樋口明雄のレビュー一覧

  • 南アルプス山岳救助隊K-9 クリムゾンの疾走

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    樋口明雄『クリムゾンの疾走 南アルプス山岳救助隊K-9』徳間文庫。

    文庫書き下ろしシリーズ最新刊。何時ものように南アルプスから物語は始まるが、序盤を過ぎると驚愕のハードな展開が待っていた。そもそもタイトルの『クリムゾン』とは何だ、何だと、気になりながらの予想外のハードアクションな展開に一気読み。

    空手大会出場のため上京中の山梨県警南アルプス署の神崎静奈の愛犬バロンが謎の男たちに拐われる。バロンを取り戻すために静奈はなりふり構わずハードなカーチェイスと男たちとの闘いを繰り広げるが…

    こういう血沸き肉踊るようなハードアクションを描ける作家の存在は非常に貴重だ。しかも、主人公が美人空手家という

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    2018年01月13日
  • ブロッケンの悪魔 南アルプス山岳救助隊K-9

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    樋口明雄『ブロッケンの悪魔―南アルプス山岳救助隊K‐9』ハルキ文庫。

    シリーズ第3作。前2作は徳間文庫だったが、今回はハルキ文庫からの刊行。前2作も非常に面白い警察山岳冒険小説だったが、本作に描かれる事件はさらにスケールアップし、面白さが倍増している。

    南アルプス北岳に至る三つの林道で崩落事故が発生、一帯は陸の孤島になる。その頃、内閣危機管理センターに集まる閣僚たちの元へ自衛隊施設からVXガスが盗まれたと報告がもたらされる。北岳山荘に立て籠り、VXガスを使い、政府を脅すテロリストたちの目的は…

    テロリストに立ち向かう南アルプス山岳救助隊の星野夏実、神埼静菜らの運命は…

    樋口明雄が描く

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    2017年08月01日
  • 許されざるもの

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    あの大傑作冒険小説『約束の地』の続編であるのだが、読んでみると、全く違う趣の作品であることに驚いた。決して『約束の地』より劣っている訳ではなく、十二分に面白いのだが、明らかに物語の持つ雰囲気が違うのだ。『約束の地』が、ゴツゴツした男の冒険小説なら、本作は女性らしい冒険小説である。

    主人公は前作と同じ野生鳥獣保護管理官の七倉航。野生動物の被害に喘ぐ八ヶ岳で、狂った生態系のバランスを取り戻そうと中国からオオカミを移入し、放獣する計画が持ち上がるが…

    どういう訳か冒頭から登場人物に関わる様々な『死』が影を落とし、不安をかき立てる。読み進むうちにその訳が解るのだが、少なくとも5年前の東日本大震災が

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    2016年07月15日
  • 約束の地(下)

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    ネタバレ

    スペンサーシリーズに同名の作品があるが、全く別物。
    本作は八が岳や南アルプスの自然を舞台に、環境と獣害問題をテーマにした家族小説。

    とにかく、やたらとテーマを盛り込んでくる。狩猟の問題、獣害からのモンスター、食物連鎖、地方行政の怠慢、環境汚染、いじめ、またぎの老齢化、気候変動…こんなに盛り込んでどう収拾するねんと読みながら危惧していたんだけど。

    ネタバレしてもしょーもないので、多くは語らないが大丈夫。力とテクニックを上手くミックスさせた筆運びで見事収拾させてくれる。ある程度予想がつく、悪く言えばベタな展開にはなってるけど、安定度は抜群。むしろ巧みな捻りは無用だろうと思わせるぐらいのストレー

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    2016年02月19日
  • オン・ザ・ロード

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    文庫書き下ろしピカレスク冒険小説。久しぶりに手に汗握り、血湧き肉躍るような物語に出逢った。登場人物の背景と人物造形、巧みなストーリー展開、そして、爽やかなラストと、非常に面白い作品だった。

    東日本大震災の津波被害で家族を失い、死に場所を求めて流離う元刑事の村越謙作は、冬の長野の山中で中国人女性の張梨花と出会う。外国人研修生として過酷な労働と性的虐待を受けていた梨花は犬と共に逃亡を続けていた。梨花を救うべく村越は…

    梨花を執拗に追う阿久津、柳のサイコパスとも言うべき冷酷なヤクザとその運転手の元お笑い芸人の田浦、村越と梨花を助けるペンション経営者の高野夫妻と獣医の三枝美緒、フリージャーナリスト

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    2015年12月23日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 ハルカの空

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    ネタバレ

    2015/9/13 喜久屋書店北神戸店にて購入。
    2021/5/9〜5/12

    北岳の白根小池小屋に本拠地を置く、南アルプス山岳救助隊K-9シリーズ第2作。6遍の作品からなるがどれも良いが、夏実が大きく成長する、「ハルカの空」と「ビバーク」がベストか。舞台となる白根小池小屋でテント泊をしたので、非情に身近に感じる作品。続編も楽しみである。

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    2021年05月12日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 ハルカの空

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    山梨の南アルプスを舞台にした山岳連作短編集の第二弾。

    前作に続き、本作も警察の山岳救助隊で山岳救助犬のハンドラーを務める星野夏実を中心に描かれる人間ドラマと、まるで眼の前に迫って来るような山の描写が秀逸であった。

    本作には6つの短編が収録されているが、いずれも素晴らしい短編である。中でも、『サードマン』と『ハルカの空』、『NO WAY OUT』が良かった。また、『北岳に来ただけ』の改題作の『ビバーク』は単行本未収録というのも嬉しい。

    『沈黙の山』、『ランナーズハイ』、『サードマン』、『ハルカの空』、『NO WAY OUT』、『ビバーク』を収録。

    是非、山の厳しさと包容力、人間が心の底に

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    2015年09月09日
  • 武装酒場

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    阿佐ヶ谷のガード下の居酒屋「善次郎」。常連客が集まって…。
    でも、みんな今日は事情が違います。妻を殺した男、借金取りに追われる男、恋人に捨てられた女…。そこに借金取りのヤクザが刑事に連れられて現れ、なぜかヤクザの抗争用の機関銃やら手榴弾が現れ…。酔っ払いがピストルをたまたま撃ってしまったから大変。居酒屋の周りは警察に取り囲まれにらみ合う始末に。そこに不発弾やら自衛隊やらSATやら、これでもかというハチャメチャぶり。誰が被害者で誰が加害者でもない、居酒屋武装立てこもり事件の顛末はいかに!

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    2018年12月07日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 天空の犬

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    あまり吟味せずなんとなく買った本だったけど、面白かった。
    3.11、犬と人、山岳救助、いろいろな要素が詰まった作品ですが、主軸はやはり主人公の夏実と救助犬メイの絆でしょう。
    終盤にかけて、涙腺が緩みそうになるシーンが多々あるので、電車の中とか会社とか人前で読む際は注意です。

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    2013年12月20日
  • ミッドナイト・ラン!

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    最高!!登場人物のキャラ、物語の設定・構成が良い!そして、作品の疾走感、一気に読んでしまった読後の爽快感は最高!主人公だけでなく脇役のキャラが濃く、ダメ人間でもいつか変われる瞬間・輝きがある。
    実際にはありえないカーチェイスだがエンターテイメントとしては抜群に面白い。
    何気なく説明されている登場人物の特技が最後に活きてくる。これは正に映画にしたら最高に面白い作品になると思います。

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    2013年11月07日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 天空の犬

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    最後には感涙、感動の山岳冒険警察小説。主人公の星野夏実は被災地での経験で心に深い傷を負い、ボーダーコリーのメイと共に南アルプス山岳救助隊で任務に就くことになる…主人公が心に深い傷を負ったのは共感覚の持ち主ゆえ…

    星野夏実が山岳救助隊の中で揉まれながら成長し、次第に山の仲間と打ち解けていく過程が南アルプスの自然の描写と共に見事に描かれている。

    樋口明雄が描く山岳小説は兎に角面白い。自然を愛するがゆえなのか山の描写から心に強く伝わって来るものがある。初期の『狼は瞑らない』『光の山脈』『男たちの十字架』も素晴らしい山岳小説であり、日本冒険小説協会大賞を受賞した『約束の地』も素晴らしいが、この作品

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    2013年11月04日
  • 光の山脈

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    気になっていた作者だが、はじめて読んだ「樋口明雄」。
    迫力の自然描写とすさまじい緊張感。その中で生き生きと描かれている人物と犬。否が応でも物語に引き込まれるすごい作家・作品。とりあえず★5
    「約束の地」も読んでみたい。

    山村で妻の「亜希」と猟犬たちとともに生きるロッタこと「六田賢司」。この山を愛し純粋な若き猟師の前に立ちはだかるのは、強い者には流される村社会と、暴力団と手を握った企業による悪辣な自然破壊。その魔手が、身重の妻と新聞記者である兄に及んだとき、ロッタは狼犬「シオ」は山にたてこもる。壮絶な戦いの火蓋が・・・。

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    2013年08月26日
  • 狼は瞑らない

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    結構なボリュームで、登山しないのでよくわからない部分もあったけど、それを差し引いても手に汗握る展開でおもしろかった。主人公も仲間たちもかっこよかった。その後がどうなったか気になる。

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    2013年07月29日
  • 狼は瞑らない

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    『天空の犬』の著者、樋口明雄の本。『天空の犬』程ではないが、山の描写はこの頃からすごかった。『天空の犬』とは少々違い、この本はミステリーの側面が強い。準主人公の杉浦が実は…半分過ぎたくらいからどんでん返し。警察小説はそんなに読んでるわけでもないけど度肝を抜かれた。

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    2013年04月18日
  • 約束の地(下)

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    ハンティングはおろか登山にも縁のないこの身ですが、猟の緊張感や冬山に吹く風の身を切る様な冷たさをリアルに感じつつ、ページを繰る手が止まりません。
    面白さもさることながら、生と死という普遍のテーマを深く深く考えさせる太い筋が一本通っています。

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    2012年12月02日
  • ミッドナイト・ラン!

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    とにかく痛快無比の大冒険小説!あの『武装酒場』をさらに活劇風にし、スケールアップした作品。舞台が東京じゃなくて、ヨコハマというのがいいね。壮絶なカーチェイス、バンディッツを応援する市民、ミニFM局。やはり、ヨコハマが似合う。FM局の社長が元サーファーで、あのジェリー・ロペスの弟子だったというエピソードも良い。『約束の地』も最高だったが、この作品も最高だ。

    『約束の地』が硬派な傑作なら、『ミッドナイト・ラン!』は軟派な傑作。

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    2012年10月19日
  • 狼は瞑らない

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    売らない。また読むから。

    よく登場人物をイメージの合う俳優やらに置き換えるんだけど、
    佐伯-竹野内豊で読みました

    嫁にすすめたら速攻読み終えてた

    「佐伯のイメージ誰?」

    「私は遠藤憲一!」

    「....」

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    2012年03月18日
  • 男たちの十字架

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    中国マフィアと新宿署の刑事。
    彼らの攻防の舞台は、歌舞伎町から南アルプスへと飛ぶ。

    樋口明雄の作品に登場する人物は、みんなとても魅力的です。
    本書のキャラクターも際立つ人ばかり。
    いつも、同じキャラでの続編が読みたくなってしまう。
    また、終わり方もとても気持ちが良く大好きです。

    樋口作品にはまってしまいます。

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    2019年01月16日
  • 光の山脈

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    樋口明雄のハルキ文庫第2弾。

    現代のマタギと乱開発を行うやくざとの抗争を軸としているが、主人公ロッタの自然との対峙がとても良い。

    物語が急テンポで進んでゆくが、最後はほのぼのとしたハッピーエンドで救われました。

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    2010年11月22日
  • 狼は瞑らない

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    初めて樋口明雄を読んだ。

    本書は面白すぎる!!
    一気に引き込まれて、そのまま読破してしまった。

    主人公佐伯もカッコいいが、彼の同僚である山岳警備隊もとても良い。
    腐った政治家に翻弄される主人公。
    是非とも続編を書いて欲しい一冊です。

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    2010年11月22日