樋口明雄のレビュー一覧

  • 南アルプス山岳救助隊K-9 震える山嶺

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    樋口明雄『震える山嶺 』シリーズ15作! 母親と兄弟を猟師に殺され自らも傷を負わされた片目の巨大クマが人を襲う。殺戮シーンと原型を留めない凄惨な被害者の描写が恐ろしい。一刻も早く退治されることを願いながら読み進めたが、クマに対峙し夏美が感じた真実とは…。

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    2026年08月11日
  • レインバード

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    アメリカコロラド州のヘブンで次々と起こる日本人女性の殺人事件、事件を追うのは日系3世であるラリー・サワムラ保安官補。
    ここヘブンには日本での未曾有の災害によりアメリカの移民となった日本人が住むレインバード居留地がある。
    そんな街がいかがわしい叡智の光教団によって占拠されそうになっていく。
    ラリーは正義を守るため銃を片手に立ち向かう。
    アメリカに根付く有色人を排除する風潮はヘブンの街を変えていく。
    どんな結末が待っているか?
    とても読み応えのある作品でした。

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    2026年06月23日
  • レインバード

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    日本を襲った未曽有の大災害によりやむなく全世界へと移り住んだ日本人たち。米国コロラドのヘブンで過酷な暮らしを送る日本人を襲うヘイトの嵐。損中で起こる連続殺人事件に保安官のフランクとラリーが正義を貫き悪徳政治家やヘイト教団に立ち向かう。荒唐無稽に過ぎる設定ではあるが読ませるのはさすがの作者さん。

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    2026年05月25日
  • ヤマケイ文庫 北岳山小屋物語

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    北岳にある5つの山小屋に樋口明雄さんが出向き、管理人さんたちにインタビューをしてまとめたノンフィクション。自分自身が2度北岳に登ったことがあり、小屋にはとてもお世話になったので、その裏側の事情を知りたいと思って手に取った。ルールや仕事の分担など、想像以上に小屋ごとの個性があって面白いが、基本的にはなんでもこなせるマルチな技術がスタッフには求められている。当たり前だが、必要なものがすぐに手に入るわけではない厳しい環境で生きていくためには、どんな状況にも臨機応変に対応できるスキルが欠かせないからだ。
    訪れたことのある小屋にもっと愛着がわいたし、唯一足を向けたことのない両俣小屋にもぜひ行ってみたくなった。

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    2026年05月03日
  • のんではいけない 酒浸り作家はどうして断酒できたのか?

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    とても良い本
    何がAAのミーティングに出ているようで、読み終わって清々しい気分なった。
    作者の人生、酒浸り。迷いや生き方がよく分かる。共感できるところが満載で、断酒のノウハウなど一切ない。そんな小手先一つで断酒など出来ない。
    それを教えてくれる本

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    2026年03月22日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 愛と名誉のためでなく

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    久々の山岳救助隊シリーズ。短編だけど読み応え充分で作者があとがきでクレヨンしんちゃんといっているが年齢も重ねて欲しい。
    でもこのシリーズは終わってほしくない。

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    2026年01月29日
  • 武装酒場の逆襲

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    本作も居酒屋〈善次郎〉を舞台とした酔っぱらい達の武闘伝でした。酔っぱらい達の躍動感は健在で、落語ような文体で進んでゆくのでスイスイと読めてしまいました。
    仙醸といいちこもイイですね。

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    2025年08月31日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 遥かなる蒼峰

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    樋口明雄『南アルプス山岳救助隊K-9 遥かなる蒼峰』徳間文庫。

    文庫書き下ろし。

    今回は南アルプスが舞台ではなく、アメリカのヨセミテ国立公園からキングス・キャニオン国立公園、セコイア国立公園が舞台となる。

    このシリーズは毎回、想定外の事件が描かれ、山岳救助隊のメンバーと山岳救助犬が事件へと果敢に挑むのだ。今回は北岳白根御池小屋のアメリカ人スタッフ、ニック・ハロウェイと神崎静奈の2人がジョン・ミューア・トレイルを走破しながら、大きな事件を解決する。

    一気読みだった。何時もながら面白い。


    何時も陽気な北岳白根御池小屋のアメリカ人スタッフのニック・ハロウェイは、最近、何故か落ち込んでいた。ニックの親友のピーターの婚約者のジョアンがアメリカで何者かに銃撃されて亡くなり、それを聞いて、オーストラリアからアメリカに戻ったピーターもトラックに轢かれて亡くなったのだ。

    大学時代にニックとピーターは国家機密に関わる国防関係の仕事をしていたのだが、その時のメンバーの大半が不審死を遂げていた。ニックとピーターだけは国外に脱出していたので死を免れていたのだ。

    ニックは生命を狙われることを承知でアメリカに戻り、ピーターとジョアンと3人で走破することを夢見ていたジョン・ミューア・トレイルの単独制覇に挑む。それを聞いた神崎静奈はニックの力になろうと長期休暇を取得し、数日後にアメリカに向かう。

    本体価格800円
    ★★★★★

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    2025年07月16日
  • ヤマケイ文庫 宇宙に願いを

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    青春の結末はいつだって苦い。それが少年少女たちの成長のステップになっているからだ。
    本書に収められた三本の短編はいずれも青春の思い出と上手くいかない現在が詰まっている。
    特に表題作は映画ファンなら「おお」となるタイトルがズラリである。映画少年が主人公だから当然と言われれば当然なのだが。
    思い出とは面影、だろうか。隣にいた友人の、初恋の人の、いつか忘れてしまう無数の面影。本書に描かれたものはそうしたノスタルジーに溢れている。

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    2025年05月22日
  • 太陽を背にうけて

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    主人公は定年退職とともに妻から離婚を切り出され、己の居場所をなくした里村乙彦。
    娘に促され、一念発起し酒浸りの生活を断ち、北岳肩の小屋で働くことになる。過酷な環境の中、やることなすこと不器用で失敗続き。
    しかし、その必死に頑張る姿を山小屋管理人親子やスタッフたちが温かく見守る。
    主人公里村の行動とともに、山小屋スタッフたちのそれぞれの内情も綴られ、人生の再生を期する人たちを清々しく描かれている。
    北岳が舞台ゆえ、「南アルプス山岳救助隊」シリーズのメンバーも顔を出し、ファンにはに逃せない作品。

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    2025年04月16日
  • 太陽を背にうけて

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    表紙の山に惹かれて購入。山小屋で働く人たちが悩みを抱えながら生活しており、登場人物に共感することができた。登場人物のほとんどがいい人なので、ほっこりとした気持ちで読み進めることができました。
    山での生活や景色が想像でき、爽やかな気持ちにさせてくれる作品でした。

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    2025年04月07日
  • ヤマケイ文庫 宇宙に願いを

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    樋口明雄『宇宙に願いを』ヤマケイ文庫。

    『風に吹かれて』に続く、樋口明雄の自伝的青春小説。3編の短編を収録。

    この歳になると、こういう短編を読むと涙腺が緩み、自分の過去にも思いを馳せてしまう。あの時、こうしていれば良かったと後悔ばかりが先に立つ。


    『幻夏』。

    ノスタルジックな快作。読みながら、自分の中学校時代の友人はどうしているだろう、昨年末に亡くなった父親とももっと話をしたかったなど、様々な過去への思いが湧き出した。自分の場合は過去への後悔の方が多いのは、そういう人生を送ってきたからだろうか。

    前作にも登場したモリケンこと森木健一も65歳となり、作家を生業としていた。ある日、中学校時代の同級生8人との同窓会に参加した森木が浮かない顔をしていると、同級生の西村に気分晴らしに一度故郷の岩国に帰ってみろとアドバイスを受ける。


    『俺たちのロングウォーク』。

    幼い頃から冒険という言葉に胸をときめかせた記憶がある。作中に登場する『冒険手帳』は自分も読んでいた。自分の中学生時代にも父親がヤクザという同級生が居た。

    再び主人公はモリケンこと森木健一。中学時代にモリケンが友達と岩国から徳山までの40キロの道をひたすら歩くという冒険に出掛けた話を大人になったモリケンが娘に話す。


    『宇宙に願いを』。

    甘酸っぱい初恋の記憶とノスタルジー。自身の力ではどうすることも出来ない悲しい運命。昔の田舎には何故か『オリオン座』という名前の映画館があったように思う。スピルバーグの『未知との遭遇』とは懐かしい。自分は試写会に当選し、いち早く映画館で観た。その後に上映された特別編も映画館で観た記憶がある。

    この短編だけは舞台は岩国なのだが、モリケンは登場しない。主人公は中学2年生のヒロキだ。ヒロキはオリオン座の切符売り場に座っていた美しい女性に心を奪われる。名前も訊けずにいたヒロキだが、どういう訳かその年上の女性にデートに誘われる。

    定価1,100円
    ★★★★★

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    2025年02月28日
  • 太陽を背にうけて

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    山と人の物語。

    定年退職の日に妻から離婚届を突きつけられた里村乙彦は、絶望の中で酒に溺れるが、娘の助言で再起を決意。南アルプス北岳の山小屋で、管理人親子やスタッフと共に過酷な環境の中で新たな人生を歩み始める。

    山っていいなあと思える作品。
    山で働いてる人が素敵なのか、山で働くから素敵になるのか。

    私的には山で働こうとなる人には何かしらに思いがあるような印象で、その抱えた思いでプラスに働くかマイナスに働くのかで、その人が決まる。 山の力でプラスに変えた人(山で働く人たちの力も含め)が、素敵な人になるのでは無いか。

    何はともあれ、北岳の景色を笑う描写が素敵すぎる。山を登る。身としては登山に行きたくなった。

    いざ、山小屋へ

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    2025年02月27日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 天空の犬

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    山を舞台に描かれるヒーリングストーリー
    人間との間でなく、目に見えない確かな信頼の絆で結ばれている犬と交わすコミュニケーションと共に、山の壮大さ、素晴らしさ、そして命を救うという仕事を全うすることの素晴らしさ、生きるという事の意味を主人公と共に体感できた。
    山に登るモチベーションを高めたいと読み始めた本作。山や自然に敬意を抱いて、登りたくなった。

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    2025年02月15日
  • 太陽を背にうけて

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    樋口明雄『太陽を背にうけて』角川文庫。

    仕事一筋で家庭を顧みなかったことから、定年を機に妻に離婚され、酒に溺れた男性が再起を決意し、南アルプス北岳の山小屋で働きながら人生の再生を果たすという物語である。タイトルの『太陽を背にうけて』はジョン・デンバーの名曲から。

    読後には、昔の日本映画を観終えた時のような清々しい気持ちになる素晴らしい小説だった。主人公の65歳の里村乙彦と年齢が近いこともあり、身につまされる思いで読んだことも一因であろう。

    『南アルプス山岳救助隊K-9』シリーズの星野夏実と江草恭男隊長も登場する。

    ファミレスの経営会社の管理職を勤め上げた65歳の里村乙彦は、妻との老後の暮らしを夢見て家に帰ると妻から離婚届を突き付けられる。絶望の中、酒に溺れ、無為な日々を送る里村だったが、娘の言葉に一念発起し、酒を一切止め、南アルプス北岳の山小屋で働くことを決意する。

    様々な事情を抱えながら山小屋で働くスタッフに混じり、必死に働く里村……



    今の世は、ワーク・ライフ・バランスだとか36協定といった縛りで、家庭を顧みる時間的余裕のある会社生活が推奨されている。昔は本作の主人公のように仕事一筋、家庭で過ごす時間より会社で過ごす時間の方が多いという男性が多かった。

    自分も主人公と同じように、家庭など顧みることなく、連日の残業と休日出勤で月に100時間から200時間もの時間外労働をこなし、機会があれば仕事仲間と飲み歩いていた。結果、主人公と同じように会社で出世はしたものの、妻に愛想を尽かされ、離婚した。

    その後は酒で憂さを晴らしながらも、変わらずに馬車馬のように働いていたが、たまたま知り合った女性と再婚し、しばらくしてから酒を一切止めた。あのまま酒に溺れていたら、今の自分は無かったかも知れない。

    時代は変わり、世の中の流れで仕事時間は激減した。物足りないという気持ちはあるが、生活に余裕が出来たのは確かだ。数年前に還暦を迎えたが、運良く現役時代と変わらぬ給料とポジションで働くことが出来ている。

    本体価格940円
    ★★★★★

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    2025年01月30日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 愛と名誉のためでなく

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    樋口明雄『南アルプス山岳救助隊K-9 愛と名誉のためでなく』光文社文庫。

    今度は光文社文庫から初のシリーズ刊行。2ヶ月連続刊行のシリーズ第14作。今回は短編8編収録。

    いずれの短編も、山での様々な人びとの想いや人生、生命を削るような山岳救助の過酷さが迫力を持って描かれる。短編と言えど十二分に長編並みの読み応えがあるのだ。これは一重に樋口明雄の山への強い想いと筆力のなせる技であろう。相変わらず、素晴らしい作品だった。


    『第一話 孤老の山』。老人が道迷いで崖から滑落した老人が山岳救助隊の星野夏美と山岳救助犬のメイによって無事救助されるシーンには思わず涙した。極めて単純なストーリーなのだが、何故か感動してしまうのだ。息子夫婦から邪魔者扱いされる83歳の和泉仙造は、たまたま耳にした嫁の冷たい言葉にいたたまれなくなり、死に場所を求めるかのように北岳を目指す。

    『第二話 愛子とアイコ』。サスペンスフルな短編。愛犬と共に登山していた岡崎愛子からダックスフントのアイコが行方不明になったと連絡が入る。進藤諒大は新人救助犬のリキと共に捜索を行い、無事アイコの捕獲に成功する。しかし、アイコを探しに行ったのか今度は岡崎愛子の姿が見えなくなる。進藤はリキと共に岡崎愛子の行方を捜すが、思わぬ事態が待ち受ける。

    『第三話 銀嶺の彼方に』。冬山登山となると生死に関わる危険が付き物であるが、残された家族の悲しみは幾ばくのものだろうか。神崎静奈の通う空手道場の最高師範である嘉門康志の妻の道代が八ヶ岳の阿弥陀岳で雪崩に巻き込まれる。遭難から既に3日が過ぎ、道代の生存が絶望視される中、神崎静奈は山岳救助犬のバロンと共に必死に捜索を行う。

    『第四話 影なき男』。ミステリアスなサスペンス仕立ての短編であった。北岳で3人が同じ場所で滑落し、2人が死亡、1人だけが生き残る。この事故について調べるうちに第4の人物の存在が浮かび上がり、次第に過去に起きた山岳事故との関連が見えて来る。

    『第五話 愛と名誉のためでなく』。表題作。山は人の心の内を全てを見透しているのかも知れない。息子の受賞に気遣う父親の気持ちは解らぬではないが。深町敬仁の友人で世界的な登山家の荻島裕悟が登山界の権威ある賞を受賞する。彼の父親の宗輔もまた登山家であったが、ある日、突然、姿を消してしまう。

    『第六話 COLD WAR』。まさか山岳小説の中に国際問題を絡めて来るとは。確かに戦後80年となるのに米軍による横暴は目に余る。日本政府が下手に出るから彼奴等は付け上がるのだ。冬の北岳を掠めるように飛行する3機の米軍機。米軍機の爆音により誘発された雪崩がバックカントリースキーを楽しんでいた2人の若い男女に襲い掛かる。救助要請を受けた深町敬仁と星野夏美とメイが救助に向かうが、再び米軍機が近付く。

    『第七話 南アルプスの山賊』。スリル溢れる、なかなか面白い短編だった。シルベスター・スタローンの映画『ランボー』、或いはディヴィッド・マレルの原作小説『一人だけの軍隊』を思い出した。南アルプスの避難小屋を根城にする山賊。登山客を次々脅し、金品や食糧を奪う男は元陸自のレンジャー部隊に所属していた。男を確保するため、星野夏美がメイと共に現地に向かう。夏美では元レンジャー部隊の男に立ち向かうのは難しいと神崎静奈が急行するが……

    『第八話 両俣綺譚』。両俣小屋の管理人である加賀美淑子のモデルは、先に読んだ『41人の嵐 台風10号と両俣小屋全登山者生還の記録』の著者である桂木優こと星美智子であろう。ある日、両俣小屋の管理人である加賀美淑子は麓の店で買い物をした帰り道で、熱中症で倒れていた男を助け、両俣小屋へと向かう。その男は本間龍太郎と名乗るが、山小屋のアルバイトスタッフの金谷悦夫と何やら関係がありそうだった。

    本体価格840円
    ★★★★★

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    2024年09月03日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 紅い垂壁

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    樋口明雄『赤い垂壁 南アルプス山岳救助隊K-9』徳間文庫。

    シリーズ第13弾。文庫書き下ろし。今月8月にはシリーズ第14弾の『愛と名誉のためでなく 南アルプス山岳救助隊K-9』が光文社文庫から刊行されるようだ。

    南アルプス山岳救助隊の星野夏実と神崎静奈の2人のヒロインとボーダー・コリーのメイ、ジャーマン・シェパードのバロンの2頭の山岳救助犬を中心に北岳で展開される様々な人びとの人間ドラマと様々な事件の行方が描かれる。

    相変わらず、安定安心の面白さだ。まさか、このシリーズがこれほど長く刊行されるとは思わなかった。

    南アルプス山岳救助隊では新人研修が行われていた。候補生の桐原健也は抜群の体力と知力で、今まで残った者のいない厳しい訓練をこなすのだが、協調性のない彼の言動に隊員たちは戸惑うばかりだった。

    谷川岳一ノ倉沢の超難関ルートでザイルを組んだ川越伸彦と田村柾行の2人の登山者が滑落し、1本のザイルで宙吊りになる。辛うじて岩のクラックにカラビナが引っ掛ける、いつ外れてもおかしくない状況に恋人との結婚を間近に控えた川越はザイルを切断し、田村を見捨て、自身が助かることを選択する。

    しかし、そんな2人の全ての状況をカメラの望遠レンズで捕らえていた人物が居たのだ。その人物は川越に問題のシーンが撮影された写真を送り、200万円の振込みを要求する。

    一方、北岳では山中惣という8歳の少年が1人で保護される。惣は母親の史香と彼女の連れ合いの新崎浩治と北岳に登山に来たのだが、2人に置いていかれたのだった。

    本体価格830円
    ★★★★★

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    2024年08月04日
  • 還らざる聖域

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    久しぶりの一気読み。
    ハン・ユリ大佐が魅力的。攻殻機動隊の草薙素子をイメージした。

    神秘的な屋久島の山々や獣道を俊足で駆け抜ける描写は、物語の時代は異なるが、「嶽神伝」シリーズの山の者と重なった。

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    2024年05月07日
  • 北岳山小屋物語

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    ネタバレ

    山小屋を管理している人たちの苦労やアルバイトの子たちのマナーなど小屋を運営する人達それぞれ考え方が違う分規律を守って働いてもらっている、だったりゆるかったり、面白く読める。
    料理ができる人は仕事の能率がいいし機転が効くと書いてあり料理するのが嫌いで料理をしてくれる旦那さんを募集している自分にとってはやっぱり気が利かないし、周りの状況を把握して動くことができないのは当たり前なんだと料理の大切さを知る。が、やはりやりたくはない。
    自分では体験できない分野を知ることは楽しいし仕事の大切さや取り組み方、考え方も改める事ができた時間でした。

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    2023年12月05日
  • さよならの夏

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    樋口明雄『南アルプス山岳救助隊K-9 さよならの夏』徳間文庫。

    安定の面白さ。毎回、手を変え、品を変えて楽しませてくれるシリーズなのだが、今回はシリーズのどの作品とも違う展開とまさかの結末が待ち受ける。何とシリーズ初の連続猟奇殺人事件が描かれるのだ。そればかりか記憶障害で北岳で発見された男が物語の重要な鍵を握るという全く先の読めないストーリー。

    果たして、記憶障害で北岳で発見された男と連続猟奇殺人事件がどのように結び付いていくのだろうか。


    北岳で登山者の女性を救助した星野夏実が相棒の救助犬メイと帰路に着くと夜空にオーロラのような不思議な光を目撃する。その直後、岩場に佇む若い男性を発見する。男性は怪我も無く、意識もはっきりしていたが、記憶障害があるのか自分の名前も住所も判らず、ザックの中の運転免許証から水越和志という人物であることが判明する。

    翌日、夏実は和志を甲府市の実家に送り届ける。和志の妹の真穂は、和志の会社からの電話で、和志は登山のために3日間の休暇を取得していたが、下山予定日の翌日になっても出社して来ないこと、夏実に発見された北岳ではなく赤石岳に登る予定だったことを知る。何故、和志は北岳に登っていたのか。

    そんな中、甲府市で連続猟奇殺人事件が発生する。被害者はいずれも若い女性で、両目を鋭利な凶器で刺し貫かれていた。

    大学の山岳部に所属していた真穂は友人と北岳の登山を計画しており、その打合せの帰りに殺人鬼の姿を目撃してしまう。静かに真穂の背後に忍び寄る殺人鬼の影。

    しばらく会社を休むと言って実家に留まる和志は何故か真穂たちの北岳登山に同行すると言い出す。


    結末には愕然。そういうことだったのかと納得しつつ、ほろりとしてしまう。夏実が見たオーロラのような不思議な光の正体は……

    本体価格840円
    ★★★★★

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    2023年09月12日