津原泰水のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
20190814
ヒキコモリ支援カウンセラーのJJが集めた四人の引きこもり、パセリ、セージ、ローズマリーにタイムは、JJの提案したプロジェクトのためそれぞれの仕事をすることになる。JJの目的は、そして、4人の引きこもりの未来は。
新書版の社長のツイッターが問題になり、出版社が変わって発刊された作品。出てよかった!あいかわらずのシャープなテンポと甘すぎない展開、でも希望のある未来。4人は結局JJに踊らされた部分はあるが、踊って見て良かったと思っているだろう。続きがあればいいのに、でも絶対ないんだよな、でもそれもいいんだよな、と思える作品。 -
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ベタベタスカスカした今時の青春小説だったら嫌だな・・・とは思いつつ、開いてみます。
「バスクラリネットの死を知ったトロンボーンとアルトサクソフォンは、ちょっとしたパニックに陥った。」という謎の文句から始まるのでしたが、おや、意外に、濃い。
話は、高校時代に「弦バス」として吹奏楽部に入った主人公の、「当時」のドタバタ体験の記憶と、かれらが40歳になり、とあるきっかけでバンドを再結成することになり、各人の消息がだんだん明らかになる「今」とが交互に語られる。
時代の空気感や音楽体験はまさにツボ。
クイーンのギタリスト(ブライアン・メイ)が自作のギターを使っていたとか、ジョン・ボーナム、ビル・ -
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突然実質的クビを言い渡された、調理師免許持ちの編集者のナオノコトノボルこと尚登が送り込まれたのは、ぐるぐる写真家秋彦が開店を目論むエスカルゴレストランだった。
個性的な家族、讃岐と伊勢のロミオとジュリエットなど、人間的魅力のある面々のやり取りが面白い。笑えることをさらっといれてくるのがよい。桜がちょっと何を考えているのかよくわからず、あまり好きに慣れなかった。女性でいうなら梓の方が、何だかんだで大人で格好いい。尚登と秋彦のエスカルゴ兄弟も何だかんだで息があってる。飲食業はそんなに簡単ではなかろうと思いつつ、楽しい気持ちになれる本だった。 -
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ネタバレ幸せになる。
「何かを作る(創る)」ことに対する、著者の深い愛情を感じる。
和洋様々、そしてエスカルゴ!!という馴染みのない?料理の数々。
どれも美味しそうで、もう、食べたい……
うどん対決にも笑ってしまったが、まさかエスカルゴを乗せるとは???
まるっきり発想しなかったレシピなので衝撃。
なお、軍艦巻きが一番食べたい。食べたいったら食べたい。
キャラクターがどれも愛おしく、読者の「コレ!」というツボを押さえている感じもいい。サービス満点。
みんなちょっとずつはた迷惑で、可愛い。
桜というキャラの存外無遠慮なところと、酒豪に笑った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小さな出版社の編集者からいきなりエスカルゴを扱う店の調理師になる主人公。螺旋好きの写真家兼店長、高校生ながら家計を助けるためにガールズバーで働くその妹などその店の家族も複雑ながら面白い。
主人公の実家は讃岐うどん店なのに、伊勢うどん店の娘とほのかな恋愛も何だかロミオとジュリエットみたいで面白い。
本物のエスカルゴはどういうものなのか、ちょっと興味も湧くし、とにかく出てくる料理が全て美味しそう。
何となく原宏一さんみたいなテイストながら、出てくる登場人物たちはみんな良い意味で大らかでやっぱり津原さんらしいなとも思う。
終盤、あの猿渡がチラッと出てくる(名前だけなのが残念)のが嬉しかった。相変わら