宇佐川晶子のレビュー一覧

  • ありふれた祈り

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    ミステリというカテゴリーやけど、情景とかが浮かぶ文章とか、少年から成長していく部分とか、文学としても良かったと思う。

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    2025年11月09日
  • 鏡と光 下

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    端々に散りばめられた何気ない描写のひとつひとつがラストへの伏線だったり、史実として残っているエピソードに繋がるキーワードだったり…読めば読むほど、歴史を知れば知るほど面白さが増す作品だった。主人公のクロムウェルはもちろんのこと、彼を取り巻く様々なキャラクター、特にヘンリー8世の解像度が凄い。野望、喜び、葛藤と苦悩、慈悲、無慈悲…文書の中で彼らの生きる呼吸が聞こえるようだった。

    もっとマンテルの作品を読んでみたいが現在翻訳されているのはクロムウェルの三部作のみ。他作品の翻訳もぜひ刊行して欲しい。

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    2025年07月30日
  • 揺れる輪郭

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     面白かったのだけれど、理解に自信がもてない。結局、何が真実だったのか、確認したくなる。
     精神科医であるブライスウェイト、そこに通院し自死したヴェロニカ、その妹であり原因を探るべく偽名を使ってセラピーを受けるわたし、精神科医とわたしの何が演技で何が真実で、どこに本音があるのか、どんどん分からなくなってゆき、ヴェロニカの存在さえも疑いたくなった。タイトル通り、読むほどにキャラクターのイメージが揺れてゆく。
     ブライスウェイトが、虚構の多いわたしとのセラピーで、『実際に起きたこととかはどうでもいい、大事なのは、きみが話すことに決めたのがこの話であるということなんだ』と言ったことが、印象深い。この

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    2025年07月06日
  • 約束

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    家族の歴史を壮大に綴る傑作だ。雷に打たれてドラマが始まる。読み終わって重厚なシンフォニーを聴き終えた気分。

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    2025年01月30日
  • ありふれた祈り

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    ネタバレ

    1961年夏。ニューブレーメンに住んでいた「わたし」ことフランク・ドラムの級友が、構脚橋の線路で列車にはねられて死んだ。それを皮切りに、現場近くで亡くなっていた身元不明の男、フランクの姉アリエル、アリエルの友人カール・ブラント…と多くの人の死が続いていくが、特にアリエルの殺害事件をめぐっての家族や周囲の人々の動きが本作の中心になっている。
    フランクの父ネイサンは牧師だ。もとは弁護士を目指していたが、戦争で人を殺す経験をして牧師になった。フランクの母ルースはそれを不満に思っている。決して怒らず、情熱的に話すわけではないが静かに説教をして人々に神の存在を宣べ伝える姿は、神のように絶対的に正しい姿に

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    2025年01月04日
  • モスクワの伯爵

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    翻訳を挟むので文のリズムに乗るまで少し時間がかかるが、乗ってしまうとあっという間に読んでしまう。ロストフ伯爵の骨の髄まで染み込んだ紳士ぶり、博識ぶり、哲学的な語り、それにいくつになってもユーモアを忘れないチャーミングなお人柄がこの本に彩りを与えまくっている!
    気づいていない伏線なんかもたくさんありそうですし,ロストフ伯爵にもまた会いたいので絶対また読みます。

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    2024年10月26日
  • モスクワの伯爵

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    映画化もされた2016年のベストセラー(邦訳は 2019年)。ストーリーの奇抜さ、時代背景、登場人物の魅力、細部の描き方とどれをとっても秀逸で、十分に長い小説ではあるのだが、読み終わるのが惜しくなるほど。最近読んだ小説の中では間違いなく最も秀逸な傑作。

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    2024年08月15日
  • リンカーン・ハイウェイ

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    ネタバレ

    神に見放されたと思った時、自分でどうにかする力がある。
    人生はダイヤモンドを横にした図。いつの間に狭くなって最期は1点になる。
    とどまるから、外側には羨望、内側は強欲に。
    移動しよう。未来は、自分で何にでもなれる。
    怒りは10秒数えて静める。自分の人生を棒にふらない。友は選ぼう。
    ホワイトライ。

    ラストが予想外。確かにアメリカ人が好きそうな映画のような終わり方!
    面白かった。
    ページターナー。
    モスクワの伯爵より好き。
    サリーは、あの時代から次の新しい時代の女の生き方!
    ソー サリー キャン ウェイト♪
    2024年に読んだ本で1番好きです。

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    2024年07月28日
  • 約束

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    ネタバレ

    なんだこれ。すぐには感想が整理出来ない。え?え?と思いながらぐいぐい読む。グルーヴがある。力がある。明るいわけじゃないが、決して陰鬱じゃない。

    今年読むべき1冊であることは間違いない。

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    2024年06月30日
  • このやさしき大地

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    すごく読みやすくて深く没入でき、爽やかな読後感。
    子どもがその年ごろになったらぜひ読んでもらいたい話でもある。
    頼れる家族、仲間という括り、どんなに大変な環境でもへこたれず、他人に手を差し伸べられる人々(逆の人もいるが)、勇気をもらえる話だと思う。
    1930年代のアメリカのことは無知だったが、インディアンなど、急に生きづらくなった人が多かったんだなぁ、、
    あと過去が見えたり未来が見えたりという人もいるが、最初こそ"リアルさとは…"と思ったが、だんだん抵抗がなくなっていく不思議。
    折を見て読み返したい。

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    2024年04月23日
  • リンカーン・ハイウェイ

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    ネタバレ

    読み応えありすぎのロードノベル。深い味わいがジワーっと沁みてくる文章で描かれる、主人公格4人と脇を固める個性的な登場人物の考えや生き様が実に良い。人生を旅する小説の魅力が670Pを超えるページ数にすらあふれるほどに詰まっている傑作。

    分厚さと多視点の構成に敷居を高さを感じるが、難解な文章でもなくリズムも程良くて次第にはまっていく。腕がダルクなる書籍の重さはツラかったが(笑

    エメットとビリー兄弟、ダチェスとウーリーの脱獄組、きっちり姐さんのサリー、ユリシーズ、タウンハウス、アバカス…かれらの生き様思想のタペストリーが編みこまれた先のラスト。好みが分かれると色んな書評に書かれているが(俺は絶対

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    2024年04月21日
  • モスクワの伯爵

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    人生を投げないって実はすごく難しくて、かっこよくて、魅力的!正しく、賢く、健やかに!健気に!生きたいな!

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    2023年11月02日
  • リンカーン・ハイウェイ

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    ネタバレ

    ロードノベルかと言われると、自信を持って頷けない部分もあるかなぁ。読書体験そのものはたしかにロードノベルだけれど(笑)

    クセノスは歴史上の人物の名前のように聞こえるがクセルクセス(古代ペルシャ王)とかきセノフォン(古代ギリシャの軍人、哲学者)とかのような人名ではない。 クセノスは外国人、見知らぬ者、友人を意味する古代ギリシャの言葉だ。もっと簡単に言うなら、他者である。アバーナシー教授の言うように、 クセノスは人がほとんど気づかない、目立たない身なりをした、その辺にいる者のことだ。歴史全体を通してさまざまな姿で出現した。 夜警や従者、使者や小姓、店主、給仕あるいは放浪者として普通は無名で、得体

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    2023年09月25日
  • このやさしき大地

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    1932年、ミネソタ。ネイティヴアメリカンの子供たちが集団生活を送るリンカーン教護院。施設の中で、唯一の白人である孤児のオディとアルバート兄弟は、生意気な態度で日頃から院長に目を付けられていた。ある日、横暴な管理人をふとしたことから殺してしまったオディは、兄のアルバート、親友でスー族のモーズ、竜巻で母親を失い孤児になったばかりの幼いエミーと共に、教護院から逃げることを余儀なくされてしまう。オディとアルバートのおばが住んでいるというセントポールに行くため、四人はカヌーで川を下り、一路ミシシッピ川を目指す。旅の途中、出会いと別れを繰り返した四人が知った秘密とは―?

    著者の作品を読むのは、「ありふ

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    2023年09月23日
  • 賢者たちの街

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    先に読んだモスクワの伯爵も良かったが、こちらは兎に角オシャレで、洗練された主人公の女性の生き方が、何ともカッコ良かった。久しぶりに良い本を読んで凄く満足した。

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    2023年09月15日
  • このやさしき大地

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    1932年夏、ミネソタ
    物語の舞台は大恐慌時代のアメリカです

    主人公は12歳の少年、オディ。
    ネイティヴアメリカンの子供たちが集団生活を送るリンカーン教護院で暮らしていた。
    施設の中で唯一の白人である孤児のオディと兄のアルバートは、ある事件から施設に居られなくなり、逃亡することになる。

    親友でスー族のモーズと、竜巻で母親を失ったばかりの幼いエミーと共に、兄弟の叔母がいるセントルイスへ向かう。
    4人はカヌーで川を下り、ミシシッピ川を目指すのだが…

    ひと夏の冒険物語なんて甘い話じゃない
    これは本気で命懸けなんだ


    私はこの本を読み進めていくうちに、アメリカの歴史的背景についての様々を知るこ

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    2023年08月27日
  • フォワード 未来を視る6つのSF

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    ネタバレ

    「夏の霜」ブレイク・クラウチ
    人工知能モノ。最初は世界観が飲み込めなかったが、ゲームだとわかり、そこからは新しい人工知能の誕生にワクワクした。主人公が女性でレズビアンなのがイマドキ。でも子育てや夫婦?仲がうまくいかないところは普遍的。
    主人公と一緒になってマックスに騙された。ブライアンを殺すところはゲームと一緒だったな。
    “喉の奥に金属の味がする。”の絶望感が良かった。
    AIに愛された人類はAIのようにされてしまうのか。

    「エマージェンシー・スキン」N・K・ジェミシン
    宇宙人モノ。はるか昔に分化した地球人類だが。
    温度差がシュールで笑ってしまう。一大隠密プロジェクトのはずが、地球の人には筒抜

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    2023年08月17日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

    これは超絶好きなやつ。
    アメリカ中西部を舞台とする、悲運にまみれた少年少女達が旅路の中で過酷な現実をくぐり抜けつつ逞しく、そして眩しいほど真っ当に成長してゆく物語。
    いわゆるロードノベル。

    似たような雰囲気の作品でぱっと思いつくのは『東の果て、夜へ』なのだけれど、あれは前半がいまいちだったのに対して、本作はもう最初から最後まで胸を掴まれっぱなし。
    いじらしい展開、残酷なまでの運命の悲劇という点では『われら闇より天を見る』の色合いも持っているが、あちらよりも幾分穏やかな心持ちで少年少女の顛末を見守ることができる。

    時は1932年ミネソタ。
    幼くして父母を失った兄弟(兄アルバートと弟オディ)は

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    2023年05月21日
  • このやさしき大地

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    1932年、ネイティヴアメリカンの子どもたちが集団生活を送るリンカーン教護院の施設から逃げたオディと兄のアルバートにモーズとエミーの4人。
    彼らが、オディとアルバートのおばさんが住むセントポールを目指して、カヌーで川を下り旅に出る。

    劣悪で過酷な労働を強いられた苦痛から逃れ、新しい人生へと希望を持っていた旅であったが、行く先々でもさまざまな試練があった。

    冒険ということばよりももっと深くて重くてそして、貴重で価値がある体験のようだ。

    いろんな家族や大人たちと出会うたびに彼らにとっては敵なのか見方なのかを探りながら、助けたり援助してもらったり、そして導いてもらいながら成長していく姿は感動で

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    2023年05月04日
  • このやさしき大地

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    素敵★5 幼く貧しい少年少女たちの逃避行… 人生と家族について学び多き物語 #このやさしき大地

    ■あらすじ
    1932年のアメリカの小さな街。ある教護院でネイティブアメリカンや孤児たちが、貧しくも辛い労働を強いられる暮らしをしていた。主人公の兄弟と友人たちは、問題を起こしてしまい教護院から逃げることを余儀なくされてしまう。
    彼らは自分たちの家族を見つけるため、密かにカヌーで川を下っていく…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    めっちゃいい話★5
    さすがはアメリカ産のミステリー、物語として完成度がバチクソ高い。彼らの人生をずっと傍から見ていたくなるような素敵な小説でした。

    本作の良いところをあげる

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    2023年03月09日