天沢夏月のレビュー一覧
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ああ、これはいい!
最近お気に入りの青春物語作家の天沢さん。
そんな天沢さんの本作は、青春物語として百点満点の出来だと思う。
小1のクラスで書いた「十年後の自分への手紙」、いわゆるタイムカプセルが十年経って郵送で順繰りに送られていく展開。
もうタイムカプセルなんて言う題材からして青春だなあと思う(笑)
だって、その手紙にはある種の郷愁と想いが付いてくるもの。
別々の6人を主人公にした短編連作なのだけど、ある話に別の話の主人公がちょこっと顔を出したりして少しずつ繋がっている遊び心のある構成。
さらに最初の主人公と最後の主人公には特別の縁があり、ラストで二人が再会することで綺麗にお話の円環が閉 -
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うん、よかった。
なんとも清々しい青春物語。
読後感サイコー。
順不同で作者の本を読んでるけど、これはデビュー2作目。
これまでで一番好きかも。
本作も作者得意の青春物語。
音楽バカでとことん諦めの悪いヒロインのアキが、先生に頼まれて吹き溜まりのヤンキーたちとブラスバンド部を作る話。
登場人物の誰もが挫折や屈託を抱えていて、いわばこれは彼らの再生の物語だ。
アキのキャラクターが凄くいい。
いろんな不安や迷いはありながらも好きな音楽のためなら決して逃げずに頑張れてしまう。
でもそれは前向きと言うよりもむしろ、諦めたくない、もう後悔したくないという後ろ向きの感情が原動力。
そのことが吹きだまり -
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この本の初版発行は6月25日ですが,表紙通り春を感じさせる作品でした.一概に恋愛小説ということはできませんが,そういった側面が大きかったように思います.登場人物の6人,それぞれに個性があって,それぞれに物語があるので,作者(天沢夏月さん)はどんな人生を歩んできたんだろうと気になりました.
十年前の自分を考えてみて,自分は十年先のことなんて考えていなかっただろうなってそう思います.この登場人物たちの高校での状況は,自分の分岐が違えばそうなっていたかもしれないようなものばかりです.だから,自分がこんな状況ならどうするだろう?自分は前を向いて歩けるだろうか?そう思いもしました.
本を読んでいると -
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うん、やっぱり王道って面白い。
『なぎなた男子』を読んで気になった作者を読む2作品目。
個人的好みの部活モノで、しかも題名からして王道展開を予想させる本作。
いやあ、ほんとに青春王道そのもので、やっぱりこう言うのって大好き。
『ダブルス』とか『バッテリー』とか題名見ただけで、これは二人の登場人物が反発しながらも、本当の○○になっていく物語なんだろうなと予想が付く。
それがスポーツの勝負が絡んだ青春物語ならば、これはもう面白くないはずがない!
ここではテニスのダブルスの、互いにダブルスにトラウマを抱える高校生二人がちゃんと互いを信頼して、"ダブルス"になるまでを描いて、い -
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「夏」「学園」「青春」の3要素が揃った時点でいともたやすく単位を与えてしまう楽勝科目こと僕です。
いやもちろんその3つが含まれているからといって手放しに誉めたりはしませんけど、この作品は表紙からして趣味にピッタリと合う好きな小説でした。自分も学生時代は部活動の魅力を味わってきた経験があるので、勝った負けたが絡んでくるスポーツ(正確には武道?)は読んでいて気持ちがいい。それでいて活発で可愛い女の子まで出てくるんだからもう。
この作品の主人公は「真っ直ぐ」であろうとすることを志す過程で左右にふらついたり、過去の自分に囚われて歪んだりしながらも周りに支えられて直線を描くわけだけど、やっぱりまず「そう -
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今をときめく作家による、15ページずつの短編集。斜線堂有紀の作品で本文最後に「仕掛けが分かった?」と聞かれ、うむむわからん、一番気になりました。わかったことといえば前半の世界狭いうちは使う文字に制限かけてあること、だから、「私」はなくて、「I」。「難しいかもよ」じゃなくて、「むずいかもだよ」。彼の名前は「 」。これは10文字、または空白入れて9文字なのかなぁとかなり考えたけど、思いつかなかった。「しゅうとう」「ねんどう」「ごとう」「うとう」/「しゅうじ」「しゅうと」「しゅんご」「しゅうご」とか?でも適当な名前じゃ意味はないしなぁ…。
されど世界の終わり 三秋 -
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ネタバレ表紙イラストがすっごくいい!
ちゃんと靴を揃えて、脱いだ靴下も靴の中に入れている進藤に、意外にも靴を揃えない曲野。
進藤の右腕のリストバンドの日焼け、ふたりがそれぞれ食べているアイスの種類のちがい。曲野はスイカバー好きなんだ、意外!
アイスを持ってる逆の手、それぞれ違ってるのもいい。進藤は部長としての練習ノート、曲野はエースとしてのテニスボール。
今まではテニスしてる姿のイラストが主だったけど、4巻の表紙はすごいリアルな男子高校生っぽさが見えてよかった!
進藤たちの代が部の主軸になる時代の4巻。今まではやっぱり進藤&曲野に物語の焦点が当たっていた印象だったけど、ここにきて「藤ヶ丘高校 -
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ネタバレ新海がとってもいいキャラしてる。ただただヒール役としてではなく、ちゃんと共感できるようなバックボーンもあって、すごくよかった。
試合後の曲野視点の章で、今まで「新海」呼びだったのがちゃんと「リョウ」呼びになってるところが丁寧でいい。
前作ではダブルスだったが、今回はシングルスが物語の主軸になっている。この物語中で一貫した主張は、
「シンプルなのがいい。目標も、ボールも、無我夢中で追うのがいい。まっすぐに。目の前のことを、一つ一つをシンプルにやりきるのがいい。間違っていたら、一つずつ正す。それからまた歩き始める。」
というもの。
自分ひとりでいろいろと考えて動いてプレーしないといけないシング