樋口明雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大好きな樋口作品の中でも異色のウルトラ・スラップスティック・コメディ。
やりすぎもここまでくると素晴らしい!! バカバカしすぎます。
活字で声を出して笑うなんてあまりないんですが、今作は堪えきれずに
バスの中で完全に一人、アヤしい人になって読んでました。
壮絶かつ凄絶なこの酒場はタイトルに嘘偽りなしの、まさに
「武装酒場」(笑)。登場人物の酔い方は尋常ではないです。
冒頭でいかにもの雰囲気で前振りした「阿佐ヶ谷三大奇人」の
登場の仕方も、笑いのツボを心得た素晴らしいシチュエーション。
この場面3回読んで、3回とも笑った。
こういうドB級なコメディでも樋口さんの良さが出まくってますね。
ラス -
Posted by ブクログ
いきなり怖すぎるやろー
しかもこんな冒頭からヤバい状況。この気持ちを引きずりながら読まなきゃいけないなんて、そんな殺生な....と思って読み始めたが、話の展開が早くてあれよあれよという間に読み進められてしまう。
ガチガチの山岳小説ではない。どっぷりと自然を礼賛し触れ合う自然小説ではない。警察モノ、国家機密を扱うサスペンスものでもない。
でも、それらの要素をみな取り込んで、一編の小説として良いぐらいに成立させているのは、やはり小説家の腕前なのだろうか。
そして、それはやはり、山麓に住み、山に登り、川に遊ぶリアルアウトドアズマンである作者ならではの作品なのだろう。
一気に読んでしまったので、冒 -
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「南アルプス山岳救助隊K-9」
シリーズの著者による、感動の人間讃歌!
ライフ・イズ・ワンダフル!
65歳。退職後に残された人生には絶望しかなかった。
しかしこの山小屋だけは、彼を優しく受け入れてくれた。
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インスタで見つけて気になっていた一冊です。
書店で見つけて、
表紙が綺麗で夏にぴったりかもと思い手に取りました。
主人公の里村は65歳で勤めていた会社を定年退職。
仕事一筋、これからは家族の時間をと思い帰宅すると…待っていたのは離婚届。
娘の美紀 -
Posted by ブクログ
田舎暮らしの大変さへの理解はあると思っていたが、猟師、電気柵、井戸水、放射能汚染された薪という問題は想像を超える角度と影響度で恐れ入った。
田舎を一緒くたには出来ないが、土地がどこであれ別の形で大変な問題にぶち当たるのだろう。
宮崎の美々津に住む知人や、山山口で知り合った移住者からも似た話を聞いていたし、梨の都留に住む恩人からもつい最近大変だったというエピソードを聞いているので場所や時代が変わっても苦労は変わらないというのは本当のようだ。
都会的で自由主義で個人主義な生活スタイルのままでは壁に当たるというのは大前提で、その上で地方ならでは、田舎ならでは、持ち家ならではの問題に翻弄されるのを覚 -
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著者自身の故郷・山口県岩国市を舞台にした短篇集。収録された三作のうち表題作だけ主人公が異なるが、初恋についてのモノローグですぐにわかる通り、どの作品も著者を通して繋がっている。様々な映画が引用される。表題作は、映画館が物語の舞台のひとつなのであたり前だが、他の作品にも、洋画・邦画のあんな作品やこんな作品の要素がちらつく。そもそも、表紙からしてそうだ。でも、映画だけではない。この短編集には、広島、つまり原爆の残像が根っこにある。そして米軍基地。映画も含め、1970年代に、日本から、過去の記憶と傷跡を引きずりつつ、でも仰ぎ見ていた、かつてはたしかに存在した、キラキラして輝いていた(でもその裏側に
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Posted by ブクログ
お久し振りに<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズ、12冊目。
今回は山岳救助隊と救助犬のレスキュー活動の日々を描く8つの短編集。
「孤老の山」「愛子とアイコ」「銀嶺の彼方に」
最初の3話は要救助者の捜索・救助の話が中心になり、怪我したり亡くなったりしている人も出てくるので、どれもよい話だが、いささかしんみりした話が続く。
ここまでは、まあ水準。
「影なき男」「愛と名誉のためでなく」
ここから、過去にも登場した山梨県警や南アルプス署の刑事たちが登場するミステリー仕立ての話が続く。
とりわけ、場面切換えがスピーディーで長編をギュッと凝縮したような展開の第4話が良かった。
いつもは見上げるだけ -
Posted by ブクログ
酒がやめられない。
酒は身体を害することはわかっている。
そして、私の身体は酒に起因する障害を起こしており、当然医者にも酒はとめられている。結局、酒で身体を害して死ぬことになっても、まあ仕方ないかと思っている。
天空の犬シリーズの作者、アウトドアで、酒を書かせたら底抜けの大好きな作家、樋口明雄氏の新刊は「断酒本」。
断酒本といっても、健康のために飲みすぎに注意しましょうという本ではない。
本書の三分の二は、今まで筆者が歩んできた暴飲、壮絶な酒飲み人生の振り返り。
いや、すごいは。
筆者の作品に「武装酒場」という、壮絶な酒飲みたちを描いたものがある。
それは、ほとんど実話をベースにしていたと