天沢夏月のレビュー一覧
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青春物語の書き手である作者の、でもこれは青春ものとは違う、一人の少女の物語。
題名はもちろん「時を駆ける少女」に掛けてるんだろう。
そのタイトル通り、ファンタジー仕掛けの時を遡る日時計が登場する。
その日時計を使って、主人公がいろんな時代の自分に会って、何か事件が起こる話か、と思ったのだけど、違った。
これはちょっと自分に自信が持てなくて、要領が悪くて、すぐ後ろ向きになってしまう女性の成長物語。
いや、成長とは少し違うかな?
まあでも、そんな感じ。
正直、自分的にはちょっと微妙だったかな。
時を遡るのも4つの時間のうち、最初と最後の二つだけ。
しかもこの内容なら、敢えてファンタジー仕掛けに -
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今読んだのは良きタイミングだったかも、と思うほど自分の価値観が揺さぶられた。
とはいえ本作、とある女性の9歳、13歳、21歳、28歳時の人生を綴り、そこにタイムリープを絡めて少しファンタジックにまとめる、とワシとはかけ離れたキャラと内容。それでも、価値観や愛情への考え方で影響を感じたのは、ライトに表現、構成されているが、主人公の感情の深掘りがされていて、純文学的でもあったからだと思う。
こういうのを読むと、文章表現とその効果ってことも考えてしまう。もちろん、サラッと青春小説としても読めるので、良作。
余談だけど。本作ではよく「空気を読まねばならぬ世界の不自由さ」が表現され、それは、かつて -
Posted by ブクログ
この作者の小説は2冊目。最初に読んだサマーランサーの方が好き、かな。
三人称と一人称の入り交じった文体が肌に合わなかったり、登場人物の多さに少し散らかった印象を受けたり。学園部活モノである以上関わる人が多いのは当然なんだけど、それを持て余しているように見えてしまって。なので終盤の佐藤先輩の試合なんかも、事前に一度名前が出ているとはいえ、そこに辿り着くまでの段階で思い入れを築くのが難しかったので今ひとつ感情移入できなかった……。
後半になって増えてくるテニス用語の乱れ打ちも入り込めなかった理由の一つかもしれない。スマッシュコートで得た知識で戦いました。 -
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友人が亡くなって始まった夏休みに、その亡くなった友人の幽霊が突然現れて、”お願いしたいこと”があるという。主人公たち四人の高校生は、訝しみながらもその幽霊に導かれて、友人の亡くなった場所を目指すのだけど…という物語。
オビには、「隠された想いを巡る、青春ミステリ」とあります。
”青春ミステリ”という文句に惹かれて選んだ本なのだけど、作家さんの年齢を知って驚きでした。既に亡くなっている方や年輩の方の本を読む事が多いので、その若さに。今まで自分が読んだ中では、最も若い作家さんなんじゃないかな。
文章は読みやすいです。
ただ、高校生の一人称だからなのでしょう。地の文が幼いです。自分以外の誰かが -
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一度部活?に挫折した女の子が、不良少年たちをまとめあげ、文化祭に参加する、というもの。
うーん、もともと吹奏楽やっていて、あんまりいい思い出がないせいなのかもしれないけれど、
不良少年たちがまとまったのは彼らにも音楽とは別の理由がちゃんと存在していたことと、あと主人公以外が全員男の子ばっかりだったからだよねぇ、と思ってしまった。
主人公はいい子なんだが、現実世界にいたら友達にはなりたくない、かな。。見た目ほど中身まで明るいわけではないようだったから、そこには共感できたけれど。この主人公の場合、この性格なら、ふつうなら?挫折するだけでなく、挫折以上のものを味わった可能性のほうが高い……とかいう話