樋口明雄のレビュー一覧
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大好きな樋口作品の中でも異色のウルトラ・スラップスティック・コメディ。
やりすぎもここまでくると素晴らしい!! バカバカしすぎます。
活字で声を出して笑うなんてあまりないんですが、今作は堪えきれずに
バスの中で完全に一人、アヤしい人になって読んでました。
壮絶かつ凄絶なこの酒場はタイトルに嘘偽りなしの、まさに
「武装酒場」(笑)。登場人物の酔い方は尋常ではないです。
冒頭でいかにもの雰囲気で前振りした「阿佐ヶ谷三大奇人」の
登場の仕方も、笑いのツボを心得た素晴らしいシチュエーション。
この場面3回読んで、3回とも笑った。
こういうドB級なコメディでも樋口さんの良さが出まくってますね。
ラストのホロリとさせる酔いどれ達の素敵な計らいも最高。 -
Posted by ブクログ
すさまじく面白かった。
南アルプス山岳救助隊K9シリーズ最新刊。
でも、いつものように夏実と静奈、そして救助犬たちが南アルプスの自然の中で大活躍するわけではない。
物語の始まりはいつものように、南アルプス北岳での遭難現場から始まる。
残念ながら、要救助者を助けることはできなかった。
しかし、物語のメインテーマはそこでは無かった。
AIの急速な発達によって、山行でもAIのガイドに従って行われる登山が一般的になってきているという設定。
そして、山の事故が実際にはどのように起きたかというテクノスリラーの様相を帯びてくる。
天空の犬シリーズとしては、少し毛色の変わった作品かもしれない。
しかし現代、現実に生きる作家が、リアルタイムでK9のメンバーの話を記すときには避けて通れないAIの進展という現実。
そのリアルな物語が、凄みを持って面白かった。
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このシリーズ、大概は夏に刊行されていたが、今回は異例の3月。
昨年来、熊が街中に出現し人的被害も出ている現状に、山梨県に移住し自然環境の保全活動にも取り組んでいる著者なりの、ひとつの提言をするべくの緊急刊行だろうか。
ハンターに母親熊を殺され、自らも負傷し片目となったクマが復讐のために、ハンターや人々を襲う。
今回は、夏実たちが、『約束の地』や『許されざるもの』の主人公WLP八ヶ岳支所長七倉航と協力し、クマに立ち向かう一種のコラボ作品。
七倉航のことばを介して、著者が日頃の思いを託す。
七倉が要望するクマ対策について「結局官僚制度に縛られた日本の政治と公務員のシステムが壁になっているんだ」
山梨県自然観察員をしている著者として「この文明社会には自然というものに対するリスペクトがほとんどない」
一連のクマ騒動についても「人間に蹂躙され、無残に破壊されてきた自然が生み出した邪神だ」
本来、春の若芽や秋の堅果類、ハチやアリを食べていたクマが肉食嗜好に変わってしまったのも、ハンターによる死骸の不法投棄が肉食化の原因になったとも。
復讐の鬼と化した巨大なクマとの決着も、野生鳥獣の保護の取り組みを行っている著者らしい終わり方となっていて、退治する夏実に久しぶりに「妙な力」が顔を出す。
七倉航は、その夏実に「娘とどこか似ている」と既視感を覚えるが、今後のシリーズで、夏実と同様な妙な能力を持った七倉の娘・羽純が出会う場面があるのだろうか。それも楽しい試みのひとつとして、期待して待つことにしよう。 -
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終わった。
激しい銃撃戦の後、宿敵であった教祖が倒され、やっと息をつくことができた。
東日本大震災の後、再度の大地震に襲われ、そして今度は幸運に恵まれず、複数の原子力発電所がメルトダウンし全土が荒廃する。
日本人は日本列島から脱出し、世界に分散。
辛うじて難民を受け入れてくれた外国の居留地にたどり着く。
第二次世界大戦中の米国日本人居留地、東日本大震災、そしてその後の福島原発事故という現実を踏まえ、描き出された日本人居留地の姿はあまりにリアル。
そして、いま日本国内で起こっているヘイトクライムが日本人に対して行われるという設定は、滅茶苦茶な政権運営が行われる米国の今を考えると、恐ろしさと共に想像できる現実。
その緻密な仮想現実の上に描かれた近未来のドラマは恐ろしく現実的に迫ってきた。
読み始めてから終章に入るまで、一気に読んだ。そして、きちっと完結してくれたことに、安堵感を覚えた。
物語に振り回された感があるが、とても面白かった。
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天空の犬シリーズ
救助犬と山岳救助隊が詰める八ヶ岳に、人を襲う熊が出た。
小説はもちろん作者の創作物ではある。
設定やストーリーは創作物であるけれど、その上で出てくる舞台や人物たちの動きに嘘がないと、その作品がリアルに感じられる。
今回取り上げられたエピソード熊による被害について、猟友会のような組織に実在しそうなメンバーがいて、人を襲う賢い動物が考え(実際に野生動物の中には賢いものがいます)、八ヶ岳を舞台に暴れる。
その描写がリアルに感じられ、山に入るのが少し怖くなる。
読後感は悪くないようにできていたので、今回もどっぷり楽しませていただきました。 -
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2025年の今年の漢字にも選ばれた「熊」
南アルプスの麓にも、人間を襲うクマが現れ、人間とクマの格闘を描いた作品になっている。
今作は夏実たちの活躍より、狩猟会(猟友会)と野生鳥獣保全管理センターの人々の葛藤を描いている。
以前母グマと兄弟グマを目の前で殺された、通称「片目」と呼ばれるツキノワグマ。
東北地方では、人的被害も出たが、多くは餌を求めて、街に迷い込んだと思われるクマたち。しかし、片目は最初から復讐の為に、次々と人間を襲っていく。
このシリーズではあまりないグロテクスなシーンも多い。
一方、夏実たちが駐在する白根御池小屋周辺では、デポしておいた高級なテントなどが盗まれる窃盗事件が頻発していた。
クマと窃盗、どう繋がるのかと思ってたら、ほとんど繋がらなかった…
クマに対するのは、本来警察の仕事ではないけど、救助犬を利用すると言う形でストーリーを成立させている。
物語の組み立てはいろいろ疑問が残るものの、クマの被害やクマの生態系への懸念など、考えさせられる部分は沢山あった。
春も本格的に近づき、今年もまたクマたちとの闘いは続くのだろうか?
出来れば、人間はもちろんだけど、クマも本来の暮らしが出来るようになって欲しい。