樋口明雄のレビュー一覧
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犬と人間の心の交流を描く五編の短編集。
「グッドバイ」
「バックパッカー」
「疾風」
「遠吼え」
「向かい風」
うち後半の三篇が印象的でしたが、最後の一篇のみストーリーを途中まで紹介。
「向かい風」
高津弥生は2008年、国際緊急救助隊として、今までの職を辞して、牝のボーダーコリーのエマとともにNPO法人ジャパンレスキュードッグスの活動で中国へ行き地震の被災地の小学校に入りますが、活動中にガス爆発で、一緒に被災地入りした、二人の仲間と犬を失ってしまいます。
それが、トラウマになり弥生はエマと日本で何もできずに、休養中の山の中で、遭難事件が起こります。
東京から来た双子の女の子が、行方不明なので一緒に捜して欲しいと地元の警察から頼まれます。
警察は二人の少女を絶望視していますが、エマが吠えたのです。
救助犬の人間の為の立派な活躍に胸がいっぱいになりました。 -
購入済み
浮かび上がる情景
引き込まれるように読みました。
山々の景色、メイの瞳、人々の動きや表情が、あたかも映像のように浮かび上がり入ってきました。命の息吹を吹き込んでくれる傑作だと思います。
他のご著書も拝読します。 -
Posted by ブクログ
4.8
もうとっくに跡形も無くなっていると思っていた。
けれども、痕跡すら無くなっていたハズのその傷に触れられたら、やっぱり血が出て来て驚いた・・
秘密基地で繰り広げられるおバカな日常・・
エロ本やクラスの女子への狂騒と照れ隠しには、声を上げて笑った。(ただし自分の感覚では小学校6年位だったな)
所々に流れる昭和の名曲達には思わずハミング。
そして・・上関のキャンプである。
すっかり暗くなった空の下で焚く、拾い集めた流木での焚火。
食事を終え、する事が無くなってボーっと見つめる火床の描写が余りにもリアルな為、何十年も前の砂浜に意識が飛んで、その煙の匂いや明滅する熾を前にして涙が出ていた。
オサゲが隣で微笑むのが、また涙が出るほど嬉しくて切ない。
(僕等に無かったのはテントとオサゲ・・キャンプというより野宿やった。笑)
ノッポが言う・・
「俺らやっぱし、いつまでも子供でいられんのじゃのう」
「ああやって傷ついたり、血を流したり、泣いたりして、少しずつ大人になっていくんと違うかのう」
思えば、
自分の人生で初めて「慟哭」という名の感情の在りようを経験したのも、友の死だった。
本当の意味の「喪失」の想像を絶する残酷さも。
◯森木健一(モリケン)・・小説家を夢見る中二。ノッポ、ムラマサ、ミッキーの三人といつも秘密の基地でたむろす。イジメに遭う幼馴染・陽子に想いを寄せるが救う勇気が出ない。
◯北山登(ノッポ)・・モリケンの親友。マンガ家を目指す。父譲りのミノルタで写真を撮りまくる。漢気があふれる奴。
◯村尾将人(ムラマサ)・・母子家庭に育ち、破天荒な困った奴。中学生にしてアル中。拾ったバイクを器用に再生する。
◯幹本靖弘(ミッキー)・・東京から転校してきた垢抜けた男子。兄から貰ったギターでボブ・ディランを弾く。クラスで唯一ボウズでない。
◯松浦陽子(オサゲ)・・四人のクラスの女子。
イジメを受け登校拒否に。モリケンの訪問をキッカケに立ち直る。
やがて・・
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Posted by ブクログ
決して女には立ち入れない男達の世界。
警視庁警備部に在籍しSPとして、エリート警察官だった佐伯。
その佐伯が、なぜ山岳警備隊に??
キャリアを捨て山岳地帯で遭難者を助ける佐伯が
次から次へと命を狙われ羽目に・・・。
雪山で繰り広げられる死闘。
仲間の死。
しつこい程、追いかけてくる奴等。
山の厳しさ、過酷さの中の
男達の闘いが、とにかく熱い!!
山で命を落とす人の死に方が、詳細に書かれていて
全く知らなかったので唖然とした。
佐伯の寡黙な生き方と、そんな佐伯を見守る仲間達の
熱い絆が、泣ける!!
登山や山の厳しさが丁寧に書かれていて
その丁寧さが、丁寧過ぎずに読みやすく
私事が言うのは何ですが(笑)
凄く物語りの強弱??が上手かったです。
山岳メンバー、一人一人も魅力的で
とても楽しめた作品。
臨場感たっぷりでいて、ハラハラドキドキもあり
そして、泣ける場面もあり。
何と言っても山の厳しさの中
男達が命を掛けて人命救助に向かうのが
格好良すぎます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めましての作家さんです。
フォローさせていただいている方のレビューがきっかけで手に取りました。
主人公は、南アルプスの山岳救助隊に着任した夏実と、山岳救助犬のメイ。
夏美は、色を感じるという特殊な能力がある。
そのせいで心に深い傷を負っていた───
とにかく夏美とメイの「強い絆」が素晴らしかった。
脚にピストルの弾が貫通するケガを負いながら、
夏美の元へまっしぐらに走っていくメイ。
とび色の大きな瞳が、暗闇で二つの青い光になる。
やっとメイと再会できたのに、また別れなければならない場面、
またもや自分の元から離れるように命ずる「GO!」
もうこらえきれず泣いてしまいました。
メイの瞳が、鮮やかなコバルトブルーに染まった瞬間、
見上げる天空に広がる美しい青──
乗り越えるのが無理なら背負って生きよう──
生きていることは素晴らしい──
この最後のシーンに胸が震えました。
夏美とメイのこれからが、とても楽しみです。
余談ですが、メイを見ていると愛犬を思い出します。
いつも、澄んだまんまるのやさしい瞳で見つめてくれて…
ちぎれそうになるほど尻尾を振ってくれて…
ただひたすらに私を信じてくれて…
ワンちゃんに限らず、動物はみんなそうですよね。
与えられている時間は、人間よりはるかに短い。
だからよけい、懸命に働いているコを見ると無性にいじらしく思えるのです。 -
Posted by ブクログ
南アルプス山岳救助隊K-9シリーズの短編集。
全て日本第二位の標高を誇る山、北岳が舞台になっている。
火山じゃない山としては、日本最高峰なんだって!
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前に読んだ『火竜の山』から主人公は夏実なのかと思っていたら、この短編集は主人公がK-9の他のメンバーだったり、山小屋のアルバイトの子だったりと変わっていく。
面白くて続きが気になって、あっという間に読み終わってしまった!
救助犬たちも可愛いし。
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夏実の相棒はボーダーコリーって何回も書いてあるのに、実はずっと頭の中でコーギーを思い浮かべてた…(^v^;)
メイ、ごめんね!
表紙にちゃんと絵まであるのに!
ってか、『火竜の山』からずっと頭の中でコーギーだったわ…。
今作の中盤で、突如として毛色がそんなコーギーっていたっけな…ハッ‼︎ってなった。
思い込みって怖いわぁ。
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それにしても山に登る人のマナー違反て、う〜んて思う。
馳星周さんも解説の中で「山に登る人間が増えれば、山の上では下界と変わらない光景が繰り広げられることになってしまうのだ。」と書いてらっしゃったけど、本当にそうだなぁ…と。
わざわざ山に登ってまで、そんなマナー違反をするなんて!って思うけど、人間は色んな人がいるからなぁ…。
良い人も悪い人も。
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遭難の話が続くので、山が兎に角怖くなってしまって、私は登らないな!とか思ってたのに、最後の方には山に登ってみたくなってしまった。
不思議。
このシリーズ面白いので、他の作品も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレスペンサーシリーズに同名の作品があるが、全く別物。
本作は八が岳や南アルプスの自然を舞台に、環境と獣害問題をテーマにした家族小説。
とにかく、やたらとテーマを盛り込んでくる。狩猟の問題、獣害からのモンスター、食物連鎖、地方行政の怠慢、環境汚染、いじめ、またぎの老齢化、気候変動…こんなに盛り込んでどう収拾するねんと読みながら危惧していたんだけど。
ネタバレしてもしょーもないので、多くは語らないが大丈夫。力とテクニックを上手くミックスさせた筆運びで見事収拾させてくれる。ある程度予想がつく、悪く言えばベタな展開にはなってるけど、安定度は抜群。むしろ巧みな捻りは無用だろうと思わせるぐらいのストレートな描写で、自然と向き合う人間の、動物の姿を読ませてくれる。
狩猟の趣味はないし、鉄砲みたいな危ない物を持つつもりは毛頭ないけど、山歩きを趣味にしている俺にとって、この本に書かれていることはとても関心があり勉強にもなった。自然や山に対しては、常に謙虚であろうと思った次第。
難しいことは考えなくても、小説として十分オモロい一級の出来。
八が岳行きたいぞ、黒戸尾根行きたいぞ。