樋口明雄のレビュー一覧
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北岳にある5つの山小屋に樋口明雄さんが出向き、管理人さんたちにインタビューをしてまとめたノンフィクション。自分自身が2度北岳に登ったことがあり、小屋にはとてもお世話になったので、その裏側の事情を知りたいと思って手に取った。ルールや仕事の分担など、想像以上に小屋ごとの個性があって面白いが、基本的にはなんでもこなせるマルチな技術がスタッフには求められている。当たり前だが、必要なものがすぐに手に入るわけではない厳しい環境で生きていくためには、どんな状況にも臨機応変に対応できるスキルが欠かせないからだ。
訪れたことのある小屋にもっと愛着がわいたし、唯一足を向けたことのない両俣小屋にもぜひ行ってみたくなった。 -
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山と人の物語。
定年退職の日に妻から離婚届を突きつけられた里村乙彦は、絶望の中で酒に溺れるが、娘の助言で再起を決意。南アルプス北岳の山小屋で、管理人親子やスタッフと共に過酷な環境の中で新たな人生を歩み始める。
山っていいなあと思える作品。
山で働いてる人が素敵なのか、山で働くから素敵になるのか。
私的には山で働こうとなる人には何かしらに思いがあるような印象で、その抱えた思いでプラスに働くかマイナスに働くのかで、その人が決まる。 山の力でプラスに変えた人(山で働く人たちの力も含め)が、素敵な人になるのでは無いか。
何はともあれ、北岳の景色を笑う描写が素敵すぎる。山を登る。身としては登山に行きたくなった。
いざ、山小屋へ -
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ネタバレ山小屋を管理している人たちの苦労やアルバイトの子たちのマナーなど小屋を運営する人達それぞれ考え方が違う分規律を守って働いてもらっている、だったりゆるかったり、面白く読める。
料理ができる人は仕事の能率がいいし機転が効くと書いてあり料理するのが嫌いで料理をしてくれる旦那さんを募集している自分にとってはやっぱり気が利かないし、周りの状況を把握して動くことができないのは当たり前なんだと料理の大切さを知る。が、やはりやりたくはない。
自分では体験できない分野を知ることは楽しいし仕事の大切さや取り組み方、考え方も改める事ができた時間でした。 -
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<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズの7冊目。
今回は北岳の警備派出署が閉鎖されている1月に起こったお話。
甲府市内の宝石店を襲撃した強盗犯が拳銃を所持したまま何故か(その理由は読者には分かっているが)北岳へと逃走し、それを追う県警の刑事は南アルプス山岳救助隊に応援を要請。夏実と静奈、2頭の救助犬が選抜される。
と簡単に書いたけど、ここまでに230頁費やし、犯人グループが犯行に至った経緯、逃走・追跡とその挙句の発砲、事件とは関わりのない北岳の中の単独行や学生二人組の登山の様子などがじっくりと描かれる。
場面はパキパキ切り替わっていくし、クライミングの様子には手に汗握り、追跡劇と警官への発砲というひと山もあってサクサク読めるが、事件を追う展開としてはややじれったいところも。
だが、極寒の北岳に入ってからは波乱万丈で危機一髪の連続。遭難者の救助、犯人との思わぬ遭遇、何度かの発砲、高山病、迫りくる雪崩、宝石を巡る諍いと、えぇ~そんな…、こんなのあり…、という場面が次々続いて、もうドキドキ。
怪我人病人が累々とする中で、今回も静奈、カッコいい。少ししか出番はないがしっかりおいしいところをさらっていく納富パイロットも流石。
一方、夏実はと言えば危ない目ばかりにあって、ちょっと可哀そう。たまには彼女にもスカッとした立ち回りをさせて欲しいな。
発行順に読めてなくて、夏実が堂島を背負って山を下った話はまた後に読むことになるのかと思っていたが、解説を読むと「ハルカの空」の「NO WAY OUT」で既に読んでいたのだった。 -
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短編はあまり好きじゃないけどこの本は同じテーマだからなのかサクサクと読める。テロを扱った小説より面白かった。
遺書
仕事、人間関係の煩わしさから単独登山に目覚めある日遭難。登山計画を出していなかったため救助される見込みもなくケガをしたため動くこともできない。遺書を離婚した妻に書くがその妻から救助要請がくる。遭難した事で家族を見直すきっかけとなる。
山の嫌われ者
五十六と言うおじいさん。我が強く皆の嫌われ者。北岳56回挑戦の最後の誕生日の日。あと少しで登頂というところでケガをした人に遭遇。歩ける状態ではないが今日、記念となる登頂の日。どっちを取るか。。。救助をとった五十六は次の日登頂し、救助隊は五十六のためにお祝いをする。
晴天の霹靂
雷が嫌いな山岳救助隊の横森。名誉挽回のため雷雲の中山頂目指して曽我野と2人無茶な行動をする。
そしてそのために命を失うことになりかねない事故が起こり恐怖心も大切だと身をもって知る。
神の鳥
雷鳥が絶滅する原因の一つに犬のフンなどが挙げられる。山岳救助犬もやり玉に上げられ存続の危機。
密猟が原因だったが自然形態がおかしくなっているのは事実である。
霧の中に
自分を家族の元に返して欲しくて山岳救助隊に現れる幽霊の話。
帰ってきた男
山で事故に遭い顔が判別できない状態になって亡くなる。山小屋の人も家族も服装で本人と判断し葬式の途中で帰ってくる。持ち物も血液型も一緒の死人は同じ職場の人で不正操作を知られて計画犯罪をしようと同じ服を購入し山に登るが途中で滑り落ちるという間抜けな話。
父の山
深町は仕事一徹で苦労を重ねた母親が亡くなった事で父親とわだかまりが生じていた。定年退職した父が山に登った事を知り探しにいく。親子の絆を深める話。
サバイバーズギルト
生存者の罪悪と言う意味の題名のように冬山に登る途中、相方が足を凍傷。動ける状態ではなく携帯も悪天候で濡れて使えなくなる。1人下山し助けを求めるがなくなってしまう。 罪悪感に家庭も崩壊の危機。山に登った事を知った神崎は仕事とは別で探しにいく。
辞表
リニア新幹線トンネル工事反対のデモを鎮圧するために女性や子どもを相手にしてほしいと要請。本当はそういう訓練を受けていないので拒絶できるが断りきれず神崎と星野が行くことに。あまりの横暴さに星野は止めるが逆らうなと殴られ大事となる。
周りに迷惑をかけたため辞表を提出。深町は星野が傷ついている事を知り慰める。愛が芽生えたような書き方に今後が知りたい。
向かい風ふたたび
北岳以外の山岳捜査。休暇中の星野はメイの母犬災害救助犬の理事宅へ遊びに行く。そこで要請を受けて行くが行方不明になった状況、情報が皆無のなか
捜索を開始する。
この題名と話の意味する向かい風とは何なのかわからないまま話は終わる。
相棒
進藤の山岳救援犬が末期の癌。ショックの進藤は有給を取って北岳に登りに行く。心なしかカムイが少し元気になった気がして体調をみながら登っていく。途中雪崩に遭遇し人影が見えた希がしてカムイと捜索にあたる。カムイは吐血しながらも救助し帰ろうとした矢先に進藤らに雪崩が直撃。カムイは吐血しながらも単独で登りにきていた松戸に助けを求める。カムイ最期の仕事は一緒に働いた進藤を救援する事だった。
夏のおわりに
中年の釣り人に出会う星野。その人はこの川で妻を亡くし失望の中釣りで気を紛らわしていると知る。気にはなりながらもその後会う事もなかったが川で人が死んでいると通報を受け星野は自分が行くと挙手。違う人でホッとするが余計に気になりまた出会った場所へ行くとその人の妻愛用のマグカップが。そこには星野宛に手紙が添えられていた。もしかしたら届かないかも知れない手紙に感謝と海外で働くことがしたためられていた。
出会いによって人生が大きく変わるその手紙の後に作者の後記に漫画家の偶然の出会いとその人からもらったプレゼントのナイフ。そこでキャンプを思いつき、登山にのめり込むようになり今の自分がいる。
人生に無駄はないとはこのことかも知れない。
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<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズの4冊目。今度は新潮になった。
見慣れた北岳周辺の地図ではなくなったと思ったら、今回の舞台は幻の名峰として人気の新羅山(岐阜県のどの辺りにあるか調べたが架空の山だった…)。
やくざの世界から抜けるために誘拐を企てた男女と攫われた少年、彼らを追う組織に雇われたヒットマン、噴火の兆候を感じる火山地質学の大学教授、登山サイトで募集された山岳ツアーの参加者、そして救助犬チームの講演に招かれた夏実と静奈にメイとバロン。
前半は物語の舞台に集まってくる人々が丹念に描かれて、少しじれったくなるくらい。
しかし、舞台が整ってからは一気呵成。山は動き出し、教授は焦り、少年は脱出し、誘拐犯はそれを追い、ヒットマンは更にそれに迫り、ツアーの参加者はバラバラになり、救助隊は山に入る。
これでもかという噴火の描写に加えて、それぞれの行動が徐々に距離を詰め縦横に絡みあって畳み込むような展開に頁を繰る手が止まらず。
前作に続いて静奈とバロンが頼れるところを見せるが、今回はメイにも見せ場あり。異様な状況の中でも人を信じて駆け回る姿が出色。 -
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さて、シリーズ3冊目。
このシリーズを読み始めたのは、何かでこの巻を見て、タイトルと表紙の絵に惹かれたからだった。
今回、見慣れた地図がストーリーにあわせてちょっと変わったみたい(何故だか出版社も変わっているし)。
シリーズ初の本格的長編だが、これがなかなか面白かった。
北岳山荘を制圧しVXガスを盾に政府に要求を突きつけるとは結構無茶な設定だが、私怨とも公憤ともつかぬ犯人の動機と右往左往する無能な閣僚たちのコントラストを見せられれば、さもありなんと思わされる。
そんな中、内幕を知らされないまま陸の孤島になった北岳で行動する人々と犬たち。これがまたそれぞれに持ち味全開で見せ場あり。
外で作業していたために捕まらずに済んだ山小屋の従業員・松戸と休暇で山を離れていた静奈&バロンもなかなかの立ち回りだったが、江草隊長の判断や県警ヘリ・納富と自衛隊・矢口のやり取り、ミサイルを分解する関隊員の姿などちょっとしたところにも随所に光るところがあり、物語を堪能できた。