津原泰水のレビュー一覧

  • クロニクル・アラウンド・ザ・クロック
    爛漫のニッチの死から始まる、くれないとニッチの兄鋭夫が、ニッチの死の疑問を紐解いていく物語。多少簡単につながりすぎている感がなくもないけど、話のスピード感からはよいのかも。

    元々は文庫書き下ろしだった3部作が1冊にまとまっており、こちらを読んでよかった。
  • 夢分けの船
    新居浜から東京の音楽専門学校へ入学した若者の青春譚。劇的な事件が起こるわけでもない、驚嘆するような幻想が現出するわけでもない。ただ、内省的な青年が東京で暮らし、夢分けの船にいつしか乗ってしまい、どこへ向かうかも分からず日々生きているだけ。なのに読んでいて、かくも楽しく引き込まれ作品自体が愛おしくなる...続きを読む
  • 夢分けの船
    人生が過ぎ去るんのを待ちよるんじゃろ
    妻に先立たれた夫のやりように出た言葉
    その一文に涙が出たのよ
    これで本当にさよならなのですね
  • 11 eleven
    初読みの作家。勝手にミステリー作家だと誤認識していたが、こんなSF的作品も書く作家だったのか驚く。
    というよりも、ミステリーだSFだという枠を遥かに超えた作風の数々に感銘を覚えた。
    特に、「五色の舟」は、「件(くだん)」という妖怪を扱っているので、てっきりホラー作品かと思ったのだが、平行宇宙を扱った...続きを読む
  • 綺譚集
    大傑作。
    幻想文学に惹かれる人は残酷さの中にある美しさを探している人だと思うのだが、本著にはそんな残酷さの中の美に溢れている。
    その残酷さも即物的なもの(それはそれで好きなのだが)とは違って美学がある。腐臭があっても、どこか目を離すことができない。
    更にその美しさを然るべき文章で記すことが出来る作家...続きを読む
  • 綺譚集
    どの作品にも惹き付けられるが、一際美しく思ったのは「脛骨」だった。舞台となった場所が近いので、たまに行く。ここでね…と水辺につい目をやる。
    津原氏が亡くなられたことを、悲しく、悔しく思う。
  • 妖都
    面白かった!
    キャラクターに魅力あって、苦しいんだけど、面白かったなぁ。

    チェシャは今見てるテレビ番組のアヴちゃんを想像してしまった。
  • 11 eleven
    面白かった…。

    他の本と並行して少しずつ読んでいた。

    どれも面白かったが、私は「手」が1番面白かった。
    テルミン嬢は、コオロギ嬢を思い出した。

    面白い作家だった!他の作品も全部読みたい‼︎
  • 11 eleven
    短編集は大抵あまり…なのだけれど、これはかなり好き。「五色の舟」もやっと読めた。これか……というのが感想。
    全体的に歪な人たちの真っ直ぐな愛情というか、真っ直ぐな人たちの歪な愛情か。
    良くも悪くも、心に残る物語でした。
  • たまさか人形堂それから
    「たまさか人形堂」の続編。
    今回はより束前さんの出番がふえ、
    澪とのやりとりもおもしろかった。
    また、『小田巻姫』にも進展が・・・
    続きが読みたいなあ。
  • バレエ・メカニック
    眠り続ける少女の意識が都市に再現される物語。親がその都市で彼女を探し続ける1章が大好きです。
    電波障害とともに幻覚がいり混ざる町で、少女の面影を探し過去を見つめ続けます。そして人物を変えながら1冊を通して描く語りと巡礼も最高。
  • たまさか人形堂物語
    3人の個性がおもしろく、主人公の葛藤が手に取るように分かり引き込まれた。
    津原泰水っぽい毒も少々加味され、ページ数年は少ないが読み応えはあった。
  • 綺譚集
    短編集。
    面白かった。
    人ではないものと人であるものの、それぞれのこわさが味わえる良作。
    高評価のルピナス探偵団が、まったく楽しめなかったので、同じ作者の作品を手に取るのが不安だったが杞憂。
    (短編集好きなので)

    各話の扉絵(なのかな)のデザインがそれぞれ違って、それがまた凝ってて素敵。
  • たまさか人形堂それから
    大好きなシリーズ。多くを語りすぎず、さりとて言葉足らずなわけでもない。天才肌でスランプに悩む富永くん、意外と厳しい面のある師村さん、仕事とライフワークの切り分けができている束前さん、ひと口に職人といっても人形との向き合い方はいろいろ。私から見ると八つ当たりに近い富永くんだが、それに腹を立てることなく...続きを読む
  • ルピナス探偵団の当惑
    登場人物が大好きになりました!会話が洒落ていて
    面白い。

    3話の前に、尾崎翠の琉璃玉の耳輪を先に読みました。
  • 綺譚集
    氏の逝去の報に接して再読、やはり素晴らしい。綺羅を尽くした文体で紡がれた15の短編。「小説は天帝に捧げる果物、一行でも腐っていてはならない。」と言ったのは中井英夫だったか、その言葉そのものの一冊。作者自身は「一冊だけ残せるなら、これ」と言ったそうだが、「一冊だけ無人島に持て行くとするなら、これ」かも...続きを読む
  • たまさか人形堂それから
    続編があるとわかっていたから前作は一気に読んでしまったけれど、本書もまたリカちゃんをはじめヒトと人形をめぐるエピソードや会話のひとつひとつが軽妙で楽しくてゆっくり読みたいのに気がつくと残りページがみるみる減ってる。懸案のあれこれ、どうしたかなと考えるとしみじみ悲しい。もっともっと新作を読みたかったで...続きを読む
  • バレエ・メカニック
    著者の訃報を受けて再読。初読時はまだ『ニューロマンサー』を読んでなかったのでわからなかったけど、この小説は『ニューロマンサー』を逆向きに読むみたいな構成なんだな。最後のシーンが百閒の「冥途」なのも今回初めて気づいた。
    ガスや電気が使われ始めるのと同じく興隆してきた19世紀の心霊主義のように、テクノロ...続きを読む
  • たまさか人形堂ものがたり
    津原さんの新しい作品が読めなくなるのはつらいな。
    幻想的な作品の一方、こういうヒューマンな作品も手がけている。
    その懐の深さというか、筆の多彩さというか。
    やはり、つらいな。
  • バレエ・メカニック
    夢想渦巻く夢幻の世界へ。
    幻想きらめくシュルレアリスムの世界から始まりSFの世界に着地する、一幅の奇譚。

    3部構成は、少しずつ主要人物と時系列をずらしながら繋がっていく。
    さて、話を要約してしまうと面白くとも何ともないレビューになってしまうのが悩ましい。
    感想だけ述べるなら、情景描写も世界観も、話...続きを読む