津原泰水のレビュー一覧

  • 綺譚集

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    まるで文体に酔うような感覚でした。幻想、ファンタジー、ホラー、怪奇、グロテスク、エロティック、ミステリ…この短篇集を一言で形容できるジャンルが分かりません。まさに綺譚。素晴らしかったです。

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    2022年11月20日
  • たまさか人形堂ものがたり

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    久しぶりに続編が出たのかと喜んだら出版社を変えての再版だった。だが書下ろし短編が加わっていたし久しぶりに津原さん作品の一筋縄ではいかない感じを味わえて良かった。

    主人公はリストラされ再就職までの繋ぎとして祖母が営んでいた小さな〈玉阪人形店〉を引き継いだ澪。
    だが資産家の坊で人形マニアな冨永と、謎の多い腕利き人形師・師村という二人の職人を得て、人形修復に店の主軸を移すと経営が軌道に乗り始める。

    依頼人がモデルだという活人形と、少年が添い寝に欠かせないテディベア。大切なはずの人形たちが持ち主自身によって無残に壊されたのは何故かという第一話「毀す理由」。
    この後の話も修復のために持ち込まれる人形

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    2022年07月12日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    ネタバレ

    私自身、コントラバスを吹奏楽部が弾いていたので、すごくわかる。今アラフォーとなり、さらに気持ちが刺さる。役割を与えられ、初めて存在を得て。
    自己表現の労を惜しんで、溜め込むことに慣れてきた。他に人から大事にされる方法を思いつかずで。
    Noと言おうというまいと、砂時計の砂は勝手に落ちていく。早めに気づいて、ひっくり返して回るほかない。特に大事な人々の時計は

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    2022年04月02日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    登場人物が全員魅力的。章が変わるごとに移っていく視点が吸引力となり、一気に読み終わった。
    ラストも爽やかでよかった。

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    2022年02月20日
  • 綺譚集

    購入済み

    緻密な文章

    津原泰水(つはらやすみ)さんの15の短編を集めた『綺譚集』です。幻想、狂気、エログロ、生と死の世界を、緻密な文章によって書かれています。
     大体、SNSや書店員さんがオススメしている本を読むことが多いのですが、この本はどういうきっかけで読み始めたんだったか。読書はどこかその時の自分の体調や生活に応じて感じるものだと思うけど、それからすると、今の自分には来なかったかな。

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    2021年12月12日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    いわゆる「ひきこもり」を、全く弱者として扱わない。
    誰もが特別で、トライする限り可能性は無限にあると、肩ひじ張らずに示してくれる。
    読み終わって感極まり泣いた。
    超同調社会の現代の日本で、この本の出版が立ち消えになっていたら、厭世観が加速するところだった。
    早川が出版してくれてよかった。

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    2021年01月30日
  • 綺譚集

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    短編集,15編
    ホラーのようなサスペンスのような犯罪物のようなものや幻想的なもの,つまりいろいろな不思議不条理をとき明かさずそのまま差し出している.そしてどこか切ないような物悲しい気持ちにもなる珠玉の作品集.

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    2020年09月30日
  • 少年トレチア

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    カタストロフィ。
    少年少女時代に、「トレチア」のせいにして悪事を働きまくっていた主要人物たちが「キジツダ」という新たなトレチアからツケを払わされていくような…都市伝説「トレチア」ですが、実際にトレチアを自認してる少年がまた新たに仲間と殺戮を続ける。
    マカラやビヤラカはよく分からず画像検索しましたがマカラしか出てこなかったです。異形でした。
    終盤の、緋沼サテライトが地震で崩壊する様は地獄絵図でした。川とか沼とか地名に入ってる(た)ところに家建てちゃいけん…他にもあるけど。
    この世界も、何か大きなものが見ている夢…という感覚はなんだか好きです。夜の夢こそまこと。

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    2020年09月13日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    ネタバレ

    そんな曰くがあるとは知らなかった~「人間創りに参加してほしい。不気味の谷を越えたい」ヒキコモリ支援センター代表のカウンセラー竺原丈吉は、パセリ、セージ、ローズマリー、タイムという、年齢性別さまざまな4人の引きこもりを連携させ、「不気味の谷を越える」プロジェクトを持ちかける。「プロジェクト」はコンピュータプログラムや動画サイトを使用したもので、疑心に駆られながらも外界と関わろうとする4人だった。「アゲハ」プロジェクトからセージとJJは外され、故郷の地にUMAを出現させるプロジェクトも立ち上げた。ローズマリーのシステムをハッキングするジェリーフィッシュというハッカーが現れ、アゲハのゲームをクリアす

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    2020年09月02日
  • 少年トレチア

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    津原作品3冊目。
    読み終えた数日後に、身近なトレチア的なものの存在に気付いた。そして怖くなった。
    津原泰水は、人間の負の記憶をありのまま無加工に描き出せる気がする。誰にでもある疚しさの記憶は、分解され解消され適度な状態に調理して安置してある。それを生に戻されて突きつけられる感覚がある。物語としては、着地したいところに着地させてもらえないもどかしさがあり、それがたまらなく好みだった。

    緋沼サテライトの見取り図、どこかにありませんか!?

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    2020年08月03日
  • ルピナス探偵団の当惑

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    2作目が読みたくてこの本を読んだ。
    ホワイダニットが散りばめられた上質なミステリーで、会話文が中心だけどそれも面白かった。
    強烈な主人公の姉のキャラにイラつくこともあったけど笑 たまに出てくるには面白くて笑える。
    切ない真実にちょっとしんみりするけど。

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    2020年05月30日
  • 妖都

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    作者の津原泰水氏がTwitterで
    「俺の小説が政治的でなかっことがあるか」
    とネトウヨに返答をしたことを記憶している。

    不慮の事故や自殺が多発する東京に「死者」が増殖する。霊ではなく生けるものを死へと導き「死者」は更に数を増やす。彼らを統べるチェシャが東京を妖都として再生しようとする。

    「死者」はある種の能力あるいは感受性のある者にしか見えない。

    これは1997年に書かれた小説だが、2020年の日本にも当て嵌まるだろう。

    目に見えないcovid-19が蔓延り、政治体制はおよそ民主主義から遠ざかり1人の政治家が日本を破壊している。

    大部分は「普通の日本人」として生活しているように

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    2020年04月13日
  • 綺譚集

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    15つのお話からなる短編集
    日常に潜む狂気みたいなものが、色々な話の中に隠れている。
    「いや、こんなのなんでもないですよ、普通です普通」みたいな感じで書かれているから、こっちも「そうなのか」と思ってしまうけど、読んだ後に得体の知れないものが、じわじわとにじり寄ってくる。そんな感じ。

    私は「夜のジャミラ」「赤假面傳」「玄い森の底から」「脛骨」「ドービニィの庭で」が特に好き

    もし、グロテスクな表現が平気な人だったら、読んでみることをおすすめします。

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    2020年02月24日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    ネタバレ

    登場人物が多く、高校生時代と大人時代とが行ったり来たり。
    会話文に方言が多用されており、物語に入り込むまで時間がかかった。

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    2020年02月15日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    高校のブラスバンド部の仲間が、結婚式でブラスバンド部を再結成して演奏してほしいと言い出した。20年以上たった広島で、仲間を集めることができるのか。

    最初に断っておくが、今回の評価は大甘である。

    年末年始の読書運が無さすぎて、小川洋子すらのめりこめなかったのだが、久しぶりにのめり込んで読めた1冊。しかしまず表紙をめくって、人名の羅列と思い入れが羅列。あかんやつやーんと思いながら、いつもどおり羅列部分は飛ばして読み始めた。あらすじと人物紹介は読まない。

    他片でたいらと読むらしい主人公なのだが、皆元でみなもとと読む同級生と出会ってようやく明かされる。始終この説明不足と後付情報でストーリーは続く

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    2020年01月28日
  • 11 eleven

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    「短編の名手」って解説にあったけどまさに納得。面白かった。奇妙で少し怖くて揺さぶられる。
    最終話だけテイストがやや違うけど良い話。

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    2020年01月15日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    まず装丁がびっくりするほど中身に合っていないです。まるで70年代の怪奇小説のような佇まい。これでは書店でジャケ買いする人は皆無に等しいでしょう。
    所が、中身はテンポが良くてシュールな成長物語となっております。何故この装丁にしたのか小一時間問い詰めたい。
    出版社からリストラに近い出向を命じられ、得意の料理の技術でエスカルゴ専門店の料理人になります。そしてエスカルゴの魅力と周囲の人々の魅力に支えられて、エスカルゴと料理の世界にのめり込んで行く。恋もあるよ。
    こういうとよくあるお仕事小説風で「ふーん」で終わりそうなんですが、読んでみるとこれが妙に癖になる文章と台詞回しで、シュールさをまぶしたストーリ

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    2019年12月13日
  • 綺譚集

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    ネタバレ

    エロ(生)と死。パンチがあり過ぎて、侵食されて精神をやられています。どの短篇もすごいです。
    たとえば恒川光太郎さんの幻想はファンタジー寄りの性善説に対して、津原さんはホラー寄りの性悪説みたいな感じ。この世とあの世の境界線がそこ彼処にあって誰しもに起こり得るっていうのは同じだけど、津原さんの人物たちは特に元々その境界が曖昧な人物(アーティストや子供やトランスジェンダーや精神疾患者など)が多く、敏感ゆえに圧倒的な力で悪とか美とかに飲み込まれてしまう。抗えないし抗うという発想すら持ち得ない。むしろそれが自然なことだと。だから怖い(苦笑)足下がぐにゃりと溶けて恐怖と不安に襲われてしまう。
    ただ、美しい

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    2019年10月14日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    20190911
    高校時代、吹奏楽部に所属していたが、いつしか楽器からも過去からも離れていたところに舞い込んだ再結成。高校時代の思い出とそれぞれの現在が行き着く先。永遠の青春。
    津原さんの作品のなかでは読みやすく、知名度も高い作品。過去は眩しく、でも美しすぎず、現在は苦しみもありながら、希望もある。この、描きすぎないところが本当に好み。何でもかんでもハッピーエンドにはならないが、それでもやっていくしかないよね、というなげやりさと明るさが、少しの感動と励ましになる。

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    2019年09月15日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    4人のひきこもりと凄腕ハッカーらを奇妙なプロジェクトに参加させ翻弄するカウンセラーJJ。
    ストーリー展開はテンポよく軽妙で予測不能かつ牽引力がある。
    なにげないしぐさや細部の描写がすばらしくドキリとした。
    『11』を読んだときにも感じたのだが、文体に著者特有の「読みにくさ」を感じるのはぼくだけだろうか。

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    2019年09月08日