樋口明雄のレビュー一覧
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ネタバレ初めましての作家さんです。
フォローさせていただいている方のレビューがきっかけで手に取りました。
主人公は、南アルプスの山岳救助隊に着任した夏実と、山岳救助犬のメイ。
夏美は、色を感じるという特殊な能力がある。
そのせいで心に深い傷を負っていた───
とにかく夏美とメイの「強い絆」が素晴らしかった。
脚にピストルの弾が貫通するケガを負いながら、
夏美の元へまっしぐらに走っていくメイ。
とび色の大きな瞳が、暗闇で二つの青い光になる。
やっとメイと再会できたのに、また別れなければならない場面、
またもや自分の元から離れるように命ずる「GO!」
もうこらえきれず泣いてしまいました。
メイの瞳が、鮮やかなコバルトブルーに染まった瞬間、
見上げる天空に広がる美しい青──
乗り越えるのが無理なら背負って生きよう──
生きていることは素晴らしい──
この最後のシーンに胸が震えました。
夏美とメイのこれからが、とても楽しみです。
余談ですが、メイを見ていると愛犬を思い出します。
いつも、澄んだまんまるのやさしい瞳で見つめてくれて…
ちぎれそうになるほど尻尾を振ってくれて…
ただひたすらに私を信じてくれて…
ワンちゃんに限らず、動物はみんなそうですよね。
与えられている時間は、人間よりはるかに短い。
だからよけい、懸命に働いているコを見ると無性にいじらしく思えるのです。 -
Posted by ブクログ
南アルプス山岳救助隊K-9シリーズの短編集。
全て日本第二位の標高を誇る山、北岳が舞台になっている。
火山じゃない山としては、日本最高峰なんだって!
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前に読んだ『火竜の山』から主人公は夏実なのかと思っていたら、この短編集は主人公がK-9の他のメンバーだったり、山小屋のアルバイトの子だったりと変わっていく。
面白くて続きが気になって、あっという間に読み終わってしまった!
救助犬たちも可愛いし。
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夏実の相棒はボーダーコリーって何回も書いてあるのに、実はずっと頭の中でコーギーを思い浮かべてた…(^v^;)
メイ、ごめんね!
表紙にちゃんと絵まであるのに!
ってか、『火竜の山』からずっと頭の中でコーギーだったわ…。
今作の中盤で、突如として毛色がそんなコーギーっていたっけな…ハッ‼︎ってなった。
思い込みって怖いわぁ。
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それにしても山に登る人のマナー違反て、う〜んて思う。
馳星周さんも解説の中で「山に登る人間が増えれば、山の上では下界と変わらない光景が繰り広げられることになってしまうのだ。」と書いてらっしゃったけど、本当にそうだなぁ…と。
わざわざ山に登ってまで、そんなマナー違反をするなんて!って思うけど、人間は色んな人がいるからなぁ…。
良い人も悪い人も。
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遭難の話が続くので、山が兎に角怖くなってしまって、私は登らないな!とか思ってたのに、最後の方には山に登ってみたくなってしまった。
不思議。
このシリーズ面白いので、他の作品も読んでみたい。 -
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樋口明雄『クリムゾンの疾走 南アルプス山岳救助隊K-9』徳間文庫。
文庫書き下ろしシリーズ最新刊。何時ものように南アルプスから物語は始まるが、序盤を過ぎると驚愕のハードな展開が待っていた。そもそもタイトルの『クリムゾン』とは何だ、何だと、気になりながらの予想外のハードアクションな展開に一気読み。
空手大会出場のため上京中の山梨県警南アルプス署の神崎静奈の愛犬バロンが謎の男たちに拐われる。バロンを取り戻すために静奈はなりふり構わずハードなカーチェイスと男たちとの闘いを繰り広げるが…
こういう血沸き肉踊るようなハードアクションを描ける作家の存在は非常に貴重だ。しかも、主人公が美人空手家というのがまた良い。 -
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樋口明雄『ブロッケンの悪魔―南アルプス山岳救助隊K‐9』ハルキ文庫。
シリーズ第3作。前2作は徳間文庫だったが、今回はハルキ文庫からの刊行。前2作も非常に面白い警察山岳冒険小説だったが、本作に描かれる事件はさらにスケールアップし、面白さが倍増している。
南アルプス北岳に至る三つの林道で崩落事故が発生、一帯は陸の孤島になる。その頃、内閣危機管理センターに集まる閣僚たちの元へ自衛隊施設からVXガスが盗まれたと報告がもたらされる。北岳山荘に立て籠り、VXガスを使い、政府を脅すテロリストたちの目的は…
テロリストに立ち向かう南アルプス山岳救助隊の星野夏実、神埼静菜らの運命は…
樋口明雄が描く山岳小説は兎に角面白い。自然を愛するがゆえなのか山の描写から心に強く伝わって来るものがある。初期の『狼は瞑らない』『光の山脈』『男たちの十字架』も素晴らしい山岳小説であり、日本冒険小説協会大賞を受賞した『約束の地』も素晴らしいが、この作品も一連の作品に勝るとも劣らない傑作である。 -
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あの大傑作冒険小説『約束の地』の続編であるのだが、読んでみると、全く違う趣の作品であることに驚いた。決して『約束の地』より劣っている訳ではなく、十二分に面白いのだが、明らかに物語の持つ雰囲気が違うのだ。『約束の地』が、ゴツゴツした男の冒険小説なら、本作は女性らしい冒険小説である。
主人公は前作と同じ野生鳥獣保護管理官の七倉航。野生動物の被害に喘ぐ八ヶ岳で、狂った生態系のバランスを取り戻そうと中国からオオカミを移入し、放獣する計画が持ち上がるが…
どういう訳か冒頭から登場人物に関わる様々な『死』が影を落とし、不安をかき立てる。読み進むうちにその訳が解るのだが、少なくとも5年前の東日本大震災が作品に大きな影響を与えているのは間違いない。決してあがらうことの出来ない『死』と向き合い、『死』を知るからこそ『生』を大切にし、慈しむ…そんなメッセージが伝わる良い作品だった。
文庫化にあたり、本編の一年前を描いた『ふたつの心の大きな山~ 一年前』を併録。 -
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ネタバレスペンサーシリーズに同名の作品があるが、全く別物。
本作は八が岳や南アルプスの自然を舞台に、環境と獣害問題をテーマにした家族小説。
とにかく、やたらとテーマを盛り込んでくる。狩猟の問題、獣害からのモンスター、食物連鎖、地方行政の怠慢、環境汚染、いじめ、またぎの老齢化、気候変動…こんなに盛り込んでどう収拾するねんと読みながら危惧していたんだけど。
ネタバレしてもしょーもないので、多くは語らないが大丈夫。力とテクニックを上手くミックスさせた筆運びで見事収拾させてくれる。ある程度予想がつく、悪く言えばベタな展開にはなってるけど、安定度は抜群。むしろ巧みな捻りは無用だろうと思わせるぐらいのストレートな描写で、自然と向き合う人間の、動物の姿を読ませてくれる。
狩猟の趣味はないし、鉄砲みたいな危ない物を持つつもりは毛頭ないけど、山歩きを趣味にしている俺にとって、この本に書かれていることはとても関心があり勉強にもなった。自然や山に対しては、常に謙虚であろうと思った次第。
難しいことは考えなくても、小説として十分オモロい一級の出来。
八が岳行きたいぞ、黒戸尾根行きたいぞ。 -
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文庫書き下ろしピカレスク冒険小説。久しぶりに手に汗握り、血湧き肉躍るような物語に出逢った。登場人物の背景と人物造形、巧みなストーリー展開、そして、爽やかなラストと、非常に面白い作品だった。
東日本大震災の津波被害で家族を失い、死に場所を求めて流離う元刑事の村越謙作は、冬の長野の山中で中国人女性の張梨花と出会う。外国人研修生として過酷な労働と性的虐待を受けていた梨花は犬と共に逃亡を続けていた。梨花を救うべく村越は…
梨花を執拗に追う阿久津、柳のサイコパスとも言うべき冷酷なヤクザとその運転手の元お笑い芸人の田浦、村越と梨花を助けるペンション経営者の高野夫妻と獣医の三枝美緒、フリージャーナリストの沢井一磨と妻の麻由子と登場人物の造形が明確であり、それ故に面白いストーリーがより際立たせている。 -
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山梨の南アルプスを舞台にした山岳連作短編集の第二弾。
前作に続き、本作も警察の山岳救助隊で山岳救助犬のハンドラーを務める星野夏実を中心に描かれる人間ドラマと、まるで眼の前に迫って来るような山の描写が秀逸であった。
本作には6つの短編が収録されているが、いずれも素晴らしい短編である。中でも、『サードマン』と『ハルカの空』、『NO WAY OUT』が良かった。また、『北岳に来ただけ』の改題作の『ビバーク』は単行本未収録というのも嬉しい。
『沈黙の山』、『ランナーズハイ』、『サードマン』、『ハルカの空』、『NO WAY OUT』、『ビバーク』を収録。
是非、山の厳しさと包容力、人間が心の底に秘める様々な感情や想いを味わって欲しい。 -
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最後には感涙、感動の山岳冒険警察小説。主人公の星野夏実は被災地での経験で心に深い傷を負い、ボーダーコリーのメイと共に南アルプス山岳救助隊で任務に就くことになる…主人公が心に深い傷を負ったのは共感覚の持ち主ゆえ…
星野夏実が山岳救助隊の中で揉まれながら成長し、次第に山の仲間と打ち解けていく過程が南アルプスの自然の描写と共に見事に描かれている。
樋口明雄が描く山岳小説は兎に角面白い。自然を愛するがゆえなのか山の描写から心に強く伝わって来るものがある。初期の『狼は瞑らない』『光の山脈』『男たちの十字架』も素晴らしい山岳小説であり、日本冒険小説協会大賞を受賞した『約束の地』も素晴らしいが、この作品も一連の作品に勝るとも劣らない傑作である。