宇佐川晶子のレビュー一覧

  • 賢者たちの街

    Posted by ブクログ

    『モスクワの伯爵』で、とんでもない逸材を引き当てたと思ったエイモア・トールズの、これが長編デビュー作。一九二〇年代から一九五〇年代のロシアを舞台にしたのが『モスクワの伯爵』なら、これは一九三七年のアメリカ、ニューヨークが舞台。まるでタイムマシンに乗ってその地を訪れているかのような、ノスタルジックな世界にどっぷり浸れるのがエイモア・トールズの描き出す作品世界。デビュー作とは思えない完成度の高さに驚かされる。

    一九六六年十月四日の夜、中年の後半に差しかかっていた「わたし」はニューヨーク近代美術館で開かれた写真展のオープニング・パーティに出席した。黒のタキシードと色とりどりのドレスがシャンパンで酔

    0
    2020年09月09日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    いくつもの死に向き合う中で成長する兄弟。
    とりわけひとつは最愛の姉の死。

    姉の死にまつわるフーダニットの目くらましも悪くない。
    また、そういったミステリ性をおいておいても、周囲の人々との繋がり、母の心身崩壊と再生を通じて過ぎて行く少年時代の特別時間の描き方がとても良いと感じた。

    時間の軸を進め、関係者達のそれぞれの死でこの物語を締めくくっていくところもふさわしいクロージングだった。

    0
    2019年08月20日
  • エヴァンズ家の娘

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    3世代にわたる、どこかいびつな人生と対峙している女性たちの物語。

    はたから見るとそれぞれ自己中心的と思えることばかりしているような彼女達だが、人間は完璧ではないので、それぞれが折り合いをつけて生きていくしかない。そんな息苦しい現実とその中に時折のぞく光をうまくドラマに仕立てた筋の中に過去の少女失踪の謎が挟み込まれながら進んでいく過程がおもしろい。

    ありがちではあるが全く予想していなかった背景に、そうきたかと思った。がらりと物語の見え方が変わった瞬間。その瞬間までその線は完全にノーマークだった。

    0
    2018年06月23日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    ★3.5

    少年達のひと夏の思い出は、キングの『スタンド・バイ・ミー』や『IT』を彷彿とさせ、取り返しのつかない過ちを回顧する語りは、クックの『記憶』シリーズを思い起こさせる。ただクック作品とは違い、ミステリやサスペンス色はかなり薄く、事件は起きても爽やかさ(と言うには死が身近すぎるが)が前面に出ている印象だ。

    主人公兄弟の忘れ得ぬ夏は一人の少年の事故死から始まり、あまりにも痛ましい悲劇を経て否応なく子供達を大人へと成長させる。子供らしい好奇心がひとつの悲劇を生むきっかけを作ってしまうくだりは読んでいて痛ましいが、この後に迎える家族の再生と奇跡はその悲劇ゆえに心に響くものがある。

    0
    2017年09月17日
  • ウルフ・ホール 下

    Posted by ブクログ

    上巻に続き、登場人物の争いが激しさを増す。結婚、信仰、裏切り、謀略、暗殺、処刑、忠義などが絡み合う。勝利者となった者も、最終的には君主の気まぐれに翻弄される。イギリス版徒然草的な要素。

    0
    2017年03月26日
  • ウルフ・ホール 上

    Posted by ブクログ

    発売当時、欧米で大きな賞を総なめにしたという話題の書。これも長らく積ん読だったもの。16世紀のイギリスを舞台に、王妃との離婚を望む国王ヘンリー8世、議会、教会・教皇、貴族たちの思惑や陰謀を、トマス・クロムウェルの視点から描いたもの。登場人物が多すぎて最初はとっつきにくいが、書評にあるようにどんどん引き込まれる。500年も前の歴史小説であれが、人間臭さは現代と変わらず、そこが面白いのかも。

    0
    2017年03月12日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    ドイツ系住民の多い、ミネソタの田舎町の殺人。

    牧師の父とその家族が経験する夏。
    引き込まされる。

    0
    2017年02月04日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    他の方のご指摘の様に、スティーブン・キングの
    「スタンド・バイ・ミー」っぽい事は否めないかも。
    ですが、逆を云えばああいうテイストが好きならば
    十二分に楽しめる事間違いなしです。

    何より、行間から匂い立つような夏の強い日差し、
    カラカラに乾いた砂や土、ひんやりとした石切り場、
    咽るような草の香りに、汗。
    著者の表現力の素晴らしい事!
    死や悲しみ(差別的な事も多々)を根底に置きながら、
    美しくまとめ上げ、そしてこのさわやかな読後感よ。
    おお、神よ(笑)

    あと、地味に食べ物の描写が好きでした。
    ガスがドラム家の台所で作るポテトとチーズの料理が
    美味しそうです食べたいです。

    解説を読んで知った

    0
    2016年12月30日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    いろいろな事を考えさせられる深い本だった。ミステリーというよりも「祈り」と「赦し」の本。背景描写も登場人物の心理描写も 素晴らしく静かに落ち着いて心に訴えかけるのは 翻訳も良かったからだろう。ただ自然信仰と神道と仏教を足して割ったような考え方を持ってる私には どうしてもキリスト教の教えを骨にして書かれているこの本の作者が伝えたかったであろう事は 心の底からは やはり理解できない部分が残る。それでも 読んで良かったと思える 深い本だった。

    0
    2016年08月28日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    トマス.クックが好きなひとははまる。確かに、ミステリー色は薄いが、アメリカの片田舎の都市のよき文化と悪しき文化が匂いたつ。なぜか、行ったこともないのに、懐かしい気がするのはどうしてなんだろう。

    0
    2016年06月21日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    ボビー少年と旅の人の死、この二つの死の真相については結局語られなかったな。正し過ぎる人は周囲の親しい人達を追い詰めてしまう可能性があるのかも。

    0
    2016年03月03日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    コーク・オコナーのシリーズは未読のまま。ウィリアム・ケント・クルーガーの作品を初めて読む。

    あの夏のすべての死は、ひとりの子供の死ではじまった――。1961年、ミネソタ州の田舎町で穏やかな牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能がある姉、聡明な弟とともに暮らす13歳の少年フランク。だが、ごく平凡だった日々は、思いがけない悲劇によって一転する。家族それぞれが打ちのめされもがくうちに、フランクはそれまで知らずにいた秘密や後悔に満ちた大人の世界を垣間見るが……。少年の人生を変えた忘れがたいひと夏を描く、切なさと苦さに満ちた傑作ミステリ。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作!

    教会付属の幼稚園に

    0
    2016年02月02日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    ミステリーというより,家族の物語としての重みが先に来て,読み応えたっぷりの満足感がある.現在の私が40年前を振り返って書くという形式で,13歳の少年にすぎない私の考察も重厚になって,一夏の経験というにはあまりにも次々起こる出来事に崩壊していく家族と踏みとどまる人の強さがぎっしり詰まっている.ニューブレーメンという街の様子もそこにあるかのようで,川や草原や吹きゆく風など匂いなども確かに感じられた.吃音の弟ジェイクに訪れた奇跡に感動した.

    0
    2016年01月25日
  • ありふれた祈り

    Posted by ブクログ

    アメリカの家族もの、とりわけ父子ものはちょっと苦手だけれど、これはおもしろく読めた。主人公の少年、父母、姉と弟、周囲の人々、それぞれの造型にリアリティがあって、しみじみ胸に迫る物語になっていると思う。

    ミステリとしての「真相」は、そういうのに鈍い私でも途中で見当がついたし、すごく派手な展開があるわけでもない。同じようなのをどこかで読んだような気もする。それでも最後までぐいぐい読まされた。あざとさのない語りがいい。欠点のない人などいないし、苦しみのない人生もないけれど、人は生きていくのだ。そんなことを思った。

    0
    2015年08月04日
  • 愛の探偵たち

    Posted by ブクログ

    マウストラップの舞台を観てから読みました。犯人わかってるけれど面白いです。短編だから通勤中に飽きずに楽しめます。

    0
    2014年11月24日
  • 無限コンチェルト

    Posted by ブクログ

    「女王天使」「火星転移」などで私の心をガッチリ掴んだベアのファンタジーを古書店で拾う。ふとした瞬間の、隣に異世界があるところが、スケールの大きなSFを書くベアからは想像できなくて、最初少しとまどったが、どうしてどうして、幻想的な描写もうまいじゃないか。

    0
    2013年11月17日
  • 愛の探偵たち

    Posted by ブクログ

    「ねずみとり」原作と、マープル、ポアロ、ハーリ・クィンの短編。

    舞台「マウストラップ」を観た後に読んだ。舞台では表情から読み取るしかない心情の部分が、地の文で説明されるのでわかりやすいし、戯曲版では主要人物が増えているので、違いを比べて楽しめた。

    その他は、どれも記憶にある短編。

    舞台を見た時に何故かすぐ犯人がわかったのだが、多分この本は読んだことがあったんだな…。

    0
    2013年03月27日
  • ウルフ・ホール 下

    Posted by ブクログ

    16 世紀イングランドを少し勉強してから読むと良いな。
    中世の宮廷、宗教、政治って結構怖い。
    だから物語の素材として魅力的なんだろうが。

    2009 年 ブッカー賞受賞作品。
    2009 年 全米批評家協会賞受賞作品。

    0
    2011年08月23日
  • ウルフ・ホール 上

    Posted by ブクログ

    16 世紀イングランドを少し勉強してから読むと良いな。
    中世の宮廷、宗教、政治って結構怖い。
    だから物語の素材として魅力的なんだろうが。

    2009 年 ブッカー賞受賞作品。
    2009 年 全米批評家協会賞受賞作品。

    0
    2011年08月23日
  • モスクワの伯爵 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    上下巻とも読んだ者です。
    上巻は当時のロシア貴族の思想や習慣、生活ぶりが描かれています。まさに世界を巻き込んでの激動の時代ですので、国も混乱状態。そんな中伯爵はロシア貴族としての誇りや生き様を監禁されている身でありながら悠々と示してくれています。
    翻訳故の独特な言い回しが新鮮で堅苦しく感じる所もありましたが、日本人とは違った感性を持った方々のお話はとても興味深かったです。
    伯爵の人生の終着点を見るべく下巻へ。

    0
    2026年06月03日