樋口明雄のレビュー一覧
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星野夏実を中心とした南アルプス山岳救助隊員と救助犬の活躍を描いたシリーズの第3弾。
今作の相手は、人質を盾に北岳山荘に立てこもるテロリスト集団で、スリリングでエキサイティングな一気読みの傑作。
今回メインとなるのは、絶望的な状況の中で、心が折れることなく必死の抵抗をする、北岳山荘のスタッフ松戸颯一郎。
そして、山岳救助隊員の沈着冷静で空手のエキスパート、神崎静奈。彼女の、テロリスト集団との息詰まる格闘対決場面には、読み手の目が縛り付けられてしまう。
このテロリスト集団のリーダーの肉付けをしっかりとしたことで、物語に膨らみを持たせている。
このリーダーの経験した、カンボジアや東日本大震災での出来 -
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南アルプス山麓に居を構える著者ならではの自然描写が、書中様々な場面で詳述される。
読者は、迫真の物語をしばし忘れ、主人公たちとともに八ヶ岳、南アルプス近辺を辿っているかのような寄稿文的臨場感を味わえる。
もちろん、この小説の主題はそんなところではない。
人と動物の棲み分け、人と自然の共生を問う意欲作であり、著者自身の生活体験から紡ぎだされた告発の書でもある。
その思いを、古参猟師に語らせる。
「・・・開発開発で山がどんどん切り崩され、必要もねえ大規模林道をあちこちにこしれえて、森はズタズタに切り裂かれる。人間の暮らしが作り出した有害なものをあちこちに埋めて、土や水は汚染される・・・」
山の怒り -
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エキナカ書店大賞第1位、しかも『南アルプス山岳救助隊』シリーズの作者なら、きっと面白いだろうとの期待にそぐわぬ面白さ。
ネット心中で集まった男女5人組が、少女を助けたばっかりに、やくざに追われ警察には指名手配となる。
生きることに意義を見出した彼らは、逃げるのではなく自ら冤罪を晴らすべく、ただただ走り続ける。
裏にあるのが、強大な政治権力が絡んだ陰謀かと思いきや、破廉恥な行為をめぐる隠蔽工作だったとは・・・
ちょっと、思惑が外れた気がしないでもない。
だが、疾走感あふれ、彼らの奇想天外な活躍に拍手を送りたくなる、楽しさ満載のノンストップアクション小説の傑作。 -
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主人公は、南アルプス山岳救助隊に属するハンドラー。そして、共感覚という特殊な能力を持っている。
そんな彼女の成長物語かと思っていたら、終盤にきて事件性を帯び、俄然警察小説の趣きになって、急展開した。
著者は、南アルプスの山麓に居を構えているとのこと、それだけに山の描写は美しくリアルで、山の魅力はいやがうえにも読者に迫ってくる。(40年ほど前に北岳の頂上に立ったことを思い出させる)
山岳小説と警察小説とを融合した秀逸な作品には、笹本稜平氏の著者が多々あるが、さらに動物小説を加味したのは著者だけであろう。
東日本大震災、原発事故に触れられ、遭難者の死亡の事故等々もあるが、信頼し合う救助犬とハンドラ -
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K-9シリーズはこういう短編集の方が好き。個人的な好みだが、このくらいのボリュームでほのぼのする感じが似合う。
夏実、静奈、進藤、深町という主要メンバーだけでなく横森や曽我野という若手メンバーにもスポットを当ててくれて良かった。次は江草隊長やヘリ部隊もお願いしたい。ついでに山小屋メンバーも。
山にいると人間は生かされているということをより感じられる気がする。動物、植物、自然の脅威とも共生し、だからこそ超自然現象のようなことも受け入れられるのかも。
ハンドラーと救助犬との絆が対等で良い。怪我をしたメイが捜索に連れていって貰えずプライドを傷つけられた感でふてくされ、それを宥める夏実の図。
病を推し -
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この物語の主人公たちは死の寸前まで行って引き返してきた、いわば自分が死ぬリハーサルをしてしまったような人たちだ。
否応なく事件に巻き込まれてからの彼らは活き活きとしている。
何かと文句を言ったり、不平不満は言うけれど、結局は見知らぬ少女を助けるためにまっしぐらに進んでいく。
まるで映画のような・・・という表現が出てくるけれど、まさに映画並みのカーチェイスを繰り広げ、銃弾が飛び交う中を走り抜ける。
とにかく「バンディッツ」のメンバーがカッコいい。
余命があろうとなかろうと、アル中だろうとなかろうと、そんなことは関係ない。
引きこもりだって、立場を利用した悪事を働いていたって、必死に戦っている姿は -
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山をこよなく愛し、犬と共に山野を駆け廻り猪を狩る、通称ロッタこと六田賢司は、人に馴染めず、養護学校で少年時代を過ごした。大人になり人に優しく自身に厳しい性向とも相まって祖に魅力を開花させた。過去の辛い経験から喋る事が出来なくなった妻の亜希は、そんなロッタと出会い優しく包まれ自分を取り戻していった。
愛する山を守る為新聞記者の兄と共にひょんな切欠で知った地元の土建屋が関わる不法投棄を告発をする。
行政も動き、不法投棄は止められ行政処分が下りるが、土建屋の背後で糸を引くやくざが暗躍し、六田兄弟とロッタの身重の妻に迄魔の手が及んだ。
怒り狂ったロッタは猟銃と相棒の狼犬シオと共に、豪雪の南アルプスに