津原泰水のレビュー一覧

  • 綺譚集

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    短編集,15編
    ホラーのようなサスペンスのような犯罪物のようなものや幻想的なもの,つまりいろいろな不思議不条理をとき明かさずそのまま差し出している.そしてどこか切ないような物悲しい気持ちにもなる珠玉の作品集.

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    2020年09月30日
  • 少年トレチア

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    カタストロフィ。
    少年少女時代に、「トレチア」のせいにして悪事を働きまくっていた主要人物たちが「キジツダ」という新たなトレチアからツケを払わされていくような…都市伝説「トレチア」ですが、実際にトレチアを自認してる少年がまた新たに仲間と殺戮を続ける。
    マカラやビヤラカはよく分からず画像検索しましたがマカラしか出てこなかったです。異形でした。
    終盤の、緋沼サテライトが地震で崩壊する様は地獄絵図でした。川とか沼とか地名に入ってる(た)ところに家建てちゃいけん…他にもあるけど。
    この世界も、何か大きなものが見ている夢…という感覚はなんだか好きです。夜の夢こそまこと。

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    2020年09月13日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    ネタバレ

    そんな曰くがあるとは知らなかった~「人間創りに参加してほしい。不気味の谷を越えたい」ヒキコモリ支援センター代表のカウンセラー竺原丈吉は、パセリ、セージ、ローズマリー、タイムという、年齢性別さまざまな4人の引きこもりを連携させ、「不気味の谷を越える」プロジェクトを持ちかける。「プロジェクト」はコンピュータプログラムや動画サイトを使用したもので、疑心に駆られながらも外界と関わろうとする4人だった。「アゲハ」プロジェクトからセージとJJは外され、故郷の地にUMAを出現させるプロジェクトも立ち上げた。ローズマリーのシステムをハッキングするジェリーフィッシュというハッカーが現れ、アゲハのゲームをクリアす

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    2020年09月02日
  • 少年トレチア

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    津原作品3冊目。
    読み終えた数日後に、身近なトレチア的なものの存在に気付いた。そして怖くなった。
    津原泰水は、人間の負の記憶をありのまま無加工に描き出せる気がする。誰にでもある疚しさの記憶は、分解され解消され適度な状態に調理して安置してある。それを生に戻されて突きつけられる感覚がある。物語としては、着地したいところに着地させてもらえないもどかしさがあり、それがたまらなく好みだった。

    緋沼サテライトの見取り図、どこかにありませんか!?

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    2020年08月03日
  • ルピナス探偵団の当惑

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    2作目が読みたくてこの本を読んだ。
    ホワイダニットが散りばめられた上質なミステリーで、会話文が中心だけどそれも面白かった。
    強烈な主人公の姉のキャラにイラつくこともあったけど笑 たまに出てくるには面白くて笑える。
    切ない真実にちょっとしんみりするけど。

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    2020年05月30日
  • 妖都

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    作者の津原泰水氏がTwitterで
    「俺の小説が政治的でなかっことがあるか」
    とネトウヨに返答をしたことを記憶している。

    不慮の事故や自殺が多発する東京に「死者」が増殖する。霊ではなく生けるものを死へと導き「死者」は更に数を増やす。彼らを統べるチェシャが東京を妖都として再生しようとする。

    「死者」はある種の能力あるいは感受性のある者にしか見えない。

    これは1997年に書かれた小説だが、2020年の日本にも当て嵌まるだろう。

    目に見えないcovid-19が蔓延り、政治体制はおよそ民主主義から遠ざかり1人の政治家が日本を破壊している。

    大部分は「普通の日本人」として生活しているように

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    2020年04月13日
  • 綺譚集

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    15つのお話からなる短編集
    日常に潜む狂気みたいなものが、色々な話の中に隠れている。
    「いや、こんなのなんでもないですよ、普通です普通」みたいな感じで書かれているから、こっちも「そうなのか」と思ってしまうけど、読んだ後に得体の知れないものが、じわじわとにじり寄ってくる。そんな感じ。

    私は「夜のジャミラ」「赤假面傳」「玄い森の底から」「脛骨」「ドービニィの庭で」が特に好き

    もし、グロテスクな表現が平気な人だったら、読んでみることをおすすめします。

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    2020年02月24日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    ネタバレ

    登場人物が多く、高校生時代と大人時代とが行ったり来たり。
    会話文に方言が多用されており、物語に入り込むまで時間がかかった。

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    2020年02月15日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    高校のブラスバンド部の仲間が、結婚式でブラスバンド部を再結成して演奏してほしいと言い出した。20年以上たった広島で、仲間を集めることができるのか。

    最初に断っておくが、今回の評価は大甘である。

    年末年始の読書運が無さすぎて、小川洋子すらのめりこめなかったのだが、久しぶりにのめり込んで読めた1冊。しかしまず表紙をめくって、人名の羅列と思い入れが羅列。あかんやつやーんと思いながら、いつもどおり羅列部分は飛ばして読み始めた。あらすじと人物紹介は読まない。

    他片でたいらと読むらしい主人公なのだが、皆元でみなもとと読む同級生と出会ってようやく明かされる。始終この説明不足と後付情報でストーリーは続く

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    2020年01月28日
  • 11 eleven

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    「短編の名手」って解説にあったけどまさに納得。面白かった。奇妙で少し怖くて揺さぶられる。
    最終話だけテイストがやや違うけど良い話。

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    2020年01月15日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    まず装丁がびっくりするほど中身に合っていないです。まるで70年代の怪奇小説のような佇まい。これでは書店でジャケ買いする人は皆無に等しいでしょう。
    所が、中身はテンポが良くてシュールな成長物語となっております。何故この装丁にしたのか小一時間問い詰めたい。
    出版社からリストラに近い出向を命じられ、得意の料理の技術でエスカルゴ専門店の料理人になります。そしてエスカルゴの魅力と周囲の人々の魅力に支えられて、エスカルゴと料理の世界にのめり込んで行く。恋もあるよ。
    こういうとよくあるお仕事小説風で「ふーん」で終わりそうなんですが、読んでみるとこれが妙に癖になる文章と台詞回しで、シュールさをまぶしたストーリ

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    2019年12月13日
  • 綺譚集

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    ネタバレ

    エロ(生)と死。パンチがあり過ぎて、侵食されて精神をやられています。どの短篇もすごいです。
    たとえば恒川光太郎さんの幻想はファンタジー寄りの性善説に対して、津原さんはホラー寄りの性悪説みたいな感じ。この世とあの世の境界線がそこ彼処にあって誰しもに起こり得るっていうのは同じだけど、津原さんの人物たちは特に元々その境界が曖昧な人物(アーティストや子供やトランスジェンダーや精神疾患者など)が多く、敏感ゆえに圧倒的な力で悪とか美とかに飲み込まれてしまう。抗えないし抗うという発想すら持ち得ない。むしろそれが自然なことだと。だから怖い(苦笑)足下がぐにゃりと溶けて恐怖と不安に襲われてしまう。
    ただ、美しい

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    2019年10月14日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    20190911
    高校時代、吹奏楽部に所属していたが、いつしか楽器からも過去からも離れていたところに舞い込んだ再結成。高校時代の思い出とそれぞれの現在が行き着く先。永遠の青春。
    津原さんの作品のなかでは読みやすく、知名度も高い作品。過去は眩しく、でも美しすぎず、現在は苦しみもありながら、希望もある。この、描きすぎないところが本当に好み。何でもかんでもハッピーエンドにはならないが、それでもやっていくしかないよね、というなげやりさと明るさが、少しの感動と励ましになる。

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    2019年09月15日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    4人のひきこもりと凄腕ハッカーらを奇妙なプロジェクトに参加させ翻弄するカウンセラーJJ。
    ストーリー展開はテンポよく軽妙で予測不能かつ牽引力がある。
    なにげないしぐさや細部の描写がすばらしくドキリとした。
    『11』を読んだときにも感じたのだが、文体に著者特有の「読みにくさ」を感じるのはぼくだけだろうか。

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    2019年09月08日
  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    20190814
    ヒキコモリ支援カウンセラーのJJが集めた四人の引きこもり、パセリ、セージ、ローズマリーにタイムは、JJの提案したプロジェクトのためそれぞれの仕事をすることになる。JJの目的は、そして、4人の引きこもりの未来は。
    新書版の社長のツイッターが問題になり、出版社が変わって発刊された作品。出てよかった!あいかわらずのシャープなテンポと甘すぎない展開、でも希望のある未来。4人は結局JJに踊らされた部分はあるが、踊って見て良かったと思っているだろう。続きがあればいいのに、でも絶対ないんだよな、でもそれもいいんだよな、と思える作品。

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    2019年08月18日
  • 赤い竪琴

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    無気力に生きる暁子と楽器職人の耿介。近いようで遠く、淡白で深い不思議な恋愛観。
    なんとも表現しがたいが、窮屈そうにみえるのに憧れる距離感。淡々としているのに切なく、わざとらしくない描きかたがとてもよくて、とにかく、うまく言えないが好きなんだよなぁと思う。どう好きなのか表現できないのだが。空気?やっぱり距離感かな。

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    2019年08月25日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    ベタベタスカスカした今時の青春小説だったら嫌だな・・・とは思いつつ、開いてみます。

    「バスクラリネットの死を知ったトロンボーンとアルトサクソフォンは、ちょっとしたパニックに陥った。」という謎の文句から始まるのでしたが、おや、意外に、濃い。

    話は、高校時代に「弦バス」として吹奏楽部に入った主人公の、「当時」のドタバタ体験の記憶と、かれらが40歳になり、とあるきっかけでバンドを再結成することになり、各人の消息がだんだん明らかになる「今」とが交互に語られる。

    時代の空気感や音楽体験はまさにツボ。

    クイーンのギタリスト(ブライアン・メイ)が自作のギターを使っていたとか、ジョン・ボーナム、ビル・

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    2019年06月19日
  • ルピナス探偵団の当惑

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    元は少女小説だったそうで、小・中学生の頃に愛読していたコバルト文庫を思い出したりもしてあの頃のワクワクは簡単に取り戻せるものなのだなと妙に感心しながら読み進んでゆき、3作目の大女優の右手でガツンと食らった。

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    2019年05月31日
  • ルピナス探偵団の当惑

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    直感に優れた彩子、行動力のあるキリエ、おっとり肉食系美少女摩耶、彩子の憧れの君祀島が、彩子の姉で刑事の不二子に振り回されつつ、難事件を解決。大胆なトリックは新本格に近い。
    設定として珍しいというわけではないが、登場人物が、犯人やらその周囲を含めて皆魅力的。ミステリとコメディがいい割合で含まれており、会話のテンポもよいので飽きない。人物紹介であっさりネタバレしているのも面白い。しかし、不二子は鬼畜すぎるな。

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    2019年04月25日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    突然実質的クビを言い渡された、調理師免許持ちの編集者のナオノコトノボルこと尚登が送り込まれたのは、ぐるぐる写真家秋彦が開店を目論むエスカルゴレストランだった。
    個性的な家族、讃岐と伊勢のロミオとジュリエットなど、人間的魅力のある面々のやり取りが面白い。笑えることをさらっといれてくるのがよい。桜がちょっと何を考えているのかよくわからず、あまり好きに慣れなかった。女性でいうなら梓の方が、何だかんだで大人で格好いい。尚登と秋彦のエスカルゴ兄弟も何だかんだで息があってる。飲食業はそんなに簡単ではなかろうと思いつつ、楽しい気持ちになれる本だった。

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    2019年03月16日