宇佐川晶子のレビュー一覧

  • このやさしき大地

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    1932年の米国、白人で孤児のオディとアルバート兄弟は、ネイティブアメリカンの子どものための教護院で暮らしている。暴力的な管理人にムチ打たれ、もとは監獄の独房だった反省室に入れられたり、過酷な労働をさせられたりしていた。そんな管理人に殺されそうになった時、逆に管理人を殺してしまう。兄弟は仲の良いモーズと竜巻で母親を亡くした幼いエミーとともに、教護院から逃げ出す。4人はカヌーで川を下り、兄弟の唯一の親戚であるおばの住むセントルイスうを目指す。

    エミーを誘拐した犯人として警察に追われながら4人は様々な出会いを経て川を下る。著者自身が「ハックルベリー・フィンの冒険」のアップデート版と書いているが危

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    2023年04月09日
  • このやさしき大地

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    オディッセウスが、イサカへと帰る物語。キュキュロプスは院長なのか?
    先住民や宗教団体の話も単なる挿話でなく語られるので、ちと長い。
    初だったので、姉妹編という作も読んでみる積りだが、メインたるシリーズ物の翻訳が途絶えていて、手を出しにくい。

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    2023年01月30日
  • モスクワの伯爵

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    読みたかった本の中の一冊。 チャーミングな小説でしたが、最後のスリリングな展開には心踊りました。ロシア版『ショーシャンクの空』?。『自分の境遇の主人とならなければ…』は良い言葉でした。 600ページ、大晦日に読み終えて良かった❗映画『カサブランカ』、観てみます

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    2022年12月31日
  • 賢者たちの街

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    ネタバレ

    2022.5 いかにもアメリカ ニューヨークの小説といった感じ。アメリカ人はこういう小説が好きなんだろうけれど日本人の私にはその良さがよくわかんない…

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    2022年05月09日
  • 愛の探偵たち

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    ネタバレ

    おなじみの探偵たちにまた会える。

    「三匹の盲目のねずみ」大ヒットした劇「ねずみとり」の原作だそうで。確かに「ねずみとり」の方がこなれた感じがしたかも。

    「奇妙な冗談」若いカップルがミス・マープルにした相談は、マシューおじさんが遺したはずの宝物の場所。自分の知り合いのヘンリーおじさんについて楽しそうに語るミス・マープルが示した、マシューおじさんの遺産とは。思い出話で若い人をうんざりさせるミス・マープルを思い浮かべると思わず微笑んでしまう。ハッピーな結末も素晴らしい。

    「昔ながらの殺人事件」スペンロー夫人が殺された。警察から話を聞かれたミス・マープルは、いつものように思いを巡らし、そしてちょ

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    2021年06月18日
  • 愛の探偵たち

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    ミス・マープルにポワロ、クィン氏の短編集だった。長編よりあっさり書かれているので、ちょっとした隙間時間にも読みやすい一冊。クィン氏の話はいつも不思議な印象があるが、今回もそうだった。

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    2021年01月15日
  • 賢者たちの街

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    ケイティにとって、ニューヨークでの、1937年の大晦日からの1年間は特別でかけがえのないものであった。

    読書を愛するケイティが、イヴ、ティンカー、ハンク、ウォレス、アン等(個人的にディッキーとビッツィも挙げておきたい)、印象に残る個性的な友人たちと織り成す想い出は、当時の時代性や文化の壮麗な描写とのバランスも相まって、上品なチャーミングさと冷静なクレバーさが(あと、奔放さも)混在した素晴らしさの中に、シリアスさもきっちり含まれており、なぜ、特別な一年なのかが、読んでいく内に明らかになるストーリー展開も素晴らしいです。

    私みたいに、当時のニューヨークの文化をあまり知らなくても、親切な解説に、

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    2020年10月13日
  • モスクワの伯爵

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    主人公の伯爵がホテルに軟禁されて過ごす32年間を綴った物語。細かい描写や彼の紳士的で気遣いができるキャラクターを表すシーンが非常に多く、またモスクワの最高級ホテルであるメトロポールを舞台にしていることから、600ページに及ぶ長編小説とはいえ、まるで映画を観ているかのようなストーリーだった。世界からやってくるVIPたち、ゲストから給仕となり最高級のおもてなしをしていく伯爵の姿、煌びやかなクリスマスの内装や、素晴らしい料理の数々。設定が本当に素敵。

    私は正直ロシアに関連する歴史に疎いので、舞台となっている皇帝時代からスターリンの時代がきて、そこから更に新しい時代へ進む過程がどのようなものだったの

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    2020年08月09日
  • モスクワの伯爵

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    革命を経て、帝国から共産国へ変わったロシア(ソ連)。貴族だからという理由での銃殺刑を免れ、モスクワの名門ホテルに生涯軟禁されることなった元伯爵の物語。
    宝塚に、「神々の土地」という芝居の演目がある。おそらくいま最もヅカファンから支持されている座付き作家上田久美子さんの作品で、30年以上宝塚ファンの私がもしかしたら一番好きかもしれない演目である。帝政崩壊・革命のきっかけともなったラスプーチン暗殺の実行者として知られる、時の皇帝ニコライ二世の従弟 ドミトリー・パヴロヴィチ・ロマノフが主人公のモデルになっている、美しく重厚な作品だ。ストーリーが登場人物を動かすのではなく、登場人物がストーリーを作って

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    2020年06月11日
  • モスクワの伯爵

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    ビルゲイツがこの夏読むべき5冊の本にあげていたのでふーんと思いながら読んでみた。

    確かに境遇に対して楽天的で、主人公の生い立ち、教養、人間力みたいなものが彼を魅力的にしていたと思う。

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    2019年07月21日
  • エヴァンズ家の娘

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    リリスとルーシーとエミリーの三姉妹のうち、エミリーが湖畔の家で行方不明となる。ルーシーの死後、リリスの孫娘にあたるジャスティーンが二人の娘を連れ、湖畔の家にやってくる。男から逃げるためだ。時代が異なるルーシーとジャスティーンを中心に物語は展開する。エミリーがいなくなった謎は最後に解かれる。謎解きの要素はほぼないが、楽しむべきは、ルーシーやジャスティーンの周辺にいるどこか普通ではない人々が醸し出すサスペンスの要素だろう。前半はそうでもないが、後半は怪しさが増してくる。日常から非日常へとだんだんと連れていかれた。

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    2018年07月03日
  • エヴァンズ家の娘

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    過去と現在の物語が同時進行し、ラストで重なり合うというストーリー。けれど、途中までとにかく話が進まない。退屈で読み進めるのが大変でした。表現も曖昧で、察して理解という箇所も多々。ラストはほぼ納得の終わり方でした。けれど、これだけ書き込まれたから理解できる結末と言えるのかも、です。

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    2018年06月10日
  • エヴァンズ家の娘

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    ネタバレ

    多分に既視感のある設定で、言ってしまえば目新しいものは何もない。あれに似ている、これに似ているとついつい思ってしまう。またか…と思う鬼畜の仕業も、サイコパスのストーカーも食傷気味。長い時を経た老人たちのプラトニックな愛。湖畔の家で昔起こった事件の真相は…、うう。
    ただ、落ち着いた筆致で、盛りだくさんな内容を時代と視点の違う語りを交互に持ってきて、最後まで引っ張っていくところはうまいので、新鮮な目で読めたらとても面白い小説なのでは。とても悲しい静かな物語。
    すみません、すれっからしな読者で。

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    2018年04月28日
  • エヴァンズ家の娘

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    原題がgirlsなのはエミリー以外に誰を指しているんだろう?
    メラニーとアンジェラもパトリックから見たらロストしてるけど。

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    2018年04月05日
  • 暗い暗い森の中で

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    ミステリというかサスペンス。
    女の恐ろしさではなくて弱さを書いた話なのでは。自分の思い通りに全てを従える女王は、他人の評価でしか自己を形成することができない。でも、ほんとはありのままで愛されたいし許されたいし救われたい。そこのとこは、ちょっと理解できてしまう。
    冒頭の童謡、暗い暗い‥をどこかでみたな‥と思ったら、チャレンジミッケの「こわーいよる」だった(笑)

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    2017年08月11日
  • 蛇の書

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    時間かかったあ。個々の場面は書き込まれていて結構好き。女占い師も史実?としてへぇ、て感じ。でもひとつにまとめると、ようわからん。絶対オクスリを飲んで書いてそう。

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    2017年01月07日
  • 愛の探偵たち

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    一番最初の「三匹の盲目のねずみ」は、コンパクトながら非常に優れた作品。開店直後の宿屋を舞台に怪しい人物が次々に現れる。読者が怪しいと感じたところをまさに主人公が考察してストーリーを進め、また新たな謎が提示される。没入感が強い。

    ミスマープルの作品は謎解きがすこし無理やりか。

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    2016年08月06日
  • ありふれた祈り

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    ネタバレ

    何故かはわからないがちょっと取っつきにくくて読み進むのに時間がかかった本だった。タイトルの意味が分かったあたりから盛り上った感じでしたが。主人公が男の子だったせいですかね?感情移入がイマイチ出来なかったような……

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    2016年01月30日
  • ありふれた祈り

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    始まりが1人の少年の死からなので、『トーマの心臓』を思い出す。
    少年の死は直接メインテーマではないけれど、この話の始まりとしてはすごく大事。
    子供のままではいられない、というさしせまってくる話。
    真実は残酷なものだったが、知りたいと思ってしまった以上、突き進まないわけにはいられないという心理は理解できる。

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    2015年05月27日
  • ありふれた祈り

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    「天にましますわれらが父よ、この食べ物と、これらの友と、わたしたちの家族への恵みにたいし、感謝します。イエスの御名において、アーメン」それだけだった。それで全部だった。実にありふれた祈りで、記憶にとどめるほどの理由もないくらいだった。だが、あれから四十年、その祈りを私は一字一句おぼえている。「ありがとう、ジェイク」母が言い、わたしは母の顔つきに変化が生じているのに気付いた。父は魅入られたような、ほとんど幸せともいえそうな顔をしていた。「ありがとう、息子よ」そしてわたしは、畏敬の念に近いものを持って弟を見、心の中で思った。神よ、感謝します。

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    2015年04月19日