津原泰水のレビュー一覧

  • ヒッキーヒッキーシェイク

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    20190814
    ヒキコモリ支援カウンセラーのJJが集めた四人の引きこもり、パセリ、セージ、ローズマリーにタイムは、JJの提案したプロジェクトのためそれぞれの仕事をすることになる。JJの目的は、そして、4人の引きこもりの未来は。
    新書版の社長のツイッターが問題になり、出版社が変わって発刊された作品。出てよかった!あいかわらずのシャープなテンポと甘すぎない展開、でも希望のある未来。4人は結局JJに踊らされた部分はあるが、踊って見て良かったと思っているだろう。続きがあればいいのに、でも絶対ないんだよな、でもそれもいいんだよな、と思える作品。

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    2019年08月18日
  • 赤い竪琴

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    無気力に生きる暁子と楽器職人の耿介。近いようで遠く、淡白で深い不思議な恋愛観。
    なんとも表現しがたいが、窮屈そうにみえるのに憧れる距離感。淡々としているのに切なく、わざとらしくない描きかたがとてもよくて、とにかく、うまく言えないが好きなんだよなぁと思う。どう好きなのか表現できないのだが。空気?やっぱり距離感かな。

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    2019年08月25日
  • ブラバン(新潮文庫)

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    ベタベタスカスカした今時の青春小説だったら嫌だな・・・とは思いつつ、開いてみます。

    「バスクラリネットの死を知ったトロンボーンとアルトサクソフォンは、ちょっとしたパニックに陥った。」という謎の文句から始まるのでしたが、おや、意外に、濃い。

    話は、高校時代に「弦バス」として吹奏楽部に入った主人公の、「当時」のドタバタ体験の記憶と、かれらが40歳になり、とあるきっかけでバンドを再結成することになり、各人の消息がだんだん明らかになる「今」とが交互に語られる。

    時代の空気感や音楽体験はまさにツボ。

    クイーンのギタリスト(ブライアン・メイ)が自作のギターを使っていたとか、ジョン・ボーナム、ビル・

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    2019年06月19日
  • ルピナス探偵団の当惑

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    元は少女小説だったそうで、小・中学生の頃に愛読していたコバルト文庫を思い出したりもしてあの頃のワクワクは簡単に取り戻せるものなのだなと妙に感心しながら読み進んでゆき、3作目の大女優の右手でガツンと食らった。

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    2019年05月31日
  • ルピナス探偵団の当惑

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    直感に優れた彩子、行動力のあるキリエ、おっとり肉食系美少女摩耶、彩子の憧れの君祀島が、彩子の姉で刑事の不二子に振り回されつつ、難事件を解決。大胆なトリックは新本格に近い。
    設定として珍しいというわけではないが、登場人物が、犯人やらその周囲を含めて皆魅力的。ミステリとコメディがいい割合で含まれており、会話のテンポもよいので飽きない。人物紹介であっさりネタバレしているのも面白い。しかし、不二子は鬼畜すぎるな。

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    2019年04月25日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    突然実質的クビを言い渡された、調理師免許持ちの編集者のナオノコトノボルこと尚登が送り込まれたのは、ぐるぐる写真家秋彦が開店を目論むエスカルゴレストランだった。
    個性的な家族、讃岐と伊勢のロミオとジュリエットなど、人間的魅力のある面々のやり取りが面白い。笑えることをさらっといれてくるのがよい。桜がちょっと何を考えているのかよくわからず、あまり好きに慣れなかった。女性でいうなら梓の方が、何だかんだで大人で格好いい。尚登と秋彦のエスカルゴ兄弟も何だかんだで息があってる。飲食業はそんなに簡単ではなかろうと思いつつ、楽しい気持ちになれる本だった。

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    2019年03月16日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    ネタバレ

    幸せになる。
    「何かを作る(創る)」ことに対する、著者の深い愛情を感じる。

    和洋様々、そしてエスカルゴ!!という馴染みのない?料理の数々。
    どれも美味しそうで、もう、食べたい……

    うどん対決にも笑ってしまったが、まさかエスカルゴを乗せるとは???
    まるっきり発想しなかったレシピなので衝撃。
    なお、軍艦巻きが一番食べたい。食べたいったら食べたい。

    キャラクターがどれも愛おしく、読者の「コレ!」というツボを押さえている感じもいい。サービス満点。
    みんなちょっとずつはた迷惑で、可愛い。
    桜というキャラの存外無遠慮なところと、酒豪に笑った。

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    2019年03月01日
  • 五色の舟

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     タイムスリップSFなんだけど、見世物小屋の一家が未来を予言するという妖怪「件(くだん)」を買いに行くという道中から始まる。
     原作を読んだことがあったので読んでみた。なかなか「件」のヴィジュアルが衝撃的だった。
     原爆が落ちる直前の広島が舞台なんだけど、いまは「原爆ドーム」として誰もが知る建物が、原爆が落とされる以前は「産業奨励館」というハイカラでにぎやかな建物だったというのが(考えてみれば当たり前なんだけど)印象に残った。

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    2018年12月22日
  • 五色の舟

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    キャサリン・ダンの『異形の愛』とは
    土着が違うけど、同じように
    人の情愛とか家族愛を感じさせる。

    蔑まれ好奇の目にさらされながらも
    家族として生きていく異形の人たち。

    原作がすごく読みたくなった。
    知らなかった津原泰水作品。

    映像化にしても良いと思うが
    なかなか、この日本では難しいかな。

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    2018年08月22日
  • 五色の舟

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     ホモのシーンがよくわからない
     戦争といふ時代を使って、かたわを選民として描く、と言ふのはかっこいい。
     GHQの人もアレしてゐるのであった。うむうむ。
     そして、然るべき医療技術ができても、かの皆さんは補助具を外してゐると描かれる。うむうむ。

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    2018年04月05日
  • クロニクル・アラウンド・ザ・クロック

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    どうにもニッチは無駄死にという気がしてならない。絶対音感=音楽的才能に優れているという訳ではないのか。むらさきさんはくれないに父親について嘘は吐いていなかったのね。でもどうしてギターでなくピアノの英才教育を受けさせたんだろう。ミステリとしてはざわざわするが、恋愛小説としては後味爽やか。アニメ化でもいけそう。少女の語りは巧み。元少女小説作家としての面目躍如。津原さんの少女小説作家時代の作品は読んだことないんだけど。今も手に入るのかな?

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    2017年09月29日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    出版社に勤める尚登。彼は調理師免許を持っており、料理の腕は美食家の社長を唸らせるレベル。

    社長は彼の料理の腕を見込み、突然彼を解雇しエスカルゴバルを出店しようとしていた写真家の雨野秋彦の元へ料理人として出向するよう命じた。

    エスカルゴ料理、と最初に見たときはうぇーっと思ったけど読み進めるうちに少し食べたくなったのがすごい。

    尚登も秋彦も梓もマスターも桜もみんないいキャラしてて読んでいてたのしかった!

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    2017年09月30日
  • 11 eleven

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    11の短編集です。
    表紙を飾る「四谷シモン」作の人形は
    津原作品にはピッタリだと思うんですよね。
    内容も期待を裏切りませんでした!
    夢と現、幻想とホラーの狭間というのでしょうか?
    あやふやな感覚と余韻がたまりません。
    特に好きなのは「五色の舟」「手」「土の枕」
    独特の時間を過ごしましたぁ~

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    2017年08月13日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    リストラされた編集者尚登(実家は讃岐うどん店)が、ぐるぐるを偏愛する変人秋彦とエスカルゴをメインにしたレストランを開く、そこには明らかに外国人の血が混ざっている秋彦の妹の梓がいて、伊勢うどん店の娘である桜まで絡んでくるんだから、設定からして面白い。何度も声を出して笑いました。コメディと酒、肴が好きなら楽しめること間違いなしの傑作です。

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    2017年04月17日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    ネタバレ

    小さな出版社の編集者からいきなりエスカルゴを扱う店の調理師になる主人公。螺旋好きの写真家兼店長、高校生ながら家計を助けるためにガールズバーで働くその妹などその店の家族も複雑ながら面白い。
    主人公の実家は讃岐うどん店なのに、伊勢うどん店の娘とほのかな恋愛も何だかロミオとジュリエットみたいで面白い。
    本物のエスカルゴはどういうものなのか、ちょっと興味も湧くし、とにかく出てくる料理が全て美味しそう。
    何となく原宏一さんみたいなテイストながら、出てくる登場人物たちはみんな良い意味で大らかでやっぱり津原さんらしいなとも思う。
    終盤、あの猿渡がチラッと出てくる(名前だけなのが残念)のが嬉しかった。相変わら

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    2017年04月01日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    食べ物にまつわる話 好き
    これはエスカルゴ、うどん
    面白かったな
    其々深いんだなあ
    吉祥寺 またぶらぶらしてみたい
    作者初めて読みました
    また読みたいです
    ≪ ぐるぐるの かたつむりじゃない エスカルゴ ≫

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    2017年01月18日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    変人スパイラル。
    負の方向から一転、見事なスパイラルアップ。
    しかしゴールは遠い。
    続くよね?
    沢渡氏、印象深い。

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    2016年10月18日
  • エスカルゴ兄弟【電子特別版】

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    この男・・・ただの変な奴ではない。
    物凄く変な奴だ!

    兄弟でエスカルゴの養殖をする話かと思ったら、全然違いましたwww

    お仕事小説になるのかな?w
    とにかく面白くて一気読みでした♪
    秋彦いいわー♡ 私もぐるぐる、くるくる、螺旋好きだしw

    エスカルゴ食べたくなるよねー。
    和風で日本酒は海の貝に任せておいて、エスカルゴバターで戴きたいものです♡
    ワインは、赤でも白でもいいわ~www

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    2016年09月29日
  • 五色の舟

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    原作がとても好きなので、なかなか手に取れなかった一冊。「五色の舟」を漫画化しようと思い、出版を実現させた、その肝の据わり方にまず感銘を受けた。

    ほぼ原作の通り、何もぼかすことなく描かれているが、絵柄のせいか、グロテスクな感じはほとんどない。本当に、こういうタッチで描かれてこそ、原作の、陰翳が深く、かつ端正な世界が生きてくるのだなあとしみじみ感じ入った。

    あとがきで津原氏も書かれていたが、原作をふくらませた終盤がすばらしい。かつての姿のまま立ち続ける建物の姿に、もう一つの世界の確かな実感がある。

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    2016年09月26日
  • たまさか人形堂物語

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    ネタバレ

    佳作。
    少しだけコメディ、少しだけハートフル、少しだけブラックで、少しだけ温かくなれる。
    人形は怪異という観念だけではなく、それ以前に工芸品だということを忘れてしまいそうになる自分に気づいた。
    しかし津原氏は、本当にそつなく文章を仕上げるな。まさに職人。

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    2016年07月14日