津原泰水のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ祖母の形見の零細人形店を継ぐことになった澪。押しかけ従業員で人形マニアの冨永君。謎の職人師村さん。
「あきらめてしまっている人形も修理します」という広告をみて、傷ついた人形を抱えた人々が「たまさか人形堂」を訪れる。
日常ミステリーの雰囲気を持つ一冊でした。
人形がテーマの小説って、思えば本当に少ないかもですね。津原さんの作品も初めてです。少しわかりにくく感じる文章もありましたが、おもしろかったです!
人形についてかなり詳しく書かれてあって興味深かったです。
冨永君というキャラクターがかなりツボです。「恋は恋」で一番感じた、(他の章でもちょいちょい感じる…)冨永くんの持つ陰の性質。これから明かされていくのでしょうか。気になります!
ひょうひょうとした冨永君も穏やかなシムさんも何かしら影があるようなのですが…澪さん、冨永君、シムさんのやりとりがとても楽しいです。澪さんがとても苦労人。
そして誰もつっこまないのだけど、シムさんがテディベアのことを熊ちゃんと普通に呼ぶのがとてもかわいいです(笑)
「毀す理由」
「恋は恋」
「村上迷走」
「最終公演」
「ガブ」
「スリーピング・ビューティ」
の6つの短編が収録。テディベア、創作人形、ラヴドール、竹田人形、大浜人形、人形浄瑠璃の人形、マリオネット…いろんなタイプのお人形が出てきて、勉強になります。「最終公演」の作風が他のものとは少し違っていて、それもまたおもしろいです。
最後はどうなっちゃうのだろうと思いましたが…、とりあえず、冨永くんぱねぇ!(笑)
続編がないと少し消化不良に感じる終わり方でした。
ので、続編が早く読みたい! -
Posted by ブクログ
「五色の舟」の漫画版がたいへん素晴らしかったので原作も読んでみた。タイトル通り11の作品からなる短編集で、冒頭を飾るのが「五色の舟」だ。短篇ながら、漫画版の要素はほとんど含まれている。地の文で軽く説明されている内容を、漫画版は具体的に描いていたということだ。漫画版は淡々とした絵柄と残酷な物語の落差が魅力的だが、小説版は絵が無いことでイマジネーションが広がる良さがあり、どちらも文句無しの名作。
収録作品は、題材もストーリーもヴァラエティに富んでいるが、ほとんどは、明確な起承転結を持たない不条理感に満ちた幻想小説だ。文体も作品によって変わるが、基本的には純文学のタッチで、このような題材を、これだけ研ぎ澄まされた文体で書いてくれたことに感動する。幻想小説やホラー小説の類は結構好きだが、ベストセラーになっているものを読むと、どんなにストーリーが面白くても、読者におもねった下品な文体にガッカリさせられることが多い。その点、本作の存在は極めて貴重だ。別に純文学だから偉いと言うことではなく、文体そのものが持つ美しさと強度がまるで違うのだ。
最も好きなのは「五色の舟」だが、それに次ぐのが「延長コード」と「土の枕」。「延長コード」は、幻想色は薄いものの、「五色の舟」と同様、此方の世界と彼方の世界の間で揺れ動く人間の姿を描き、唐突な幕切れと相まって鮮烈な印象を残す。「土の枕」は、幻想色皆無と言っていい作品だが、大正〜昭和前半の小説を模倣した文体が面白い。「五色の舟」に通じる要素も垣間見られるし、ここでも2つの世界というテーマが貫かれている。文学的な完成度の高さでは、この3作が際だっているように思う。
それ以外では、ホラー小説風の「手」や、三島由紀夫と江戸川乱歩を混ぜ合わせたような「微笑面・改」などがかなり面白い。「YYとその身幹」や「テルミン嬢」などピンと来ない作品も幾つかあるが、総合的には傑出した短編集だ。今回初めて知った作家だが、他の作品も読んでみたい。ただしいろいろなジャンルで全く違う作品を書いているようなので、この手の作品が読みたいのであれば、事前の調査が必要になるだろう。
なお本作は、2014年のSFマガジンで、オールタイム・ベストSFの国内短篇部門第1位に輝いたそうだ。しかし「幻想小説」なら分かるが「SF」と言われると、いささか首を傾げる。普通にSFと言えそうな作品は「テルミン嬢」くらい。「五色の舟」など此方の世界と彼方の世界を題材にした作品をパラレルワールドものとみなすことは出来なくもないが、それにしても他の作品を押しのけてオールタイムのSF1位と言われると、何か違うような… -
Posted by ブクログ
気がついたら恋に落ちていた。
相手のことなんてほとんど知らないのに。
直球の恋愛物語。
創元推理文庫から出ている作品だけど、ミステリとしてではなく、恋愛小説として読んだ。
だって、恋愛って多かれ少なかれミステリでしょ。
100%オープンに分かり合っての恋愛って、そもそもあるのかしら?
相手の気持ちがわからない。
自分の気持ちがわからない。
どうしたいのか、どうされたいのか。
何事も生真面目に思いつめるタイプの暁子が、どうしようもなく耿介に惹かれ近づいて行きながらも、なかなか一歩が踏み出せないもどかしさがよい。
一冊まるまるがもどかしいほどの恋うる心。そこがよい。 -
Posted by ブクログ
こういうのSFっていうのかな?SFの定義ってよくわかんない。ゆーたらガンダムもおジャ魔女も全部SFじゃね?みたいな。でもこういうのSFっていうんだろうなー。サイエンス・フィクション。サイエンス・ファンタジーとかでもいいんじゃないの。
初っ端からぶっ飛ばしてて最初こそ???だったけど、変調子な雰囲気にどんどん嵌ってった感じ。作中で出てくる絵画やら曲やらはほとんどわからなかったので、わかっている人は尚楽しいのだろうな、とも思うがわからなかったからよかったようにも思う。ビートルズもよく知らないからなあ。そういう諸々キーワードを無固形に受け止めていたからだらだらっと読めたんじゃないかとも思う。
しかし日本人作家の小説にはわりと木根原みたいな人出てくるよね。フランス人みたいなおっさん。フランス人みたいなおっさんだなって本当に思った(笑)フランスのおっさんの知り合いとかいないけど(笑)
日本のリアルにこういうおっさんは実在するのだろうかとそこが一番気になりました。おわり。 -
Posted by ブクログ
高校生が探偵役のミステリ。
2編は、ライトノベルとして1994年から95年にかけて発表されたもの。
全面改稿されたということですが、キャラ設定はそれらしい感じですね。
吾魚彩子(あうおさいこ)はルピナス学園の生徒で、かなり普通の女の子だが、やや直観力に優れている。
姉の不二子が刑事で、彩子はたまたま密室殺人の謎を解いてしまったことがあるため、強引な性格の不二子に何かと協力させられるようになっていた。
博学な祀島龍彦にあこがれて告白するが、姉のせいで誤解されてしまう‥?
この祀島、化石マニアで何事につけても知識は豊富だが、乙女心にはまったく疎いのでした。
彩子の親友はボーイッシュで度胸がある桐江泉と、美少女というほかにはさして取り柄がない(と人物紹介に書いてある)京野摩耶。
刑事の不二子と、その上司(だが年下)も含め、それぞれの得意を生かして謎に挑む展開。
「冷えたピザはいかが」はキャラのにぎやかなお目見えと、ピザをめぐる謎ときが面白かったです。
「ようこそ雪の館へ」は、雪の日に道に迷って、カリスマ的な美人作詞家が住む館に泊まることになった一行が事件に巻き込まれる。
館もの、とでもいいましょうか。
ムードのある場所での不思議な事件は、高校生向きというわけでもないけれど、作者の資質を感じさせる雰囲気がありました。
「大女優の右手」は、「瑠璃玉の耳輪」を上演中の舞台で、主演女優が死亡、死体が行方不明に?
手套の麗人と異名をとった往年の名女優、尾崎緑が書いた幻のシナリオなど、時代がかった雰囲気が濃厚でした。
津原泰水が小説として完成した「瑠璃玉の耳輪」を前に読んでいるので、面白く読めました。
吾魚って変わった苗字だけど、亜愛一郎が好きなのかな?
謎解きの基本的な面白さがしっかりありますが~解説にあるように、魔法の杖をもつ魔法使いというタイプの作家さんという気がします。