樋口明雄のレビュー一覧

  • 光の山脈

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    樋口明雄祭り、継続中。

    犬たちとともに山を駆けめぐり、イノシシを狩るロッタこと六田賢司。無欲で純粋なこの若き猟師の前に立ちはだかったのは、暴力団と手を握った企業による悪辣な自然破壊だった。その魔手が、身重の妻と新聞記者である兄に及んだとき、ロッタは狼犬・シオと、豪雪と蒼氷の南アルプスにたてこもる。マイナス20度の極寒の世界で、容赦なく顔を叩く地吹雪。壮絶なサバイバル戦の火蓋が切って落とされた…。

    最近の作品に比べると、ヴァイオレンス度がまったく違う。

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    2019年02月24日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 ハルカの空

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    清涼な山中で行うトレイルラン。人気のスポーツに没頭する青年は山に潜む危険をまだ知らなかった―「ランナーズハイ」。登山客の度重なるマナー違反に、山小屋で働く女子大生は愕然とする。しかしそこは命を預かる場でもあった―「ハルカの空」。南アルプスで活躍する個性溢れる山岳救助隊員と相棒の“犬たち”が、登山客の人生と向き合う!「ビバーク」は単行本未収録作品。

    この際だから、未読のシリーズ残りを読んでしまおう。

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    2019年02月10日
  • 白い標的 南アルプス山岳救助隊K-9

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    甲府市内の宝石店が強盗グループに襲撃された。警備員二名を殺傷し、三億七千万円相当の宝石を強奪した犯人たちは、なぜか冬の北岳へと向かった!追跡する刑事たち、それをバックアップする山岳救助隊の夏実や静奈。そして救助犬二頭。非情な裏切りや、果てなき欲望が渦巻く白い山。その静寂を切り裂いて、一発の銃声が谺したとき―!

    このシリーズは断続的に読んでいる。「ブロッケンの悪魔」以来か。登攀シーンや救助シーンは実にスリリング。もっとも冬山登山には縁がありませんが。

    「銀嶺の果て」という古い日本映画がある。あちらは銀行強盗三人組が北アルプスに逃げ込む話だったが、関係はないですね。

    まだまだ未読の作品が多

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    2019年01月27日
  • 炎の岳―南アルプス山岳救助隊K-9―(新潮文庫)

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    噴火の予兆が見られる火山からの登山客の下山。せっかく来たからと下山をためらう人も。そして絡んでくる犯罪。山岳救助の大変さが見えてくる。救助犬もがんばれ!
    思い出すのは御嶽山や普賢岳。
    現場に遭遇した人にしか分からない事が多いだろうけれど、想像を逞しくすることを忘れてはいけないと思う。
    物語の中では上手く行った事の方が多いけれど……

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    2018年12月04日
  • 風に吹かれて

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    樋口明雄氏の自伝的小説。
    1960年生まれの氏と私は一つ違い。
    同じく基地の街で生まれ育ち、川に遊びに行き、海まで自転車で出かけていった。
    樋口氏の中学生の夏の思い出と、私の夏の思い出が完全にオーバーラップしてしまった。
    中学生時代から小説家を目指した彼は、今や売れっ子作家。私は普通のおっさん。
    でも、あの夏の思い出は多分同じものであり、私たちは同じ時間を過ごした。

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    2018年09月26日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 天空の犬

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    ネタバレ

    犬のお話が好きで、読んでみました。
    山岳救助の設定だと思っていたら、東日本の震災が出てきて驚きました。

    メイと夏実の絆に気持ちが温かくなる。
    震災、過去の悲しい事故、恩師の病、そして政治など、話を色々詰め込んでいるので、あと一歩入り込みきれなかったが、続編があるなら是非読んでみたい作品。

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    2018年09月15日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 クリムゾンの疾走

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    天空の犬シリーズ 最新刊。
    今回の主人公は、山岳警備隊一の美人キャラ、神崎静奈巡査。
    警備隊随一の武闘派である神崎巡査の強烈な戦闘シーンから息つく暇もないカーチェイス。そして、奪われたバディであるシェパードのバロンを救うための強烈な追跡シーン。
    今回、いつものヒロインの夏美とメイの出番は少ないが、いつもに増してスピード感のある追跡シーン、戦闘シーンは、山岳救助犬シリーズに新しい展開をもたらしている。
    ますます面白くなる本シリーズ、最新作を読み終わったその時から次の作品が読みたくなる。

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    2018年08月14日
  • 光の山脈

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    文庫帯の「山岳冒険小説の金字塔」は、けっして誇張された讃辞ではない。
    山でしか己の生き甲斐を見出せない主人公ロッタ。そして、不幸な過去を持ち、生きるうえでの彼の存在が欠かせない妻の亜希。
    彼らと、暴力団と産廃業者の悪行を新聞で暴露したロッタの兄に、魔の手が伸びる。
    「純粋無垢にして自由奔放」、正義という言葉を何より信じるロッタ。復讐の念に燃えた彼は、兄と妻の仇を撃つべく、組事務所ですさまじい銃撃戦。
    さらに、狼犬シオを従え、豪雪と極寒の南アルプスで、暴力団を相手に、一人サバイバル戦を繰り広げる。
    その壮絶な戦いに、頁置く能わずも誇張と言えず、読む手が止まらない。
    「古典的西部劇や東映やくざ映画

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    2018年05月17日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 クリムゾンの疾走

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    最後に北岳でのシーンがあるが、大半の舞台は東京。
    このシリーズではちょっと異色作。それゆえ、いきなりの文庫なのだろうか。
    誘拐されたバロンを奪い返すため、ハンドラーの神崎静奈が犯人たちを追う激しいカーチェイス、思わぬアクシデントで警察からの指名手配!を受けながら、その包囲網を潜り抜け、絶望的な状況にもかかわらず、ひたすら犯人たちに迫る。
    相棒のバロンを奪還しようとする、静奈の哀しいまでに一途な追跡から目が離せない。
    ともかく、題名通り疾走感あふれるノンストップアクションエンタメ。

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    2018年03月25日
  • 許されざるもの

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    帯や裏表紙の解説を確かめもせず、最初の頁を開いたとたん、七倉航というなつかしい名前を見つけ、この作品が『約束の地』の続編だと、初めて知った(笑)。
    もちろん、単独で読んでも少しも支障はないと言っていい。
    『約束…』が、七倉の娘が小学校5年の時の出来事であるのに対し、この春中学生になったという説明から、本書はその2年後の話のようだ。
    七倉は、支所長をはずれ一管理官となっており、キャリア丸出しの新支所長が赴任している。さらに、新メンバーとして新人二人が加わる。
    そのうちの一人関千晶は、同著者の別シリーズ「山岳救助隊K-9」で活躍する隊員関真輝雄の妹のようだし、県警航空隊のヘリの操縦士たちがチョイ役

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    2018年02月09日
  • ブロッケンの悪魔 南アルプス山岳救助隊K-9

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    星野夏実を中心とした南アルプス山岳救助隊員と救助犬の活躍を描いたシリーズの第3弾。
    今作の相手は、人質を盾に北岳山荘に立てこもるテロリスト集団で、スリリングでエキサイティングな一気読みの傑作。
    今回メインとなるのは、絶望的な状況の中で、心が折れることなく必死の抵抗をする、北岳山荘のスタッフ松戸颯一郎。
    そして、山岳救助隊員の沈着冷静で空手のエキスパート、神崎静奈。彼女の、テロリスト集団との息詰まる格闘対決場面には、読み手の目が縛り付けられてしまう。
    このテロリスト集団のリーダーの肉付けをしっかりとしたことで、物語に膨らみを持たせている。
    このリーダーの経験した、カンボジアや東日本大震災での出来

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    2018年01月04日
  • 約束の地(下)

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    南アルプス山麓に居を構える著者ならではの自然描写が、書中様々な場面で詳述される。
    読者は、迫真の物語をしばし忘れ、主人公たちとともに八ヶ岳、南アルプス近辺を辿っているかのような寄稿文的臨場感を味わえる。
    もちろん、この小説の主題はそんなところではない。
    人と動物の棲み分け、人と自然の共生を問う意欲作であり、著者自身の生活体験から紡ぎだされた告発の書でもある。
    その思いを、古参猟師に語らせる。
    「・・・開発開発で山がどんどん切り崩され、必要もねえ大規模林道をあちこちにこしれえて、森はズタズタに切り裂かれる。人間の暮らしが作り出した有害なものをあちこちに埋めて、土や水は汚染される・・・」
    山の怒り

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    2017年12月06日
  • 約束の地(上)

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    地球温暖化は、様々な方面に影響を及ぼしている。
    それに加えての乱開発と公害。
    さらに日本では、林業の人手不足による放置林の拡大、高齢化による里山の荒廃などから、農業への被害が拡大している。その一典型が、里山への野生鳥獣の進出。
    そんな現状に、著者が問いかける「いますべての日本人に読んでみていただきたい」、動物小説と冒険小説とを融合したエンターテイメント。

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    2017年12月06日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 天空の犬

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    この作者が書く山の世界が好きです。南アルプスに住んであるというだけあって、情景が鮮やかに浮かんで来ます。物語も感動あり、スリルありと目が離せない展開で面白いです。ただ、最初の方に、福島の震災の事が書かれていて、あれ?南アルプス山岳隊の話だったよね?とタイトルを見直しました(笑)現実にあった事を加える事で、この小説にリアル感を持たせたかったのかな、と感じました。

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    2017年11月06日
  • ミッドナイト・ラン!

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    エキナカ書店大賞第1位、しかも『南アルプス山岳救助隊』シリーズの作者なら、きっと面白いだろうとの期待にそぐわぬ面白さ。
    ネット心中で集まった男女5人組が、少女を助けたばっかりに、やくざに追われ警察には指名手配となる。
    生きることに意義を見出した彼らは、逃げるのではなく自ら冤罪を晴らすべく、ただただ走り続ける。
    裏にあるのが、強大な政治権力が絡んだ陰謀かと思いきや、破廉恥な行為をめぐる隠蔽工作だったとは・・・
    ちょっと、思惑が外れた気がしないでもない。
    だが、疾走感あふれ、彼らの奇想天外な活躍に拍手を送りたくなる、楽しさ満載のノンストップアクション小説の傑作。

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    2017年10月11日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 ハルカの空

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    第1作の『天空の犬』が、星野夏実を主人公にした長編だったのに対し、第2作は南アルプス山岳救助隊のメンバー(神崎静奈、関真輝雄等)が、それぞれ交代で主役となる連作短編。
    もちろん、星野夏実も各編でちょい出するが、『NO WAY OUT』では、主役として同僚の警察官の救出劇を演じる。
    表題作の『ハルカの空』は、山小屋でアルバイトする少女が主人公。正義感の強い彼女が、マナー違反をする登山客に憤然としながらも仕事をこなし、遭難救助の手伝いもする。
    彼女は、今後のシリーズにまた登場するような気がするが、果たして・・・

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    2017年10月11日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 天空の犬

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    主人公は、南アルプス山岳救助隊に属するハンドラー。そして、共感覚という特殊な能力を持っている。
    そんな彼女の成長物語かと思っていたら、終盤にきて事件性を帯び、俄然警察小説の趣きになって、急展開した。
    著者は、南アルプスの山麓に居を構えているとのこと、それだけに山の描写は美しくリアルで、山の魅力はいやがうえにも読者に迫ってくる。(40年ほど前に北岳の頂上に立ったことを思い出させる)
    山岳小説と警察小説とを融合した秀逸な作品には、笹本稜平氏の著者が多々あるが、さらに動物小説を加味したのは著者だけであろう。
    東日本大震災、原発事故に触れられ、遭難者の死亡の事故等々もあるが、信頼し合う救助犬とハンドラ

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    2017年09月08日
  • 約束の地(上)

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    あまり普段の生活では近くに感じない獣害の話。鳥獣保護官、聞きなれない職業だけれども大変です。保護と駆除、相反するところが難しいところです。
    最後、ミステリーの要素が出てきたので、
    下巻にでどのような展開をするのかが楽しみです。

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    2017年08月08日
  • 南アルプス山岳救助隊K-9 天空の犬

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    標高3,193mを誇る北岳の警備派出所に着任した、南アルプス山岳救助隊の星野夏実は、救助犬メイと過酷な任務に明け暮れていた。苦楽を分かち合う仲間にすら吐露できない、深い心の疵に悩みながら―。やがて、登山ルートの周りで不可解な出来事が続けざまに起こりはじめた…。招かれざるひとりの登山者に迫る危機に気づいた夏実は、荒れ狂う嵐の中、メイとともに救助に向かった!

    シリーズ第一作に遡って読む。そもそも日本で山岳救助犬は架空の設定とのこと。物語はコンパクトにまとまっていて読ませます。

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    2017年07月25日
  • ブロッケンの悪魔 南アルプス山岳救助隊K-9

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    南アルプス北岳に至る三つの林道で崩落事故が発生、一帯は陸の孤島になった。その頃、内閣危機管理センターに集まる閣僚たちの元へ、自衛隊施設からVXガスが盗まれたと報告がもたらされ、やがて北岳山荘に立てこもるテロリストからの要求が届いた!大型台風の到来で警察も自衛隊も接近不能。しかしそこには三頭の救助犬と山岳救助隊がいた―。

    著者の作品を読むのは「狼は瞑らない」以来だと思う。十数年ぶり。設定からするとあの「ホワイトアウト」並みに盛り上がるかなと思ったが、そこまでには至らず。犬好きの方にはうれしいのでは。未読の「天空の犬」も読んでみよう。

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    2017年07月23日