津原泰水のレビュー一覧

  • バレエ・メカニック
    読んでいて幸せだった。モーツァルトとビートルズと情報の洪水にひたすら流されていく感じ。サイバーパンクと「わかりきれないところがある」というだけでもう好きな小説。
  • ブラバン(新潮文庫)
    なんだろ、20世紀の学生音楽経験者のキャラクターがうまく捉えられていると思う。学生時代に音楽していた人ならアラサー以上になって読むとなお良いかも。
  • ルピナス探偵団の憂愁
    20190306
    「なんだ」とキリエが威勢よく云うので、得意の八つ当たりが始まるのかと思った。
    なんだ、なんだ、なんだ、なあんだ
    繰り返しながら百合樹の間を歩きまわる。顔を伏しているので表情は見えない。
    「会えたんじゃん」(p77)
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】
    面白かった。この続きが読みたい!憧れの人との関係はどうなるのか、お店の人たちはどうなっていくのか、気になる〜
  • 五色の舟
    津村泰水・原作、近藤よう子・漫画。

    第二次世界大戦終盤の日本。
    不思議な一座が旅をする。
    或る者は両脚がなく、或る者は侏儒。或る者は半身を失った片割れで、或る者は関節が逆についた脚を持つ。或る者は両手を持たず、聾唖である。
    血のつながらない彼らは「家族」として暮らし、見世物興行で糊口をしのぐ。
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  • バレエ・メカニック
    最初のほうは幻想の意味でファンタジーだが
    後半からいわゆるサイバーパンクな(『ニューロマンサー』風な)SF
    作者の長編はじめて読んで気付いたが
    意外と登場人物が小説っぽい
    そのあたりSF付きな小説にみえてあまり好きになれないかもしれない
    文章はえんえん(読みやすいという意味で)良い方の「文芸」で
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  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】
    期待以上に楽しめたエンターテイメントだった。強引な部分もあるが、流れのテンポが良いのが心地よい。

    書籍紹介サイトから
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     主人公は、出版社に勤務する柳楽尚登、二十七歳。ある日、社命でカメラマンの実家を訪ねた尚登は、自然界の螺旋=ぐるぐるに魅せられたそのカメラマン・雨野から、...続きを読む
  • ブラバン(新潮文庫)
    現在と高校時代を織り交ぜた展開がとても巧み
    青春の痛々しさをその当時だけでなく
    現在とも対照させて
    熱くるしさを適当に逃がして見事
  • 11 eleven
    ファンタジーだったりSFだったりホラーだったりどれでもなかったりするが
    いずれも作者の偏った範囲で高い技術を感じさせる短編集
    基本は幻想文学というくくりの作品ら
    どの箇所にも入念なこだわりがちゃんと感じられて気持ち良い
  • ルピナス探偵団の当惑
    再読
    2巻で反省している通りミステリらしいミステリ
    解説の通りチェスタトンや泡坂作品のような
    気づけばなぜそう思えなかったのか納得の謎解きが秀逸
    言うまでもなく文章も素晴らしい

    2013/11/23
    もとは1994年から95年に
    講談社ティーンズハート(十二国記のホワイトハートの前身)からでた作品...続きを読む
  • ルピナス探偵団の憂愁
    再読
    ミステリとしても1巻同様楽しめる上に
    1巻で紹介されたキャラクタたちの青春小説としても素晴らしい至高の傑作
    4編とも文句つけようない結末で完璧というに相応しい


    2014/4/13
    ミステリだとしても許されないほどに卦体な登場人物だからこそある
    不可思議な物語が
    作者の申し分ない技術で描かれ...続きを読む
  • 綺譚集
    文章芸の極みな短編集
    言葉の選びと連なりが表現するものは
    さまざまな読み味があり向ける視野の幅広さがあり再読に耐える深さが出来上がっていて
    いつまでもすりすりしていたくなる造形の楽しさがある
    『脛骨』のようなすっきりする作品が自分の中に好みとしてあるけれど
    そこから立って見渡して独力でなされた広さに...続きを読む
  • 11 eleven
     幻想短編集というべきか。

     誰も、孤独をかかえ、ひっそりとでも大事に生きようとしている。それなのに、誤ったり踏み外したり、翻弄される。それが人間ってものだからな。
     
     娘を亡くした父親の戸惑いと、悲しみが、「延長コード」の重さに象徴されている。感情をほとんど出してないのに、延長コードが切...続きを読む
  • ブラバン(新潮文庫)
    語り手の他片(たいら)は赤字続きのバーを営む中年男性。
    そんな彼のもとへある日一人の女性がたずねて来る。
    「披露宴で皆で集まって吹奏楽を演奏してほしい」と依頼したのは高校吹奏楽部の元メンバー、桜井。
    桜井の一言がきっかけとなり、他片は今は散り散りとなった吹奏楽部のメンバーに再結成を呼びかけるが……
    ...続きを読む
  • 五色の舟
     ビームでの連載で読んでいて、改めて単行本で通して読んだ。フリークスたちが身を寄せ合って健気に生きている感じが心に沁みる。ただどんなに仲がよくても、あんな狭い舟で寝泊りするのはオレには無理だ。

     言葉を話せなくて、テレパシーで意思の疎通をしているところをとてもすっきりと表現されていて素晴らしい。桜...続きを読む
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】
    エスカルゴをメインにした料理店に挑戦する元編集者とカメラマンの凸凹コンビの成長物語。キャラがそれぞれひねくれているので、会話が楽しい。続編のありそうな最後、楽しみ!
  • ブラバン(新潮文庫)
    津原 泰水の大ファン。
    なのに、リンダリンダリンダとかの流行に迎合した小説なんじゃねえの?
    と思い込んで、若干敬遠、積読していたのを、ようやく読む。
    自分の馬鹿。

    文学少年・軽音少年であり、ブラバン少年では決してなかった自分でも、
    共感的に楽しむことができた。

    とはいえ、村上春樹の「...続きを読む
  • クロニクル・アラウンド・ザ・クロック
    文庫を持ってるのに装丁がよかったのでつい買ってしまった。
    爛漫の音楽を知っているような気がしてくる。なぜか文庫を読んだ時よりくれないさんの成長を感じた。
  • 11 eleven
    初津原泰水。
    幻想的な短編集なのだけど、怪談ありSFありと文章や設定に濃淡があり、ただふわふわした不思議なお話を集めました、という感じにならないのがよかった。
    突然世界の真ん中に落とされるような始まり方と、余韻の残る終わり方が素敵。
  • 11 eleven
    SFのショートショートに期待するような明確なオチはない。どちらかといえば幻想小説だし、そうとも言えない作品もあるし、まぁジャンル分けなんてどうでも良いのだけど。
    不可思議な世界に誘われ、虜となり、抜け出せないまま、不安なような、恐ろしいような、寂しいような…そんなさざ波立った心持ちのまま物語は終わる...続きを読む