【感想・ネタバレ】南アルプス山岳救助隊K-9 紅い垂壁のレビュー

あらすじ

大藪春彦賞作家の好評山岳ミステリーシリーズ最新刊

切れたザイルは何を語る?
超難関ルートで起きた滑落事故。
山岳救助隊員と救助犬のバディが隠された真相に迫る!

谷川岳一ノ倉沢。魔の山と呼ばれる超難関ルートで二人の登山者が
登攀中に滑落、一名が死亡。
救助された川越は、死亡したバディの田村が自分でザイルを切ったと証言、
事故として処理された。
しかし目撃者がいた。一ノ倉沢の観光地から双眼鏡で一部始終を見ていた
その男は川越を脅迫する。
さらに兄の死に納得がいかない田村の妹・透子も川越の動向を探り始める。
一方、南アルプス山岳救助隊では新人研修が行われていた。
候補生の桐原健也は抜群の体力で、いままで残った者のいない厳しい訓練をこなす。
だが協調性のない彼の言動に隊員たちは戸惑い……。
【文庫書下し】

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Posted by ブクログ

樋口明雄『赤い垂壁 南アルプス山岳救助隊K-9』徳間文庫。

シリーズ第13弾。文庫書き下ろし。今月8月にはシリーズ第14弾の『愛と名誉のためでなく 南アルプス山岳救助隊K-9』が光文社文庫から刊行されるようだ。

南アルプス山岳救助隊の星野夏実と神崎静奈の2人のヒロインとボーダー・コリーのメイ、ジャーマン・シェパードのバロンの2頭の山岳救助犬を中心に北岳で展開される様々な人びとの人間ドラマと様々な事件の行方が描かれる。

相変わらず、安定安心の面白さだ。まさか、このシリーズがこれほど長く刊行されるとは思わなかった。

南アルプス山岳救助隊では新人研修が行われていた。候補生の桐原健也は抜群の体力と知力で、今まで残った者のいない厳しい訓練をこなすのだが、協調性のない彼の言動に隊員たちは戸惑うばかりだった。

谷川岳一ノ倉沢の超難関ルートでザイルを組んだ川越伸彦と田村柾行の2人の登山者が滑落し、1本のザイルで宙吊りになる。辛うじて岩のクラックにカラビナが引っ掛ける、いつ外れてもおかしくない状況に恋人との結婚を間近に控えた川越はザイルを切断し、田村を見捨て、自身が助かることを選択する。

しかし、そんな2人の全ての状況をカメラの望遠レンズで捕らえていた人物が居たのだ。その人物は川越に問題のシーンが撮影された写真を送り、200万円の振込みを要求する。

一方、北岳では山中惣という8歳の少年が1人で保護される。惣は母親の史香と彼女の連れ合いの新崎浩治と北岳に登山に来たのだが、2人に置いていかれたのだった。

本体価格830円
★★★★★

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

1年に1冊のペースで発表され、刊行されるのが待ち焦がれるこのシリーズ。何と今回は、光文社文庫でも続けて刊行されるとのことで、ファンにとっては何ともうれしい話である。
今回は、山岳救助隊に新しいメンバーが加わるが、彼は協調性がなく、隊員に不満が募る。隊員間の関係がどうなるのか、興味の募るところ。
「まったく、どうしてどいつもこいつも、”北岳”なのよ」との静奈の嘆き(笑)の通り、またしても犯罪者が北岳に。
二人で谷川岳登攀中に滑落し一人が死亡、残った一人が婚約者とともに北岳に。生き残った男がザイルを切ったのではとのではとの疑いを持つ、死亡した男の妹が彼らを追って北岳に。
一方で夏実は、母親に置き去りにされ白池御池のキャンプ地に佇む少年を見つける。
母親は離婚しており、同居している愛人と北岳頂上へ向かったとか。その男は少年にDVをしており、過去に犯罪者の疑いも。
それぞれの人物たちが北岳で交錯するが、いつも変わらぬ夏実と静奈たちの活躍に胸のすく思いが今回も。

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2024年08月26日

Posted by ブクログ

南アルプス山岳救助隊K-9シリーズ
北岳での遭難事故から始まるサスペンス。

山での誤った決断と、それを糊塗するために塗り重ねられる嘘と犯罪。それでも山に登るさらに他の犯罪者。
いつものように、北岳にはとてもたくさんのストーリーが渦巻く。

殺人事件が起きている、クズのような犯罪者も描かれる。でも、そのいやらしさを北岳の自然が大きく受け止めてくれる。
そして、夏海とメイたちの山岳救助隊は、生命を救い続ける。
今回も、楽しませていただきました。
そして、今回は次につながる伏線がいくつか敷かれていたと思います。
これらの話の回収が楽しみです。

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2024年08月08日

Posted by ブクログ

<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズ、13冊目。
先に読んだ「愛と名誉のためでなく」とほぼ同じ時期に出されているが、こちらは長編。

冒頭から、谷川岳一ノ倉沢で起こった滑落事故のその後と、新人隊員に手を焼きながら活動する救助隊の日常が交互に描かれていく。
そこに、母親に置き去りにされた少年の家族の話も加わり、次はどうなるって感じでズンズンと読める。
阿佐ヶ谷署の大柴も登場すれば、珍しく夏実が犯人と格闘したり、もちろん静奈はいつもの通りのカッコ良さ。
「さよならの夏」の感想に『ニック・ハロウェイが何者だったのかを知りたい』と書いたが、今回でだいぶ素性が知れたり、色々と楽しめる。
ただ、谷川岳ですごい偶然が重なった上に、伸彦があれで警察の捜査が自分には及ばないと思っているのや、透子が警察の手を借りず自身の手で犯人に報いようとするなど、設定はかなり雑。
『どうしていつも“北岳”なんですかね』に、『どうしてどいつもこいつも“北岳”なのよ』と、二度も突っ込みがあるところは、作者さんも自覚あり?

“購入した人間が非業の死を遂げてはナイフだけが何故か店に戻ってくる”、そんな呪いがかかっているというナイフを拾ってしまった栗原さん、大丈夫か?(しかし、どうしてあそこに落ちてるの?)

0
2025年07月06日

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