【感想・ネタバレ】モスクワの伯爵 上のレビュー

あらすじ

NHK「心おどる あの人の本棚」に登場した感動作の文庫化

革命政府によって、ホテルに軟禁された伯爵。一歩外に出れば死が待っている極限状況で伯爵が見つけたのは、人生の豊かさだった!?

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Posted by ブクログ

2度のロシア革命を経てボリシェヴィキ(革命政府)が統治をする1922年モスクワで、革命前は聖アンドレイ勲章を持つほどの貴族ではあるものの、現在は革命思想に賛同しないとみられる無目的な堕落者と見なされた貴族階級のアレクサンドル・イリイチ・ロストフは革命政府の命令によりモスクワのホテル“メトロポール”から出れば、銃殺するという条件で即時の銃殺刑を免れる。
ロストフ伯爵は自由のない惨めな身になっても境遇の奴隷にならないよう、紳士としてメトロポールの人々と接してゆく。

本書はメトロポールでの出来事に限定されているので、少し退屈に思える時もあるかもしれないが、洒脱な会話と展開、20世紀ロシアの社交界という世界観が飽きさせないし、またプーシキン、トルストイ、ドストエフスキーといったロシアの文学からの引用は読書好きならより面白く読めると思う。

作者はスティーヴン・キングのように子どもを魅力的に書くのが上手いように思う。本書の中では知性的かつ素朴な倫理観を持った、けれども生真面目すぎて危うい少女ニーナが描かれているが、著者の別作品「リンカーン・ハイウェイ」の少年ビリーも読んでいて好ましい人物だった。

激動の20世紀前半期におけるロシアの政治・社会情勢が本書の時代背景だが、大人が恭順しているものごとの仕組みや価値観を子どものまなざしによって、ナイーブではあるが時に鋭く、時に真理とも思えるよう問いかけられていると感じることが、著者の作品を読んでいるとある。

上巻の終わりには時が1938年となり、ロストフも48歳になっている。そんな中、新たな展開が訪れて上巻が終わるので、下巻で物語がどんな展開を見せてゆくのか期待しかない。

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2026年04月12日

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