津原泰水のレビュー一覧

  • ルピナス探偵団の憂愁

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    ああ、本当に大好きで忘れられない物語になった。
    過去へと遡る構成、一作目でははっきりしなかった一人一人の個性や良さがさらに輪郭を増す。
    あの日の誓いのシーンでもう涙腺がやられる。
    素晴らしい青春小説。

    絶対一作目から読んでください。

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    2020年05月30日
  • 11 eleven

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    好きな世界でした。面白かったです。
    幻想的なホラーもあればSFもあり、色とりどりでした。
    「五色の舟」「クラーケン」「テルミン嬢」「土の枕」が特に好きでした。
    「五色の舟」は見世物小屋の家族と件という要素も、物語の行く末も、お話に漂う物悲しさと美しさも好きです堪らなく。薄暗く混沌としたあの頃の様子も。
    「クラーケン」のラストの行動、主人公の女の気持ちがわかります。「あとは魔の領分だった」というラストの言葉選びも素敵。
    「テルミン嬢」、深海の巨大な悲しみってなんだろう。。でも、海は悲しみという気がします。
    「土の枕」はひとつだけほぼ実話という一篇なのですがすごい…ひとりの男の劇的な人生。他人の名

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    2020年05月26日
  • 11 eleven

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    難しくて疲れました。難しいというのは、物語が難解という意味でもあり、何が本質かを見つけるのが容易でないという意味でもあり、伝えたいことついて考えるのが難儀という意味でもあります。多くの作品が、脳が認識する現実世界が本当の世界なのかという疑問に沿って書かれているため、言葉そのものさえ本来の意味ではないような錯覚さえしてきて、構成も内容も脳みそに侵食してきて、ぐったりしてしまうのです。でも、だからこそ、評価されたのだろうと思います。記憶に残る短篇集です。

    解説は、解説して欲しかった作品に全く触れていなかったので残念でした。分かりやすいものにしか触れていないようでしたので読みませんでした。

    「土

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    2019年11月18日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    ひきこもりたちとカウンセラーが組んで
    いくつか仕事をしてみる話
    ひきこもりという現代社会な素材を
    いかにキャラクタ属性として表現するかという
    少し前の電撃文庫にありそうなライトノベルのつくり
    それをこの作者の火力で仕上げた作品
    ひきこもりに対して現在的な見方とかがあるわけではなく
    何も解決していなくとも
    この話の登場人物たちはひとつ達成したここちになることで
    めでたく終わる
    肩透かしなはずなのにそうあまり感じさせない幻想性が
    作者の技と思わせる読後感

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    2019年11月05日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    ひきこもり専門のカウンセラーが、クライアントのひきこもりたちと協力して「不気味の谷」を越えるCGを作っちゃう、ていうお話。
    作者と元々の出版社との間にゴタゴタがあっていろいろと話題になったんだけど、そういうの関係なく、純粋に読んでて楽しい本だと思う。
    ていうか、夢中になって読んでしまった(^^)
    登場人物みんな魅力的なところがすごく好きで、特にひきこもりたちをサポートする伝説のハッカー、ロックスミスがお気に入り。
    ロックスミスの正体は結局わからないままだから、勝手にコンビニ店員の白雲(はくうん)さんだと妄想して、セージとのラブストーリーを脳内で展開( ´ ▽ ` )♡

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    2019年08月17日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    ‪お墓参りの往復に文庫本を持って出て、面白くて一気読みしました。没頭していて気付いたら終点駅に到着していました。こんな事は滅多にありません。終点駅が最寄駅でよかったです。帰宅後も続きを読み、翌日には読み終えました。ものすごくおもしろかったです。
    万人受けするタイプの、物語の構成に重きのある、メッセージが伝わりやすく共感しやすい、テンポの良い、小説です。
    津原さんは初めて読んだのですが、伊坂幸太郎さんや恒川光太郎さんや佐藤正午さんと同じタイプの作家さんです。ページを捲る手が止められなくなります。
    津原泰水さんにハマったので他の作品も読んでみようと思います。

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    2019年08月17日
  • バレエ・メカニック

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    読んでいて幸せだった。モーツァルトとビートルズと情報の洪水にひたすら流されていく感じ。サイバーパンクと「わかりきれないところがある」というだけでもう好きな小説。

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    2019年06月11日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    なんだろ、20世紀の学生音楽経験者のキャラクターがうまく捉えられていると思う。学生時代に音楽していた人ならアラサー以上になって読むとなお良いかも。

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    2019年04月20日
  • ルピナス探偵団の憂愁

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    20190306
    「なんだ」とキリエが威勢よく云うので、得意の八つ当たりが始まるのかと思った。
    なんだ、なんだ、なんだ、なあんだ
    繰り返しながら百合樹の間を歩きまわる。顔を伏しているので表情は見えない。
    「会えたんじゃん」(p77)

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    2019年03月06日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    面白かった。この続きが読みたい!憧れの人との関係はどうなるのか、お店の人たちはどうなっていくのか、気になる〜

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    2019年02月11日
  • 五色の舟

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    津村泰水・原作、近藤よう子・漫画。

    第二次世界大戦終盤の日本。
    不思議な一座が旅をする。
    或る者は両脚がなく、或る者は侏儒。或る者は半身を失った片割れで、或る者は関節が逆についた脚を持つ。或る者は両手を持たず、聾唖である。
    血のつながらない彼らは「家族」として暮らし、見世物興行で糊口をしのぐ。
    彼らの住処は粗末な舟。
    ありあわせのとりどりの色の布で覆われた五色の舟に、異形の五人が暮らしていた。

    「父」であり、かつての名女形である雪之助は、あるとき、「くだん」の化け物が生まれたという噂を聞く。
    人と牛のあいのこであるその化け物は、牛だけれども人の顔を持ち、過去のことも未来のことも、本当のこと

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    2018年12月25日
  • バレエ・メカニック

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    最初のほうは幻想の意味でファンタジーだが
    後半からいわゆるサイバーパンクな(『ニューロマンサー』風な)SF
    作者の長編はじめて読んで気付いたが
    意外と登場人物が小説っぽい
    そのあたりSF付きな小説にみえてあまり好きになれないかもしれない
    文章はえんえん(読みやすいという意味で)良い方の「文芸」で
    軽快流れるように目がすべるので意味をとるため読み返したりして時間がかかる
    そういうところは文句ないのだが
    長編より短編のほうがそれっぽく見える技術に見える

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    2018年12月08日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    期待以上に楽しめたエンターテイメントだった。強引な部分もあるが、流れのテンポが良いのが心地よい。

    書籍紹介サイトから
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     主人公は、出版社に勤務する柳楽尚登、二十七歳。ある日、社命でカメラマンの実家を訪ねた尚登は、自然界の螺旋=ぐるぐるに魅せられたそのカメラマン・雨野から、ある計画を聞かされる。立ち飲み屋をエスカルゴ料理メインのフレンチレストランに変える、ついては、シェフは尚登だ、と。要するにワンマン社長から、問答無用の出向というか、実質上のリストラをされたのである。

     かくして、尚登の人生そのものもまた、ぐるぐるし始める。三重にあるエスカルゴの養殖場で、“本物”の

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    2018年12月02日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    現在と高校時代を織り交ぜた展開がとても巧み
    青春の痛々しさをその当時だけでなく
    現在とも対照させて
    熱くるしさを適当に逃がして見事

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    2018年11月13日
  • 11 eleven

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    ファンタジーだったりSFだったりホラーだったりどれでもなかったりするが
    いずれも作者の偏った範囲で高い技術を感じさせる短編集
    基本は幻想文学というくくりの作品ら
    どの箇所にも入念なこだわりがちゃんと感じられて気持ち良い

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    2018年10月20日
  • ルピナス探偵団の憂愁

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    再読
    ミステリとしても1巻同様楽しめる上に
    1巻で紹介されたキャラクタたちの青春小説としても素晴らしい至高の傑作
    4編とも文句つけようない結末で完璧というに相応しい


    2014/4/13
    ミステリだとしても許されないほどに卦体な登場人物だからこそある
    不可思議な物語が
    作者の申し分ない技術で描かれる
    そんじょそこらにない特異な青春ミステリ
    読書の楽しさをしみじみ味わわせてくれる

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    2018年10月17日
  • ルピナス探偵団の当惑

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    再読
    2巻で反省している通りミステリらしいミステリ
    解説の通りチェスタトンや泡坂作品のような
    気づけばなぜそう思えなかったのか納得の謎解きが秀逸
    言うまでもなく文章も素晴らしい

    2013/11/23
    もとは1994年から95年に
    講談社ティーンズハート(十二国記のホワイトハートの前身)からでた作品の改作
    つまり少女向けライトノベルにおけるミステリであり
    赤川次郎作品てきなおもむきの
    殺人事件がおこるが陰湿さはあまりなく
    探偵役の主人公一行は事件にまきこまれても泰然としていなければならないふう
    ミステリに詳しくない目から見ても事件内容は相当変わっているが
    登場人物の奇抜は決してそれに劣らない

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    2018年10月17日
  • 綺譚集

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    文章芸の極みな短編集
    言葉の選びと連なりが表現するものは
    さまざまな読み味があり向ける視野の幅広さがあり再読に耐える深さが出来上がっていて
    いつまでもすりすりしていたくなる造形の楽しさがある
    『脛骨』のようなすっきりする作品が自分の中に好みとしてあるけれど
    そこから立って見渡して独力でなされた広さにただただ感心する

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    2018年10月17日
  • 11 eleven

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     幻想短編集というべきか。

     誰も、孤独をかかえ、ひっそりとでも大事に生きようとしている。それなのに、誤ったり踏み外したり、翻弄される。それが人間ってものだからな。
     
     娘を亡くした父親の戸惑いと、悲しみが、「延長コード」の重さに象徴されている。感情をほとんど出してないのに、延長コードが切なく表している。

     グレードデンに魅入られて、救われると同時に、結局は救われない女の話「クラーケン」
     何かに依存することは、弱さだ。だがそれがどうしても必要な時もある。そして、それだけで救われないことも多々ある。

     弱さと儚さと孤独と、そういうものの中に美しい瞬間は存在するのだろう。

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    2017年12月28日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    語り手の他片(たいら)は赤字続きのバーを営む中年男性。
    そんな彼のもとへある日一人の女性がたずねて来る。
    「披露宴で皆で集まって吹奏楽を演奏してほしい」と依頼したのは高校吹奏楽部の元メンバー、桜井。
    桜井の一言がきっかけとなり、他片は今は散り散りとなった吹奏楽部のメンバーに再結成を呼びかけるが……

    物語は語り手・他片の回想に沿ってすすむ。
    吹奏楽部のメンバーはいずれも個性的。
    登場人物はのべ数十人。吹奏楽部は大所帯、楽器の数だけ個性がある。
    音楽小説であり青春小説であり八十年代ーグロリアス・エイティーの風俗小説である。
    中年の他片が吹奏楽部で活動した過去を振り返る形で綴られる物語は、青春真っ

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    2017年08月24日