あらすじ
突然の火事に遭い、孤独になったコテツは、島根に住む遠縁のかがりに引き取られる。かがりは、日本で唯一といえる女性刀鍛冶だった――。 かがりやその弟子たち、そして伝統工芸と呼ばれる作刀の仕事にかかわるうちに、徐々に刀に興味を持つコテツ。悩みながらも、鉄を打ち、その熱に溶かされ、コテツは自らの心の形も変えていく――。 気鋭の作家が少年の成長を瑞々しく綴った、胸に焔が灯るような青春小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自宅の火事で天涯孤独になってしまった男子高校生が後見人である日本で唯一老齢女刀剣師の元で成長していく物語。
※自分で立つことをやめるな。一度座り込んでしまうと立ち上がるのに時間がかかる。立ち止まっても迷ってもいい。立っておけば歩き出したいときに、すぐ一歩、踏み出せる。
※失敗を糧に進めばいい。
Posted by ブクログ
刀鍛冶という仕事と色々な事情を抱える人々の心情との結びつきが丁寧に描写されていて面白かったのと、主人公の名前など細かい刀関係の工夫があったのが良かった。
Posted by ブクログ
家が火事になり、親も退院できないため、遠縁の剱田(つるぎだ)という刀鍛冶の女性のもとで生活することになった高二の沙(いさご)コテツ。自身も顔に火傷跡残り、心と両方で深く火事からダメージを受けている。
島根の何もないと表現された環境や、剱田さんや弟子の気持ちに囲まれ、学校に行けないコテツがなし崩し的に刀鍛冶の仕事を手伝い、回復していく話だった。心の回復の方はまあ、普通という印象だったが、刀鍛冶の仕事が良く分かる児童文学という意味でレア、結構良かった!中高刀剣女子に一読して欲しいです。
刀を現代で作る意味かぁ。伝統工芸品全般が持つ問題かもしれないけど、刀はまた、人を殺せる武器だから難しいんだな。初めてそんなことも意識しました。
Posted by ブクログ
刀鍛冶の仕事に向き合う中で成長する不登校高校生の物語。仕事そのものの魅力と殺傷力を持つものを伝統・技能の維持と美術として作る矛盾とを題材に火災で自分自身もトラウマを抱え父を失った経験からの再起を描いている。やや書き飛ばしも感じるが、周囲を巻き込んで共に成長する物語にしたところなどと魅力的だ。
Posted by ブクログ
「ヨンケイ」の天沢さんをもう一作
自宅アパートの火事で火傷を負いながら
父親に助けられた高校生の少年
警察官だった父親は、再び火の中に戻り
長期の入院生活となる
心身共に傷ついた少年を預かったのは
遠縁の島根の刀鍛冶の女性
父親との関係性
疎遠だった離婚した母親との修復
刀鍛冶弟子達がそれぞれ抱える悩み
それらを刀匠の洗練された伝統技術の継承の中で
流れていく方向を模索していく
少年が頑なな表情も見せるがとても良い子で
どの方向に進もうとも応援したいなと思わせる
少し小説のボリュームの割に問題を広く取り上げすぎている気はします