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Posted by ブクログ
圧倒的なまでの90年代の香りを醸し出す作品。
バブル期日本の思想が無く、目的もなく、ひたすら周りよりいかにイケてるかという軽薄なかっこよさと同時に存在する虚無感と死への誘い。
岡崎京子のリバーズエッジや岩井俊二のリリィ・シュシュのすべてを思い出さずにはいられなかった。
解説でラストがオープンエンドであることに触れられていたが、エヴァにしろ何にしろこの時代の作品はオープンエンドが多い。結局目指すべき方向性とその基となる思想を失っていた時代なのだからきっちりとした結末を用意できない事は仕方がない。
心地よいナルシシズムと表裏一体の自己破壊願望を存分に堪能しつつも、やはり時代と寝た作品でもあると思った。
Posted by ブクログ
作者の津原泰水氏がTwitterで
「俺の小説が政治的でなかっことがあるか」
とネトウヨに返答をしたことを記憶している。
不慮の事故や自殺が多発する東京に「死者」が増殖する。霊ではなく生けるものを死へと導き「死者」は更に数を増やす。彼らを統べるチェシャが東京を妖都として再生しようとする。
「死者」はある種の能力あるいは感受性のある者にしか見えない。
これは1997年に書かれた小説だが、2020年の日本にも当て嵌まるだろう。
目に見えないcovid-19が蔓延り、政治体制はおよそ民主主義から遠ざかり1人の政治家が日本を破壊している。
大部分は「普通の日本人」として生活しているようにみえるが本性は暗部をもち彼を根拠なく熱烈に支持する。いわゆるネトウヨだ。
ネトウヨは、本作の「死者」のような存在であり、普通の生活では見抜けない。ある種の感受性と理性があるものしか見えない。
「妖都」の描いた世界と2020年の日本が妙に重なると思うのは私だけだろうか。
確たる未来は期待できない、日本も妖都も。
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