あらすじ
半年前、ぼくたち夫婦は愛犬を事故で喪(な)くした。それ以来、関係は冷え切り、家庭内別居の状態だ。そんなある晩、ぼくは一頭の仔犬と出合った(「グッドバイ」)。災害救助犬の指導手(ハンドラー)・高津弥生(たかつやよい)。彼女はある凄惨な事故で心に疵(きず)を負い、活動できなくなっていた。遭難した幼い姉妹の捜索に出動を要請されるのだが…(「向かい風」)。犬と人の絆を温かな眼差しで描く5つの物語。
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Posted by ブクログ
犬と人間の心の交流を描く五編の短編集。
「グッドバイ」
「バックパッカー」
「疾風」
「遠吼え」
「向かい風」
うち後半の三篇が印象的でしたが、最後の一篇のみストーリーを途中まで紹介。
「向かい風」
高津弥生は2008年、国際緊急救助隊として、今までの職を辞して、牝のボーダーコリーのエマとともにNPO法人ジャパンレスキュードッグスの活動で中国へ行き地震の被災地の小学校に入りますが、活動中にガス爆発で、一緒に被災地入りした、二人の仲間と犬を失ってしまいます。
それが、トラウマになり弥生はエマと日本で何もできずに、休養中の山の中で、遭難事件が起こります。
東京から来た双子の女の子が、行方不明なので一緒に捜して欲しいと地元の警察から頼まれます。
警察は二人の少女を絶望視していますが、エマが吠えたのです。
救助犬の人間の為の立派な活躍に胸がいっぱいになりました。
Posted by ブクログ
犬と人の絆を描く五つの物語。樋口明雄作品の初読み。
最初の2編はファンタジー色の強い作品で、生き方を迷う人間と不思議な犬との出逢いを描く。後半の3編は職業で犬に関わる人を描くストーリーで、私としてはこちらのほうが好み。特に、「疾風」には熱いものがこみ上げてきた。20年程前に読んだ今野保さんの「アラシ」を思い出す。
Posted by ブクログ
犬と人間を題材とした短編集。
何の先入観もなしに電車の中で読み始めたのがいけなかったです。
最初の短編「グッドバイ」を読んでたら泣けてきて。そのまま進むと完全に泣いてしまうので、うるうる来るたびに休みつつ読みました。
他の短編も含め、いずれもラストに余韻を残します。
改めて犬の温もりに触れたくなる本です。