あらすじ
南アルプス北岳周辺にある5軒の山小屋(白根御池小屋、広河原山荘、北岳山荘、北岳肩の小屋、両俣小屋)の日々を描くノンフィクション。
小屋開け、山岳遭難救助、山小屋生活の日常、小屋番の素顔など、宿泊・通過するだけではわからない、山小屋の裏側を描く。
単行本刊行後、それぞれの山小屋では、経営の変動、管理人、スタッフの異動、小屋の改装や建て直しがあった。
これらの変化について追加取材、加筆し文庫化。
解説・羽根田治。
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Posted by ブクログ
樋口明雄『北岳山小屋物語』ヤマケイ文庫。
珍しい樋口明雄のノンフィクション。
南アルプス北岳周辺にある5軒の山小屋、白根御池小屋、広河原山荘、北岳山荘、北岳肩の小屋、両俣小屋を取材し、山小屋の日常とその裏側を描いたノンフィクション。
文庫化にあたり、それぞれの山小屋では、経営の変動、管理人、スタッフの異動、小屋の改装や建て直しなどの変化について追加取材、加筆されている。
山小屋に関わる様々な人間のドラマ。山小屋はアルバイト集めから始まり、シーズン前のインフラ整備やルート整備などの開業準備、山小屋の日常的な運営に加えて、さらなる苦労があるようだ。標高3,000メートルという過酷な自然の中で、発電機や水源のトラブル対応、山小屋のメンテナンスも殆ど自らの手で行わなければならないのだ。さらには山岳遭難救助やマナーを守らぬ登山客への対応と苦労は尽きない。
気候変動による台風による災害の大規模化、新型コロナウイルス感染禍などが山小屋の経営に大きな変化をもたらしているようだ。
最後に登場する両俣小屋を運営する名物女将、星美智子の語る『41人の嵐』の物語は、確かテレビ番組で再現ドラマ化され、紹介されていたのを思い出した。
定価1,210円
★★★★★