津原泰水のレビュー一覧

  • 綺譚集
    例えばこういった感想のようなものを書いていると、自分の文才の無さに絶望的な気持ちに陥ってしまうのですが、津原泰水は文章を綴ることが楽しくて仕方がなかったのだろうなと思わせるような多様な文体で楽しませてくれます。
    幻想小説というのは、ストーリーよりも、その文体が持つアトモスフィアによって成り立つものだ...続きを読む
  • クロニクル・アラウンド・ザ・クロック
    色々と話題になった「ヒッキーヒッキーシェイク」を読もうと思いつつも、青春、音楽、ミステリと僕が読むべき要素満載のこっちの本を。
    音楽の描写もミステリ要素も面白かったけど、自分が青春小説を読む年代ではなくなってきたな…と思い至る。
    もっと早くに出会うべきだった作品。
  • ヒッキーヒッキーシェイク
    早く寝なきゃ、なのにページを繰る手が止まらない。あぁ今夜も夜更かしだ…。
    久しぶりにそんな読み方が出来た。
    軽快だけど軽過ぎず、適度に読みやすい文体。

    変に道徳的過ぎないのも好ましい。全ての登場キャラクター達に純粋な意味でのハッピーエンドは無い。それぞれに甘辛ミックスな現実がある。
    だけど最後には...続きを読む
  • バレエ・メカニック
    津原泰水版ニューロマンサー。ようやく読めた。一章が二人称、二章が一人称、三章が一人称複数で書かれているところなども含めて、あらゆる技術を使って遊んでいるような印象の小説。すごい。そもそも幻想とSFの混じったようなこの世界観を人の頭に想起させつつ文章ひとつひとつも美しいのはどういうことなんだと頭を抱え...続きを読む
  • 綺譚集
    まるで文体に酔うような感覚でした。幻想、ファンタジー、ホラー、怪奇、グロテスク、エロティック、ミステリ…この短篇集を一言で形容できるジャンルが分かりません。まさに綺譚。素晴らしかったです。
  • たまさか人形堂ものがたり
    久しぶりに続編が出たのかと喜んだら出版社を変えての再版だった。だが書下ろし短編が加わっていたし久しぶりに津原さん作品の一筋縄ではいかない感じを味わえて良かった。

    主人公はリストラされ再就職までの繋ぎとして祖母が営んでいた小さな〈玉阪人形店〉を引き継いだ澪。
    だが資産家の坊で人形マニアな冨永と、謎の...続きを読む
  • ブラバン(新潮文庫)
    私自身、コントラバスを吹奏楽部が弾いていたので、すごくわかる。今アラフォーとなり、さらに気持ちが刺さる。役割を与えられ、初めて存在を得て。
    自己表現の労を惜しんで、溜め込むことに慣れてきた。他に人から大事にされる方法を思いつかずで。
    Noと言おうというまいと、砂時計の砂は勝手に落ちていく。早めに気づ...続きを読む
  • ヒッキーヒッキーシェイク
    登場人物が全員魅力的。章が変わるごとに移っていく視点が吸引力となり、一気に読み終わった。
    ラストも爽やかでよかった。
  • 綺譚集

    緻密な文章

    津原泰水(つはらやすみ)さんの15の短編を集めた『綺譚集』です。幻想、狂気、エログロ、生と死の世界を、緻密な文章によって書かれています。
     大体、SNSや書店員さんがオススメしている本を読むことが多いのですが、この本はどういうきっかけで読み始めたんだったか。読書はどこかその時の自分の体調や生活に応じ...続きを読む
  • ヒッキーヒッキーシェイク
    いわゆる「ひきこもり」を、全く弱者として扱わない。
    誰もが特別で、トライする限り可能性は無限にあると、肩ひじ張らずに示してくれる。
    読み終わって感極まり泣いた。
    超同調社会の現代の日本で、この本の出版が立ち消えになっていたら、厭世観が加速するところだった。
    早川が出版してくれてよかった。
  • 綺譚集
    短編集,15編
    ホラーのようなサスペンスのような犯罪物のようなものや幻想的なもの,つまりいろいろな不思議不条理をとき明かさずそのまま差し出している.そしてどこか切ないような物悲しい気持ちにもなる珠玉の作品集.
  • 少年トレチア
    カタストロフィ。
    少年少女時代に、「トレチア」のせいにして悪事を働きまくっていた主要人物たちが「キジツダ」という新たなトレチアからツケを払わされていくような…都市伝説「トレチア」ですが、実際にトレチアを自認してる少年がまた新たに仲間と殺戮を続ける。
    マカラやビヤラカはよく分からず画像検索しましたがマ...続きを読む
  • ヒッキーヒッキーシェイク
    そんな曰くがあるとは知らなかった~「人間創りに参加してほしい。不気味の谷を越えたい」ヒキコモリ支援センター代表のカウンセラー竺原丈吉は、パセリ、セージ、ローズマリー、タイムという、年齢性別さまざまな4人の引きこもりを連携させ、「不気味の谷を越える」プロジェクトを持ちかける。「プロジェクト」はコンピュ...続きを読む
  • 少年トレチア
    津原作品3冊目。
    読み終えた数日後に、身近なトレチア的なものの存在に気付いた。そして怖くなった。
    津原泰水は、人間の負の記憶をありのまま無加工に描き出せる気がする。誰にでもある疚しさの記憶は、分解され解消され適度な状態に調理して安置してある。それを生に戻されて突きつけられる感覚がある。物語としては、...続きを読む
  • ルピナス探偵団の当惑
    2作目が読みたくてこの本を読んだ。
    ホワイダニットが散りばめられた上質なミステリーで、会話文が中心だけどそれも面白かった。
    強烈な主人公の姉のキャラにイラつくこともあったけど笑 たまに出てくるには面白くて笑える。
    切ない真実にちょっとしんみりするけど。
  • 妖都
    作者の津原泰水氏がTwitterで
    「俺の小説が政治的でなかっことがあるか」
    とネトウヨに返答をしたことを記憶している。

    不慮の事故や自殺が多発する東京に「死者」が増殖する。霊ではなく生けるものを死へと導き「死者」は更に数を増やす。彼らを統べるチェシャが東京を妖都として再生しようとする。

    ...続きを読む
  • 綺譚集
    15つのお話からなる短編集
    日常に潜む狂気みたいなものが、色々な話の中に隠れている。
    「いや、こんなのなんでもないですよ、普通です普通」みたいな感じで書かれているから、こっちも「そうなのか」と思ってしまうけど、読んだ後に得体の知れないものが、じわじわとにじり寄ってくる。そんな感じ。

    私は「夜のジャ...続きを読む
  • ブラバン(新潮文庫)
    登場人物が多く、高校生時代と大人時代とが行ったり来たり。
    会話文に方言が多用されており、物語に入り込むまで時間がかかった。
  • ブラバン(新潮文庫)
    高校のブラスバンド部の仲間が、結婚式でブラスバンド部を再結成して演奏してほしいと言い出した。20年以上たった広島で、仲間を集めることができるのか。

    最初に断っておくが、今回の評価は大甘である。

    年末年始の読書運が無さすぎて、小川洋子すらのめりこめなかったのだが、久しぶりにのめり込んで読めた1冊。...続きを読む
  • 11 eleven
    「短編の名手」って解説にあったけどまさに納得。面白かった。奇妙で少し怖くて揺さぶられる。
    最終話だけテイストがやや違うけど良い話。