津原泰水のレビュー一覧

  • ルピナス探偵団の当惑

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    このルピナス探偵団は元々1994、95年に講談社X文庫TEENS HEARTから『うふふルピナス探偵団』『ようこそ雪の館へ』の2冊が発売された。その後著者は少女小説家を卒業してしまったのだが、その後その2冊分を大幅に改稿し(『うふふルピナス探偵団』は「冷えたピザはいかが」と改題されている)+もう一編「大女優の右手」を書き下ろし、原書房ミステリー・リーグから『ルピナス探偵団の当惑』として2004年に単行本化された。今回はその原書房で単行本化されたものの文庫化である。X文庫版も、原書房版も読んだのに、また買って読んでしまった。普段なら文庫で756円なんて高い!!と思ってしまう私ですが、元々の文庫が

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    2011年07月20日
  • ルピナス探偵団の憂愁

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    敬愛する作家、津原泰水氏の青春ミステリ。僕の好みのジャンルではないのだが、相変わらず登場人物達がチャーミング。物語を時間を遡る形で配置しているところがうまい。泣ける。そうか、もう一作書かれるおつもりだったのか。亡くなってしまったのがつくづく残念。

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    2026年02月27日
  • 羅刹国通信

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    ネタバレ

    主人公達が羅刹国と呼んでいる夢の中での出来事と、現実での出来事が交互に語られていく形式で進んでいく物語。
    物語の解釈について、単行本の解説内で解説者さんが幾つか提示されていたり、著者さんの思惑も記されていたりしたけれど、私は羅刹という設定の裏側に隠されている意味は深く考えず書かれているそのままを楽しみました。

    羅刹国での共食いの様子とか、Gをどっかから出しちゃうとことか、結構グロテスクな場面があるんだけど、オノマトペで表現されてないからか割と淡々と状況が語られていて、それが良かったです。
    気味の悪いオノマトペが散りばめられているお話も悪くはないと思うけど、オノマトペに頼らない表現方法で進んで

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    2026年01月31日
  • 妖都

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    久しぶりに津原の世界に浸りたくなって年末からちまちま読んでいた。文体の妙も然ることながら、自在に繰り広げられる妖しい世界と、深い人間味と硬質な駒っぽさを併せ持つ登場人物たちが本当に魅力的だった。

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    2026年01月05日
  • 11 eleven

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    百年に一度生まれ、未来を予言すると言われる生き物「くだん」。鬼の面をした怪物が異形の家族に見せた世界の真実とは。(『五色の舟』)


    津原泰水さんの短編集。
    幻想的だったりSF風、怪奇小説風だったり、作品によって変わる文調も印象的です。

    個人的に好きだった話は『土の枕』。戦時中の話で、津原さんの母方の血筋の「ほぼ実話」だそうです。こんなふうに誰かと入れ替わったり、もとの戸籍を失ってしまった人なんかもいたのかな。色々と考えるきっかけになり、戦争に関する日が多いこの8月に読んでよかったです。

    『クラーケン』も良かったです。大型犬を飼う女性の話。女性の鬱屈と後に起こるであろう悲劇に思いを馳せずに

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    2025年08月09日
  • ルピナス探偵団の当惑

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    敬愛する幻想作家津原泰水のミステリ短編集。僕の本来の好みの津原作品ではないものの、登場人物のキャラクターが、セリフが楽しい。本にまとめるにあたって書き足された「大女優の右手」はさすが。僕の推しはキリエちゃん♪ また余裕ができたら、続きも読もう。

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    2025年07月11日
  • ブラバン(新潮文庫)

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     始まった時点で、普通ならヒロインになるだろう存在が死んでるってのはなかなか凝った構成。
     なんのかんので、柏木とか普天間とかとのエピソードが甘酢っぱい感じで、主人公モテモテだよなあ。元ブラバン顧問の先生ともそういう関係になっちゃうし。
     父親にエレキベースを買ってもらうエピソードとか、事故で右腕を失った辻からベースを渡される話とか、バンド経験者にはたまらんな。名言もいっぱい。
     再結成の話なのに、普通なら一番の見せ場になるはずの演奏シーンがないところが斬新。それでいてこれだけ魅力的な話をかけるということに驚いた。作者はホラーの人だと思ってたけど、こういう話を他にも書いているなら読みたいな。

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    2025年05月27日
  • 羅刹国通信

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    どうやら未完らしい。確かに続きを感じさせるラスト。ルピナス探偵団の人がこういう幻想小説も書くなんて知らなかったな。連載が2001年ってことは出てきた震災は東日本じゃなくて阪神淡路なのか。当時に比べると、鬼になることがポジティブに捉えられる世の中になったかもね。

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    2025年05月17日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    40代の今を主軸に、高校時代を回想する形式。高校時は「一体何なんだ」と言葉にできない、掴みどころのない経験が、時間を隔てる事で肝がわかる感じになってると思う。
    だから、つい自分の高校時代を思い出す。

    行ったことないけど、きっと同窓会に行ったら同級生の事を「あの頃あんな事してたから今こんなだわ」とか、「上手いこと世渡りしよるんは、気づかんかったけど、あの頃から策士だったんだろうなぁ」とか、過去に結びつけるような解釈を、頭の中で勝手に繰り広げるんじゃないか。それを大掛かりにした感じの小説かもしれない。

    一番気になるのは、来生が何者か。
    少し前の小説なので違うと思うけど、もしも今、映画化されたら

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    2025年05月08日
  • バレエ・メカニック

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    ネタバレ

    美しい、悪い夢だなぁ。
    巻き込まれる東京にとって悪夢なだけで、理沙は普通に夢を見ている。
    理沙の夢に引きずり込まれて、幻想世界かと思ってたらどんどんサイバーパンクへ。
    文章は美しいし、寂寥感が漂ってて好きでした。どうにかして対抗しようとしてももう、全てが手遅れな気配です。

    筒井康隆先生が帯書くはずだ…と、昔々に読んで観た「パプリカ」を思うなどしました。確か空気感が全然違うけど。
    幻想とSFの垣根をやすやすと行き来する津原先生の世界をもっと読みたかったです。

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    2025年04月29日
  • 夢分けの船

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    読んでからしばらく経ってから感想だけ書く。津原泰水先生の作品の中では凄く好きな方ではないかもと読んでいる最中は思った筈なのに読み終わってから何度も思い出してしまうのでやっぱり好きなんだと思う。印象的なシーンが多い。大きな蛾を二人で出そうとするシーン、目の不調のために回廊のような病院に行くシーン、最後の岡山と主人公の別れのシーン。そして特徴的な文体。きっとまた読み返すと思う。

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    2025年04月20日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    え、ここで終わるのかよと思わず声が出そうになった。
    曲者揃いのとあるプロジェクトの顛末を追いかけているが、これがまあ本当に一筋縄ではいかないし良い意味で狐につままれたような気持ちになった。
    ネットを介しているのでその辺の展開やスピード感はとても早い。これは騙しているのか、それとも? こんな作品もあるのかと驚くばかりだ。

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    2025年03月25日
  • 綺譚集

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    ネタバレ

    妖しくて、恐ろしくて、美しくて、摩訶不思議な世界が、様々な文体で綴られている短編集。
    面白かった。
    幻想的な世界に引きずり込まれるような感覚が、実に気持ちいい。
    「天使解体」「玄い森の底から」「脛骨」「アクアポリス」
    あたりがお気に入りだった。
    ちょっと癖になる中毒性がある作家さんだな。

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    2025年02月12日
  • 羅刹国通信

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    不思議な感覚で意識が曖昧、頭にモヤがかかった状態で読むとなんとなく理解できる。そして文豪作家より読みやすいと思ったら少女向けの小説も書いていた作家。羅刹国という夢の中の精神世界とでもいうのか、そこは砂漠で最終を探すため歩き続ける。留まる事は死を意味する。
    死に至った主人公はまた羅刹国に戻っていたそこで話は終わるが本当はまだ続くらしいが完結する前に作者が亡くなって未完のまま出版された。
    でもこのまま終わっても読み応え充分な作品で羅刹国の描写や主人公の心情は理解できるしもっと深い意味があるという余韻に浸る事ができる。
    初期の精神疾患を患っている設定なのか常軌を逸していないので理解不能には至らない作

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    2024年09月01日
  • バレエ・メカニック

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    ネタバレ

    いつまでも目覚めることができない悪夢のような小説だった。
    けれど流れるような美しい文章にスーッと吸い込まれていくようで、読んでいて苦にならない。語り手が冷静で、あまり感情的でない点もいい。難しくてなんのことを言っているのか分からないシーンもあるのに、読む速度が落ちないのが不思議だった。
    自暴自棄のような木根原の生き方も、すべては娘の事故から始まったと分かった瞬間に嫌悪から同情に変わった。第一章の終わりで、死んでいく娘と語らうシーンは特に良かった。娘と父親だけが知っている美しいシーンだった。この別れのためにあの幻覚があったのかと納得した。
    第二章で理沙が消滅していないことが判明したときは鳥肌が立

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    2024年08月20日
  • 羅刹国通信

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    理恵は十二歳のとき、崖から叔父を突き落として殺した。高校生になった理恵は、見知らぬ少年に「人殺しのくせに自分が鬼だと気づいていない」と言い放たれ、自分の額に二本の角が生えているのを知る。それから理恵の夢は角を持つ者たちが互いを貪り合う〈羅刹国〉へと通じるようになった。2000〜2001年に発表された作品の初の書籍化。


    未完扱いらしいけど本当に続きを書くつもりあったのかな。確かにもう一段深いところへ潜り込んでいくところで終わっているようにも思えるけど、強烈だけど魅力もある悪夢から、灰色で虚無的な現実に着地する宙ぶらりんの余韻が相応しい作品にも思える。空想的な飢えと争いから、現実的な経済と労働

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    2024年06月02日
  • 羅刹国通信

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    解説の方は自己完結的なフィクションだと最初思ったと書いていたけれど、私には最初からこれは社会と人のありようを示した寓話のように思えた。本当は対立がないかもしれないところに二項対立を自ら作り出し、どちらかの側に着くと決めて戦う。それがいつの間にか生きるよすがになっている。多分、そうしている方が楽だから。でも、その二項対立を超えて次の世界へ至る様がラストシーンなのだろうと感じた。きっとそうする力が、個人にも、社会にも、あると信じたいという気持ちが結実したようなラストだった。読み終えてしばらく、感慨に耽ってしまって動けなかった。きっと折に触れて思い出し読み返す作品になるだろうと思った。(人によって解

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    2024年05月04日
  • 五色の舟

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    近藤ようこさんの絵は余白が多く、その空間に常に寂しさ悲しみ静けさが感じられます。そういった空気感と共に話が進行していきます。
    読み進めていくうちに物語の中に彷徨いこんでいき、読み終わったあとには不思議な読後感とともに印象的な話が懐かしい思い出のようにずっと胸に残ります。

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    2024年03月09日
  • 夢分けの船

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    『ヒッキーヒッキーシェイク』をきっかけに著者のことを知り、『たまさか人形堂』を読んでみたらこれがまさに好みど真ん中。本作では語り手の巧みな語り(方言もだけどそれだけでなく)に翻弄され、読者は時代や空間、夢と現実の境い目を行き来させられる。2022年に急逝されたので本書が遺作となってしまったが、過去作品が次々と文庫化もされているのでこれからの楽しみにしたい。

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    2024年02月07日
  • 妖都

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    圧倒的なまでの90年代の香りを醸し出す作品。
    バブル期日本の思想が無く、目的もなく、ひたすら周りよりいかにイケてるかという軽薄なかっこよさと同時に存在する虚無感と死への誘い。
    岡崎京子のリバーズエッジや岩井俊二のリリィ・シュシュのすべてを思い出さずにはいられなかった。
    解説でラストがオープンエンドであることに触れられていたが、エヴァにしろ何にしろこの時代の作品はオープンエンドが多い。結局目指すべき方向性とその基となる思想を失っていた時代なのだからきっちりとした結末を用意できない事は仕方がない。
    心地よいナルシシズムと表裏一体の自己破壊願望を存分に堪能しつつも、やはり時代と寝た作品でもあると思っ

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    2024年02月04日