あらすじ
二十世紀の黄昏の、ある晩秋に起きた殺人。たわいもない筈のその事件には、一つ奇妙な謎が残されていた。私立ルピナス学園に通う吾魚彩子(あうおさいこ)は、かつてうっかり密室の謎を解いてしまったために、刑事である奇矯な姉に無理やり現場写真を見せられ、推理を強要される。なぜ犯人は殺人ののち、現場で冷えたピザを平らげたのか――(「冷えたピザはいかが」)。青薔薇の館に残された、鏡文字のルビ付きダイイング・メッセージ。死体から右手を切り取られた大女優。博学の少年・祀島(しじま)らと遭遇する不思議な事件の結末は? 少年少女が織りなす謎と論理のセッション。清冽な印象を残す佳品三編を収める。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
再読
2巻で反省している通りミステリらしいミステリ
解説の通りチェスタトンや泡坂作品のような
気づけばなぜそう思えなかったのか納得の謎解きが秀逸
言うまでもなく文章も素晴らしい
2013/11/23
もとは1994年から95年に
講談社ティーンズハート(十二国記のホワイトハートの前身)からでた作品の改作
つまり少女向けライトノベルにおけるミステリであり
赤川次郎作品てきなおもむきの
殺人事件がおこるが陰湿さはあまりなく
探偵役の主人公一行は事件にまきこまれても泰然としていなければならないふう
ミステリに詳しくない目から見ても事件内容は相当変わっているが
登場人物の奇抜は決してそれに劣らない
「普通の少女」である主人公は充分に胡乱だし
その憧れの人である祓島龍彦(『絶望先生』の久藤准調)あたり突き抜けては
作者が楽しんで書いていそう
Posted by ブクログ
もともと少女小説のレーベルで出版していた作品を、作者自ら改稿した青春ミステリ。収められている3編は、古びているということはなく、それでいて津原さんのテイストが味わえる秀作ばかり。個人的には『ようこそ雪の館へ』が好みでした。また、『大女優の右手』には、尾崎翠の『瑠璃玉の耳輪』も出てきて、面白かったです。
Posted by ブクログ
津原泰水作品のキャラクターからには、なぜか潔さを感じる。
どんなに不道徳でも卑俗的でも、すべての登場人物に宿ってる気がする。
そして相変わらずのネーミングセンスに脱帽。
Posted by ブクログ
可愛い話。
祀島君が好きです。天然でクールって、最高だと思う。キリエのさばさばした性格も大好き。
初期のタイトルが「うふふ ルピナス探偵団」だったのを知ってもっと好きになった。
サイコ、好き。
Posted by ブクログ
このルピナス探偵団は元々1994、95年に講談社X文庫TEENS HEARTから『うふふルピナス探偵団』『ようこそ雪の館へ』の2冊が発売された。その後著者は少女小説家を卒業してしまったのだが、その後その2冊分を大幅に改稿し(『うふふルピナス探偵団』は「冷えたピザはいかが」と改題されている)+もう一編「大女優の右手」を書き下ろし、原書房ミステリー・リーグから『ルピナス探偵団の当惑』として2004年に単行本化された。今回はその原書房で単行本化されたものの文庫化である。X文庫版も、原書房版も読んだのに、また買って読んでしまった。普段なら文庫で756円なんて高い!!と思ってしまう私ですが、元々の文庫がそれぞれ400円、420円だったことを考えると2冊文+αで756円は安い!そして、面白い。10年間で3つの出版社にまたがって発売されていることからもその面白さはうかがえると思う。たまたま密室の謎を解いてしまった事によって(その事件については本の中では詳しく書かれていない)、刑事の姉不二子が持ち込んでくる事件を、解決するように迫られる日々を送る彩子。彩子は友人であるキリエ、マヤ、そして憧れの人祀島くんとともに謎を解く。どうして殺人を犯した直後に被害者に食べ残したピザを食べていったか、 どうして血文字のダイイング・メッセージは鏡文字になっていたのか、どうして女優の死体から右腕だけが盗まれたのか。少女小説らしい軽妙さと、本格的な謎の融合が魅力的。彩子の恋がどうなっていくのかも気になる。秋に発売される続編『ルピナス探偵団の憂愁』も楽しみだ。
Posted by ブクログ
敬愛する幻想作家津原泰水のミステリ短編集。僕の本来の好みの津原作品ではないものの、登場人物のキャラクターが、セリフが楽しい。本にまとめるにあたって書き足された「大女優の右手」はさすが。僕の推しはキリエちゃん♪ また余裕ができたら、続きも読もう。
Posted by ブクログ
2作目が読みたくてこの本を読んだ。
ホワイダニットが散りばめられた上質なミステリーで、会話文が中心だけどそれも面白かった。
強烈な主人公の姉のキャラにイラつくこともあったけど笑 たまに出てくるには面白くて笑える。
切ない真実にちょっとしんみりするけど。
Posted by ブクログ
元は少女小説だったそうで、小・中学生の頃に愛読していたコバルト文庫を思い出したりもしてあの頃のワクワクは簡単に取り戻せるものなのだなと妙に感心しながら読み進んでゆき、3作目の大女優の右手でガツンと食らった。
Posted by ブクログ
直感に優れた彩子、行動力のあるキリエ、おっとり肉食系美少女摩耶、彩子の憧れの君祀島が、彩子の姉で刑事の不二子に振り回されつつ、難事件を解決。大胆なトリックは新本格に近い。
設定として珍しいというわけではないが、登場人物が、犯人やらその周囲を含めて皆魅力的。ミステリとコメディがいい割合で含まれており、会話のテンポもよいので飽きない。人物紹介であっさりネタバレしているのも面白い。しかし、不二子は鬼畜すぎるな。
Posted by ブクログ
高校生が探偵役のミステリ。
2編は、ライトノベルとして1994年から95年にかけて発表されたもの。
全面改稿されたということですが、キャラ設定はそれらしい感じですね。
吾魚彩子(あうおさいこ)はルピナス学園の生徒で、かなり普通の女の子だが、やや直観力に優れている。
姉の不二子が刑事で、彩子はたまたま密室殺人の謎を解いてしまったことがあるため、強引な性格の不二子に何かと協力させられるようになっていた。
博学な祀島龍彦にあこがれて告白するが、姉のせいで誤解されてしまう‥?
この祀島、化石マニアで何事につけても知識は豊富だが、乙女心にはまったく疎いのでした。
彩子の親友はボーイッシュで度胸がある桐江泉と、美少女というほかにはさして取り柄がない(と人物紹介に書いてある)京野摩耶。
刑事の不二子と、その上司(だが年下)も含め、それぞれの得意を生かして謎に挑む展開。
「冷えたピザはいかが」はキャラのにぎやかなお目見えと、ピザをめぐる謎ときが面白かったです。
「ようこそ雪の館へ」は、雪の日に道に迷って、カリスマ的な美人作詞家が住む館に泊まることになった一行が事件に巻き込まれる。
館もの、とでもいいましょうか。
ムードのある場所での不思議な事件は、高校生向きというわけでもないけれど、作者の資質を感じさせる雰囲気がありました。
「大女優の右手」は、「瑠璃玉の耳輪」を上演中の舞台で、主演女優が死亡、死体が行方不明に?
手套の麗人と異名をとった往年の名女優、尾崎緑が書いた幻のシナリオなど、時代がかった雰囲気が濃厚でした。
津原泰水が小説として完成した「瑠璃玉の耳輪」を前に読んでいるので、面白く読めました。
吾魚って変わった苗字だけど、亜愛一郎が好きなのかな?
謎解きの基本的な面白さがしっかりありますが~解説にあるように、魔法の杖をもつ魔法使いというタイプの作家さんという気がします。
Posted by ブクログ
殺人者は何故現場で冷めたピザを食べたのか? 雪の密室に残されたダイイングメッセージには何故ルビがふられていたのか? 舞台で亡くなった女優の右手は何故切り落とされたのか? ホワイダニットに満ちた謎の物語。
読む前は何故かペダンチックな重い物語だと思い込んでいましたが、読んでみると軽快なユーモアミステリに属する物語でした。元々は少女小説として発表されていたのだとか。洞察力と直感力と空想力、探偵に必要な力を各キャラクターに配分し展開していく様は面白いです。「何故」に焦点を当てるホワイダニットは地味な印象を与えますが、このキャラクター小説的展開でそれも補っているのかと。続きも出ているようなので要チェックですね。
Posted by ブクログ
元々が少女小説ということもあってか、個性的なキャラクター同士の軽妙なやり取りが愉しく、仄かな恋心がくすぐったい。雪に閉ざされた洋館、怪しげな住人、死体消失といったミステリ的なガジェットに加え、『瑠璃玉の耳輪』まで登場するのも嬉しい。HowやWhoよりもWhyに重点を置いた謎解きもなかなか見事。
お気に入りは「大女優の右手」。
Posted by ブクログ
「なぜ事件は起こったのか?」に焦点を当てた推理小説。
女子高生3人組+男1名が解決に挑むわけですが、気負いしてない雰囲気が心地よい。
読みやすかったです。
Posted by ブクログ
「絶対に追いつけない幻影を追って走り続けた人生だ。あんな婆さんになってさえ、酔うと自分の右手を見つめ、贋物だと云って泣いた。なあ彩子ちゃん、そろそろ本物にしてやろうじゃないか」(本文より)
大女優の右手が好き。動機が切ない。
Posted by ブクログ
短編集でシリーズもの。新ジャンル文学ミステリ。冗談は置いておき、面白かった。(たぶん)ミステリ小説なのに、ミステリ部分に対する執着をあんまり感じない。謎から答えまでの道のりが短いのが理由か。
Posted by ブクログ
主人公の姉と上司に関しては問題ありとは思うが、主人公たち4人は魅力的だと思う。ミステリとしては後で追加された3作目が1番良い。2作目は遺体を動かす事を許した主人公の姉に対しての怒りマックス。
Posted by ブクログ
とても面白かったのだけど、主要人物の中に傍若無人に振る舞う人が二人もいると読んでいて疲れる。
姉だけでよかったのでは?
意味のわからない箇所がちょっと多いかな。
ミステリーの謎や雰囲気はとても良いのに残念
Posted by ブクログ
津原泰水さんが「津原やすみ」名で少女小説家として活躍していた頃の作品と聞いて、あまり食指が動かず読むのを後回しにしていたのだが、さすがに津原さん、やっぱり面白かった。きっちり作り上げられた世界とキャラクターを堪能した。ジャンルの性格上、人物像がやや極端ではあるけれど、気になるほどではなくてむしろ楽しめる。もう一冊も続けて読むことにしよう。
Posted by ブクログ
私が楽しむとしたら、ミステリとしてではなくキャラクター造形に重きを置くかな。男性陣2人がかわいいです。
三作目も記述が進むにつれ、犯人がどんどんキャラクターとして目立ってくるし、最後の方はちょっとぞっとしたくらい。
どの編も推理自体は無理があるような。。
Posted by ブクログ
全体的になんだか懐かしい空気で読んでいた。解説を読んで、なるほど中学の時に夢中だったコバルト文庫的だったんだ!
登場人物がとにかくいい。主役集団だけでなく、出てくる人々が楽しい。
とぼけた雰囲気の会話も楽しいし。数々の雑学。
化石探しとかやっちゃうかも。
「これまで見えていたものが見えなくなる喪失感と、これまで見えなかったものが見えてくる解放感、この相反する状態が同時に起こる幻惑的瞬間に立ち会う事、それこそ良質な推理小説を読む醍醐味なのだ」(解説より)
犯人が最初にわかっていてもとても楽しめた。
Posted by ブクログ
連作ミステリ短編集。
これが少女小説として出されてたのがすごい。少女小説=少女の成長と初恋ってイメージがあったけど、探せばおもしろい作品があるのかなあ。
Posted by ブクログ
思ったより読んでる人が多いな。何かの本の裏に書かれてて借りた物。3つの短編集。ちょっと長めの。ティーンエイジャー向けにしてはちょっと難しいというか。少し昔の時代設定で、凜とした感じがする。元女子校、というのも影響してるのか。キャラはみんないい。やっぱり毒舌のキリエが一番好き。きりみたいだな。化石ばかりの祀島君も好き。登場人物紹介の京野摩耶のところ、「さして取り柄のない美少女」って摩耶は怒るべきだ。
2015.12.21
再読。この続編の感動を知っている私は、初回よりもとても楽しめたと思う。でもちょっとトリックが難しいよな。本格的で。ほんと、みんな大好きだ、と思う。これが津原やすみ時代に書いたものを手直ししたとは知らなんだ。
Posted by ブクログ
津原泰水氏の少女小説家時代のミステリ。
大幅改稿+書き下ろし一遍追加との事ですが、少女向けとしては本格的で難解な内容。
とは言え、キャラクターや会話は淡々としていながら独特なユーモアがあり、むしろそちらの方に魅力を感じます。
緊張感を煽るミステリに疲れたときに読みたいです。
Posted by ブクログ
祀島龍彦・・・雑学と洞察力に優
れた高校生で、探偵役に昇格する
かと思われたが、真実を見る者は
やる気のない女子高校生。
誰もが最後に話題にするどうでも
いい事に注意を惹かれ・・・事件
が解決に導かれる
2012.3.15再読
やはり・・・何も覚えていなかった(笑)
何回でも楽しめる(推理小説であったとしても)
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた今作。
学園青春もののライトミステリーだと
思いこんでましたが...かなりの本格派ミステリーでした。
キャラクターや設定はコミカルな
学園青春ものの皮を被っています。
その中身は、注意してしっかり読んでいかないと、
見失ってしまいそうな、想像力と論理展開による推理。
ガチのミステリーです。
女子高生たちが探偵となるには事件が
大きい不自然さはあるものの、キャラクター描写
(とくに主人公の姉である刑事。しかもがさつ。)に
よって助けられて、気にせず没頭出来ますねー。
今まで未読の作家さんでしたが、
またこれで遡って読む本が増えそうな予感...。