津原泰水のレビュー一覧

  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】
    まず装丁がびっくりするほど中身に合っていないです。まるで70年代の怪奇小説のような佇まい。これでは書店でジャケ買いする人は皆無に等しいでしょう。
    所が、中身はテンポが良くてシュールな成長物語となっております。何故この装丁にしたのか小一時間問い詰めたい。
    出版社からリストラに近い出向を命じられ、得意の...続きを読む
  • 綺譚集
    エロ(生)と死。パンチがあり過ぎて、侵食されて精神をやられています。どの短篇もすごいです。
    たとえば恒川光太郎さんの幻想はファンタジー寄りの性善説に対して、津原さんはホラー寄りの性悪説みたいな感じ。この世とあの世の境界線がそこ彼処にあって誰しもに起こり得るっていうのは同じだけど、津原さんの人物たちは...続きを読む
  • ブラバン(新潮文庫)
    20190911
    高校時代、吹奏楽部に所属していたが、いつしか楽器からも過去からも離れていたところに舞い込んだ再結成。高校時代の思い出とそれぞれの現在が行き着く先。永遠の青春。
    津原さんの作品のなかでは読みやすく、知名度も高い作品。過去は眩しく、でも美しすぎず、現在は苦しみもありながら、希望もある。...続きを読む
  • ヒッキーヒッキーシェイク
    4人のひきこもりと凄腕ハッカーらを奇妙なプロジェクトに参加させ翻弄するカウンセラーJJ。
    ストーリー展開はテンポよく軽妙で予測不能かつ牽引力がある。
    なにげないしぐさや細部の描写がすばらしくドキリとした。
    『11』を読んだときにも感じたのだが、文体に著者特有の「読みにくさ」を感じるのはぼくだけだろう...続きを読む
  • ヒッキーヒッキーシェイク
    20190814
    ヒキコモリ支援カウンセラーのJJが集めた四人の引きこもり、パセリ、セージ、ローズマリーにタイムは、JJの提案したプロジェクトのためそれぞれの仕事をすることになる。JJの目的は、そして、4人の引きこもりの未来は。
    新書版の社長のツイッターが問題になり、出版社が変わって発刊された作品。...続きを読む
  • ヒッキーヒッキーシェイク
    タイトルがどっかで聞いたことがあると思って口ずさんだら、曲調を覚えていた。カバー・イラストにあるのと同じ型のベースを持ったマッシュルーム・カットのポール・マッカートニーが『ヒッピー・ヒッピー・シェイク』と歌っていた。「ヒッキー」が引きこもりの俗称であることは知っていた。扉の裏に次のような文言が引かれ...続きを読む
  • 赤い竪琴
    無気力に生きる暁子と楽器職人の耿介。近いようで遠く、淡白で深い不思議な恋愛観。
    なんとも表現しがたいが、窮屈そうにみえるのに憧れる距離感。淡々としているのに切なく、わざとらしくない描きかたがとてもよくて、とにかく、うまく言えないが好きなんだよなぁと思う。どう好きなのか表現できないのだが。空気?やっぱ...続きを読む
  • ブラバン(新潮文庫)
    ベタベタスカスカした今時の青春小説だったら嫌だな・・・とは思いつつ、開いてみます。

    「バスクラリネットの死を知ったトロンボーンとアルトサクソフォンは、ちょっとしたパニックに陥った。」という謎の文句から始まるのでしたが、おや、意外に、濃い。

    話は、高校時代に「弦バス」として吹奏楽部に入った主人公の...続きを読む
  • ルピナス探偵団の当惑
    元は少女小説だったそうで、小・中学生の頃に愛読していたコバルト文庫を思い出したりもしてあの頃のワクワクは簡単に取り戻せるものなのだなと妙に感心しながら読み進んでゆき、3作目の大女優の右手でガツンと食らった。
  • ルピナス探偵団の当惑
    直感に優れた彩子、行動力のあるキリエ、おっとり肉食系美少女摩耶、彩子の憧れの君祀島が、彩子の姉で刑事の不二子に振り回されつつ、難事件を解決。大胆なトリックは新本格に近い。
    設定として珍しいというわけではないが、登場人物が、犯人やらその周囲を含めて皆魅力的。ミステリとコメディがいい割合で含まれており、...続きを読む
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】
    突然実質的クビを言い渡された、調理師免許持ちの編集者のナオノコトノボルこと尚登が送り込まれたのは、ぐるぐる写真家秋彦が開店を目論むエスカルゴレストランだった。
    個性的な家族、讃岐と伊勢のロミオとジュリエットなど、人間的魅力のある面々のやり取りが面白い。笑えることをさらっといれてくるのがよい。桜がちょ...続きを読む
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】
    幸せになる。
    「何かを作る(創る)」ことに対する、著者の深い愛情を感じる。

    和洋様々、そしてエスカルゴ!!という馴染みのない?料理の数々。
    どれも美味しそうで、もう、食べたい……

    うどん対決にも笑ってしまったが、まさかエスカルゴを乗せるとは???
    まるっきり発想しなかったレシピなので衝撃。
    なお...続きを読む
  • 五色の舟
     タイムスリップSFなんだけど、見世物小屋の一家が未来を予言するという妖怪「件(くだん)」を買いに行くという道中から始まる。
     原作を読んだことがあったので読んでみた。なかなか「件」のヴィジュアルが衝撃的だった。
     原爆が落ちる直前の広島が舞台なんだけど、いまは「原爆ドーム」として誰もが知る建物が、...続きを読む
  • 五色の舟
    キャサリン・ダンの『異形の愛』とは
    土着が違うけど、同じように
    人の情愛とか家族愛を感じさせる。

    蔑まれ好奇の目にさらされながらも
    家族として生きていく異形の人たち。

    原作がすごく読みたくなった。
    知らなかった津原泰水作品。

    映像化にしても良いと思うが
    なかなか、この日本では難しいかな。
  • 五色の舟
     ホモのシーンがよくわからない
     戦争といふ時代を使って、かたわを選民として描く、と言ふのはかっこいい。
     GHQの人もアレしてゐるのであった。うむうむ。
     そして、然るべき医療技術ができても、かの皆さんは補助具を外してゐると描かれる。うむうむ。
  • クロニクル・アラウンド・ザ・クロック
    どうにもニッチは無駄死にという気がしてならない。絶対音感=音楽的才能に優れているという訳ではないのか。むらさきさんはくれないに父親について嘘は吐いていなかったのね。でもどうしてギターでなくピアノの英才教育を受けさせたんだろう。ミステリとしてはざわざわするが、恋愛小説としては後味爽やか。アニメ化でもい...続きを読む
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】
    出版社に勤める尚登。彼は調理師免許を持っており、料理の腕は美食家の社長を唸らせるレベル。

    社長は彼の料理の腕を見込み、突然彼を解雇しエスカルゴバルを出店しようとしていた写真家の雨野秋彦の元へ料理人として出向するよう命じた。

    エスカルゴ料理、と最初に見たときはうぇーっと思ったけど読み進めるうちに少...続きを読む
  • 11 eleven
    11の短編集です。
    表紙を飾る「四谷シモン」作の人形は
    津原作品にはピッタリだと思うんですよね。
    内容も期待を裏切りませんでした!
    夢と現、幻想とホラーの狭間というのでしょうか?
    あやふやな感覚と余韻がたまりません。
    特に好きなのは「五色の舟」「手」「土の枕」
    独特の時間を過ごしましたぁ~
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】
    リストラされた編集者尚登(実家は讃岐うどん店)が、ぐるぐるを偏愛する変人秋彦とエスカルゴをメインにしたレストランを開く、そこには明らかに外国人の血が混ざっている秋彦の妹の梓がいて、伊勢うどん店の娘である桜まで絡んでくるんだから、設定からして面白い。何度も声を出して笑いました。コメディと酒、肴が好きな...続きを読む
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】
    小さな出版社の編集者からいきなりエスカルゴを扱う店の調理師になる主人公。螺旋好きの写真家兼店長、高校生ながら家計を助けるためにガールズバーで働くその妹などその店の家族も複雑ながら面白い。
    主人公の実家は讃岐うどん店なのに、伊勢うどん店の娘とほのかな恋愛も何だかロミオとジュリエットみたいで面白い。
    ...続きを読む