津原泰水のレビュー一覧
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ネタバレ先に新潮文庫から刊行された、『爛漫たる爛漫』『廻旋する夏空』『読み解かれるD』をまとめて単行本化したもの。
作者曰く「音楽小説であり青春小説であり推理小説」(※単行本版あとがきより)。
■好きなところ
・主人公・向田くれないと新渡戸鋭夫の、息の合った漫才のようなやり取りが痛快。個性的なキャラクター同士の掛け合いは、津原作品の醍醐味だと思う。
・くれないにとって鋭夫は遠い存在になっていくのかな…と思いきや、最後の4行で号泣。
・「読み解かれるD」の最後に、くれないが和気泉の言葉を口走る場面。何の必然性もないのだが、不思議と鮮やかで、最も主人公に感情移入した。
・作者が津原やすみ名義で書いてい -
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ネタバレ澪さんモテ期突入!?
師村さんの天然度がアップしてる?
そして青年よ、スランプか!
そんな第二弾でした。
リカちゃんか~。
うちは母がジェニーちゃん推しだったので、リカちゃんは持ってなかったんですよね。
ただ従姉妹のお下がりで、リカちゃんハウスはあったかも。
ピンクの屋根に水色の壁の折り畳み式で、プラスチック製だったかな。お下がりなので付属の家具はなかったけど、丸いランプがお洒落で気に入っていた記憶。
うーん、懐かしい。
愕(おどろ)いた、莞爾(かんじ)としてとか、オウナーにメイカーなんていう書き方が、レトロ風味で好きだなぁ。
莞爾としては「にっこり微笑むさま」、だそうです。
思わずぐぐっ -
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ネタバレ祖母の形見の零細人形店を継ぐことになった澪。押しかけ従業員で人形マニアの冨永君。謎の職人師村さん。
「あきらめてしまっている人形も修理します」という広告をみて、傷ついた人形を抱えた人々が「たまさか人形堂」を訪れる。
日常ミステリーの雰囲気を持つ一冊でした。
人形がテーマの小説って、思えば本当に少ないかもですね。津原さんの作品も初めてです。少しわかりにくく感じる文章もありましたが、おもしろかったです!
人形についてかなり詳しく書かれてあって興味深かったです。
冨永君というキャラクターがかなりツボです。「恋は恋」で一番感じた、(他の章でもちょいちょい感じる…)冨永くんの持つ陰の性質。これから明か -
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「五色の舟」の漫画版がたいへん素晴らしかったので原作も読んでみた。タイトル通り11の作品からなる短編集で、冒頭を飾るのが「五色の舟」だ。短篇ながら、漫画版の要素はほとんど含まれている。地の文で軽く説明されている内容を、漫画版は具体的に描いていたということだ。漫画版は淡々とした絵柄と残酷な物語の落差が魅力的だが、小説版は絵が無いことでイマジネーションが広がる良さがあり、どちらも文句無しの名作。
収録作品は、題材もストーリーもヴァラエティに富んでいるが、ほとんどは、明確な起承転結を持たない不条理感に満ちた幻想小説だ。文体も作品によって変わるが、基本的には純文学のタッチで、このような題材を、これだけ -
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気がついたら恋に落ちていた。
相手のことなんてほとんど知らないのに。
直球の恋愛物語。
創元推理文庫から出ている作品だけど、ミステリとしてではなく、恋愛小説として読んだ。
だって、恋愛って多かれ少なかれミステリでしょ。
100%オープンに分かり合っての恋愛って、そもそもあるのかしら?
相手の気持ちがわからない。
自分の気持ちがわからない。
どうしたいのか、どうされたいのか。
何事も生真面目に思いつめるタイプの暁子が、どうしようもなく耿介に惹かれ近づいて行きながらも、なかなか一歩が踏み出せないもどかしさがよい。
一冊まるまるがもどかしいほどの恋うる心。そこがよい。