あらすじ
大藪春彦賞作家の好評山岳ミステリー最新刊!
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北岳でもクマ騒動!?
人を憎み、森を徘徊する
隻眼のクマを確保せよ!
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山岳救助隊員&救助犬、名バディの活躍!
クマたちは私たちに今後どうするつもりなのかと、問いかけているのかもしれない。
――山﨑晃司氏(東京農業大学教授)
全国で起きているクマ騒動。
北岳でも被害が出ており、WLP(野生鳥獣保全管理センター)八ヶ岳支所の
七倉支所長と管理官の関千晶が調査にやってきた。
一方、北岳では幕営地でテントやアウトドア用品の盗難事件が頻発して、
山岳救助隊の夏実たちが対応に追われていた。
そこにクマに襲撃されたとみられる遺体発見の報告が入り……!
山岳救助隊員と救助犬、名バディの活躍を描く、大藪春彦賞作家の好評山岳ミステリーシリーズ最新刊。
【文庫書下し】
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
このシリーズ、大概は夏に刊行されていたが、今回は異例の3月。
昨年来、熊が街中に出現し人的被害も出ている現状に、山梨県に移住し自然環境の保全活動にも取り組んでいる著者なりの、ひとつの提言をするべくの緊急刊行だろうか。
ハンターに母親熊を殺され、自らも負傷し片目となったクマが復讐のために、ハンターや人々を襲う。
今回は、夏実たちが、『約束の地』や『許されざるもの』の主人公WLP八ヶ岳支所長七倉航と協力し、クマに立ち向かう一種のコラボ作品。
七倉航のことばを介して、著者が日頃の思いを託す。
七倉が要望するクマ対策について「結局官僚制度に縛られた日本の政治と公務員のシステムが壁になっているんだ」
山梨県自然観察員をしている著者として「この文明社会には自然というものに対するリスペクトがほとんどない」
一連のクマ騒動についても「人間に蹂躙され、無残に破壊されてきた自然が生み出した邪神だ」
本来、春の若芽や秋の堅果類、ハチやアリを食べていたクマが肉食嗜好に変わってしまったのも、ハンターによる死骸の不法投棄が肉食化の原因になったとも。
復讐の鬼と化した巨大なクマとの決着も、野生鳥獣の保護の取り組みを行っている著者らしい終わり方となっていて、退治する夏実に久しぶりに「妙な力」が顔を出す。
七倉航は、その夏実に「娘とどこか似ている」と既視感を覚えるが、今後のシリーズで、夏実と同様な妙な能力を持った七倉の娘・羽純が出会う場面があるのだろうか。それも楽しい試みのひとつとして、期待して待つことにしよう。
Posted by ブクログ
天空の犬シリーズ
救助犬と山岳救助隊が詰める八ヶ岳に、人を襲う熊が出た。
小説はもちろん作者の創作物ではある。
設定やストーリーは創作物であるけれど、その上で出てくる舞台や人物たちの動きに嘘がないと、その作品がリアルに感じられる。
今回取り上げられたエピソード熊による被害について、猟友会のような組織に実在しそうなメンバーがいて、人を襲う賢い動物が考え(実際に野生動物の中には賢いものがいます)、八ヶ岳を舞台に暴れる。
その描写がリアルに感じられ、山に入るのが少し怖くなる。
読後感は悪くないようにできていたので、今回もどっぷり楽しませていただきました。
Posted by ブクログ
2025年の今年の漢字にも選ばれた「熊」
南アルプスの麓にも、人間を襲うクマが現れ、人間とクマの格闘を描いた作品になっている。
今作は夏実たちの活躍より、狩猟会(猟友会)と野生鳥獣保全管理センターの人々の葛藤を描いている。
以前母グマと兄弟グマを目の前で殺された、通称「片目」と呼ばれるツキノワグマ。
東北地方では、人的被害も出たが、多くは餌を求めて、街に迷い込んだと思われるクマたち。しかし、片目は最初から復讐の為に、次々と人間を襲っていく。
このシリーズではあまりないグロテクスなシーンも多い。
一方、夏実たちが駐在する白根御池小屋周辺では、デポしておいた高級なテントなどが盗まれる窃盗事件が頻発していた。
クマと窃盗、どう繋がるのかと思ってたら、ほとんど繋がらなかった…
クマに対するのは、本来警察の仕事ではないけど、救助犬を利用すると言う形でストーリーを成立させている。
物語の組み立てはいろいろ疑問が残るものの、クマの被害やクマの生態系への懸念など、考えさせられる部分は沢山あった。
春も本格的に近づき、今年もまたクマたちとの闘いは続くのだろうか?
出来れば、人間はもちろんだけど、クマも本来の暮らしが出来るようになって欲しい。
Posted by ブクログ
<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズ、16冊目。
これでようやく既刊のものに追いついた、よね。
北岳で起こったクマ騒動に、幕営地での盗難事件も加わって展開していく話。
昨日もまた「八王子城跡でツキノワグマが目撃された」とニュースになっているが、全国的にクマの被害が頻発するご時世にタイムリーなお題。
人知を超えた手負い熊“片目”を巡ってページが割かれ、盗難事件はリンクするわけでもなく、いささかとってつけられた印象。
単身山に入った七倉を追い夏実と静奈が“片目”と遭遇するクライマックスは緊迫感があったが、そこまでの流れは何回も“片目”が人を蹂躙する場面が重ねられるばかりで、物語としては平板。
銃も持たずに多くの人を殺してきたクマがいる山に入っていくなんて(それをハコ長が許可するなんて)かなり無謀ではないかい。
ファンタジーのような決着は良かったような、急にリアリティがなくなったような…だが、このシリーズのテイストからすると、クマを駆除する結末にはしたくなかったのだろうね。
北アルプスにもクマが出るのかしらんと思っていたが、そこらも含めて東農大の先生が詳しく語っておられる解説がありがたい。
その解説だけでなく、農業被害や人的被害を食い止めるためになすべき野生鳥獣の捕獲や保全を民間狩猟に丸投げしていた国の政策への作者さんの考えも随所に示され、自然界に対して人間が行ってきた行為への批評は傾聴に値する。
『狩猟は熊を駆除することしかできないが、ベアドッグは生きたまま人間の生活圏から遠くへと追い払うことができる』ということを初めて知ったが、こういう取組みがうまく進むと良いのだけど。