宇佐川晶子のレビュー一覧

  • このやさしき大地

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    少年の冒険ものだけど、人々の交流に重点が置かれているように感じた。人間の様々な面を、少年は幼い純粋な心を通じて体感する。だが、その経験は厳しさと言うよりも、温かさのように感じた。

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    2023年06月23日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

     長きよき物語を読ませてもらった。アメリカの歴史には詳しくないし、寒い時代を肌で感じたこともないせいで、本当にこんなにひどかったのだろうかという、平和ボケした違和感にはつきまとわれた。ただそれ以上に、目的地に向けての逃避行と、それにまつわるいくつかの出会いはどれも面白いものだったし、子供なりの誤解や失敗も隣り合わせでスリリング。ともすればオディとアルバートの兄弟の関係が薄く見えそうなほどに、いい四人組のきょうだいだった。
    それにしてもモーズが(エピローグで成人してからも含めて)いいやつすぎてもう。

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    2023年04月28日
  • フォワード 未来を視る6つのSF

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    アメリカが誇る実力派SF作家の中編集。
    仮想空間内のキャラクターが人格を持ち始める編者クラウチの「夏の霜」から始まり、今や泣く子も黙る、飛ぶ鳥を落とす勢いのアンディ・ウィアーの量子コンピュータでカジノをハックする「乱数ジェネレータ」で締める。どれもモダンでキャッチー。イマドキのSF。退屈な小片などひとつもなかった。
    SF的素養はいらない。ほんの少しの想像力で豊かな読書体験ができる。よかったなー。

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    2023年04月18日
  • このやさしき大地

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    この長く苦しい子どもたちの旅に最悪を想像し、現にそうなりつつある場面に何度も遭遇したけれど、最後は報われたことでこのタイトルにも合点がいった気がした。読み終えた今はただ、胸がいっぱいだ。

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    2023年04月01日
  • このやさしき大地

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    ロードムービー見ているよう。少年と少女が川を下り、町にたどり着く。そこでの人との出会いでいやおうなく成長する、風景やハーモニカの音を背景に壮大なストーリーが繰り広げられました。第6部の展開に胸を打たれました。エピローグも大変印象的。こんな少年たちに出会うことはないだろうけれど、手を差し伸べられる大人でありたいと思いました。

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    2022年12月01日
  • このやさしき大地

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    教護院から抜け出し、ミネソタからセントルイスまでのお話。旅の途中で幾多の困難に遭遇しつつ、仲間と協力し合いながら成長していくある意味王道な筋運びなので安心して読めます。ハーモニカとアメリカ民謡が大事な要素として出てくるので、是非曲を聴きながら読みたいところ。今の時代サブスクでもなんでもですぐ探せるので。

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    2022年11月06日
  • このやさしき大地

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    1932年のアメリカを舞台とするロードノベル。
    “インディアン”の子供達が集団生活を送るリンカーン教護院に、オディとアルバートの白人兄弟がいた。ある日大変な事件が起き、2人は友人のモーズ、孤児のエミーと共に脱走し、セントルイスを目指すが……。
    12歳のオディはその生意気な言動で様々なトラブルを起こし、なかなかに苛つかせてくれる。でも憎めない少年だった。軽く超自然要素も入り、読み応えのある大作だった。タイトルは皮肉か真実か悩む。
    『ありふれた祈り』の姉妹編らしいが未読。本作がとてもよかったのでそちらも読みたい。

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    2022年10月30日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    「自宅を捨て、文化を捨て、家族を捨て、母語すらも捨てて、望んでもいない遠くの国という夢にたどり着くチャンスのために、命をかけて大きな危険に飛び込んでいくのだ」

    つい先日ベネズエラで大洪水が発生し、住むところを奪われ難民となったひとたちが徒歩で北(アメリカ)を目指すというニュースを見ました

    マジか!無理じゃね?と思いました
    命の危険なんて感じたことのないぬくぬくのほほんハポネス(スペイン語で日本人の意)の典型的な感想ですよね

    考えないようにしてるんですよね、きっと
    考えたら心折れますもん
    折れたらもう終わりですもんね

    本作の主人公リディアはメキシコはアカプルコから北を目指すので距離的には

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    2022年10月28日
  • 愛の探偵たち

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    短編集。探偵役も様々で、まさに寄せ集めという印象。
    メインはおそらく、三匹の盲目のネズミ。キーポイントは他作品と同様なものがあったと思うが、うまく解決している話と思う。

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    2022年09月28日
  • このやさしき大地

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    ネタバレ

    ゲラ読みモニターに当選し、一足に読ませていただく機会に恵まれた。2段組約470ページという長い物語だけれど、4人がカヌーで川を下っていく間、ずっと一緒にカヌーに乗っていたような気がする。善い人にも悪い人にも出会い、ひどい目にあったり助けられたりしていくので、成長物語として、冒険物語として面白く読んでいけるけれど、ラスト30ページほどは、彼らが生き抜く現実の圧倒的な展開に驚く。決して軽くはないけれど、後味はちょっと風が吹いたような。

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    2022年09月14日
  • ありふれた祈り

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    悲しい物語

    でもミネソタ州の田舎町の風景と人々の情感がたっぷりで、荘厳な家族愛の映画を見終わったような、満足感と脱力感を感じる物語。

    1961年夏
    牧師の父と美しい母と姉に囲まれ、吃音障害を持つ弟と13歳の主人公フランクが経験した特別なこの夏の出来事。

    自身の心の底に住み着いた戦争の後遺症ゆえに、ひたすら“神”の道を進む父の言葉は、困難にあった町の人びとの心にいつも寄り添っていた。
    自分の家族に起こった困難のとき、母はそんな夫に「せめて今日だけは“ありふれた祈り”にして……」とつぶやく。

    キリスト教の赦しや救済について、疑い迷い罵るという感情が普通にあること、それでいて、それらをすべて

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    2022年09月05日
  • 夕陽の道を北へゆけ

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    リディアの必死さに引き込まれて、一気に読みました。最後まで、逃げきれるのか、ドキドキさせられてしまう作品。一緒に逃げて同志になっていく、仲間ともども、幸せになってほしいと思いました。

    圧倒的な力に抑圧された状態でも、決してあきらめない強い気持ち。勇気をもらえる作品、

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    2022年06月11日
  • 賢者たちの街

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    「モスクワの伯爵」同様、最初は少し読みづらかったが途中からめちゃくちゃ面白くなった!!恋愛、友情、野心、郷愁…。

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    2022年04月01日
  • 賢者たちの街

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    ネタバレ

    世界恐慌や第二次世界大戦といった歴史的出来事の影響を受けた1930年代のニューヨークが舞台。

    現代とはかけ離れた世界の中で(煌びやかであり貧しくもある)、人々がどんな考えをもち、暮らしを営んでいたのか垣間見ることができて、面白かった。

    育った環境や性格の違う登場人物たちが下す、人生の選択。イヴの性格に憧れ、ティンカーの人生に共感した。

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    2022年01月04日
  • 賢者たちの街

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    ネタバレ

    前に読んだ『モスクワの伯爵』と同じ作者。『賢者たちの街』の方がデビュー作だけど、自分はデビュー作の方が好きかも。
    装丁といい、主人公が上流社会にお邪魔するところが『グレート・ギャツビー』ぽいと思ったけど、それみたく作中モヤモヤすることはほぼなかった気がする。

    ヒロインは周りの玉の輿を狙うDreamy Girlsとは一線を画した自立系女子。『モスクワの伯爵』の伯爵同様、どんな相手の言葉も知的にかわし、スマッシュもばっちり決める。上流社会を垣間見る時も(驚いただろうけどそれを顔にも文章にも出さず)読書家の彼女らしい豊かな表現で、冷然と観察している。

    友達に一人は欲しいタイプ。自立系女子は今でも

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    2021年10月21日
  • 賢者たちの街

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    1930年代後半のニューヨーク。
    若いケイトとイヴは、銀行家ティンカーと偶然出会う。仕事と恋と華やかな上流社会との交流。
    抑えられない恋心と自尊心の間で、それぞれが自分に正直に生きていこうとしたのかな。

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    2020年11月14日
  • 賢者たちの街

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    1966年、NYの近代美術館(MoMA)で開催された古い隠し撮りの写真展(実際にあったものらしい)で懐かしい人物が写っているところからスタートする。始まりからお洒落。
    主人公ケイト・コンテントは大恐慌(1929年)のとき16歳となっているから、1913年生まれということになる。
    1937年から39年の間に、才能に恵まれて野心に満ちたロシア移民の二十代女性がハイ・ソサエティーに入り込んで、さまざまな人達と交流していくさまを描いたもの。
    先に読んだ「モスクワの伯爵」の作家の第一作らしい。
    二つの作品ともに、普通の人間は垣間見ることない、優雅な上流階級を描いていて、まるで映画の世界の中に引き込まれる

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    2020年11月14日
  • 賢者たちの街

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    『モスクワの伯爵』で、とんでもない逸材を引き当てたと思ったエイモア・トールズの、これが長編デビュー作。一九二〇年代から一九五〇年代のロシアを舞台にしたのが『モスクワの伯爵』なら、これは一九三七年のアメリカ、ニューヨークが舞台。まるでタイムマシンに乗ってその地を訪れているかのような、ノスタルジックな世界にどっぷり浸れるのがエイモア・トールズの描き出す作品世界。デビュー作とは思えない完成度の高さに驚かされる。

    一九六六年十月四日の夜、中年の後半に差しかかっていた「わたし」はニューヨーク近代美術館で開かれた写真展のオープニング・パーティに出席した。黒のタキシードと色とりどりのドレスがシャンパンで酔

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    2020年09月09日
  • ありふれた祈り

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    ネタバレ

    いくつもの死に向き合う中で成長する兄弟。
    とりわけひとつは最愛の姉の死。

    姉の死にまつわるフーダニットの目くらましも悪くない。
    また、そういったミステリ性をおいておいても、周囲の人々との繋がり、母の心身崩壊と再生を通じて過ぎて行く少年時代の特別時間の描き方がとても良いと感じた。

    時間の軸を進め、関係者達のそれぞれの死でこの物語を締めくくっていくところもふさわしいクロージングだった。

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    2019年08月20日
  • エヴァンズ家の娘

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    ネタバレ

    3世代にわたる、どこかいびつな人生と対峙している女性たちの物語。

    はたから見るとそれぞれ自己中心的と思えることばかりしているような彼女達だが、人間は完璧ではないので、それぞれが折り合いをつけて生きていくしかない。そんな息苦しい現実とその中に時折のぞく光をうまくドラマに仕立てた筋の中に過去の少女失踪の謎が挟み込まれながら進んでいく過程がおもしろい。

    ありがちではあるが全く予想していなかった背景に、そうきたかと思った。がらりと物語の見え方が変わった瞬間。その瞬間までその線は完全にノーマークだった。

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    2018年06月23日