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Posted by ブクログ
樋口明雄『南アルプス山岳救助隊K-9 異形の山』徳間文庫。
山岳救助犬&救助隊員が活躍する山岳小説シリーズの第10弾。文庫書き下ろし。
まるで、あの大傑作『約束の地』を彷彿させるようなストーリーに大興奮のうちに読み進む。非常に面白い。荒唐無稽な大事件の真相については道義上、余り触れられないのがもどかしいのだが、現実味のある真相であることだけは付け加えておく。読めば解る。
南アルプスの北岳で謎の火球が目撃された後、北岳にある白根御池小屋が破られ、備蓄食料が荒らされた。通報を受けて現場に到着した山岳救助隊の進藤諒太と相棒の川上犬リキが目撃したのは人間業とは思えぬ破壊の光景だった。現場に残された白い毛玉と人間のような足跡……
その後、北岳の冬季ルートで山岳カメラマンが望遠レンズで稜線に白い毛に覆われた生物の姿を捉える。さらには登山客のテントが謎の生物に襲撃され、怪我人が出たことから北岳は入山禁止となる。
謎の白い毛に覆われた生物は雪男なのか、それとも宇宙から来た地球外生命体なのか……
本体価格750円
★★★★★
Posted by ブクログ
人の感情が色となって見えるという異能の持ち主星野夏実。クールでいて熱い心の神崎静奈。
彼女たちが活躍するこの山岳救助隊シリーズの新刊が出ると、見逃すわけにはいかない。読者の頭の中で、彼女たちが生きて立ち働いてしまっているから。
今作の帯惹句にはなんと「雪男」出現と。
マンネリになりかねないシリーズの乾坤一擲を狙った作者が、途方もない企画を立てたのかと、危ぶんだ。
しかし、そんな愚考を吹き飛ばしてくれるその正体。
謎の生き物を狩ろうと山に入るハンター。その正体を捉えて、注目を浴びたいYouTuber。さらに、遭難しかけていた謎の外国人。
それぞれの思惑を秘めている彼らに、山岳救助隊のメンバーはどのように立ち向かうのか。
そして、謎の生き物の正体は。
今回も、一気読みするしかない一冊。
Posted by ブクログ
<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズの5冊目。
順番に読もうと思っていたが、なかなか中古本屋で見かけないので、この前見つけた文庫最新作のこの本に行ってみる。
しかし“火球に乗って北岳に落ちてきた雪男”とは、『三流SFホラー映画じゃあるまいし』P.45 といった出だし。
勿論、三流…ではなく真っ当な展開になるのだが、防衛省が出張ってきた段階でネタバレかな。
それにしても、不明生物を観光立地のマスコットにしようとする職員も、猟果に拘る猟師も、一発当てんとするYouTuberも碌なやつはいないな。
そうでなくては話が成り立たないのではあるが、そうした愚かな人間たちを“雪男”が哀れむ体の作りになって、今回は川上犬リキが頑張ったけど、全体としてアクションはあまり盛り上がらず。
とは言え、まあまあ楽しく読んだけど、終章がちょっと安易。あれだけ政治的要素が懸念される事案なら、YouTubeに投稿される前された後、ひと悶着ふた悶着あるだろうよ。
夏実と静奈が表彰される大活躍をした事件はどの巻かな?
Posted by ブクログ
〈南アルプス山岳救助隊K-9〉シリーズ第10作。
今回はなんと『北岳に雪男出現?』の巻。
冒頭は大学生が登山中に目撃した流れ星。その後、山小屋の厨房が破られて食料が荒らされた現場から謎の白い毛玉が。そして山岳カメラマンが望遠レンズで捉えたのは白い毛に覆われた、人に似た大型の猿のような姿。この生物は何なのか、宇宙から来たのか?
荒唐無稽な話かと思ったら、そこは樋口さんのこと現実性ある話にしてくれた。
謎の生物は登山者のテントを襲ったり、特別天然記念物のライチョウを襲ったり、いつ人的被害が出てもおかしくない状況。
北岳はついに入山規制がされ、本格的に謎の生物捜索となるのだが、勿論そう簡単にはいかない。
注目を浴びたいYouTuberにやはり名を挙げたいハンターコンビが北岳に入っている。
そして進藤たちが山小屋で見つけた謎の外国人も怪しい。
今回頑張ったのは進藤がコンビを組む川上犬リキ(とヘリのパイロット陣)。小さな体で雪山を駆け臭いを辿り、自分の数十倍はあろうかという謎の生物にも立ち向かう。無理をしないで!とハラハラしたが、本当に勇敢だ。
テーマとしてはいくつかあるが、その一つ(他はネタバレになるので書けない)広河原山荘管理人・滝沢謙一が考える『命を奪うことの意味』。『食料を得る』だけではなく『生態系の維持という意味において重要な仕事』である狩猟に携わることによってより命をいただくことの重みを考えなければならない。川辺のように単なる『猟欲』で行ってはいけない。
夏実は終始謎の生物の駆除に反対していたが、単なる感情論ではなかった。どんな人間であれ救助するという彼らのぶれない姿勢が通じる相手かどうか、それは読まれてのお楽しみ。
静奈のアクシデントシーンが僅かだったのは残念だが、たまにはこういう回も良いだろう。夏実と深町の仲良しシーンがあったし。
個人的には江草隊長の体調が心配だが何とかリハビリ頑張って復職して欲しい。山岳救助隊みんなのお父さんだから。
それにしてもこのご時世にあの国が登場するとは。
※シリーズ作品一覧
(★はレビュー登録あり)
①「天空の犬」
②「ハルカの空」
③「ブロッケンの悪魔」
④「火竜の山」(文庫化の際「炎の岳」に改題)★
⑤「レスキュードッグ・ストーリーズ」★
⑥「白い標的」★
⑦「クリムゾンの疾走」★
⑧「逃亡山脈」★
⑨「風の渓」★
⑩ 本作 ★
Posted by ブクログ
シリーズ10作目。
冬の北岳で起きた火球の目撃情報。そして尾池小屋では何者かに厨房を荒らされていた。
他にも登山者のテントが襲われ、けが人も何人か発生し、目撃情報から、「雪男」が犯人らしいと見当をつけた山岳救助隊のメンバーは狩猟会のメンバーと共にパトロールを始める。
火球や雪男の情報はYouTubeなどで拡散され、世間の話題に…
一躍人気YouTuberになる為に、冬山の登山経験もほとんどないのに北岳に入る大学生や、自分たちのエゴの為だけに雪男を仕留めようと、勝手に狩猟を始める狩猟会のメンバーなど、冬の北岳の自然をバックに様々な人物の思惑が巡り巡る展開。
正直、帯の「雪男」にはちょっと引いたし、どんな感じでこの奇怪な事件を展開していくんだろうと思ったが、意外と無理な感じもなく、物語に引き込まれた。
これまでも、どんどん事件のスケールが大きくなって来たが、今作ではとうとう他国が登場し、どうなることやらと思ったが、今回は山岳救助隊のメンバーの活躍もきちんと描かれるし、何より納富機長の登場回数が多いのは、ファンからすると嬉しい。
YouTuberの描写については、冬の富士山に登って、ライブ配信中に転落して亡くなった方のことを思い出した。
YouTubeを見ない人間として、視聴数がどんなに大事なのかは分からないが、人に迷惑をかけるような行為は絶対に許せないし、この作品をYouTuberの人が読むようなことはないと思うが、何かの注意喚起になればと願いたくなるような内容だった。
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