津原泰水のレビュー一覧
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著者の訃報を受けて再読。初読時はまだ『ニューロマンサー』を読んでなかったのでわからなかったけど、この小説は『ニューロマンサー』を逆向きに読むみたいな構成なんだな。最後のシーンが百閒の「冥途」なのも今回初めて気づいた。
ガスや電気が使われ始めるのと同じく興隆してきた19世紀の心霊主義のように、テクノロジーを信じるがゆえに死後の世界がいつか可視化されると信じる人もいる。日常的にメタバースという言葉が飛び交うようになった今、VR空間で「不死を売る」ビジネスは前より容易にイメージできる。
津原さんは「電脳空間に幽霊が生まれる」のではなく、「幽霊が電脳空間を生みだす」未来を幻視した。そこがギブスンと比べ -
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夢想渦巻く夢幻の世界へ。
幻想きらめくシュルレアリスムの世界から始まりSFの世界に着地する、一幅の奇譚。
3部構成は、少しずつ主要人物と時系列をずらしながら繋がっていく。
さて、話を要約してしまうと面白くとも何ともないレビューになってしまうのが悩ましい。
感想だけ述べるなら、情景描写も世界観も、話の展開もすべて心地よく、作品世界にすっかり埋没し、感動させられた。各部とも、その結末部で鳥肌が立った。
本書が分かりづらい、という感想も見かける。
最初から理屈で考えると難しい作品に見えるのかもしれない。しかし一言でいえば、これは"夢"である。
夢だと思って、まずはその奔放なイ -
Posted by ブクログ
感想のための語彙が完全に消失する超傑作。あらすじはシュルレアリスティックな要素を散りばめたようでありながら、読み始めてみると文章も世界観もストーリーも登場人物もガチガチに組まれていることがわかり、全ての要素が収斂していく3章を読み終えた後はさながら美麗な巨大建築を下から上まで順に眺めていったかのような気分にさせられる。人称の使い方も3章で出てくるあらゆる設定も、「これだけで絶対本書けるだろ!」みたいなアイディアが300ページの中にぎっちり詰め込まれるめちゃくちゃ贅沢な1作である。小説ってこんなに面白いことができるんだ!という新鮮な感動に出会わせてくれたことに感謝しかない。この小説の魅力を日本だ
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購入済み
不思議な世界
前半は異形の人達が見世物一座として疑似家族を作っている姿を描いています。
後半はifの世界。
パラレルワールドとか苦手なんだけどこれはすんなり読めました。