津原泰水のレビュー一覧

  • たまさか人形堂ものがたり

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    最も敬愛する作家の一人、故津原泰水氏の手になる珠玉の連作短編集。本当は一冊読めば、また一冊津原氏の未読の本が減る、それが寂しくて手を出すのを躊躇していたが、やはり繙いてしまう。創元のこととて、帯に「ミステリ連作集」とあるが違う。これは津原氏の人形愛から紡ぎ出された人形を巡る短編集。もちろんミステリの味つけのものもあるが、風変わりな恋愛譚、幻想譚、芸術家の凄みを表した芸術小説、職人の人生を描いた短編という多彩なもの。やはりどれも津原節が横溢。読み進めるに従ってたまさか人形堂が、登場人物たちが好きになるので、最終話、寂しくなるが、最後にほっとして、次作への期待が脹らむ。読んでよかった!

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    2025年12月07日
  • バレエ・メカニック

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    都市が、夢に侵食されていく――。『バレエ・メカニック』は、そんな予感とともに幕を開ける。

    造形家・木根原の娘、理沙は九年前の事故で昏睡状態にある。ある日、東京全体が幻覚に襲われ、現実と夢の境界が崩壊を始めた。巨大な蜘蛛が街を徘徊し、存在し得ない津波が押し寄せ、電子機器は暴走し、モーツァルトの調べが鳴り響く。理沙の主治医であり、異性装の外科医である龍神は、この都市そのものが彼女の脳と化し、壮大な「夢」を見ているのではないかと推測する。本作は、その都市が見る夢の謎をめぐる物語だ。

    この作品でまず圧倒されるのは、第一章の筆致だ。シュルレアリスムを小説で描いたらどうなるか、という問いに見事な答えを

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    2025年11月02日
  • 11 eleven

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    五色の舟、クラーケン、手、が特に良かったです。五色の舟は、ストーリー、設定、表現力、文体全てが衝撃的な作品でした。

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    2025年08月11日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    初めて読む時は先が気になって急いで読んでしまうので気づかなかったことが多い。今回はゆっくり読んでいて、読みながら気になったことを調べつつ読み進めた。登場人物たちのハンドルネームは聖司と芹香からきていると思い込んでいたが、スカボロー・フェアの歌詞からであった。この歌を知っているつもりでいたが、ネットで訳詞と解説を読んで『parsley, sage, rosemary and thyme』の意味やこのイギリス民謡の内容に、ああそういうことだったんだと感服した。作者の意図とは全く違うと思うが、偽善やエゴであったにせよ、こういう形の社会貢献をしてみたいと思った。

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    2025年01月04日
  • 11 eleven

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    ネタバレ

    面白かったー。
    短編集、初めて読む作家さん。
    SFだったり、ホラーだったり、戦争ものだったり。

    最初の「五色の舟」読んで、あまりの面白さに唸ってしまった。
    戦中の日本で、疑似家族を形成し見せ物小屋で生活している異形の人達が、「くだん」に関わることで、運命が動き出すお話。
    心がどこにあるのか?というテーマ。解説も面白かったなぁ。
    世界線を越えるお話。家族愛のお話。
    終わり方がとても好きだった。
    幸せな世界線にたどり着いたのに、切ないっていう。

    切ない繋がりでいえば、「テルミン嬢」も切ない終わりだった。がっつりSFで。

    「土の枕」は風変わり戦争もの。
    死の最後の瞬間に、本当の名前に固執する老

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    2024年12月30日
  • 綺譚集

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    (2008/5/26)
    生と性は隣りあわせなんですねもちろん生と死性と死も、、リアルであり、グロテスクであり生々しくあり実感でありました。いやがおうにもひきつけられてしまいました点と丸が無い文章旧字体の文章凄く読み難かったのですがそれがまた惹きつけましたああ真似が出来ません

    あな恐ろしや津原泰水この人は一度死んだことがあるに違いない 桐野夏生 帯の文章も凄いです

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    2024年09月04日
  • 羅刹国通信

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    ネタバレ

    彼女には異常であるという正常性バイアスがある
    殺したのか殺していないのか
    詳らかににすることで得られる正当性
    不確定すぎると得られない心の平穏
    どちらか一方への依存

    妄想なのか現実なのか
    薄いブルーグレーの世界
    この物語の素晴らしさは筆舌に尽くしがたく、反面、読んでしまったことへの後悔は計り知れない

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    2024年05月28日
  • クロニクル・アラウンド・ザ・クロック

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    爛漫のニッチの死から始まる、くれないとニッチの兄鋭夫が、ニッチの死の疑問を紐解いていく物語。多少簡単につながりすぎている感がなくもないけど、話のスピード感からはよいのかも。

    元々は文庫書き下ろしだった3部作が1冊にまとまっており、こちらを読んでよかった。

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    2024年03月23日
  • 夢分けの船

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    新居浜から東京の音楽専門学校へ入学した若者の青春譚。劇的な事件が起こるわけでもない、驚嘆するような幻想が現出するわけでもない。ただ、内省的な青年が東京で暮らし、夢分けの船にいつしか乗ってしまい、どこへ向かうかも分からず日々生きているだけ。なのに読んでいて、かくも楽しく引き込まれ作品自体が愛おしくなるとは。作家の文章技巧のなせる技なのだろう。氏の新作はもう読めないのか。嗚呼。

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    2023年12月31日
  • 夢分けの船

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    ネタバレ

    人生が過ぎ去るんのを待ちよるんじゃろ
    妻に先立たれた夫のやりように出た言葉
    その一文に涙が出たのよ
    これで本当にさよならなのですね

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    2023年11月14日
  • 11 eleven

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    初読みの作家。勝手にミステリー作家だと誤認識していたが、こんなSF的作品も書く作家だったのか驚く。
    というよりも、ミステリーだSFだという枠を遥かに超えた作風の数々に感銘を覚えた。
    特に、「五色の舟」は、「件(くだん)」という妖怪を扱っているので、てっきりホラー作品かと思ったのだが、平行宇宙を扱ったようなSF作品だったので驚いた。

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    2023年10月01日
  • 綺譚集

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    大傑作。
    幻想文学に惹かれる人は残酷さの中にある美しさを探している人だと思うのだが、本著にはそんな残酷さの中の美に溢れている。
    その残酷さも即物的なもの(それはそれで好きなのだが)とは違って美学がある。腐臭があっても、どこか目を離すことができない。
    更にその美しさを然るべき文章で記すことが出来る作家である。
    津原泰水さんの記す文章をもっと読みたかった。

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    2023年05月02日
  • 綺譚集

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    どの作品にも惹き付けられるが、一際美しく思ったのは「脛骨」だった。舞台となった場所が近いので、たまに行く。ここでね…と水辺につい目をやる。
    津原氏が亡くなられたことを、悲しく、悔しく思う。

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    2023年04月30日
  • 妖都

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    面白かった!
    キャラクターに魅力あって、苦しいんだけど、面白かったなぁ。

    チェシャは今見てるテレビ番組のアヴちゃんを想像してしまった。

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    2023年04月12日
  • 11 eleven

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    面白かった…。

    他の本と並行して少しずつ読んでいた。

    どれも面白かったが、私は「手」が1番面白かった。
    テルミン嬢は、コオロギ嬢を思い出した。

    面白い作家だった!他の作品も全部読みたい‼︎

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    2023年03月05日
  • 11 eleven

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    短編集は大抵あまり…なのだけれど、これはかなり好き。「五色の舟」もやっと読めた。これか……というのが感想。
    全体的に歪な人たちの真っ直ぐな愛情というか、真っ直ぐな人たちの歪な愛情か。
    良くも悪くも、心に残る物語でした。

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    2023年02月26日
  • たまさか人形堂それから

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    「たまさか人形堂」の続編。
    今回はより束前さんの出番がふえ、
    澪とのやりとりもおもしろかった。
    また、『小田巻姫』にも進展が・・・
    続きが読みたいなあ。

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    2023年01月29日
  • バレエ・メカニック

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    眠り続ける少女の意識が都市に再現される物語。親がその都市で彼女を探し続ける1章が大好きです。
    電波障害とともに幻覚がいり混ざる町で、少女の面影を探し過去を見つめ続けます。そして人物を変えながら1冊を通して描く語りと巡礼も最高。

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    2023年01月28日
  • たまさか人形堂物語

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    3人の個性がおもしろく、主人公の葛藤が手に取るように分かり引き込まれた。
    津原泰水っぽい毒も少々加味され、ページ数年は少ないが読み応えはあった。

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    2023年01月25日
  • 綺譚集

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    短編集。
    面白かった。
    人ではないものと人であるものの、それぞれのこわさが味わえる良作。
    高評価のルピナス探偵団が、まったく楽しめなかったので、同じ作者の作品を手に取るのが不安だったが杞憂。
    (短編集好きなので)

    各話の扉絵(なのかな)のデザインがそれぞれ違って、それがまた凝ってて素敵。

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    2023年01月21日