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六〇年代ロンドンで異端児と呼ばれた精神科医。彼の伝記を書く作家宛てに、ある女性の日記が届く。そこには、姉の自殺と精神科医の治療の関連を疑い、真相を明らかにすべく偽名で治療を受けた女が次第に我を失っていく様がつづられていた──。解説/大森時生
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Posted by ブクログ
面白かったのだけれど、理解に自信がもてない。結局、何が真実だったのか、確認したくなる。 精神科医であるブライスウェイト、そこに通院し自死したヴェロニカ、その妹であり原因を探るべく偽名を使ってセラピーを受けるわたし、精神科医とわたしの何が演技で何が真実で、どこに本音があるのか、どんどん分からなくな...続きを読むってゆき、ヴェロニカの存在さえも疑いたくなった。タイトル通り、読むほどにキャラクターのイメージが揺れてゆく。 ブライスウェイトが、虚構の多いわたしとのセラピーで、『実際に起きたこととかはどうでもいい、大事なのは、きみが話すことに決めたのがこの話であるということなんだ』と言ったことが、印象深い。この作品も、登場人物たちが語る内容がフィクションだとしても、話した内容から見えることに目を向けると、この作品の理解が進むのかなと思いを巡らせた。
語り手の「私」が、入れ子の話(ノート)の語り手である「わたし」の別人格として描かれている人物と最後に出会うというメタ的なお話。最後のページ(p.346)の終わりから4行目の「わたし」は「私」ではないのか?と思いつつ。 作中のサイコセラピスト、アーサー・コリンズ・ブライスウェイトはまさにやりたい放題だ...続きを読むが、言っていることは至極まっとうに思えてならなかった。
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