宇佐川晶子のレビュー一覧

  • このやさしき大地

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    ネタバレ

    『ザリガニの鳴くハックルベリー・フィン…みたいな』

    早くも本年の最高傑作が…
    『ザリガニの鳴くところ』が好きな人にオススメの一冊!
    表紙もどことなく似てますね…
    4人の子供たちの大冒険、是非、ご堪能ください!

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    2023年01月27日
  • このやさしき大地

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    二段組はとにかくボリューミー。
    オディたち四人の成長物語だけど、おとなに振り回されたかわいそうな子どもたちのはなしとも思った。
    結局、オディはどの場面がいちばん幸せだったんだろう。
    過去を回想したはなしなわけだけど、みんなで黒い魔女から逃げてカヌーにのって川を下った冒険の日々は忘れがたい思い出として、孫たちに語り続けていたんだから、やはりアルバート、モーズ、エミーの四人でいたときが辛くても幸せだったんだろうと思った。
    黒い魔女がオディの本当の母親を恨んでいたから復讐のためにそばに置いていたり、本当に腹が立つこともたくさんあるけど、気に入ったのは多種多様な人たちが出てくるところ。
    ユダヤ人コミュ

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    2023年01月02日
  • ありふれた祈り

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    読書備忘録696号。
    ★★★★★。

    翻訳される海外文学作品は、評価が高いから翻訳されている訳であり、やはりアタリが多い。
    アメリカの中北部州ミネソタ州を舞台に少年が大人になっていく様を描いた秀作。
    ミネソタ州はミシシッピ川があり、トム・ソーヤやハックリベリー・フィンが大冒険を繰り広げたり、大草原の小さな家でインガルス一家が住むウォールナットグローブがある。笑
    すなわち、豊かな自然に恵まれた牧歌的な風景がすごく似合う舞台。

    そんなミネソタ州のミネソタ・リバーのほとりの町ニューブレーメンで13歳の少年フランク・ドラムが初めて人の死、しかも最愛の家族の死に直面する残酷なひと夏の物語。そしてミステ

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    2022年11月18日
  • このやさしき大地

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    1932年に冒険へと出た少年たちの物語。孤児であるオディと兄のアルバート兄弟。兄弟と同じ教護院で暮らすモーズと母を亡くし孤児になったエミー。教護院での苦しい生活から逃げ出し目的地までの四人の旅が始まる。カヌーで川を下り野宿をしたり人と出会ったり。そして教護院の追手から逃げる。たどり着いた場所で出会う人たちとの交流と別れ。その中にある家族への想いや恋。生きていくことの厳しさ。大人を信じられない少年たちが徐々に見つけていくもの。感じ取っていくもの。読み終わってもオディが吹くハーモニカの音が残り続ける。

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    2022年10月21日
  • モスクワの伯爵

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    めっちゃ好き……
    大変な境遇だけどずっと陰鬱とした雰囲気じゃないので読んでて元気が出るし、出てくる人が親切で良かった……
    ソフィアが好きです。

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    2022年08月29日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    始めの1ページから最後まで読む手が止まらない。ルカの存在にどれほど勇気づけられたか。この本が麻薬、カルテル、移民について自分なりに学ぶきっかけとなった。移民一人ひとりがヒストリーを持った人間であるということを知ってもらいたいという筆者の思いが綴られたあとがきも感動した。

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    2022年08月28日
  • モスクワの伯爵

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    「優雅な生活が最高の復讐である」という言葉を地でいったような、ホテルという箱庭の中のめくるめく日々。限られた環境の中でも知性と明るさで朗らかに乗り切る伯爵の姿にこれこそが教養だ、という感じがした。

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    2022年05月05日
  • モスクワの伯爵

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    革命政府に無期限の軟禁刑を下され、高級ホテル「メトロポール」の屋根裏で、一生暮らさねばならなくなった、「アレクサンドル・ロストフ」伯爵。

    しかし、心技体ともに貴族としての誇り高き精神を持ち続ける彼の人生は、表向きは以前と変わらぬような、落ち着いた華やかさを見せているように感じるが、振り返ってみると、山あり谷ありの波乱万丈なものであり、大切な人との別れや、自分の人生を投げ出してしまいそうな時もあったが、気付いたら、やはり彼自身の人間性により、変わらぬ優雅さを纏って人生を歩む姿に、彼の、安易に譲ることのできない生き様を感じられたような気がしました。

    そして、その人生は、たとえ私が体験できないよ

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    2022年02月26日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    カルテルに親族16人殺されて、生き残った母子がメキシコからアメリカまで亡命する話。
    まず、圧倒的治安の悪さ。警察にも、ホテルの従業員にも、通行人も、みんなカルテルと繋がっているかもしれない。ずっと安心できない道中。

    ドキドキハラハラと言ったらなんか軽々しくなってしまうけど、なんといえばいいのか。
    ドキドキハラハラ+重厚感とかリアリティ

    圧倒的な残酷さ、でも絶望させられないのは愛とか優しさとかにも沢山出会うからかな。
    登場人物みんなの幸せを願わずにはいられない!

    最近の読書体験で間違いなくナンバーワン!

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    2022年01月21日
  • モスクワの伯爵

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    面白かった。
    軟禁生活の中でもハリを失わない伯爵の生活と、人柄。
    閉ざされた世界の中でも出会いと別れがあり、
    だからこその終わり方だと思った。
    自分が年齢を重ねた時、またもう一度読みたい。
    作中で娘に語り継がれた二つの言葉は私も大切にしたいと思った。

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    2022年01月20日
  • 鏡と光 上

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    ネタバレ

    わーお。
    親の因果が子に報い…じゃないけど。
    賢明なるカトリック両王とは言ってもやっぱり人の親。良かれと思って…異国に嫁ぐ娘の幸先を案じただけだったのに。巡りめぐって結局は、娘を不幸に、孫娘を苦境に、そしてイングランドを混迷に…。一見やりたい放題なヘンリー8世だけど、所詮は歴史の歯車でしかなかったのね。
    これぞクロニクルの醍醐味…いやこのシリーズ、主人公はクロムウェルだから、ヘンリー8世の治世の全貌ですらないけどな。
    長い長い三部作、ここにたどり着くのか。
    歴史って、こんなにも懐深く豊かなものか。
    久々に鳥肌が立ったわ…ってとこから先が長かったですわ。

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    2021年11月01日
  • モスクワの伯爵

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    ロシア革命後、革命政府にモスクワメトロポール・ホテルの屋根裏部屋での無期限の軟禁刑を下されたロストフ伯爵。元貴族だからという理由である。誇り高く、裏表のない人物であるロストフ伯爵のユーモアと思いやりに溢れた日々が綴られている。
    印象的な教えは、
    ・自分の境遇の主人とならなければ、その人間は一生境遇の奴隷になるということ。
    ・モンテーニュの金言ー叡智のもっとも確かなしるしは、常に朗らかであること。
    久しぶりに本の主人公のような人になりたいと思わされる一冊だった。ぜひ映像化されてほしい。

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    2021年10月11日
  • モスクワの伯爵

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    ホテルに一生軟禁。ロシア革命後の貴族の話なんて
    さぞかし陰鬱な話なんだろうなぁ。と思いきや
    180度違い、紳士で魅力的な伯爵は、決して投げやりにならず、友情や愛を育んでいきます。
    始まりから最後の1行まで面白くて魅了されました。

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    2021年09月14日
  • 賢者たちの街

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    恋愛小説であり、移民二世で労働者階級出身の聡明なヒロインがマンハッタンでいかにのし上がっていくかを描くサクセスストーリーでもあり、何より、魅力たっぷりな登場人物たちとの出会いや別れを描いたこの本は爽やかな青春小説だと思う。
    きらびやかで華やかで底抜けに明るいニューヨークとそこに生きる人々を描きながら、破滅を予感させるようなストーリー進行は「華麗なるギャツビー」を彷彿とさせる。

    個人的にはとっても映像化してほしい作品。見たいシーンがたくさんある。
    大晦日にティンカーが子供と一緒に雪合戦に興じるところ、ケイトがウォレスに銃の扱いを教えてもらうところ、普段は冷静沈着なケイトが取り乱しカフェでティン

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    2021年04月13日
  • モスクワの伯爵

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    ロシア革命の混乱期、爵位を持つ多くの白系ロシア人が国外へ逃亡し、異国にあって極貧の生活を余儀なくされたことはよく知られている。

    この物語の主人公であるロストフ伯爵も、革命政府のもと裁判を受け、銃殺刑こそ免れたものの、それまで暮らしていたホテルからの禁足を命じられる。もし、一歩でもホテルから出ようものなら銃殺だと脅されて。本書は32歳から始まった伯爵の軟禁生活を、最終章の64歳まで描き切る。このように書くと、いかにも悲しみと苦しみに満ちた物語を想像するかもしれないが、そんなことは全くない。実に愛すべき、ユーモアと出会いに満ちた物語である。

    それは、ひとえに主人公のロストフ伯爵がとても魅力的で

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    2021年01月20日
  • モスクワの伯爵

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    614頁!厚い!長い!読んでも読んでも終わらない。何度も挫折しそうになった。でも帯の『時代が変わっても残したいものがあった。革命後、ホテルに軟禁された伯爵。閉ざされた世界で彼は人生を再発見する』に支えられ、読後は感動が待ってるに違いないという思いで読み進んだ。主人公の伯爵はもちろんのこと、他の登場人物たちも人間味がありユニークで温かい。一生ホテルに軟禁という自分の運命を受け入れ前向きで知識が豊富な教養人、真の紳士とはこういうものか…と、思わせてくれる伯爵。とくに伯爵がソフィアに言った二つの助言は、自分も心に刻みたい。

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    2021年01月11日
  • モスクワの伯爵

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    2019年の緊急事態宣言時に購入
    閉ざされて世界で生きることになった男の話を、あえて、むしろ救いを求めて読む。でも「感動するぞ!」と意気込まないとやってられない様な状態に世界が一変した為、感覚のバランス(この本を買った理由と価格に引っ張られ過大評価しないか)が保てなくなり、また非常に仕事が忙しくなったため中断
    2020年、再挑戦

    1922年、モスクワ。
    革命政府に無期限の軟禁刑を下されたロストフ伯爵。
    高級ホテルのスイートに住んでいたが、これからはその屋根裏で暮らさねばならない。
    ホテルを一歩出れば銃殺刑が待っている。

    ホテルでの軟禁生活が始まったばかりの頃に出てくる
    「自分の境遇の

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    2021年01月11日
  • 愛の探偵たち

    購入済み

    誤訳を発見

    収録作品の一編、「愛の探偵たち」の中に誤訳を発見しました。「ということは--六時五分から二十分までのあいだに、サー・ジェイムズは」(紙の本と違って、引用箇所のページ数をかけませんが、97%の箇所)という一節です。作中に、6:05という時刻が問題になる箇所はなかったので、変だなと思って、英語原文と比べてみたところ、原文は、
    'Then at – say five-and-twenty past six, Sir James was ...'
    でした。「六時五分から二十分までのあいだに」ではなく、「六時二十五分頃には」とすべきところです。

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    2020年11月23日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    ネタバレ

     ロードムービーのような小説を読みたくて、この本を手に取った。西部劇のようなタイトル。しかしこれはアメリカの荒野を馬車で渡ったような二世紀位前(?)の話ではなく、現代のメキシコの観光都市アカプルコから命からがら逃げてアメリカとの国境を渡った母と八歳の息子の話。
     彼らに何があったのか。
     主人公のリディアという女性は書店を経営し、夫は記者で、最近メキシコ最大の麻薬密売組織(カルテル)「ロス・ハルディネロス」とそのボスであるハビエルのことを暴露する記事を書いたため、ある日、目の前で夫や母親を含む親族13人を殺害され、助かったのは自分と八歳の息子だけだった。
     リディアはハビエルが自分と息子の命も

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    2020年10月11日
  • 賢者たちの街

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    圧倒された。ニューヨーク、1937年の大晦日からの一年間の出来事をほぼ30年後に回想する形をとっていて、キラキラ宝石を散りばめたような人間関係が描かれている。意識が高くアップタウンに昇り詰めようとする主人公の率直さも(多少の偽善も含めて)好感が持てる。当時の文学や音楽と共に、私が生きてもいない当時のマンハッタンの様子が懐かしくさえ感じられてならない。一気読みしたが、文中に表れるジンやカクテルの色々と美味しそうな料理の数々にも心奪われた。映画を観てるような作品だった。

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    2020年09月09日