宇佐川晶子のレビュー一覧

  • 約束

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    南アフリカがどういう国の歴史と国民性なのかが物語の柱になってる。アモールのサロメと重なる無垢さとアントンとルーカスの落ちぶれ方と怒り、肥えた女弁護士が象徴なんだろう。これだけ背景が違うのにアントンのように志を立てるもののぐだぐだと何もせず歳だけとり、「小説を書く」といいながら書き上げられないと自責にかられるというのは世界共通なんだなと思うのと共に、ブッカー賞受賞作だから文学寄りにみられるけど登場人物同士が終始気まずかったり宗教ジョークが多かったり、原著だともっと悪趣味コメディなノリなんじゃないかという気がする。

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    2025年07月14日
  • リンカーン・ハイウェイ

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    もうね、前半はハラハラしっぱなしだったんですよ。
    車は?お金は?なんでそんなことするんだい(怒)ってね。
    私は、真面目な人がバカを見る的なことが、どうにも嫌みたいw
    でも話が進むにつれ、因果応報といいますか、良い人には救いの手が差し伸べられて意外な展開で助けられていく様に、私までもが救われる思いでした。
    最後はちょっと悲しい思いもしましたけども、ね。

    ユリシーズの「本当に見捨てられたと感じてはじめて、人は次になにが起きるかは自分次第なのだという事実を受け入れられるんだ」付近のセリフ、痺れました!

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    2025年07月10日
  • このやさしき大地

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    孤児のオディ、アルバート、モーズ、エミー。
    彼らは、救護院から逃げることを余儀なくされ、叔母の家を目指す。
    オディがときおりふくハーモニカのシーン。自分を癒やしたり、人との距離を縮めたり、仲間を楽しませたり。音楽の力に助けられて、優しい空気が流れてた。
    後半ちょっと、おどろくような仕掛けもあって、一本の映画を見ているような充足感。

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    2025年05月05日
  • このやさしき大地

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    いい!久しぶりの2段組、翻訳ものにビビッていたが、グイグイいけました。カヌーでの旅とアメリカ合衆国の歴史に
    触れて、大きなイメージの題名に納得がいきました。

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    2025年03月20日
  • 愛の探偵たち

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    *:.。.*:+☆ 年末ひとり英国ミステリフェア(こそっと開催)*:.。.*:+☆
    今年も「クリスマスにはクリスティーを! 」の季節がやってきました♪
    ということで、こちらの短編集をチョイス。

    ノンシリーズ1編、マープルもの4編、ポアロもの2編、クィン氏もの1編・・の、計8編が収録されております。

    解説の方が、本書を「美味しいショートケーキの詰め合わせ」と例えていましたが、まさにその通りで色々な"お味"が楽しめる一冊。

    中でも個人的注目作品は「三匹の盲目のねずみ」ですね。
    こちらは戯曲『ねずみとり』の原作とのことで、雪に閉ざされた宿に泊まっている得体の知れない客たち

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    2024年12月25日
  • 愛の探偵たち

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    イギリスの作家アガサ・クリスティの中短篇ミステリ作品集『愛の探偵たち(原題:Three Blind Mice and Other Stories)』を読みました。
    アガサ・クリスティの作品は、2か月前に読んだ『ポケットにライ麦を』以来ですね。

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    雪に閉ざされたゲストハウスに電話が。
    ロンドンで起きた殺人事件の関係で警察が向かっているという。やがて刑事がやってきて……マザー・グースの調べにのって起こる連続殺人劇、戯曲「ねずみとり」の原作を始め、ポアロ、ミス・マープル、クィンら名探偵たちの推理がきらめく珠玉の短篇集。
    (解説 西澤保彦)
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    2024年12月15日
  • 愛の探偵たち

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    ノンシリーズが1話、ミス・マープルが4話、ポアロが2話、ハーリ・クィンが1話収録。「謎のクィン氏」は好きな短編集なので、ハーリ・クィンものが入っているのは嬉しい。でも一番好きなのはポアロものの「四階のフラット」かな。ノンシリーズの「三匹の盲目のねずみ」も良かった。

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    2024年11月08日
  • フォワード 未来を視る6つのSF

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    アンディ・ウィアー目当てで手に取ったが、傑作揃いで良かった。とくに、「夏の霜」の自己進化を続け次第に意図が読めなくなっていくAIの表現、「目的地に到着しました」の主人公の絶望を推測させる書き方が好きだった。楽しみにしてた「乱数ジェネレーター」はとにかく映像映えしそうな…いや内容的にはしないんだけど…そう感じてしまうような迫力のある舌戦で、まだまだ彼の作品が読んでみたくなるものだった。

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    2024年07月15日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    1932年大恐慌時代のミネソタ州が舞台。
    孤児であるアルバートとオディ(オデュッセウス)の兄弟はリンカーン救護院というネイティブインディアンの子供たちが集団生活を送る施設で暮らしていた。
    横暴な施設長や管理人から支配され、鞭を振るわれる日々。
    そんな中オディは横暴な管理人を殺してしまい、兄のアルバート、スー族のモーズ、孤児になったばかりのエミーとカヌーにのってミシシッピ川を下り兄弟のおばがいるセントポールを目指す旅に出る。

    ・感想
    「ありふれた祈り」の姉妹作らしく「祈り、信じ、ゆるすことの大切さ」という明確なテーマがあった。
     
     川を下る中で様々な人々(家族)と関わりあい12歳

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    2024年05月04日
  • 愛の探偵たち

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    『三匹の盲目のねずみ』『奇妙な冗談』『昔ながらの殺人事件』『申し分のないメイド』『管理人事件』『四階のフラット』『ジョニー・ウェイバリーの冒険』『愛の探偵たち』が収録された短編集。
    出てくる探偵も、ポワロ、マープル、クィンとバラエティに富んでいる。
    マザーグースに見立てられて起こる連続事件の『三匹の盲目のねずみ』は、クライマックスの緊迫感が良かったです。見立て事件、結構好きです。

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    2024年04月13日
  • このやさしき大地

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    “ひとりじゃないから”

    “ぼく”ことオデイら4人は、孤児院から脱走してミシシッピ川をカヌーで下りセントルイスへ旅をする。
    その道中でさまざまな出来事と遭遇し、やがて4人はそれぞれの道を探し始める。

    少年たちの成長を描くロードムービーとして、王道を進む物語だが、さすが「ありふれた祈り」の作者で読み進めることに飽きさせない。

    ネイティブ・アメリカンの処遇や世界恐慌がもたらした農民たちの貧困と流浪など、20世紀初頭の出来事が挿入されており、読後感は濃厚。

    ただ、同時代を描いたスタインベック『怒りの葡萄』と比べてしまい、力強さに物足りなさを感じた。

    でも、面白かったです。

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    2024年03月31日
  • 愛の探偵たち

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    ネタバレ

    「三匹の盲目のねずみ」は犯人が意外で驚いた。
    「申し分のないメイド」はいきなり署に来て真相を捲し立てて帰っていくマープルの勢いが好き。真相の方からやってくる事もあるのか…。
    表題作は、はじめて読むクィン氏シリーズだった。あんまり毒が無い。

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    2024年02月03日
  • リンカーン・ハイウェイ

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    1954年、アメリカ。
    18歳のエメットは更生施設を出所し、弟が待つネブラスカの自宅に戻って来たが、そこには施設から逃げ出したダチェスとウーリーもいた。
    エメットと弟は、母が暮らしているはずのカリフォルニアに行き、心機一転、新しい生活を始めるはずだった。だが、ダチェスとウーリーに愛車のスチュードベーカーを奪われ、仕方なく二人の後を追ってニューヨークに行くことに。
    ダチェスは、上流階級出身のウーリーの一族がニューヨーク州北部に所有する屋敷の金庫の金をみんなで山分けすると豪語していたのだ。
    孤児院のシスター、胡散臭い牧師、妻と別れた善良な黒人男性、売れないシェイクスピア俳優、憧れの作家――道中、エ

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    2023年11月28日
  • ありふれた祈り

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    1961年、ミネソタに住む13歳のフランクと弟ジェイクとその家族の物語。
    その街に住むひとりの少年の死から物語は始まるものの、ミステリーというより、
    少年の成長や人間ドラマにポイントが置かれていて、じっくりとその世界を楽しめた。

    やんちゃでちょっと短絡的、だけど兄弟思いの兄と、
    吃音というハンデをかかえつつ、慎重で思慮深い弟の対比が良かった。
    最初は冒険を嫌い、前に出ない弟にヤキモキハラハラし、中盤からは「お兄ちゃんもいいとこあるやん!」と兄の印象も変化し、二人のことが大好きになった。
    ラスト付近で起こる奇跡にも胸が熱くなった。

    牧師であるこの兄弟の父親にも好感が持てた。
    信仰心を持たない

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    2023年07月22日
  • このやさしき大地

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    少年の冒険ものだけど、人々の交流に重点が置かれているように感じた。人間の様々な面を、少年は幼い純粋な心を通じて体感する。だが、その経験は厳しさと言うよりも、温かさのように感じた。

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    2023年06月23日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

     長きよき物語を読ませてもらった。アメリカの歴史には詳しくないし、寒い時代を肌で感じたこともないせいで、本当にこんなにひどかったのだろうかという、平和ボケした違和感にはつきまとわれた。ただそれ以上に、目的地に向けての逃避行と、それにまつわるいくつかの出会いはどれも面白いものだったし、子供なりの誤解や失敗も隣り合わせでスリリング。ともすればオディとアルバートの兄弟の関係が薄く見えそうなほどに、いい四人組のきょうだいだった。
    それにしてもモーズが(エピローグで成人してからも含めて)いいやつすぎてもう。

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    2023年04月28日
  • フォワード 未来を視る6つのSF

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    アメリカが誇る実力派SF作家の中編集。
    仮想空間内のキャラクターが人格を持ち始める編者クラウチの「夏の霜」から始まり、今や泣く子も黙る、飛ぶ鳥を落とす勢いのアンディ・ウィアーの量子コンピュータでカジノをハックする「乱数ジェネレータ」で締める。どれもモダンでキャッチー。イマドキのSF。退屈な小片などひとつもなかった。
    SF的素養はいらない。ほんの少しの想像力で豊かな読書体験ができる。よかったなー。

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    2023年04月18日
  • このやさしき大地

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    この長く苦しい子どもたちの旅に最悪を想像し、現にそうなりつつある場面に何度も遭遇したけれど、最後は報われたことでこのタイトルにも合点がいった気がした。読み終えた今はただ、胸がいっぱいだ。

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    2023年04月01日
  • このやさしき大地

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    ロードムービー見ているよう。少年と少女が川を下り、町にたどり着く。そこでの人との出会いでいやおうなく成長する、風景やハーモニカの音を背景に壮大なストーリーが繰り広げられました。第6部の展開に胸を打たれました。エピローグも大変印象的。こんな少年たちに出会うことはないだろうけれど、手を差し伸べられる大人でありたいと思いました。

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    2022年12月01日
  • このやさしき大地

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    教護院から抜け出し、ミネソタからセントルイスまでのお話。旅の途中で幾多の困難に遭遇しつつ、仲間と協力し合いながら成長していくある意味王道な筋運びなので安心して読めます。ハーモニカとアメリカ民謡が大事な要素として出てくるので、是非曲を聴きながら読みたいところ。今の時代サブスクでもなんでもですぐ探せるので。

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    2022年11月06日