宇佐川晶子のレビュー一覧
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ネタバレ前に読んだ『モスクワの伯爵』と同じ作者。『賢者たちの街』の方がデビュー作だけど、自分はデビュー作の方が好きかも。
装丁といい、主人公が上流社会にお邪魔するところが『グレート・ギャツビー』ぽいと思ったけど、それみたく作中モヤモヤすることはほぼなかった気がする。
ヒロインは周りの玉の輿を狙うDreamy Girlsとは一線を画した自立系女子。『モスクワの伯爵』の伯爵同様、どんな相手の言葉も知的にかわし、スマッシュもばっちり決める。上流社会を垣間見る時も(驚いただろうけどそれを顔にも文章にも出さず)読書家の彼女らしい豊かな表現で、冷然と観察している。
友達に一人は欲しいタイプ。自立系女子は今でも -
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1966年、NYの近代美術館(MoMA)で開催された古い隠し撮りの写真展(実際にあったものらしい)で懐かしい人物が写っているところからスタートする。始まりからお洒落。
主人公ケイト・コンテントは大恐慌(1929年)のとき16歳となっているから、1913年生まれということになる。
1937年から39年の間に、才能に恵まれて野心に満ちたロシア移民の二十代女性がハイ・ソサエティーに入り込んで、さまざまな人達と交流していくさまを描いたもの。
先に読んだ「モスクワの伯爵」の作家の第一作らしい。
二つの作品ともに、普通の人間は垣間見ることない、優雅な上流階級を描いていて、まるで映画の世界の中に引き込まれる -
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『モスクワの伯爵』で、とんでもない逸材を引き当てたと思ったエイモア・トールズの、これが長編デビュー作。一九二〇年代から一九五〇年代のロシアを舞台にしたのが『モスクワの伯爵』なら、これは一九三七年のアメリカ、ニューヨークが舞台。まるでタイムマシンに乗ってその地を訪れているかのような、ノスタルジックな世界にどっぷり浸れるのがエイモア・トールズの描き出す作品世界。デビュー作とは思えない完成度の高さに驚かされる。
一九六六年十月四日の夜、中年の後半に差しかかっていた「わたし」はニューヨーク近代美術館で開かれた写真展のオープニング・パーティに出席した。黒のタキシードと色とりどりのドレスがシャンパンで酔 -
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★3.5
少年達のひと夏の思い出は、キングの『スタンド・バイ・ミー』や『IT』を彷彿とさせ、取り返しのつかない過ちを回顧する語りは、クックの『記憶』シリーズを思い起こさせる。ただクック作品とは違い、ミステリやサスペンス色はかなり薄く、事件は起きても爽やかさ(と言うには死が身近すぎるが)が前面に出ている印象だ。
主人公兄弟の忘れ得ぬ夏は一人の少年の事故死から始まり、あまりにも痛ましい悲劇を経て否応なく子供達を大人へと成長させる。子供らしい好奇心がひとつの悲劇を生むきっかけを作ってしまうくだりは読んでいて痛ましいが、この後に迎える家族の再生と奇跡はその悲劇ゆえに心に響くものがある。
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他の方のご指摘の様に、スティーブン・キングの
「スタンド・バイ・ミー」っぽい事は否めないかも。
ですが、逆を云えばああいうテイストが好きならば
十二分に楽しめる事間違いなしです。
何より、行間から匂い立つような夏の強い日差し、
カラカラに乾いた砂や土、ひんやりとした石切り場、
咽るような草の香りに、汗。
著者の表現力の素晴らしい事!
死や悲しみ(差別的な事も多々)を根底に置きながら、
美しくまとめ上げ、そしてこのさわやかな読後感よ。
おお、神よ(笑)
あと、地味に食べ物の描写が好きでした。
ガスがドラム家の台所で作るポテトとチーズの料理が
美味しそうです食べたいです。
解説を読んで知った -
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コーク・オコナーのシリーズは未読のまま。ウィリアム・ケント・クルーガーの作品を初めて読む。
あの夏のすべての死は、ひとりの子供の死ではじまった――。1961年、ミネソタ州の田舎町で穏やかな牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能がある姉、聡明な弟とともに暮らす13歳の少年フランク。だが、ごく平凡だった日々は、思いがけない悲劇によって一転する。家族それぞれが打ちのめされもがくうちに、フランクはそれまで知らずにいた秘密や後悔に満ちた大人の世界を垣間見るが……。少年の人生を変えた忘れがたいひと夏を描く、切なさと苦さに満ちた傑作ミステリ。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作!
教会付属の幼稚園に -
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ネタバレ生まれた所や皮膚や目の色で
いったいこの僕の何がわかるというのだろう
読後に思わずこの名曲を聴いてしまいました。
1950年代アメリカミネソタ州の田舎町。町を流れる川で、ナマズに喰われた地主の死体が発見された。
事件はさほど重要ではなく、関係者の中で共に故郷を追われたインディアン(ネイティブアメリカン)と日本人女性にスポットが当たる。元軍人の保安官の捜査を通じて、戦争の傷跡や民族迫害の歴史を問いかける。まあ俺には勿体無いレベルに重厚で上品な文学作品だな。英題は「the river we remember」邦題の方が詩的でいいっスね…
500ページの二段組で紙面がびっしり埋まっているので体感は