宇佐川晶子のレビュー一覧

  • 夕陽の道を北へゆけ

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    ネタバレ

     ロードムービーのような小説を読みたくて、この本を手に取った。西部劇のようなタイトル。しかしこれはアメリカの荒野を馬車で渡ったような二世紀位前(?)の話ではなく、現代のメキシコの観光都市アカプルコから命からがら逃げてアメリカとの国境を渡った母と八歳の息子の話。
     彼らに何があったのか。
     主人公のリディアという女性は書店を経営し、夫は記者で、最近メキシコ最大の麻薬密売組織(カルテル)「ロス・ハルディネロス」とそのボスであるハビエルのことを暴露する記事を書いたため、ある日、目の前で夫や母親を含む親族13人を殺害され、助かったのは自分と八歳の息子だけだった。
     リディアはハビエルが自分と息子の命も

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    2020年10月11日
  • 賢者たちの街

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    圧倒された。ニューヨーク、1937年の大晦日からの一年間の出来事をほぼ30年後に回想する形をとっていて、キラキラ宝石を散りばめたような人間関係が描かれている。意識が高くアップタウンに昇り詰めようとする主人公の率直さも(多少の偽善も含めて)好感が持てる。当時の文学や音楽と共に、私が生きてもいない当時のマンハッタンの様子が懐かしくさえ感じられてならない。一気読みしたが、文中に表れるジンやカクテルの色々と美味しそうな料理の数々にも心奪われた。映画を観てるような作品だった。

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    2020年09月09日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。

    緊迫感溢れるロードノヴェルでした。

    まず、主人公のリディアが出だしで、楽しい友人だと思っていた人間が、親族16人を殺した悪魔だとわかった瞬間。
    生き残った32歳の母親が8歳の息子を連れて53日間移民となって2645マイルの、メキシコから合衆国までの旅をします。
    私は、移民というものを、今までほとんど知らなかったので、移民の命がけの困難がよくわかりました。
    作品全体に重苦しい雰囲気が絶えず流れていたように思います。
    なんで、この主人公たちはこんな理不尽な目に遭わなければならないのか全くわかりませんでした。
    移民というものは、みんなこんな

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    2020年08月13日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    ノンフィクションかのような壮大な物語。メキシコの国境に壁を作るという宣言もあったが、世界のあちこちで移民が捨て去られている現実を突きつけられた思いがする。最後が今までの緊迫した描写と打って変わってあっさりしていたのは、無事に辿り着いたと言う意味かな?もう少し最後までリアルであって欲しかった。リディアとルカに感動を有難うと言いたい。

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    2020年08月08日
  • エヴァンズ家の娘

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    ネタバレ

    ルーシーの手記で語られる過去と、ジャスティーンの現在というふたつのパートで語られる。過去に何があったのか。その手記の内容、出来事のなかにあるたくさんの感情、後悔や償い。そういうものが物語の根底にあって静かに語られながらも揺らぎが感じられる。さまざまな出来事のあった過去と現在に生きるジャスティーンの生活が徐々に交わっていく。さりげなく、でも確実に過去の出来事と重なり合っていき迎えるラスト。派手ではないからこそひとつひとつの細部まで情感に溢れ不安や悲しみが伝わってくる。

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    2018年06月11日
  • ありふれた祈り

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    少年の日の、ひと夏の事件を回顧する内容。
    初めて読んだ作家さんですが、切なく、確かな描写で、とてもよかったですよ。

    ミネソタ州の田舎町、1961年。
    13歳のフランクはやんちゃ盛りで、街中をすばしこく飛び回っていました。
    穏やかで博識な父親は牧師。
    母は、良家の出で、芸術家肌。
    二つ下の弟ジェイクは賢いが、緊張すると吃音になるため、からかわれることもあります。
    姉のアリエルは美しく、音楽の才能に恵まれていて、弟達にも優しい。
    一家の希望の星だった姉が行方不明となり、フランクの住む世界はとつぜん悲痛な色を帯び始めます‥

    豊かな自然に恵まれた町ですが、上流階級と庶民の住む区画は分かれています。

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    2016年02月11日
  • ありふれた祈り

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    犯罪を通して、宗教、人生観の違い、家族愛を描いたって感じ。一人一人の役割が重い。「解錠師」を思い出す。

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    2015年12月29日
  • ありふれた祈り

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    ネタバレ

    この作者の作品は以前読んだがさほど好みではなかったが…。
    この作品は少年が遭遇したひと夏の出来事が抒情的に、そしてすごく視覚的に描かれている。
    サスペンスという括りにするとさほどの事件も起きないし、犯人(真相)もあっさりと分かるのでは?
    でもこの作品は殺人事件を核にしながら、61年夏のアメリカの田舎町の生活や人間関係を少年の視線を通して濃密に描きこんで、文芸作品に近い。
    この時代を過ごした人々から見るとたまらなく懐かしく切ない物語であろう。
    またこの時代を共有しない我々でも、トマス・H・クック、ジョン・ハードの小説や、「スタンド・バイ・ミー」「グリーンマイル」のような映画、ホッパーの絵画に描き

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    2015年08月09日
  • ありふれた祈り

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    なかなかやるなあ、この人。

    "少年時代""大人になって振り返る"という点で、思わず「スタンド・バイ・ミー」を連想させられる。
    そして終わりには静かな余韻が用意されている。

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    2015年04月11日
  • ありふれた祈り

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    手にした段階から、自分好みの物語だとの予感がしました。アメリカ中北部ミネソタ、主人公が少年。大草原の小さな家? スタンドバイミー? ジェイムズディーンが出できそうな雰囲気、、、前半、なかなか舞台説明、人物紹介が長くてじらされますが(^^*)、待つだけ後半楽しめました。それだけ奥行きあり!

    性格の違う兄弟、どちらもいいです。
    庶民の生活、人生感にも見える神との距離。
    心の平和なることを祈る、与えられた境遇から、人それぞれ、か、、、

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    2015年03月23日
  • ありふれた祈り

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    ミネソタ州の小さな町に暮らす牧師一家を襲った悲劇、渦中におかれた13歳の少年の視点で事件の顛末が語られていく。1961年という時代設定もあってか、時間がゆっくり流れるような前半の語り口が味わい深い。感情の起伏を制御し家族や友人を慈しむ牧師である父親の言動と思春期の入り口で家族に降りかかる災厄に胸を痛める兄弟の姿が琴線に触れる。翻訳ミステリを丹念に読むという久しくなかった行為を楽しめる秀作。

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    2015年02月14日
  • ありふれた祈り

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     アメリカには少年の冒険小説がよく似合う。トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンに始まった少年が冒険する物語は、少年向けの小説であったとして、スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』やロバート・マッキャモンの『少年時代』などなぜかホラー作家の正統派少年小説として、かつて少年であった大人たちに読まれ、評価された名作として知られている。

     時を経て、リーガル・サスペンスの巨匠、兼売れっ子作家であるジョン・グリシャムですら、『ペインテッド・ハウス』というジャンル外の傑作をものにしている。そららの流れはミステリの世界にも受け継がれ、ジョー・R・ランズデールの『ボトムズ』や『ダークライン』などは

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    2015年01月22日
  • 罪人を召し出せ

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    あるいはそうだったのかも
    6世紀のイングランド王ヘンリー8世。妻である王妃も幾人も替わったけど、側近も替わった。

    ヘンリー8世に重用されたトマス・クロムウェル。宗教改革を進め既得権益を持つ教会を潰して財産を取り上げ、とされている。

    この小説での「彼」は、前作『ウルフ・ホール』と同様、辞書から受ける印象とは少し異なる。

    先に失脚したウルジー枢機卿を敬愛し、目の前の状況を切り抜け冷静沈着に生き抜いてきたら、今があったという感じ。

    ただ、誠実に一生懸命やっての今、というところと、狡猾に立ち回っての今、というところをゆらゆらと行き来しているようにも思える。

    吉となるか、凶となるかは、計算しつ

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    2015年04月04日
  • 愛の探偵たち

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    ネタバレ

    アガサクリスティ本を読み始めて、50冊を超えたので、
    だいたい話の展開方法がわかってきた。

    短編集なので、いろいろなパターンがつまっている。
    マープルものもたくさんはいっている。

    「三匹の盲目ねずみ」が一番最初で、一番ながそうなのに、なぜ本の題にならなかったのだろう。

    「三匹の盲目ねずみ」は、最後までどのパターンかが思いつかなかった。

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    2011年08月14日
  • モスクワの伯爵 下

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    ネタバレ

    翻訳小説特有の文章はなかなか頭に入ってこないけれど、物語自体は楽しめた。
    204ページ文中の「ここモスクワの状況も予測不能になる。手綱を取ることになる人間次第で、この首都の扉が世界に向けて大きく開くか、あるいはばたんと閉じて内側からかんぬきがかけられるか、変わってくる」
    今のロシアを象徴しているような言葉だ。

    ロシアの閉鎖的な政治背景も関係しているため「どうしてソフィアは髪を切ってまで逃亡しなければいけないのか?」など理解しにくい点もあった。
    せっかくピアノが上手なのに、ソ連から亡命してピアニストとしてやっていけるのかとか、大切な舞台の後に父親に任された任務があると、舞台に集中できないだろう

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    2026年05月30日
  • モスクワの伯爵 上

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    ネタバレ

    ロシア特有のワードや難しい言い回しもあり調べながら読んだ。前半だけで16年が経っていることに驚き。まさかニーナの子どもがいるとは…後半も楽しみ。
    モスクワに2年滞在したことがあったので、通りや地名はとても懐かしく、ロシアに行きたくなった。

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    2026年05月26日
  • モスクワの伯爵 下

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    ロシア革命により、高級ホテルに無期限で軟禁される刑(一歩でもホテルの外に出たら銃殺)に処された伯爵の前向きハートフル軟禁ライフ物語かと思いきや、けっこうなスリルを味わえてハラハラドキドキしてしまった。なんと大胆なーーー!

    伏線回収が怒涛の如くあり、いやこれ伏線回収なのは解るんだけど、伏線がどんなもんじゃったかが覚束ない。
    この人!この人、前のほうでチョイ役で出てたよね?そん時、何で出てた?どのエピソードの誰!?
    この手がかりに覚えがある!何!?何やった!?
    ・・・さらっとおさらいして、だいたい判ったのだけど、主席行政官だけが判らない。誰!?どこで出てた!?
    もう一回読み直さなきゃダメかーー

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    2026年04月28日
  • モスクワの伯爵 上

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    1922年、ロシア。革命政府に高級ホテル(の屋根裏部屋)無期限軟禁刑を言い渡され、ホテルから一歩外に出れば銃殺刑となったアレクサンドル・イリイチ・ロストフ伯爵の軟禁ライフ物語。

    主人公の伯爵はホテルから一歩も外に出ないのだが、ホテルのロビーやレストラン、バーの様子から革命後の近代ロシアの世風の移り変わりが知れて、実におもしろい。

    私が高級ホテルに軟禁されたら「うわーーー!お散歩許可をーーー!外の空気をーーー!」ってなりそうだけど、伯爵は積極的に軟禁ライフを過ごしていて、本に挟んであった栞に書いてあった「自分の境遇の主人とならなければ、その人間は一生境遇の奴隷となる」という言葉がズシリと来る

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    2026年04月23日
  • 愛の探偵たち

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    このところわりとヘビーな作品が続いたので、ここらで安心と信頼のクリスティーを。
    クリスティーの短編集はかなりあっさりな作品が多いのですが、これは短いながらもそれぞれの探偵たちのキャラの魅力が存分に発揮されており、読み応え◎な一冊でした(⁠^⁠^⁠)

    収録されているのはノンシリーズ1編、マープルもの4編、ポアロもの2編、そしてクィン氏1編。『謎のクィン氏』は未読なため、彼とはお初になります。
    マープルものはいずれも、セント・メアリ・ミード村の魅力爆発!という感じで(褒め言葉)、なんとも微笑ましく読ませてもらいました。特に「申し分のないメイド」で、かつて仕込んだメイドのために奮闘するマープルさん

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    2026年03月22日
  • 真実の眠る川

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    2部構成のミステリー。
    とある男の死。自殺か他殺か、殺人だとしたら犯人は誰か、犯行動機はなんなのか。
    気になるところだけど、普通のミステリーじゃない本作では、いきなり保安官が証拠品の指紋をぬぐいとる。
    ミステリーより人間ドラマや社会問題の方に重点が置かれている。

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    2026年03月07日