津原泰水のレビュー一覧
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久しぶりに続編が出たのかと喜んだら出版社を変えての再版だった。だが書下ろし短編が加わっていたし久しぶりに津原さん作品の一筋縄ではいかない感じを味わえて良かった。
主人公はリストラされ再就職までの繋ぎとして祖母が営んでいた小さな〈玉阪人形店〉を引き継いだ澪。
だが資産家の坊で人形マニアな冨永と、謎の多い腕利き人形師・師村という二人の職人を得て、人形修復に店の主軸を移すと経営が軌道に乗り始める。
依頼人がモデルだという活人形と、少年が添い寝に欠かせないテディベア。大切なはずの人形たちが持ち主自身によって無残に壊されたのは何故かという第一話「毀す理由」。
この後の話も修復のために持ち込まれる人形 -
購入済み
緻密な文章
津原泰水(つはらやすみ)さんの15の短編を集めた『綺譚集』です。幻想、狂気、エログロ、生と死の世界を、緻密な文章によって書かれています。
大体、SNSや書店員さんがオススメしている本を読むことが多いのですが、この本はどういうきっかけで読み始めたんだったか。読書はどこかその時の自分の体調や生活に応じて感じるものだと思うけど、それからすると、今の自分には来なかったかな。 -
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カタストロフィ。
少年少女時代に、「トレチア」のせいにして悪事を働きまくっていた主要人物たちが「キジツダ」という新たなトレチアからツケを払わされていくような…都市伝説「トレチア」ですが、実際にトレチアを自認してる少年がまた新たに仲間と殺戮を続ける。
マカラやビヤラカはよく分からず画像検索しましたがマカラしか出てこなかったです。異形でした。
終盤の、緋沼サテライトが地震で崩壊する様は地獄絵図でした。川とか沼とか地名に入ってる(た)ところに家建てちゃいけん…他にもあるけど。
この世界も、何か大きなものが見ている夢…という感覚はなんだか好きです。夜の夢こそまこと。 -
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ネタバレそんな曰くがあるとは知らなかった~「人間創りに参加してほしい。不気味の谷を越えたい」ヒキコモリ支援センター代表のカウンセラー竺原丈吉は、パセリ、セージ、ローズマリー、タイムという、年齢性別さまざまな4人の引きこもりを連携させ、「不気味の谷を越える」プロジェクトを持ちかける。「プロジェクト」はコンピュータプログラムや動画サイトを使用したもので、疑心に駆られながらも外界と関わろうとする4人だった。「アゲハ」プロジェクトからセージとJJは外され、故郷の地にUMAを出現させるプロジェクトも立ち上げた。ローズマリーのシステムをハッキングするジェリーフィッシュというハッカーが現れ、アゲハのゲームをクリアす
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作者の津原泰水氏がTwitterで
「俺の小説が政治的でなかっことがあるか」
とネトウヨに返答をしたことを記憶している。
不慮の事故や自殺が多発する東京に「死者」が増殖する。霊ではなく生けるものを死へと導き「死者」は更に数を増やす。彼らを統べるチェシャが東京を妖都として再生しようとする。
「死者」はある種の能力あるいは感受性のある者にしか見えない。
これは1997年に書かれた小説だが、2020年の日本にも当て嵌まるだろう。
目に見えないcovid-19が蔓延り、政治体制はおよそ民主主義から遠ざかり1人の政治家が日本を破壊している。
大部分は「普通の日本人」として生活しているように -
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高校のブラスバンド部の仲間が、結婚式でブラスバンド部を再結成して演奏してほしいと言い出した。20年以上たった広島で、仲間を集めることができるのか。
最初に断っておくが、今回の評価は大甘である。
年末年始の読書運が無さすぎて、小川洋子すらのめりこめなかったのだが、久しぶりにのめり込んで読めた1冊。しかしまず表紙をめくって、人名の羅列と思い入れが羅列。あかんやつやーんと思いながら、いつもどおり羅列部分は飛ばして読み始めた。あらすじと人物紹介は読まない。
他片でたいらと読むらしい主人公なのだが、皆元でみなもとと読む同級生と出会ってようやく明かされる。始終この説明不足と後付情報でストーリーは続く -
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まず装丁がびっくりするほど中身に合っていないです。まるで70年代の怪奇小説のような佇まい。これでは書店でジャケ買いする人は皆無に等しいでしょう。
所が、中身はテンポが良くてシュールな成長物語となっております。何故この装丁にしたのか小一時間問い詰めたい。
出版社からリストラに近い出向を命じられ、得意の料理の技術でエスカルゴ専門店の料理人になります。そしてエスカルゴの魅力と周囲の人々の魅力に支えられて、エスカルゴと料理の世界にのめり込んで行く。恋もあるよ。
こういうとよくあるお仕事小説風で「ふーん」で終わりそうなんですが、読んでみるとこれが妙に癖になる文章と台詞回しで、シュールさをまぶしたストーリ -
Posted by ブクログ
ネタバレエロ(生)と死。パンチがあり過ぎて、侵食されて精神をやられています。どの短篇もすごいです。
たとえば恒川光太郎さんの幻想はファンタジー寄りの性善説に対して、津原さんはホラー寄りの性悪説みたいな感じ。この世とあの世の境界線がそこ彼処にあって誰しもに起こり得るっていうのは同じだけど、津原さんの人物たちは特に元々その境界が曖昧な人物(アーティストや子供やトランスジェンダーや精神疾患者など)が多く、敏感ゆえに圧倒的な力で悪とか美とかに飲み込まれてしまう。抗えないし抗うという発想すら持ち得ない。むしろそれが自然なことだと。だから怖い(苦笑)足下がぐにゃりと溶けて恐怖と不安に襲われてしまう。
ただ、美しい