津原泰水のレビュー一覧
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不思議な世界
前半は異形の人達が見世物一座として疑似家族を作っている姿を描いています。
後半はifの世界。
パラレルワールドとか苦手なんだけどこれはすんなり読めました。 -
Posted by ブクログ
好きな世界でした。面白かったです。
幻想的なホラーもあればSFもあり、色とりどりでした。
「五色の舟」「クラーケン」「テルミン嬢」「土の枕」が特に好きでした。
「五色の舟」は見世物小屋の家族と件という要素も、物語の行く末も、お話に漂う物悲しさと美しさも好きです堪らなく。薄暗く混沌としたあの頃の様子も。
「クラーケン」のラストの行動、主人公の女の気持ちがわかります。「あとは魔の領分だった」というラストの言葉選びも素敵。
「テルミン嬢」、深海の巨大な悲しみってなんだろう。。でも、海は悲しみという気がします。
「土の枕」はひとつだけほぼ実話という一篇なのですがすごい…ひとりの男の劇的な人生。他人の名前を騙って出征した為に自分の本当の名前を失う。男の息子は取り合わなかったけど、孫である津原さんの心には引っかかったから、このような物語になって残ったのだと思うと人生の妙を思いました。
なんだかとても充足しています。良い短編集でした。 -
Posted by ブクログ
難しくて疲れました。難しいというのは、物語が難解という意味でもあり、何が本質かを見つけるのが容易でないという意味でもあり、伝えたいことついて考えるのが難儀という意味でもあります。多くの作品が、脳が認識する現実世界が本当の世界なのかという疑問に沿って書かれているため、言葉そのものさえ本来の意味ではないような錯覚さえしてきて、構成も内容も脳みそに侵食してきて、ぐったりしてしまうのです。でも、だからこそ、評価されたのだろうと思います。記憶に残る短篇集です。
解説は、解説して欲しかった作品に全く触れていなかったので残念でした。分かりやすいものにしか触れていないようでしたので読みませんでした。
「土の枕」は『綺譚集』の中の「約束」と同じ書き方で、同じテーマだと分かりやすく、津原さんの関心が強いのかなと思いました。『バレエ・メカニック』風の作品や、お得意の音楽ものや、ホラー要素で読みやすいものなど色々あって盛り沢山です。私は作風がちょっと違う「キリノ」と「琥珀みがき」が好きです。どちらもとても共感(わかるなぁ、って感じが)しました。あとがきで「キリノ」は桐野夏生さんの特集のために書いた津原さんの自画像と知り、「琥珀みがき」は朗読用と知り、なお面白いと思いました。 -
Posted by ブクログ
津村泰水・原作、近藤よう子・漫画。
第二次世界大戦終盤の日本。
不思議な一座が旅をする。
或る者は両脚がなく、或る者は侏儒。或る者は半身を失った片割れで、或る者は関節が逆についた脚を持つ。或る者は両手を持たず、聾唖である。
血のつながらない彼らは「家族」として暮らし、見世物興行で糊口をしのぐ。
彼らの住処は粗末な舟。
ありあわせのとりどりの色の布で覆われた五色の舟に、異形の五人が暮らしていた。
「父」であり、かつての名女形である雪之助は、あるとき、「くだん」の化け物が生まれたという噂を聞く。
人と牛のあいのこであるその化け物は、牛だけれども人の顔を持ち、過去のことも未来のことも、本当のことしか言わない。それを一座に加えて一儲けすれば、皆の生活も安定するだろう。そう決心した父に連れられ、一行は「くだん」を買い付けようと、その地、岩国へと向かう。
「くだん」とは本当に未来を知ることができるものなのか?
彼らは「くだん」を手に入れることができるのだろうか?
予知能力を持つ「くだん」を求めているのは彼らだけではなかった。
もう少しのところで彼らは「くだん」を手に入れそこなうが、聾唖の和郎はちらりと「くだん」を見かける。
その日から、彼は不思議な夢を見るようになる。
幻想的、耽美的な一編である。
「くだん」の持つ不思議な力に導かれ、彼らは「皆が幸せになれる世界」に向かう。
「くだん」が予言した「恐るべき爆弾」は落ちたのか。それとも落ちなかったのか。
此方か、彼方か。
どちらが真実の世界なのか。
すべての業苦から解き放たれた夢のような世界。
しかし襤褸の小舟は追憶の中で五色の光を放つ。
郷愁と妖しさ。夢のような虚しさを秘めた幻想譚。