宇佐川晶子のレビュー一覧

  • 愛の探偵たち

    購入済み

    誤訳を発見

    収録作品の一編、「愛の探偵たち」の中に誤訳を発見しました。「ということは--六時五分から二十分までのあいだに、サー・ジェイムズは」(紙の本と違って、引用箇所のページ数をかけませんが、97%の箇所)という一節です。作中に、6:05という時刻が問題になる箇所はなかったので、変だなと思って、英語原文と比べてみたところ、原文は、
    'Then at – say five-and-twenty past six, Sir James was ...'
    でした。「六時五分から二十分までのあいだに」ではなく、「六時二十五分頃には」とすべきところです。

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    2020年11月23日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    ネタバレ

     ロードムービーのような小説を読みたくて、この本を手に取った。西部劇のようなタイトル。しかしこれはアメリカの荒野を馬車で渡ったような二世紀位前(?)の話ではなく、現代のメキシコの観光都市アカプルコから命からがら逃げてアメリカとの国境を渡った母と八歳の息子の話。
     彼らに何があったのか。
     主人公のリディアという女性は書店を経営し、夫は記者で、最近メキシコ最大の麻薬密売組織(カルテル)「ロス・ハルディネロス」とそのボスであるハビエルのことを暴露する記事を書いたため、ある日、目の前で夫や母親を含む親族13人を殺害され、助かったのは自分と八歳の息子だけだった。
     リディアはハビエルが自分と息子の命も

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    2020年10月11日
  • 賢者たちの街

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    圧倒された。ニューヨーク、1937年の大晦日からの一年間の出来事をほぼ30年後に回想する形をとっていて、キラキラ宝石を散りばめたような人間関係が描かれている。意識が高くアップタウンに昇り詰めようとする主人公の率直さも(多少の偽善も含めて)好感が持てる。当時の文学や音楽と共に、私が生きてもいない当時のマンハッタンの様子が懐かしくさえ感じられてならない。一気読みしたが、文中に表れるジンやカクテルの色々と美味しそうな料理の数々にも心奪われた。映画を観てるような作品だった。

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    2020年09月09日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。

    緊迫感溢れるロードノヴェルでした。

    まず、主人公のリディアが出だしで、楽しい友人だと思っていた人間が、親族16人を殺した悪魔だとわかった瞬間。
    生き残った32歳の母親が8歳の息子を連れて53日間移民となって2645マイルの、メキシコから合衆国までの旅をします。
    私は、移民というものを、今までほとんど知らなかったので、移民の命がけの困難がよくわかりました。
    作品全体に重苦しい雰囲気が絶えず流れていたように思います。
    なんで、この主人公たちはこんな理不尽な目に遭わなければならないのか全くわかりませんでした。
    移民というものは、みんなこんな

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    2020年08月13日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    ノンフィクションかのような壮大な物語。メキシコの国境に壁を作るという宣言もあったが、世界のあちこちで移民が捨て去られている現実を突きつけられた思いがする。最後が今までの緊迫した描写と打って変わってあっさりしていたのは、無事に辿り着いたと言う意味かな?もう少し最後までリアルであって欲しかった。リディアとルカに感動を有難うと言いたい。

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    2020年08月08日
  • エヴァンズ家の娘

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    ネタバレ

    ルーシーの手記で語られる過去と、ジャスティーンの現在というふたつのパートで語られる。過去に何があったのか。その手記の内容、出来事のなかにあるたくさんの感情、後悔や償い。そういうものが物語の根底にあって静かに語られながらも揺らぎが感じられる。さまざまな出来事のあった過去と現在に生きるジャスティーンの生活が徐々に交わっていく。さりげなく、でも確実に過去の出来事と重なり合っていき迎えるラスト。派手ではないからこそひとつひとつの細部まで情感に溢れ不安や悲しみが伝わってくる。

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    2018年06月11日
  • ありふれた祈り

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    少年の日の、ひと夏の事件を回顧する内容。
    初めて読んだ作家さんですが、切なく、確かな描写で、とてもよかったですよ。

    ミネソタ州の田舎町、1961年。
    13歳のフランクはやんちゃ盛りで、街中をすばしこく飛び回っていました。
    穏やかで博識な父親は牧師。
    母は、良家の出で、芸術家肌。
    二つ下の弟ジェイクは賢いが、緊張すると吃音になるため、からかわれることもあります。
    姉のアリエルは美しく、音楽の才能に恵まれていて、弟達にも優しい。
    一家の希望の星だった姉が行方不明となり、フランクの住む世界はとつぜん悲痛な色を帯び始めます‥

    豊かな自然に恵まれた町ですが、上流階級と庶民の住む区画は分かれています。

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    2016年02月11日
  • ありふれた祈り

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    犯罪を通して、宗教、人生観の違い、家族愛を描いたって感じ。一人一人の役割が重い。「解錠師」を思い出す。

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    2015年12月29日
  • ありふれた祈り

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    ネタバレ

    この作者の作品は以前読んだがさほど好みではなかったが…。
    この作品は少年が遭遇したひと夏の出来事が抒情的に、そしてすごく視覚的に描かれている。
    サスペンスという括りにするとさほどの事件も起きないし、犯人(真相)もあっさりと分かるのでは?
    でもこの作品は殺人事件を核にしながら、61年夏のアメリカの田舎町の生活や人間関係を少年の視線を通して濃密に描きこんで、文芸作品に近い。
    この時代を過ごした人々から見るとたまらなく懐かしく切ない物語であろう。
    またこの時代を共有しない我々でも、トマス・H・クック、ジョン・ハードの小説や、「スタンド・バイ・ミー」「グリーンマイル」のような映画、ホッパーの絵画に描き

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    2015年08月09日
  • ありふれた祈り

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    なかなかやるなあ、この人。

    "少年時代""大人になって振り返る"という点で、思わず「スタンド・バイ・ミー」を連想させられる。
    そして終わりには静かな余韻が用意されている。

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    2015年04月11日
  • ありふれた祈り

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    手にした段階から、自分好みの物語だとの予感がしました。アメリカ中北部ミネソタ、主人公が少年。大草原の小さな家? スタンドバイミー? ジェイムズディーンが出できそうな雰囲気、、、前半、なかなか舞台説明、人物紹介が長くてじらされますが(^^*)、待つだけ後半楽しめました。それだけ奥行きあり!

    性格の違う兄弟、どちらもいいです。
    庶民の生活、人生感にも見える神との距離。
    心の平和なることを祈る、与えられた境遇から、人それぞれ、か、、、

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    2015年03月23日
  • ありふれた祈り

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    ミネソタ州の小さな町に暮らす牧師一家を襲った悲劇、渦中におかれた13歳の少年の視点で事件の顛末が語られていく。1961年という時代設定もあってか、時間がゆっくり流れるような前半の語り口が味わい深い。感情の起伏を制御し家族や友人を慈しむ牧師である父親の言動と思春期の入り口で家族に降りかかる災厄に胸を痛める兄弟の姿が琴線に触れる。翻訳ミステリを丹念に読むという久しくなかった行為を楽しめる秀作。

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    2015年02月14日
  • ありふれた祈り

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     アメリカには少年の冒険小説がよく似合う。トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンに始まった少年が冒険する物語は、少年向けの小説であったとして、スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』やロバート・マッキャモンの『少年時代』などなぜかホラー作家の正統派少年小説として、かつて少年であった大人たちに読まれ、評価された名作として知られている。

     時を経て、リーガル・サスペンスの巨匠、兼売れっ子作家であるジョン・グリシャムですら、『ペインテッド・ハウス』というジャンル外の傑作をものにしている。そららの流れはミステリの世界にも受け継がれ、ジョー・R・ランズデールの『ボトムズ』や『ダークライン』などは

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    2015年01月22日
  • 罪人を召し出せ

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    あるいはそうだったのかも
    6世紀のイングランド王ヘンリー8世。妻である王妃も幾人も替わったけど、側近も替わった。

    ヘンリー8世に重用されたトマス・クロムウェル。宗教改革を進め既得権益を持つ教会を潰して財産を取り上げ、とされている。

    この小説での「彼」は、前作『ウルフ・ホール』と同様、辞書から受ける印象とは少し異なる。

    先に失脚したウルジー枢機卿を敬愛し、目の前の状況を切り抜け冷静沈着に生き抜いてきたら、今があったという感じ。

    ただ、誠実に一生懸命やっての今、というところと、狡猾に立ち回っての今、というところをゆらゆらと行き来しているようにも思える。

    吉となるか、凶となるかは、計算しつ

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    2015年04月04日
  • 愛の探偵たち

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    ネタバレ

    アガサクリスティ本を読み始めて、50冊を超えたので、
    だいたい話の展開方法がわかってきた。

    短編集なので、いろいろなパターンがつまっている。
    マープルものもたくさんはいっている。

    「三匹の盲目ねずみ」が一番最初で、一番ながそうなのに、なぜ本の題にならなかったのだろう。

    「三匹の盲目ねずみ」は、最後までどのパターンかが思いつかなかった。

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    2011年08月14日
  • リンカーン・ハイウェイ

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    更生施設から戻ってきたエメットは、亡くなった父親の牧場や自宅が借金の抵当になっている事を知る。エメットは、残された車で家を出た母親を探しに、弟のビリーとカリフォルニアを目指す。だが、そこに更生施設からこっそり抜け出してきたダチェスとウーリーが加わることになり…。

    第二次大戦後の米国を舞台にしたロード・ノベル。二転三転するストーリーにハラハラしながら10日間の物語が続く。
    ラストは、なんと言えば良いのやら、ダチェスはどうなったの???

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    2026年06月22日
  • 罪人を召し出せ

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    海外長編によくある、立ち上がり導入部の延々と続く情景描写、そして多くのカタカナ人名。
    筆者は丹念に文章を連ねるが、読者はこんな気持ちでいつまで読むのかと後悔とわだかまりで字面を追う。

    何でこんな気持ちで読まなければならないのか。
    小説を読むとはそもそも何なのか。
    ヒラリー・マンテルの作品の前半は、読者に文学や小説の存在そのものへの自問自答を強いる。

    数年前、この本を読もうとした時はこの葛藤に負けて、途中で振り落とされた。
    意味のわからなさに憤り、読むのをやめた。
    「ブッカー賞二度受賞・コスタ賞受賞」、クソ喰らえ。こんな作者をもてはやすイギリス文学界は何なんだと、本を投げつけてやりたい気分だ

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    2026年07月01日
  • 愛の探偵たち

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    ネタバレ

    前回読んだ「書斎の死体」がイマイチだったのであまり期待していなかったが、

    期待値が低かった分、意外と楽しめた。

    全部で8篇が収められている短編集で、

    ミス・マープルだけでなくポアロ(文章で読むのは初めて)も登場するし、

    解説を私が好きな西澤保彦が書いているという、

    個人的に豪華な並びだったのも嬉しかった。

    先日Eテレの「偉人の年収」みたいな番組でクリスティーを取り上げていて、

    クリスティーの原稿料の高さにビビりました。

    イギリス出身ということしか知らず、

    子どもがいて主婦業のかたわら執筆をしていたというのも知らなかった。

    何となく、1930~70年代くらいに活躍した人かと思

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    2026年06月19日
  • モスクワの伯爵 下

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    ロシア文学の知識が無い為しっかりと理解できてない部分はあるけど楽しめました。
    淡々と優雅な軟禁生活が描かれているのかと思っていたら、ハラハラしつつ結構細かい伏線と回収もあって好きなタイプの小説。
    『カサブランカ』を観直したくなりました。

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    2026年06月17日
  • モスクワの伯爵 上

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    私には珍しく「帯買い」。
    ロシアが舞台のため最初は読み慣れずに進まなかったけど読み進めるごとに速度が上がっていきました。
    詩を書いただけで「扇動した」と軟禁された伯爵の話。(今の日本も心配…)
    よく分からない部分も強引に読み進めてます。(海外小説あるある笑)

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    2026年06月19日