樋口明雄のレビュー一覧
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さて、シリーズ3冊目。
このシリーズを読み始めたのは、何かでこの巻を見て、タイトルと表紙の絵に惹かれたからだった。
今回、見慣れた地図がストーリーにあわせてちょっと変わったみたい(何故だか出版社も変わっているし)。
シリーズ初の本格的長編だが、これがなかなか面白かった。
北岳山荘を制圧しVXガスを盾に政府に要求を突きつけるとは結構無茶な設定だが、私怨とも公憤ともつかぬ犯人の動機と右往左往する無能な閣僚たちのコントラストを見せられれば、さもありなんと思わされる。
そんな中、内幕を知らされないまま陸の孤島になった北岳で行動する人々と犬たち。これがまたそれぞれに持ち味全開で見せ場あり。
外で作業し -
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樋口明雄『南アルプス山岳救助隊K-9 異形の山』徳間文庫。
山岳救助犬&救助隊員が活躍する山岳小説シリーズの第10弾。文庫書き下ろし。
まるで、あの大傑作『約束の地』を彷彿させるようなストーリーに大興奮のうちに読み進む。非常に面白い。荒唐無稽な大事件の真相については道義上、余り触れられないのがもどかしいのだが、現実味のある真相であることだけは付け加えておく。読めば解る。
南アルプスの北岳で謎の火球が目撃された後、北岳にある白根御池小屋が破られ、備蓄食料が荒らされた。通報を受けて現場に到着した山岳救助隊の進藤諒太と相棒の川上犬リキが目撃したのは人間業とは思えぬ破壊の光景だった。現場 -
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樋口明雄『南アルプス山岳救助隊K-9 風の渓』徳間文庫。
シリーズ第9弾。文庫書き下ろし。
南アルプスの自然とは無縁なはずのネグレクトや引き籠り、ネット犯罪という現代社会の病巣を巧くテーマに取り入れ、南アルプス山岳救助隊のメンバーの活躍と山に生きる人びとの暖かさを描いた感動の傑作。
第一章に描かれた深町の言葉、「この国の人間はどんどん“劣化”が進んでいると思う。」は、まさにその通りだと思う。今の世の中は個人の権利や自由を優先し、義務を果たさない人間が増えた挙げ句、何時の間にか人間の心が荒廃しているようだ。しかし、その中でも真っ当に歩み出そうとする者と道を踏み外してしまう者がいる。
今回 -
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犬と人間の心の交流を描く五編の短編集。
「グッドバイ」
「バックパッカー」
「疾風」
「遠吼え」
「向かい風」
うち後半の三篇が印象的でしたが、最後の一篇のみストーリーを途中まで紹介。
「向かい風」
高津弥生は2008年、国際緊急救助隊として、今までの職を辞して、牝のボーダーコリーのエマとともにNPO法人ジャパンレスキュードッグスの活動で中国へ行き地震の被災地の小学校に入りますが、活動中にガス爆発で、一緒に被災地入りした、二人の仲間と犬を失ってしまいます。
それが、トラウマになり弥生はエマと日本で何もできずに、休養中の山の中で、遭難事件が起こります。
東京から来た双子の女の子が、行方不明なの -
購入済み
浮かび上がる情景
引き込まれるように読みました。
山々の景色、メイの瞳、人々の動きや表情が、あたかも映像のように浮かび上がり入ってきました。命の息吹を吹き込んでくれる傑作だと思います。
他のご著書も拝読します。 -
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4.8
もうとっくに跡形も無くなっていると思っていた。
けれども、痕跡すら無くなっていたハズのその傷に触れられたら、やっぱり血が出て来て驚いた・・
秘密基地で繰り広げられるおバカな日常・・
エロ本やクラスの女子への狂騒と照れ隠しには、声を上げて笑った。(ただし自分の感覚では小学校6年位だったな)
所々に流れる昭和の名曲達には思わずハミング。
そして・・上関のキャンプである。
すっかり暗くなった空の下で焚く、拾い集めた流木での焚火。
食事を終え、する事が無くなってボーっと見つめる火床の描写が余りにもリアルな為、何十年も前の砂浜に意識が飛んで、その煙の匂いや明滅する熾を前にして涙が出ていた。 -
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決して女には立ち入れない男達の世界。
警視庁警備部に在籍しSPとして、エリート警察官だった佐伯。
その佐伯が、なぜ山岳警備隊に??
キャリアを捨て山岳地帯で遭難者を助ける佐伯が
次から次へと命を狙われ羽目に・・・。
雪山で繰り広げられる死闘。
仲間の死。
しつこい程、追いかけてくる奴等。
山の厳しさ、過酷さの中の
男達の闘いが、とにかく熱い!!
山で命を落とす人の死に方が、詳細に書かれていて
全く知らなかったので唖然とした。
佐伯の寡黙な生き方と、そんな佐伯を見守る仲間達の
熱い絆が、泣ける!!
登山や山の厳しさが丁寧に書かれていて
その丁寧さが、丁寧過ぎずに読みやすく
私事が言 -
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樋口明雄『レスキュードッグ・ストーリーズ』ヤマケイ文庫。
南アルプス山岳救助隊K-9シリーズの短編集。文庫本特別収録の1話を含む全13話を収録。徳間文庫、ハルキ文庫、新潮文庫と続き、今度はヤマケイ文庫からの刊行となかなか忙しい。 しかも、ヤマケイ文庫から刊行されたのを見逃していた。
冬山で遭難した男、嫌われ者の頑固爺さん、急変する山の気象、失われいく自然と人間のエゴ、山の怪異、大切な人との別れ……日常よりも生と死を強く感じる山を舞台に様々なドラマが描かれる。他のシリーズ作品はサスペンス冒険小説の色合いが濃いのだが、本作は泣ける感動的な話が多いようだ。
『遺書』『山の嫌われ者』『青天の霹靂 -
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樋口明雄『炎の岳 南アルプス山岳救助隊K―9』新潮文庫。
南アルプス山岳救助隊シリーズ。徳間文庫、ハルキ文庫と続き、今度は新潮文庫からの刊行となかなか忙しい。『火竜の山』の改題。
相変わらず面白く、このシリーズはハズレが無い。今回、静奈と夏実の前に立ち塞がる敵は自然の猛威と誘拐犯に謎の凶悪殺人犯だ。山岳アクション冒険小説とピカレスク小説の二つが同時に楽しめる贅沢な作品。
登山客で賑わう幻の名峰、新羅山を群発地震が襲う。火山学者は噴火の警告を出すが、行政側に黙殺される。やがて噴火が始まり、逃げ遅れた登山客を救出するために静奈と夏実はバロンとメイを伴い、山頂へと向かう…… -
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樋口明雄『風に吹かれて』ハルキ文庫。
文庫書き下ろし。著者の出身地である山口県岩国市を舞台にした傑作青春小説。舞台に加え、描かれている年代から考えても著者自らの体験をベースにした自伝的作品であると推測される。著者とは年代が近いこともあり、描かれている年代の流行や文化に懐かしさを覚えた。
物語は1973年の夏から始まり、2018年の夏で幕を閉じる。あくまでも物語の中心は1973年で、2018年は著者のあとがきなような感じである。1973年の夏に中学2年生のモリケンこと森木健一が幼なじみのノッポ、ムラマサ、転校生のミッキーラと繰り広げる小さな冒険。山と川と海、秘密基地、友情に喧嘩に恋に冒険と、 -
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ネタバレ初めましての作家さんです。
フォローさせていただいている方のレビューがきっかけで手に取りました。
主人公は、南アルプスの山岳救助隊に着任した夏実と、山岳救助犬のメイ。
夏美は、色を感じるという特殊な能力がある。
そのせいで心に深い傷を負っていた───
とにかく夏美とメイの「強い絆」が素晴らしかった。
脚にピストルの弾が貫通するケガを負いながら、
夏美の元へまっしぐらに走っていくメイ。
とび色の大きな瞳が、暗闇で二つの青い光になる。
やっとメイと再会できたのに、また別れなければならない場面、
またもや自分の元から離れるように命ずる「GO!」
もうこらえきれず泣いてしまいました。
メイの瞳が -
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南アルプス山岳救助隊K-9シリーズの短編集。
全て日本第二位の標高を誇る山、北岳が舞台になっている。
火山じゃない山としては、日本最高峰なんだって!
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前に読んだ『火竜の山』から主人公は夏実なのかと思っていたら、この短編集は主人公がK-9の他のメンバーだったり、山小屋のアルバイトの子だったりと変わっていく。
面白くて続きが気になって、あっという間に読み終わってしまった!
救助犬たちも可愛いし。
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夏実の相棒はボーダーコリーって何回も書いてあるのに、実はずっと頭の中でコーギーを思い浮かべてた…(^v^;)
メイ、ごめんね!
表紙にちゃんと絵まであるのに!
ってか、『火竜の山』からずっと頭の