天沢夏月のレビュー一覧
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いわゆる難病ヒロイン話。
普通こういうお話は、出逢って恋に落ちてそして永遠の別れで幕を閉じるものだけど、本作では最初からすでにヒロインはなくなっている。
でも、丁寧に過去の二人の道程は描かれるので、そこはいわば定番通りだ。
ただ違うのは、過去のヒロインと繋がった交換日記を手にしたこと。
このファンタジーのために、もしかしたらヒロインを救えるかもしれないという想いが生まれる。
そこがこの物語のカギなのだ。
ただ、そのカギをうまく使えたかというと……どうかなあ?
読み終わって、なんだかもの足らない気分が残った。
それはヒロインが救われなかったからということではなく、たぶん、必死さが足らないからだ。
もし自分なら、好きだった人を救えるかもしれないとしたら、もっと後先考えず、もっと必死に、もっと懸命に、その可能性を掴もうとすると思うのだ。
自分の正体を明かしてもいい。
あらかじめ事故に備える対策を教えてもいい。
その結果、現代がどうなろうとも、彼女を救えるなら、どうだっていいじゃないか。
彼女が生きていてくれるなら、たとえ運命が変わっても、自分が会えないとしても、どこか別の世界線の上だとしても、生きている彼女がいる未来があるのなら、なんだってするだろう。
そう思うのだ。
そう言う意味で、必死さが足らないと思うのだ。
精一杯あがいた結果、ダメだったのだとしたら、それはもう仕方ないと悲しいけれど納得するだろう。
でも、これじゃあ納得できないなあ。
そんな気持ち。 -
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駆と琢磨のダブルス物語第3弾。
今回は大まかには駆視点と琢磨視点の話+女子トーク。
駆の話は二年になった彼らと後輩との関係が大きなテーマ。
いやまだ三年の先輩はいるはずなのだけど、そこは完全に割愛しててちょっとビックリ。
でもまあ、分かりやすくはある。
駆が問題児の後輩に掛ける言葉がなかなか的確で、あの駆が成長したんだなあと、感慨深い(笑)
いや確かに、良い先輩に巡り合って来たものね。
そしてその後輩の声援で駆が試合でのメンタルを立て直す場面はさすが青春物語、自然にグッとくるものがある。
琢磨サイドの物語は、それこそ彼の成長の物語。
駆をライバルと認めることで自らもさらに成長するその姿。
そこにはいつも互いに競い合う試合がある。
これぞスポーツもの、部活モノの醍醐味。
お約束だけでど、やっぱり良いね。
さて次は三年になるんだろうか。
そうしたら最後の大会での熱戦かな。
期待してる。 -
Posted by ブクログ
前巻で衝突しながらようやく”ダブルス”になった駆と琢磨の青春テニス物語の続編。
二人のダブルスでさらに強敵と戦うような展開になるのかと思ったら、違った。
転校生リョウの登場でまさかのダブルス解散展開に。
物語的にも試合的にも、今回はダブルスと言うよりはシングルス+αという感じだった。
そう言う意味ではちょっと肩すかしを食らったような気分になったかな。
だけど、転校生との関わり合いや葛藤、そして最後はスポーツ物語らしく試合で決着という王道展開は、やっぱりいい。
ハイライトはその駆とリョウの試合の場面。
心理描写と試合展開が圧巻。
スポーツ物語の魅力が真っ直ぐ伝わってくる。
さて三人目の語り部も出来たことだし、さらに物語は広がっていくのかな。
でも次回は、すでに3rd setも刊行されているけど、駆と琢磨のダブルスを堪能するまで観たいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトル通りの本。
過去にダブルスにトラウマのある高校一年生男子が、硬式テニス部でダブルスを組むことによってお互いも周囲も成長しようという熱血体育会系小説。
面白かったし、テニスのルールブックもかくやというくらい詳しくテニスについて語られていたと思う。
わかりやすくは砕いてくれているけれど、テニスをやったことがない身としては想像しながら読むのに相当時間がかかった。笑
まあ、団体競技を語らせるとねー・・・。
(今までの)人生の半分は団体競技をやってきている身としては、曲野くんや進藤くんの言いたいことも、越えられない壁も、わからなくもない。
団体競技の鬼としては・・・。なんだろう、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」ちゅうやつとはまた違うんだよな・・・。
作中でもちらっと語られていたけれど、団体競技は足し算ではない。
例えば3の力を持つ人たちが二人プレイするとなると、きちんと団体競技がハマッた場合は3×3になる。
決して、3+3ではない。
これが大前提ちゃうかな、と、思う・・・。
どうでもいいように見えて、例えば一人が
「自分はそんなに上手じゃないし、そこそこできればいいし、1できればいいでしょ」
と、思った場合、恐ろしいことに3×1になってしまう。
さらに
「自分ができてなくても迷惑はかからないし、あなた一人でするほうが気兼ねなくできるでしょ。私はマイナスにならない程度のゼロで」
と、いうタイプやった場合、3×0になる。
そういう感じ・・・。
(わからん)
自分ひとりでは責任が重すぎるから誰かといっしょにやりたい、と、いうような「団体競技ごっこ」の場合は掛け算じゃなくて足し算なので、1やったり0の人も参加できるのもミソ。
だから、足して合わせた数は大した合計になってもいない。
どちらがいいかはわからないけれど、掛け算になると個人の責任が倍からあがるからね、自分のほかにも人がいるから、自分は目立たなくすませたい、なんて思われると一蓮托生になってしまうのです。
そして相手も人間なので、ああでもないこうでもないと言われてやっても楽しくない。
どうせなら相手のいいところを先に探し出して、そこをうまく組み合わせて掛け算をしようと考えるのも当り前のようになっている。
この人はこれができる、これが得意、なら、こうやって組み立てよう、と、いう感じ。
この人はこれができない、こんなふうなやり方しかできない、などと否定的な見方しかできなくなると、掛け算にはならなくなるんだよね・・・。
相手に責任を転嫁するのでもなく、相手を切り捨てるのでもなく、信用して、頼りにする、と、いう関係・・・。
これを築くのが案外難しいのだと思う。
どこがって、信用するというところ。(この本でも、ここを一番浮彫にしていた)
とはいえ、相性というのは必ずあるんやけども。笑
(私が)10代のころから叩き込まれたこの考えと姿勢は、いくつになっても、何をやるときにもとてもとても役に立っている。
個人でどこまでも自分を高められる人ももちろん数多くいてはると思うけれど、掛け算がうまくハマッたときのあの高揚感を、一度も知らないなんてそれはひどく損をしているのではないかとすら思ってしまう・・・。
と、まあ、エラそうに語るけれども、ここ最近の私はややさじを投げつつ団体競技をやっているかもしれない。
学生のころはキャプテンをずっとしていたので、進藤の気負いも他人事でもなかった。
「本当はあなたがキャプテンであることを認めたくなかった」
と、引退間近に言われることや、
「受験のためだけに所属しているのに、あれこれ言われたくない」
と、言われることもしっかり経験済み。
同じようにしんどい目を見て、同じように勝ちにこだわっていると思っている人たちが、まったく違うものを見てたのか・・・、と、
「あっ・・・」
と、ぽっかり「栓が抜けてしまう感じ」も、すごくよくわかる。
わかるだけに、「栓が抜けてしまう感じ」と、いうのは、うまく言うたなと思った。
とにかく成長物語なので、この先進藤と曲野のダブルスがどんどん上達していくんやろうと思う・・・。
果たしてこれは、同じように熱血体育会系をやってきた人間が面白いと思えるのか、逆にまったくこういう世界とは縁のなかった人たちが面白いと思えるのか、どっちなんやろうね。
小説としての感想をいえば(いやいやそこやろ感想文なんやし)、登場人物の名前がめっちゃわかりにくい(笑)。
難しい名前ばっかり出てくるな・・・、と、思ったのは、これまた私がこの本の対象年齢を大幅に逸脱しているせいか。
助詞がちょいちょい省かれている文章も気にならないといえば嘘になるし、多人数の会話では、誰がどれをしゃべっているのかいまいち見失うシーンもあった・・・(そこは私の読解力か)。
特に曲野のキャラがつかみきれないまま終わった感もあるけど(一番わかりやすかったのはソラ先輩)、これは続編が続いているから、徐々にわかりやすくなってくるのかな?
ラストシーンは、著者もめちゃめちゃ悦に入ってくるのか、改行多々の構成になっちゃって、
「これは、まんがか!? それとも、昔のX文庫か」
と、思ったのだけど、そこらへんはノリといきおいで読むべきかな。
曲野と藤村さんはもしかすると今後お付き合いをしちゃうみたいなフラグなのかこれ、と、思っていたら、あっさりアドレスの交換までしていた様子で
「はやっ!」
と、思った。
そして進藤は愛されすぎですよね。
ここまでわかりやすいと全然BLもえはしないけど・・・。なんちゅうか・・・。(;^ω^)
ひつこいようやけど、テニスというスポーツは、すんごい細かく掘り下げてるんちゃうんかなー、と、思った。
(わからんけど・・・)
特に会話上でぽんぽん飛び出す専門用語も
「?」
と、思うけど、なんとなく流れで読んだ(笑)。
テニスは、カウントの入り方からよくわかってないから・・・。そこにデュースやらゲームやらが絡んでくるともう、さっぱりわからん。
また、バレーがテニスを元にしたスポーツと知って、
「へええ!」
とも、思った。
「ボールを床に落とさない」と、いう縛りはテニスより難しくなってるとは思うし、チーム内でボールを三回叩くことができるという、一番難しい縛りが加えられているとはいえ、基本的なルールはテニスよりもわかりやすく改善されてるんちゃうやろうか・・・。わからんけど・・・。
それにしても「ダブルス」の「ス」が複数形のエスでないなら、何やの!?
ここに一番びっくりした。
複数形のエスで「ダブルス」なんやったら、「シングルス」の「ス」は何になるのって、ダブルスが「ス」やからシングル「ス」にしといたほうが語呂がエエんちゃう、程度なのかと思ってたよ・・・(本気)。
続編、読むかどうかは、迷うなー。
面白いんやけども~・・・。
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■雁行陣
雁行陣は、鳥の雁(ガン)が、斜めに編隊を組んで飛ぶ形からそう呼ばれているそうですが、兵法では隊列を斜めにして相手に対峙する陣形を「雁行陣」と呼んでいましたので、直接的にはそちらから名前をつけたかもしれません。
■フィジカル
[形動]
1 物質に関するさま。
2 物理的。物理学的。「フィジカルな力」「フィジカルサイエンス」
3 肉体的。身体的。「フィジカルな関係」「フィジカルトレーニング」
■ゲシュタルト崩壊
知覚における現象のひとつ。 全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象をいう。幾何学図形、文字、顔など、視覚的なものがよく知られているが、聴覚や皮膚感覚においても生じうる。
■肯と答える
(2016.11.2) -
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最近お気に入りの作者の自分的三作目は作者のデビュー作品。
いやもう、デビュー作からまったくもって青春王道なんだなあ。
これは槍道部というマイナーなクラブを舞台に元天才剣道男子の復活物語。
『なぎなた男子』を先に読んだので、またマイナークラブの話だと思ったのだけど、実は槍道って架空のスポーツだったとはちょっと驚き。
そのぐらい細部までよく描かれていて実際にあるんだと思ってしまった。
心に傷を負い剣道を諦めた主人公が槍に出会い再び前へと進みだすという王道ストーリーはこれまで読んだ作者の作品にも共通している。
でもやっぱりこういうのはいい!
主人公を引っ張り込んで焚き付けて巻き込んでいくヒロインがとてもかわいい。
まるでやんちゃな少年みたいだ。
その真っ直ぐさと奔放さとそして優しさに主人公同様憧れてしまう。
こんな娘に高校時代出逢ったとしたら、それこそドキドキしただろうなあ。
ただ物語的にはラスト前の主人公が落ち込みから立ち直る場面の心情がもう一つすっきりと胸に落ちてこなかった。
あれは自分を待っている人がいる、自分を信じていてくれる人がいる、という想いからだろうか。
それとも傷つけたヒロインにこれ以上情けない姿を見せられないという想いからだろうか。
ラスト、冒頭の”キセキ”が鮮やかに実現し、物語は綺麗に閉じる。
デビュー作にしてこのクオリティ。
ますます次に読む物語が楽しみになった。 -
Posted by ブクログ
いやあ、青春だよ。いいなあ(笑)
言ってみればこれは、なぎなた版ウォーターボーイズ。
男子的には超マイナーなスポーツになんだかんだで惹き込まれてやることになった高校生男子4人の青春ストーリー。
でも、なぎなたの試合や勝負に重きが置かれているわけではなく、なんというか、いや、ほんと青春だよなあ。
個人的に好きな部活モノという所にも惹かれた。
主人公たちが所属していた剣道部を廃部に追いやった元部員との不穏な騒動有り
女子なぎなた部との確執と仲良くなっていく過程有り
気になる少女とのぎこちない恋模様有りと
いやあ、いいわあ(笑)
とくに、合宿での主人公翔と結衣のやり取りがなんとも眩しい(笑)
青春そのものだよー。
そしてラスト。
廃部の危機に女子部の援助も受けて一発逆転の演舞披露。
この王道感がたまらない。
久々に王道青春小説を読んだ気がする。
うん、よかった。
個人的には、孝二がなにかと確執のあった女子部のお嬢を試合で励ます場面にグッと来た。
作者の別作品も読んでみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
槍道をそのまま始める話かな~と思ったら、テンジの葛藤の話でした。
どこか「神様のメモ帳」の「アリス」を思わせる、羽山のまっすぐなセリフが、心に残ります。
「ひとつのことを何年もやるのが美学」ではなくて、「やってみてダメだった。でも、今の経験は次に繋がる。次に行く勇気も大事」って考えです。
親と旦那は「ひとつのことを何年もやるのが美学」と思ってる節があって、よく衝突します。
逃げるとか、諦めるじゃなくって、どうやったら自分が伸びるか。が大事だって思わされた本でした。
剣道に生きてきたテンジ。
小さい頃からやっていた剣道は、楽しいものだった。
でも、中学生にもなれば妬みや嫉みに苛まれ、父親の仕事で転向を繰り返して、レギュラーの座を奪ってしまうテンジは、剣道が嫌になっていった挙句、剣道を教えてくれたじいちゃんが死去。
じいちゃんが死んでから、テンジは剣道をやめた。
剣道を辞めてもどこかわだかまりがあって、ある日体育館で竹刀とは別の音に惹き込まれる。
それが槍道との出会い。
槍道と出会って、そのまま槍道をするかと思いきや、剣道で磨り減った心は容易くまっすぐなるわけでもない。
同級生の羽山に、叱咤激励を受けながら、自分と向き合って槍道を続ける。