樋口明雄のレビュー一覧
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山岳小説あり、怪異譚あり、ホラーあり、SF小説ありと、まさにバラエティーに富んだ短編集。
著者の作品で読んでいるのは、南アルプス山岳救助隊K-9シリーズや山岳冒険小説なので、本書もその類いと思っていた。しかし解説を読むと、著者は怪奇ホラー長編も物しているようだ。
本書で印象深いのはやはり、表題作の『標高二八〇〇米』とその続編『リセット』。
ある日突然、標高2800mより上にいた人間だけが生き残り、それ以外の人間が消失してしまう。残された主人公たちの孤独で絶望的な日々が綴られる。
この状況に著者は、原発問題を絡めて、単なる消失劇とはしていない。
人類は地球にとって、当初は良性の腫瘍だったが、今で -
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スタンドバイミーっぽい話好きなので楽しみにしていましたが、予想以上に心打たれてしまって、読み終わった時胸苦しい気持ちになりました。
時は1970年代、山口県は岩国。米軍基地のある街で、少年少女たちの成長を追う物語で、なんだかんだ色々な人たちが書いている題材と何ら変わらないのに、どれもこれも胸をぐさぐさ刺してくるのかなあ。そういうお年頃になったという事なのでしょうか。
小説家を目指す主人公モリケン、漫画家を目指すノッポ、エキセントリックなムラマサ、ミュージシャンを目指す転校生ミッキー。中学校2年生という多感な時期を駆け抜ける1年間が濃密でとても眩しいです。トラブルも山盛り有るけれど、信じられる -
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富士登山で山ガールになったアイドルグループのボーカルが、北岳に登ることになった。
彼女のファンでひきこもりネットハッカーの35歳が、彼女に会うために北岳を目指す。
さらに、母親が入院し父親からDVを受けている13歳が、北岳に逃げてくる。
思惑の違うそれぞれが、北岳でどういう遭遇をするのか。
引きこもりやDVそれにストーカーなど、現代の問題を織り交ぜながら、南アルプス山岳救助隊の面々が活躍するシリーズ第9弾は、相変わらず頁を繰る手が止まらない。
今作では、両股小屋管理人をしている加賀美淑子70歳が、魅力的でいい味を出している。
北岳の美しさ雄大さの描写にたっぷりと浸りながら、静奈の痛快な戦いのシ -
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巻末を見て初めて知ったのですが、警察が山に救助犬を配置しているという事は無いんですね。すっかり本当にある組織だと思ったのでびっくりしました。
北岳という日本2番目の高峰を舞台に、救助犬とそのハンドラーである婦警を主人公にした作品です。
当たり前ですが、この本の登山者はすぐ遭難するし滑落するので読んでいると登山怖いと思ってしまいそうですが、しっかり準備して過信せず、天気予報をがっちり確認して行動すれば大丈夫なんですよね、きっと。わからんけど。
今作は山岳救助隊それぞれが主人公の連作となっているので、前作で登場した仲間たちの素性が知れてとてもよかった。救助犬が活躍しない作品もあったけれど逆にそれ -
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南アルプス山岳救助隊K-9シリーズの5作目。
『ハルカの空』に次ぐ短編集。単行本での12話に、文庫本特別収録1話がついて、お得感あり。
第4話では、『約束の地』『許されざるもの』での主人公野生鳥獣保全管理官の七倉航が顔を出し、なつかしい。
第9話で登場人物の一人が吐露する。
「なくてもいい便利さのために、この南アルプスが傷つけられる。かけがえのない自然が破壊される。俺はそれが許せない。人間は欲と傲慢を捨てて、そろそろ謙虚さを学ぶべきなんだ」
八ヶ岳と南アルプスに挟まれた土地に居住する著者の切実な思いでもあるだろう。
第11話「相棒」は、隊員進藤諒太と救助犬との話。涙腺を刺激されずにはいられない -
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「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズの著者が、南アルプスの小屋の管理人たちへのインタビューをまとめたノンフィクション。
それぞれの管理人たちの人生や仕事に対する姿勢の違いにより、各小屋にも特徴があり、思わず訪ねてみたくなる魅力にあふれている。
広池御池小屋は夫婦で経営。
管理人は規律を重んじ、「山の仕事は人を鍛える」との信念で、スタッフに対している。極限状況の中で、ひとつひとつの困難を乗り越えて彼らの顔つきが変わり、ひとりひとりの若者が磨かれてゆくことに喜びを感じている。
対して、広河原山荘では、そのスタッフは自由が基本だそうだ。
祖父と父に続き三代目の管理人は、高校時代はレスリングでならし -
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下巻も読み終わりました!
山に棲む野生動物たちが人間の畑を荒らしてしまったり、不運にも人間と遭遇してしまって人が怪我をすると動物が殺処分されるという、現実でもたまに目にするニュース。
元はと言えば人間が山を切り拓いて、動物たちの住処を奪ってしまったことが原因だから、こういうニュースを見ると悲しくなってたんだけど。
人間も生きていかなきゃだしね。
難しい問題よね。
前に聞いたことある話で、自然との共存で一旦人間が手を出してしまったものはずっと手を出し続けなければいけないっていうの。
アメリカの国立公園の狼再導入の時に聞いたんだっけな??
ちょっとうろ覚え…。
そういうのを色々思い出すお話だ -
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南アルプス山岳救助隊K-9シリーズ、4作目。
今作の舞台は、架空設定の活火山・新羅山。登山客で溢れ返る山で突如火山活動活発化。否が応でも、御嶽山噴火を思い出すが、今作はその災害事例を教訓に、どのように災害救助を行うべきか、シミュレーションした内容とも言えそう。登山客の数が集まれば、それだけ暴挙に出る不届きモノも少数ながら出てくるわけで、山岳救助隊や自衛隊の方たちはそういった人たちを見据えた救助活動を実際に行わなければならず、如何に過酷で、時には理不尽なものか、本書を通して伝わってきた。
本シリーズの特徴と言うべきか、山岳救助小説である一方、警察ハードボイルド要素も加わっている。今作の場合、子