの複雑な家族関係です。
ジミー・クインの殺人事件が物語の縦軸だとすると、ジュウェルの町の人達の人生が、横軸となっています。
個人的には、オールタイムベスト級だと思います。
☆5.0今年の最後に素晴らしい物を読みました。 -
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面白かったのだけれど、理解に自信がもてない。結局、何が真実だったのか、確認したくなる。
精神科医であるブライスウェイト、そこに通院し自死したヴェロニカ、その妹であり原因を探るべく偽名を使ってセラピーを受けるわたし、精神科医とわたしの何が演技で何が真実で、どこに本音があるのか、どんどん分からなくなってゆき、ヴェロニカの存在さえも疑いたくなった。タイトル通り、読むほどにキャラクターのイメージが揺れてゆく。
ブライスウェイトが、虚構の多いわたしとのセラピーで、『実際に起きたこととかはどうでもいい、大事なのは、きみが話すことに決めたのがこの話であるということなんだ』と言ったことが、印象深い。この作品も、登場人物たちが語る内容がフィクションだとしても、話した内容から見えることに目を向けると、この作品の理解が進むのかなと思いを巡らせた。 -
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ネタバレ1961年夏。ニューブレーメンに住んでいた「わたし」ことフランク・ドラムの級友が、構脚橋の線路で列車にはねられて死んだ。それを皮切りに、現場近くで亡くなっていた身元不明の男、フランクの姉アリエル、アリエルの友人カール・ブラント…と多くの人の死が続いていくが、特にアリエルの殺害事件をめぐっての家族や周囲の人々の動きが本作の中心になっている。
フランクの父ネイサンは牧師だ。もとは弁護士を目指していたが、戦争で人を殺す経験をして牧師になった。フランクの母ルースはそれを不満に思っている。決して怒らず、情熱的に話すわけではないが静かに説教をして人々に神の存在を宣べ伝える姿は、神のように絶対的に正しい姿に見える。対して街の人々は粗野で、彼が戦場で臆病だったと揶揄したり、フランクの弟ジェイクが吃音なのをからかったりしている。一番印象に残ったのは、アリエルの葬儀の後の食事の席で、食前の祈りを唱えようとした父に、「ありふれた祈りをして」と母が頼むシーン。いつでも卒なく正しい道へ人々を導くネイサンに対し、この時母は突然娘を奪われた悲しみと怒りで神を拒否する心情になっているから、そんな夫の正しさが我慢できなかったのだと思う。それに対して、人前では3語とどもらずに話せたことのないジェイクが名乗り出て、代わりに本当に定型句のような、食前のありふれた祈りを、どもらずに捧げたシーンが本当に良かった。それは神からの奇蹟だし恵みだと思う。ありふれた祈り、原題はOrdinary Graceだが、そのgraceは祈りとも恵みとも訳せる。ラザロの復活のような劇的な奇蹟はなくとも、どもらなくなったとか、それで母に笑顔が戻ったとか、そうしたありふれた些細な出来事が神からの恵みであって、それに気づくこともまた恵みだと思う。
インディアン、吃音、障がい者、同性愛者など、弱者を描いた物語でもあった。
父は戦争で人を殺したことを、フランクは姉を殺したかもしれないインディアンのウォレンを見逃したことを、ジェイクは人から揶揄われる自らの吃音を、それぞれ十字架として背負いながら生きている。遠くへ行っても自分からは逃れられないから自殺したくなる気持ちは分かるとジェイクは言うけど、そうではなくて自分の重荷を口にして誰かと担いあったり許されたりしながら生きていく人間の姿がとてもよかった。最終的にウォレンは犯人ではなかったし、フランクが見逃したからウォレンは生き延びることができたのも、そもそもそうでなければ生きられなかったということ自体先住民差別が背景にあるけれども、それをフランクが後に知って許された気持ちになることも含めて恵みだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ神に見放されたと思った時、自分でどうにかする力がある。
人生はダイヤモンドを横にした図。いつの間に狭くなって最期は1点になる。
とどまるから、外側には羨望、内側は強欲に。
移動しよう。未来は、自分で何にでもなれる。
怒りは10秒数えて静める。自分の人生を棒にふらない。友は選ぼう。
ホワイトライ。
ラストが予想外。確かにアメリカ人が好きそうな映画のような終わり方!
面白かった。
ページターナー。
モスクワの伯爵より好き。
サリーは、あの時代から次の新しい時代の女の生き方!
ソー サリー キャン ウェイト♪
2024年に読んだ本で1番好きです。