天沢夏月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ウオー、大団円だよ!
高校3年間の部活物語をよくぞ描き切ってくれた。
テニスバカ達の熱い熱いサイコーの物語をありがとうと言いたい。
前巻ラストでの駆の怪我を受けて前半は彼の心の葛藤が描かれて不穏な雰囲気。
目標を失って、テニスを諦めかけて、でも諦められなくて、追い詰められたその時に、彼の背中を押すのは、やっぱりテニスの仲間なのだ。
でも、前半のそんな葛藤を忘れるくらい、後半の怒涛の試合ラッシュがすごかった。
しかも、インターハイが終わって、最後の都立戦が始まるっていうところでのタイトルコールだよ。
いやあ、盛り上がるなあ。
サイコーだよなあ。
そこから始まる三日間の試合は、どれ一つとってもキラキラ輝いている。
3年間の積み重ねが、シリーズ5作の積み重ねが、何気ないひとつひとつのプレーに彼らの成長を感じて胸が熱くなる。
そうして、最後はお約束通りライバルとの熱い熱い戦い。
その王道展開が快感だ。
青春だなあ。
うん、青春だ。
こんな青春物語を読みたかった。
心からそう思う。
ああ、面白かった。
作者には、お疲れ様、ありがとうございましたと言いたい。
でも、ひとつだけ心残りがあるとすれば、駆と光のその後の恋の進展を見てみたかった。
いつか番外編で是非お願いします。
期待しています。 -
Posted by ブクログ
いやあ、青春だなあ。
実に青春。
まさに青春。
青春物語の書き手である(最近はそれ以外も多いけど)作者の面目躍如な巻。
第一巻では題名どおり、曲野と進藤のダブルス二人が主人公だったのだが、4巻目の今巻ではテニス部2年男子4人のみんながそれぞれ主人公の青春群像劇になった。
テーマは前進だろうか。
もしくは成長。
夏の大会の敗北を引きずって、なんともギクシャクとしたテニス部の面々が、修学旅行という一つのブレイクを挟むことによって、再び前進していく姿。
そしてラストはやっぱり試合で締めくくるという王道展開。
みんなのテニスに掛ける熱い想いが実に清々しい。
いやあ、青春だねえ。
うん、楽しみました。
来年の夏が待ち遠しいね。
ラストのtea breakで、この物語にはめずらしく恋バナになるのかなと思って期待したんだけど、え?なに?
進藤、腕に怪我?
それって、まずくない?
よし次巻だ次巻だ。 -
Posted by ブクログ
ああ、これはいい!
最近お気に入りの青春物語作家の天沢さん。
そんな天沢さんの本作は、青春物語として百点満点の出来だと思う。
小1のクラスで書いた「十年後の自分への手紙」、いわゆるタイムカプセルが十年経って郵送で順繰りに送られていく展開。
もうタイムカプセルなんて言う題材からして青春だなあと思う(笑)
だって、その手紙にはある種の郷愁と想いが付いてくるもの。
別々の6人を主人公にした短編連作なのだけど、ある話に別の話の主人公がちょこっと顔を出したりして少しずつ繋がっている遊び心のある構成。
さらに最初の主人公と最後の主人公には特別の縁があり、ラストで二人が再会することで綺麗にお話の円環が閉じるのは、短編連作ならではのよくできた構成だと思う。
物語はほとんどの場合、十年前に夢見た姿から現実は違っていて、夢を諦めようとしていたり、やりたいことを見つけられなかったり、勇気が出せず言いたいことも言えなかったり、引きこもってしまったりと、子供のころ想像していた姿とは全くかけ離れていて、胸が痛くなる現実だったりする。
けれどそんな彼ら彼女らは様々なきっかけでその現実から少し前に歩き出そうとする。
それは言ってみれば十年前の自分への今の自分の矜持だと思うのだ。
あの頃の自分に胸を張って今の自分を見せられるか。
たとえ、夢に届かなくても、素敵な大人になれていなくても、ちゃんと努力して後ろめたくない生き方をしていたいという、そんな想い。
だから物語の終わりはどれもみんな清々しい。
そんな中、一番目とラストの物語は少し趣が異なっている。
なぜなら彼らの手紙には十年後の自分へのお願いが綴られているのだ。
個人的にはこの二人の物語が一番好き。
喧嘩別れしてしまって引っ越してしまった相手に互いに謝ってほしいと綴られた手紙。
千尋が十年前のアキラ君の手紙に自分と同じ気持ちが書かれているのを知る場面には胸が熱くなった。
同様にアキラが千尋がタイムカプセルを読んだ後に彼宛に書いた手紙で、同じ想いを綴り約束の大学の地で待っていると告げられた場面には心が震えた。
いやもう、こんな手紙をもらったら自分ならとるものも取りあえず、その場所へ走り出してしまうだろう。
そう強く思う。
でも、アキラは逆に彼女に会うことを恐れてしまうのだ。
なんてアホなのか。
どうしてそんなにへたれなんだよ!
でも友人や彼に好意を持っている女の子に背中を押されてようやく約束の場所に走り出した時、胸がドキドキした。
夜の桜の木の下での二人の再会。
はっきりと自分の気持ちに気づくアキラ。
そして十年前の手紙のお願いは果たされるのだ。
この幸福感がなんとも心地いい。
いや、いいお話だった。
心に刺さる言葉がいくつもある。
「才能がなかったら、好きなこともやっちゃいけないんですか?」
「君がやろうとしたことを、君自身が笑ってやるなよ」
「ちひろちゃんはきっと、こやまがおかびじゅつだいにきます」
「あの時よりもずっと上手になったはずなのに、あの時よりもいいものが描けている気がしません」
「君に預けたコバルトブルーのクレヨンは。まだそこにありますか?」
いやほんとに、これまで読んだ作者のお話の中ではこれが一番好き。
ますますお気に入りになりそうだ。 -
Posted by ブクログ
うん、よかった。
なんとも清々しい青春物語。
読後感サイコー。
順不同で作者の本を読んでるけど、これはデビュー2作目。
これまでで一番好きかも。
本作も作者得意の青春物語。
音楽バカでとことん諦めの悪いヒロインのアキが、先生に頼まれて吹き溜まりのヤンキーたちとブラスバンド部を作る話。
登場人物の誰もが挫折や屈託を抱えていて、いわばこれは彼らの再生の物語だ。
アキのキャラクターが凄くいい。
いろんな不安や迷いはありながらも好きな音楽のためなら決して逃げずに頑張れてしまう。
でもそれは前向きと言うよりもむしろ、諦めたくない、もう後悔したくないという後ろ向きの感情が原動力。
そのことが吹きだまりの彼らを動かしていく。
そんな仲間が増えていく展開が、とてもいい。
そうして上手くいっていたと思っていたら、お約束の大きな壁が待ち構えていて、その展開は分かっていても惹きつけられる。
ハイライトはラストの文化祭での演奏会の場面。
なにもかもがダメになりそうなその瞬間に、高らかに響き渡るトランペットの音。
次々と戻ってくる仲間たち。
いやあ、こういう場面に弱いんだよ。
うん、胸が熱くなった。
やっぱり青春物語はこうじゃなくっちゃね。
ちなみに、この物語には作者の物語としては珍しく恋愛要素がちゃんとあって、それも良かった。
女の子が主人公だったせいかな?
好きな男の子に両頬を掌で挟まれて、活を入れられる場面なんか胸キュンものだよ!
さて次は作者のどの物語を読もうかな。 -
Posted by ブクログ
この本の初版発行は6月25日ですが,表紙通り春を感じさせる作品でした.一概に恋愛小説ということはできませんが,そういった側面が大きかったように思います.登場人物の6人,それぞれに個性があって,それぞれに物語があるので,作者(天沢夏月さん)はどんな人生を歩んできたんだろうと気になりました.
十年前の自分を考えてみて,自分は十年先のことなんて考えていなかっただろうなってそう思います.この登場人物たちの高校での状況は,自分の分岐が違えばそうなっていたかもしれないようなものばかりです.だから,自分がこんな状況ならどうするだろう?自分は前を向いて歩けるだろうか?そう思いもしました.
本を読んでいるときは楽しかったし,物語にのめり込みましたが,ふとその集中が途切れると,自分はどうなんだろうと考えされられていました.自分を振り返ったり,自分の未来を考えるのにも良い作品だと思います(こんなこと感じたの自分だけでしょうが). -
Posted by ブクログ
うん、やっぱり王道って面白い。
『なぎなた男子』を読んで気になった作者を読む2作品目。
個人的好みの部活モノで、しかも題名からして王道展開を予想させる本作。
いやあ、ほんとに青春王道そのもので、やっぱりこう言うのって大好き。
『ダブルス』とか『バッテリー』とか題名見ただけで、これは二人の登場人物が反発しながらも、本当の○○になっていく物語なんだろうなと予想が付く。
それがスポーツの勝負が絡んだ青春物語ならば、これはもう面白くないはずがない!
ここではテニスのダブルスの、互いにダブルスにトラウマを抱える高校生二人がちゃんと互いを信頼して、"ダブルス"になるまでを描いて、いや青春だよなあ。
いいなあ。
『なぎなた男子』ではあまり試合の勝ち負けの部分は描かれなかったんだけど、ダブルスでは試合の緊張感がとてもいい。
ぎりぎりの戦いのなかで芽生える相方への想いと信頼と、勝負に掛ける想い。
それは自分たちの戦いだけでなく、先輩や女子部の戦いも含めて、そう言う勝負の厳しさと負けた悔しさと勝つ喜びを、読んでて痛いほど感じることが出来る。
ハイライトはやっぱりラストの試合場面。
故障を抱えながらもちゃんとダブルスになれた彼らの戦いに涙が出る。
また一つ優れた青春物語を見つけた。
と言うわけで、ちょっとこの作者に注目してみようかな。
ちなみに作者の名前『天沢』と聞くとどうしても某「耳を澄ませば」を思い出す。
うん、青春だ(笑) -
Posted by ブクログ
「夏」「学園」「青春」の3要素が揃った時点でいともたやすく単位を与えてしまう楽勝科目こと僕です。
いやもちろんその3つが含まれているからといって手放しに誉めたりはしませんけど、この作品は表紙からして趣味にピッタリと合う好きな小説でした。自分も学生時代は部活動の魅力を味わってきた経験があるので、勝った負けたが絡んでくるスポーツ(正確には武道?)は読んでいて気持ちがいい。それでいて活発で可愛い女の子まで出てくるんだからもう。
この作品の主人公は「真っ直ぐ」であろうとすることを志す過程で左右にふらついたり、過去の自分に囚われて歪んだりしながらも周りに支えられて直線を描くわけだけど、やっぱりまず「そうありたい」と強く思うことが大切なんだと改めて感じ入った。
優しくない人が優しくなりたいと決意して、一生懸命優しい人の真似をして、それが偽善だとか色々言われたりするかもしれないけど、それでも続けていけばいつか本当に優しい人になれるんだ、みたいな。
バガボンド懐かしいな。何巻から読んでないのか覚えてないけど胤舜カッコいいよね。また読まねえと。